公開日:2022年6月17日
在宅中は何となくいつもつけているという人も、見たい番組だけを厳選してみるという人も、テレビの電気代について考えたことはありますか?
テレビは画面の大きさや画素数、パネルの種類や省エネ機能などによって、それぞれに電気代が違います。だからこそ、自分のライフスタイルにあったタイプのテレビで電気代もおトクにできたら、気持ちにも余裕が生まれておうち時間ももっと充実するはず。
そこで今回は、テレビの電気代について考えるときに役立つ情報をご紹介します。
特に、夏のボーナスでテレビの買い替えを考えているなら、販売店で迫力ある画面に惹かれてつい大きいサイズを買ってしまう前に、ぜひチェックしてみてください。
まず、自宅のテレビの電気代を計算で出してみましょう。
朝起きたときや帰宅時などに習慣でテレビをつけてしまう人と、ほとんどテレビを見ない人では大きな差が出るので、ここでは年間の電気代をみていきます。
テレビは基本的に、サイズが大きくなるほど電気代も高くなります。
以下に、資源エネルギー庁の「省エネ性能一覧」からサイズ別に年間の電気代の目安をピックアップしたデータをまとめてみました。
年間消費電力量(kWh:キロワットアワー/年)というのは、一般家庭の1日1台あたりの平均視聴時間5.1時間を基準として、1年間使用した場合の電力量のことです。
年間の目安となる電気代は、この年間消費電力量に、1kWhあたりの電気料金である「電気料金単価」をかけて割り出しています。
電気料金単価は27円/kWhとして計算していますが、こちらは全国家庭電気製品公正取引協議会による「新電力料金目安単価」です。
サイズ | 解像度 | 年間消費電力量 (kWh/年) |
年間目安 電気料金 |
---|---|---|---|
30インチ未満 | 2K未満 | 42 | 1,140円 |
30インチ以上 | 2K未満 | 68 | 1,832円 |
50インチ未満 | 4K | 139 | 3,745円 |
50インチ以上 | 4K | 205 | 5,537円 |
60インチ以上 | 8K | 457 | 12,329円 |
30インチより50インチと、サイズが大きくなるにつれて電気代が上がるのは分かるとして、2Kや4Kなど解像度の違いで大きな差が生まれるのはなぜでしょうか。
解像度の差というのは、画素数の差のことです。
「画素」はテレビなどのディスプレイ画面を構成する最小単位で、画素数は画像の中にある画素の数のこと。例えば印刷物を拡大してみると、インキの色が点になって並んでいるのが分かると思いますが、画素というのはこの点のようなものです。
画素数は、「水平方向の画素数×垂直方向の画素数」で表記されます。
2Kなら「1920画素×1080画素」で約207万画素、4Kでは「3840画素×2160画素」で約829万画素、8Kになると「7680画素×4320画素」で約3300万画素ということになります。
画素数が多いほど出力のための電力が必要となり、その分電気代も上がるというわけです。
画面サイズが同じならば、画素数が多いほど解像度(画素の密度)が高くなり、画素の数は2Kに比べて4Kは約4倍、8Kでは約16倍ということになります。
解像度が高くなると緻密な映像が再現できるようになり、映像が本来持っている明るさや色、コントラストなどが表現できるので、より臨場感が高まるのです。さらに、色の領域が広がって表現できる色の数が増えたことで、自然で鮮やかな色彩を作ることができるようになりました。
画素数が上がれば電気代も高くなるけれど、映像表現は格段に高まるのです。
テレビは映像を映し出すディスプレイの種類によっても、電気代に差が出ます。ここでは、液晶・有機ELの2つのタイプについてご紹介しましょう。
液晶パネルではカラーフィルターの後ろからバックライトで光を当てて映像を映しますが、ライトを当てるために黒色をしっかり表現するのがやや苦手です。とは言え、消費電力量が低いために電気代も安く、寿命が長いので買い替えの回数も抑えられるメリットがあります。こうしたコストパフォーマンスの面からも、現在はこのタイプのテレビが主流です。
有機ELは、有機物に電圧をかけて発光させる自発光方式の表示装置を使っています。液晶パネルのようにバックライトがいらないので、薄くて軽いディスプレイが実現可能です。深みのある黒色も表現できるため、クリアで美しい映像も楽しめます。ただ、消費電力量が多くなって電気代も高くなる傾向があり、本体の価格も高めです。
現在では液晶テレビが主流ですが、有機ELテレビは薄さを活かした新製品がどんどん開発されています。これからの製品なので、開発が進むにつれてコストの問題もいずれ解消されるかもしれません。今、映像美を優先して考えたいという人にはおすすめですが、さらなる進化にも期待したいところです。
テレビの電気代は、製造された時代や機能によっても違います。
最近のテレビは省エネ機能を搭載したものなどが増えて、消費電力量が低く抑えられるなどの省エネ化が年々進んでいるのです。もし、10年前に購入したテレビなら、省エネ機能を搭載した新しいものに買い替えることで電気代も安くなります。
ここでは、買い替えによって実現できる節約のポイントについてご紹介しましょう。
例えば液晶テレビの場合、2010年と2020年の製品でそれぞれの年間消費電力量(kWh/年)を比較してみます。
2010年 | 2020年 | |
---|---|---|
32V型液晶テレビ | 81kWh/年 | 56kWh/年 |
40V型液晶テレビ | 144kWh/年 | 83kWh/年 |
