公開日:2022年6月8日
更新日:2024年8月9日
夏に入ると気温が上昇し、冷蔵庫は庫内の温度を維持するために多くの電力を消費します。夏場における電気代を節約するうえで、冷蔵庫の電気代を抑える方法を知ることは大切です。
特に冷蔵庫は家庭内での電気使用量が全体の14.3%と多く、点けたり消したりできる照明に比べて、24時間365日ずっと稼働させなければいけないのも気になるところです。
そこで今回は、冷蔵庫の電気使用量や電気代を抑える方法について情報を集めてみました。夏の電気代節約のヒントになれば幸いです。
使い方次第で、冷蔵庫の電気代は節約できます。すぐに実践出来るものばかりなので、ぜひ意識して続けてみてください。
冷蔵庫に食品をしまう際に、少し工夫するだけで電気代を節約できます。
庫内の温度を上げないためにも、基本的に熱いものはいったん冷ましてから冷蔵庫に入れましょう。
夏は煮出した麦茶などを早く冷やすために、つい熱い状態のまま冷蔵庫へ入れてしまいがちです。
しかし、熱い状態で冷蔵庫に入れると、庫内だけでなく周囲にある食品にも熱が伝わります。熱いものを冷やすためにエネルギーが消費され、電気代が余計にかかってしまうので、冷ましてから冷蔵庫に入れたほうが節約になります。
冷蔵室に食品を詰め込み過ぎると、冷気の流れが妨げられて庫内が均一に冷えなくなります。冷気が庫内に行きわたらないと電気の無駄遣いにもなるので、冷蔵室の奥の壁が見える程度の隙間を空けて食品を入れるのが省エネのコツです。
経済産業省によると、庫内に食品を詰め込んだ場合と半分にした場合を比較すると、半分にしたほうが年間約1,360円の節約になるというデータもあります。週に1回程度は、詰め込み過ぎていないかチェックするのも効果的です。余裕を持ったレイアウトで、効率的に省エネと節約を実現しましょう。
冷蔵室とは逆に、引出し式の冷凍庫の場合は食品を隙間なく詰め込んだほうがよく冷えます。隙間なく食品を入れることで、食品同士がお互いに保冷し合うため、ドアの開閉による温度上昇の影響を抑えることができるのです。
冷蔵庫のドアを何度も開閉すると、その都度冷気を逃がすことになり電気も無駄になります。食品はなるべく必要なものをまとめて取り出し、すばやく開閉しましょう。
冷蔵庫を見やすく収納することも大切です。冷蔵庫内が見やすくなることで、扉が開いている時間を短縮できます。例えば、よく出し入れするような食品や調味料は、取り出しやすい手前に置くと便利です。
経済産業省によると、冷蔵庫を開けている時間が20秒間の場合と10秒間の場合を比較すると、年間で約190円の節約効果を得られます。また、無駄な開閉を控えると年間で約320円の節約効果を得られるため、定期的に食品の整理や見直しを行いましょう。
冷蔵庫の設定や設置場所を工夫すれば、電気代を節約できます。
冷蔵庫内の温度設定が「強」になっていたら「中」や「弱」など控えめにしたほうが消費電力は小さくなります。周囲の温度が22℃の場合、設定温度を「強」から「中」にしただけで、年間61.72kWh(キロワットアワー)の省エネ効果があり、約1,910円の節約になったというデータもあります。
夏場などで外の温度が高いと冷えにくいようにも感じますが「中」設定でも十分に機能するので、食品の傷みに注意しながら調整してみてください。
冷蔵庫のドアパッキンは外れたり破れたりしない限り交換は不要ですが、汚れやキズなどで開閉に問題がおきないよう、こまめに掃除しましょう。
また、冷蔵庫の背面や底面にある放熱部分は、半年~1年に1回くらいのペースでホコリを除くのがおすすめです。ホコリがたまっていると、冷却力が落ちたり消費電力が余計にかかったりする場合があります。
冷蔵庫にはキャスターが付いているので、前にずらしてから背面のホコリを掃除機できれいに取りのぞいてください。
冷蔵庫を置く場所によっても省エネ効果に差が出ます。直射日光の当たる場所や、ガスコンロなど熱源が近くにある場所は避けましょう。冷蔵庫の周辺の温度が30℃から35℃に上昇したことで、約47%も消費電力量がアップしたという例もあります。
周囲に隙間がないと、食品から奪った熱をスムーズに放熱できず冷えにくくなるため、十分なスペースを取って設置するのもポイントです。冷蔵庫の上部と両側面が壁に接している場合と片側だけ接している場合を比較すると、年間で45.08kWhの省エネになり、約1,400円の節約になるというデータもあります。
環境省では5cm以上壁から離して設置することを推奨しているので、目安にしてみてはいかがでしょう。
冷蔵庫の使い方を工夫すれば、電気代を節約できます。
ほかにも、冷蔵庫の買い替えで電気代を節約することも可能です。現在は省エネ機能が進化しているため、使っている冷蔵庫が古いものだったら、思い切って買い替えたほうが電気代の節約につながるでしょう。
古い冷蔵庫と新しい冷蔵庫の電気代を比較しつつ、新しい冷蔵庫を選ぶ際のポイントも解説します。
冷蔵庫の平均使用年数は約13年というデータがありますが、最近の冷蔵庫は10年前の製品と比較すると約37〜43%の省エネ効果があるため、電気代を節約できます。
例えば、内容量が401~450L(リットル)の冷蔵庫の場合。 年間消費電力量が2012年には420~470kWh/年だったのが、2022年には273kWh/年となり、約35%~42%も減って省エネになるというデータもあります。これを年間の電気代として考えると、約4,557円~6,107円もおトク!
