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公開日:2018年2月23日

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再生可能エネルギーが未来を変える!?日本のエネルギー事情

近年、新聞やニュースで度々目にする「再生可能エネルギー」、「パリ協定」…
みなさんは「私たちの生活とどう関係があるの?」と聞かれてすぐに答えることができるでしょうか?
今回は、なぜ今「再生可能エネルギー」や「パリ協定」が注目されているのか、お伝えします。

再生可能エネルギーとは

最近では「再エネ」と簡略化されて呼ばれることも多い「再生可能エネルギー」とは、そもそもどのようなエネルギーなのでしょうか?
一般的には、太陽光や風力、水力、地熱、バイオマスなど自然から作られているエネルギーのことを「再生可能エネルギー」として総称されていますが、これらのエネルギーは、原子力や石油・石炭などの化石燃料を資源とした限りあるエネルギーに対し、枯渇せずに繰り返し永続的に利用可能なことから「再生可能エネルギー」と呼ばれています。
近年では「自然エネルギー」という言葉も目にする機会が多く、「再生可能エネルギー」と同じ意味合いで使われることがありますが、厳密には自然エネルギーは再生可能エネルギーの中の一部であると言えます。

では、なぜ「再生可能エネルギー」に関するニュースが注目されているのでしょうか?
理由としては日本が抱えるエネルギー問題と、世界的な動きが関係しています。

日本のエネルギー問題を再エネで解決!?

まず1つめに挙げられるのは、再生可能エネルギーによる日本が抱えるエネルギー問題解決への期待です。 近年、日本の主なエネルギー源は火力、原子力発電でしたが、これらのエネルギーにもメリットとデメリットがあります。

火力発電
発電効率がよいが、大量の化石燃料(石油・石炭)を使用するため温室効果ガスを排出する。燃料費がかかる。

原子力発電
一度に大規模な発電が可能であり、温室効果ガスを排出しないが、放射性廃棄物処理の必要や事故が起こった場合のリスクが大きい。

日本は長年この火力・原子力発電に頼って来ましたが、東日本大震災の福島第一原発事故を契機に、深刻なエネルギー問題に直面したことで、再生可能エネルギー活用の推進をその解決の糸口として大きく舵を切りました。

また、日本のエネルギー問題のもう1つ重要な課題は、エネルギー自給率です。
みなさんは、日本のエネルギー自給率をご存じでしょうか?
その数値はなんとたったの6%。残りの94%は海外からの輸入に頼っています。(2012年時点。図A参照)
また、日本の貿易(輸入品目)の約3分の1(約28兆円相当)が、エネルギー取引によるものです。(図B参照)

図A
図A
出典:経済産業省ウェブサイト(日本のエネルギーのいま:抱える課題)
IEA「Energy Balance of OECD Countries 2013」を基に経済産業省にて作成
図B
図B
出典:外務省ウェブサイト(日本のエネルギー外交)

現在、94%を国外からの輸入に頼っている一部を、国内の再生可能エネルギーで賄うことができれば、輸入にかかっている費用を削減し、また、国内でエネルギーを賄っていくための産業や雇用機会の創出などの新たな経済効果が期待できます。

地球温暖化と再生可能エネルギー

そして近年大きな注目を集めているのが、再生可能エネルギーの普及による地球温暖化対策の効果です。
みなさんもご存じの通り、地球温暖化問題はいま地球規模で大きな課題となっています。
IPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)によると、2001年に発表された1901~2000年の100年当たりの世界の気温の上昇が0.6℃であったのに対し、2014年の発表では、1880~2012年で世界平均気温が0.85℃上昇しており、特に最近30年の各10年間の世界平均気温は、1850年以降のどの10年間よりも高温となっているようです。
では、どれくらいの温度上昇が地球環境に影響があるのでしょうか。

地球温暖化と再生可能エネルギー
地球温暖化と再生可能エネルギー
1986~2005年の世界の平均気温を基準とする。
影響は、気温変化の速度や今後の対策の内容により異なる。(IPCC AR5 WG2 SPMを基に作成
  • A:暑熱や洪水など異常気象による被害が増加
  • B:サンゴ礁や北極の海氷などのシステムに高いリスク、マラリアなど熱帯の感染症の拡大
  • C:作物の生産高が地域的に減少する
  • D:利用可能な水が減少する
  • E:広い範囲で生物多様性の損失が起きる
  • F:大規模に氷床が消失し海面水位が上昇
  • G:多くの種の絶滅リスク、世界の食糧生産が危険にさらされるリスク
出典:WWFジャパンウェブサイト(地球温暖化についてのIPCCの予想シナリオ) IPCC AR5 WG2 SPMを基にWWFにて作成

このような影響を引き起こす地球温暖化の主な原因として広く知られているのが「温室効果ガス」ですが、その中でも石油や石炭などの化石燃料の燃焼によって排出される「二酸化炭素」が、地球温暖化に大きく影響を及ぼしていると言われています。

また、日本で排出される温室効果ガスの95%が二酸化炭素であり、そのうちの70%が石油・石炭などの化石燃料を燃焼させる火力発電によるものだと分かっています。
つまり、日本の主なエネルギー源である石油・石炭などの化石燃料による火力発電から、再生可能エネルギー発電に切り替えていくことで地球温暖化に影響を及ぼす二酸化炭素の削減に大きな効果が期待できるのです。
このような動きは、既に世界規模で始まっています。

この二酸化炭素を含めた「温室効果ガス」の削減とともに世界の気温上昇抑制に向け、世界的に取り組もうという動きが「パリ協定」です。
このパリ協定では、途上国も含めたすべての参加国に対し、『世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする』ことが求められており、2020年以降の温室効果ガスの排出について各国の取り組みを決めた国際的なルールとして採択されました。

批准国は169カ国(2017年11月時点)。 この中で日本は中期目標として、「2030年度の温室効果ガスの排出を2013年度の水準から26%削減する」ことを目標として掲げています。(下図C)
図C
図C
出典:経済産業省 資源エネルギー庁ウェブサイト(今さら聞けない「パリ協定」 ~何が決まったのか?私たちは何をすべきか?~)を基に作成

この目標は、あと十余年で達成しなければならないことを考えると、容易な目標ではないと言われています。
この目標を達成するためには、私たちの生活の中で使用する電力のうち、再生可能エネルギーの比率を上げていくことは必要不可欠であり、国としてもその環境を整えることは急務となっています。

今、なぜ再生可能エネルギーが注目されているのか、そして再生可能エネルギーに期待されているのは何か、について主にご紹介してきましたが、一方で再生可能エネルギーの普及に際しての課題として、自然界の状況によりその発電量が左右されてしまうという側面や火力や原子力発電に比べてコストが割高になることが挙げられています。

実際、日本の再生可能エネルギーの発電コストはまだ、国際水準と比較すると高い状況が続いているようですが、2017年の経済産業省の発表によると「世界的には、再生可能エネルギーの導入拡大の中で、発電コストの低減が進み、ほかの電源と比較してもコスト競争力のある電源となってきたことで、さらなる導入拡大を生むというサイクル が生じている。」(出典元:再生可能エネルギーの大量導入時代に おける政策課題について/経済産業省)とあり、今後、日本国内でも再生可能エネルギーの発電コストの抑制は十分に期待できます。
再生可能エネルギーの普及に際しての課題対策に関しては、別の機会にご紹介をさせていただきます。