こうして並べてみると、10年の間に消費電力量はかなり低くなったことが分かります。
32V型液晶テレビでは約31%の省エネとなり、年間電気代は約680円もおトクに。さらに40V型液晶テレビでは、約42%も省エネできて年間電気代では約1,650円もおトクになるのです。
省エネ性能が向上したことで、消費電力量が減って電気代も安くなるなら、古いテレビを使い続けるよりはメリットが多いと言えます。
テレビを選ぶときに、どのくらいの省エネ機能があるのかを見極めるためには、いくつかのポイントがあります。
まず、省エネ性能を確認するのに役立つのは、「統一省エネラベル」です。こちらは、「省エネ法(エネルギーの使用の合理化等に関する法律)」で定められた省エネのための目標基準(トップランナー基準)を達成しているかどうかについて、数値などをラベルで表示するものです。
ラベルは、製品本体やカタログなど分かりやすいところに表示されているので、以下の2つのポイントについてチェックしてみましょう。
1年間に使用する電力量で、基本的に画面サイズが大きくなるほど、また、複数の機能を備えるほど数値は大きくなります。
画面サイズや機能が同じであれば、省エネ基準達成率が高いほど省エネ性に優れていると言えます。
ラベルで確認する以外にも、チェックすべきポイントはあります。
最新のテレビはリモコンでオフにした状態の消費電力も削減されており、近年では待機時消費電力がほぼ0W という製品も出てきています。
・明るさセンサー:部屋の明るさに応じて画面の明るさを自動的に調整する機能で、この機能があればムダな電力の消費を抑えることができます。
・無操作自動オフ、無信号自動オフ:一定時間に信号がないときや操作を行わない場合、自動的に電源をオフにする機能です。
これらのポイントを確認して納得のいく数値が得られたら、テレビが省エネ家電として電気代節約の味方になってくれるはずです。
実際にテレビを選ぶときには、省エネ機能ももちろん大事ですが、ライフスタイルにあった製品であることも重要です。
テレビを設置する部屋の大きさにあわせて画面のサイズを選択するなら、視聴距離を画面の高さの3~4倍程度は取るようにしましょう。画面の高さが60cmであれば、180~240cmは離れて視聴できる広さが必要ということになります。
映画やネット動画、スポーツ観戦などを大画面で鑑賞したいなら映像表現の美しい4Kテレビを選んだり、たくさん録画したいなら録画機能の充実した機種を選ぶなど、自分らしいテレビの楽しみ方ができることもポイントの一つです。
年間の電力消費量や電気代といったコスト面とあわせて、画素数や機能などにも注目しながら、満足度の高いテレビを選んでください。
省エネ機能の高い製品にすることで節約になると言っても、すぐに買い替える予定がない場合もあります。
そこで、テレビの使い方を工夫して電気代が節約できる方法を集めてみました。できることから、日々の生活の中に取り入れてみてはいかがでしょうか。
テレビでゲームをした後にテレビの画面が暗くなると、テレビの電源が入ったままであることに気付かない場合もあります。ゲームを終えたら、テレビの電源も切ることを忘れずに。 また、旅行などで長期間にわたって家を空けるようなときは、プラグを抜いて出かけましょう。ただし、録画機能内蔵タイプの場合は、本体の電源が入っていないと録画ができない機種もあるので注意してください。
画面にホコリがたまるとうっすらとベールが掛かったようになり、暗く見えるようになってしまいます。テレビ画面は静電気によってホコリを寄せてしまうため、汚れやすいのです。週に1度は乾いた柔らかい布で掃除しましょう。できれば、表面に傷がつかないような専用クロスが理想です。 画面が明るくなれば、明るさを上げて調節する必要はありません。
テレビ画面は部屋の明るさにあわせて輝度を適切に調整しましょう。メーカーやテレビの機種によって多少の違いはありますが、リモコンのメニューから「映像調整」を選ぶなどして、輝度の段階は変えることができます。明るさセンサーの付いている機種では、センサーをオンにすると部屋の明るさにあった適切な画面が自動で設定されるので、活用してください。
32V型の液晶テレビの場合、画面の輝度を最大から中間にすると年間で27.10kWh の省エネとなり、約730円の節約になったというデータもあります。画面が明るすぎるとその分の電力がかかることもありますが、刺激によって目への負担も増えるので、輝度を下げて目にもやさしい明るさにしたいものです。
迫力のある映像を体感したいからと言って、必要以上に音を大きくするのは電力のムダ使いです。生活騒音を出さないためにも、適切な音量で楽しみましょう。
明るさセンサーなどの省エネモードを活用することで、消費電力量が抑えられ、電気代の節約につながります。このほかにも、放送終了などで一定期間に信号が送られないと自動的に電源がオフになる「無信号自動オフ」機能や、 一定期間に操作が行われないと電源がオフになる「無操作自動オフ」などの活用が効果的です。
テレビはもともと消費電力量の多い家電製品ではありませんが、季節や時間帯を問わずに利用するため、年間を通して電気代がかかります。また、テレビが複数台ある家も珍しくありませんし、テレビ画面を使ってゲームやネット動画を楽しむという人も増えています。
ライフスタイルが多様化し、テレビ本体もさまざまな機能を搭載するようになって進化を続けている現在。自分の趣味や生活リズムにあったテレビを選んで、さらに消費電力量を減らして電気代も節約できれば、省エネにもなります。
在宅時間が増えても、テレビと上手に付き合って、賢くおトクに好きな番組を楽しんでください。