省エネ技術が高い冷蔵庫の特徴として、インバーター制御機能が付いている点があげられます。インバーター制御機能とは、コンプレッサーの回転数を細かく制御して電力消費を抑える機能です。
最新の冷蔵庫は、回転数を適切にコントロールするインバーター技術を取り入れたことで、効率的な運転が可能です。
ドアの開閉による変化や冷蔵庫内と室内の温度差にも対応して、モーターの回転数を制御しながらきめ細かい運転ができるので、冷え具合に合わせた冷却力で省エネ効果を発揮できます。
また、高性能な断熱材を用いて省エネ効果を向上させている冷蔵庫もあります。最近では、ノンフロンの真空断熱材を組み合わせて高性能な断熱材が用いられている冷蔵庫が見られます。
冷蔵庫を買い替える際には、インバーター制御機能の有無や断熱材の素材なども確認してみるとよいでしょう。
冷蔵庫を選ぶときにまず考えなければいけないのは、サイズ(容量)です。例えば3人家族なら430~480L(リットル)、4人家族なら500~550Lというように最適なサイズを選びましょう。
冷蔵庫にかかる電気代はサイズによって違いはあるものの、1年間で5,000~10,000円程度が目安です。
なお、2024年6月1日現在の省エネ性能カタログによると、冷蔵庫のサイズごとの平均電気代は以下のとおりです。
容量 | 年間の平均電気代 |
---|---|
140リットル以下 | 7,408円 |
141~200リットル | 8,015円 |
201~250リットル | 8,342円 |
251~300リットル | 8,426円 |
301~350リットル | 9,193円 |
351~400リットル | 9,502円 |
401~450リットル | 7,813円 |
451~500リットル | 7,335円 |
501リットル以上 | 7,526円 |
大型の冷蔵庫は販売価格も高額となりますが、その分省エネ機能も充実しているため、年間の電気代は安くなる傾向にあります。省エネと10年間のランニングコストを考えれば、必要最低限のサイズにこだわるより、大きいサイズの購入を視野に入れてもいいかもしれません。
冷蔵庫の容量やサイズに関して詳しく知りたい場合は、こちらをご覧ください。
省エネ性能が高い最新の冷蔵庫は、10年前の機種と比較すると消費電力が低く抑えられています。
最新の冷蔵庫に搭載されている、節電につながる便利機能を見ていきましょう。
ドアの開閉が長時間ないとき、自動的に省エネモードで運転する「自動省エネ運転機能」が搭載されていれば、消費電力を抑えられます。また、庫内の収納量を光でチェックし、最適な省エネ運転を自動で行う冷蔵庫も登場しています。
運転モードを手動で調整する必要がないため、手間がかかりません。誰も家にいない時間帯には、自動省エネ運転機能により自動で消費電力を抑えながら運転するため、手間をかけずに電気を節約できるでしょう。
なお、冷蔵庫によっては「エコモード」「節電モード」という名称で記載されていることもあります。
冷蔵庫によっては、コンプレッサーを止めて冷却器に付着する霜(フロスト)を活かして庫内を冷やす「フロストリサイクル冷却機能」が搭載されています。
コンプレッサーの運転を止めるだけでなく、霜の温度上昇による霜取り時間の短縮も行うことで消費電力を抑える仕組みです。
フロストリサイクルは冷蔵庫が自動的に行うため、人による操作や作業は不要です。手間をかけずに節電効果を得られる便利な機能といえるでしょう。
最新の冷蔵庫には、使い方を学習するAIが搭載されているモデルがあります。AIが冷蔵室・冷凍室の状況や扉の開閉状況などを分析したうえで、効率的な運転を行う機能です。
ご家庭における冷蔵庫の使用パターンをデータとして蓄積したうえで、深夜や留守中にヒーターによる霜取りを行い、庫内の温度上昇を抑える機能を搭載している冷蔵庫もあります。
AIによる自動診断機能が搭載されている冷蔵庫を導入すれば、ご家庭ごとに最適な運転方法を自動で実行し、電気代を抑えられるメリットが期待できます。
スマートフォンの位置情報と冷蔵庫を連携させ、最適な運転モードを提案する冷蔵庫も登場しているため、生活の利便性向上にも貢献してくれるでしょう。
夏場における冷蔵庫の電気代を節約する方法や、最新の便利機能などをご紹介しました。
節電効果の高い最新の省エネタイプ冷蔵庫に買い替えれば、手間をかけることなく電気代を抑えることが可能です。
買い替えて年数が経過していないご家庭でも、使い方を工夫すれば電気代を抑えられます。
昨今は電気代が高騰しており、さらに夏場は電気代が高くなりやすい季節です。自分に合った対策で電気代を抑えて、冷蔵庫とさらに賢くおトクに付き合ってください。