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公開日:2022年5月25日
更新日:2024年6月28日

上手に活用して夏の電気代を節約!扇風機の使い方のコツ

上手に活用して夏の電気代を節約!扇風機の使い方のコツ
上手に活用して夏の電気代を節約!扇風機の使い方のコツ

夏になると冷房の使用が増え、電気代が高くなりがちです。特に2020年以降は自宅で過ごす時間が長くなり、夏季の電力消費が増加したというデータもあります。今年も昨年に引き続き猛暑が予想されており、電気代が心配という方も多いのではないでしょうか。

そんな中、エアコンよりも電気代が安い扇風機が頼りになります。扇風機は1894年(明治27年)に国産第1号が発売されて以来、長い間日本の夏の涼を支えてきました。しかし、近年の地球温暖化による気温の上昇で、扇風機だけでは対処できない酷暑が続いています。

では、どのように扇風機を活用すればよいのでしょうか。今回は本格的な夏を前に、電気代の安い扇風機を上手に利用して、暑い日をおトクかつ快適に過ごす方法をご紹介します。猛暑を賢く乗り切る準備を、今のうちから始めませんか。

扇風機の「涼」をレベルアップ! 効率の良い使い方

扇風機の「涼」をレベルアップ! 効率の良い使い方
扇風機の「涼」をレベルアップ! 効率の良い使い方

まずは扇風機の涼を最大化するための使い方のコツをご紹介しましょう。かんたんに実践できるものを集めていますので、この夏から試してみてはいかがでしょうか。

扇風機の配置場所を工夫して、効率よく換気を

湿度が高いときは羽を外に向ける※1

まずは扇風機の置き場所について。暑いときはとにかく扇風機の正面に陣取って風にあたる方もいると思いますが、湿度が高く部屋の中が蒸している場合は、扇風機を窓のほうに向けて回すと室内の熱気がすばやく換気できます。いったん室内の熱気を逃がしてからエアコンの冷房運転をすると、効率よく部屋を冷やすことが可能です。

涼しい時間は窓を背にして外気を取り込む※1

暑い時期でも、朝晩は室内より外気温のほうが低くなることもあります。そのときは窓を背にして扇風機を回せば、外の涼しい空気を取り入れられます。朝の清々しい外気を感じられたら、気持ちもリフレッシュできそうですね。

  • ※1
    ただし、室内の熱気を外に逃がすときも、外から涼しい風を入れるときも、窓など2ヵ所以上の開口部がなければ扇風機を使っても空気は入れ替わりません。空気の通り道を作って、上手に入れ替えを行ってください。

扇風機の風をさらに涼しくする工夫

氷を入れた容器を扇風機の前に置く

扇風機の前に氷を入れた容器を置いてみましょう。氷の水分が蒸発するときに周囲の熱を奪う気化熱によって、温度が低くなる効果が期待できます。また、凍らせたペットボトル(氷水など)を扇風機の前に置いたり、扇風機の後ろに濡れたタオルを干したりするのも、同様の原理で風が涼しく感じられます。

扇風機用保冷剤を取り付ける

扇風機に保冷剤を取り付けるのも、効果的な方法です。扇風機の上部や前面などにかんたんにセットできる「扇風機用保冷剤」を使ったり、扇風機の上に保冷剤を乗せたりすれば冷たい風を取り入れる効果があります。冷凍庫でしっかり冷やした保冷剤を使えば、室内の空気も下がるでしょう。

扇風機を使ってより快適に涼をとる方法をご紹介しましたが、近年は夏の暑さを扇風機だけで乗り切るのが難しくなっています。

昼間の最高気温が30℃以上となる日は、30年前に比べて2倍に増えているというデータもあり、熱中症などの危険も高まりました。扇風機の特性を生かして上手に使いながら、無理せずエアコンなどを併用して快適に過ごしてください。

熱帯夜対策にも!扇風機と併用したいアイテム

そのほかにも、扇風機と併用して涼をプラスできるアイテムはあります。夜間の最低気温が25℃以上になる熱帯夜など、寝苦しいときにお好みの方法を試してみてはいかがでしょうか。

首筋を冷やす氷枕

熱を下げる目的で使われる氷枕は、夏の夜も活躍します。氷枕を首筋にあたるようにすると、体感温度を下げる効果があるのです。氷枕はタオルにくるんで使えば、冷えすぎず、肌触りも快適になります。

寝ござやジェルマットでひんやり

い草のひんやりとした感触が心地よい寝ござも、おすすめのアイテムです。このほかに麻や竹で作られたものや、特殊加工の化学繊維を使ったシーツ、冷却ジェルの入ったマットレスなども熱帯夜対策になります。自分に合った寝具を導入して、快眠できるようにしましょう。

接触冷感素材のタオルケット

触ると冷たく感じられる接触冷感素材を使ったタオルケットなら、寝返りを打つたびにほどよいひんやり感が体感できます。肌触りがよいため、熱帯夜でも快適な睡眠環境を提供してくれるでしょう。

爽やかなミントの香り・ハッカ油

ミントの葉を乾燥させて精製したハッカ油は、爽やかな香りで清涼感を感じられるアイテムです。原液をコットンやティッシュに含ませて扇風機に付けたり、体にスプレーして扇風機の風にあてたりすると涼しさを感じられます。また、ハッカ油は虫除けの効果もあるので、蚊の侵入を防げるでしょう。

いずれの場合も、扇風機は体に直接当てると冷えすぎて風邪をひく可能性もあるので、注意が必要です。

体が冷えやすい方は、壁に向かって扇風機の風を送りましょう。壁にあたると、部屋全体に風が行き渡る効果もあります。体に向かって風をあてたいという場合は、2m以上離して弱風に設定してください。首振り機能で部屋全体に風を回すようにして、タイマーで長時間の使用を避けましょう。

エアコンと扇風機を併用するときは、冷たい風の流れを意識する

エアコンと扇風機を併用するときは、冷たい風の流れを意識する
エアコンと扇風機を併用するときは、冷たい風の流れを意識する

真夏の日中などは、エアコンと扇風機を併用する機会が増えますが、エアコンと併用するときのポイントについてご紹介しましょう。

エアコンだけでは部屋の床部分に冷たい空気がたまります。冷気をムラなく循環させるためにも、扇風機やサーキュレーターを併用するのは効果的です。

エアコンの風向きを水平方向にして、扇風機をエアコンのほうに向けて風を送ると、部屋全体が穏やかに冷えます。

一般的なエアコンは消費電力が750~1100W(10~15畳サイズ)ですが、一般的な扇風機はDCモーターで10W~22W程度、ACモーターで20W~44W程度です。ACモーターの扇風機を1時間使用しても電気代は約0.62円~1.364円ですが、エアコンはそれ以上の電気代がかかります。

例えばエアコンを使う時間を1日1時間だけでも短縮すると、年間で約580円の節約になるという経済産業省資源エネルギー庁のデータがあります。扇風機を上手に活用してエアコンの使用時間を抑えられれば、経済的で省エネになるのです。

また、エアコンの設定温度を見直すことも節電につながります。外気温度31℃で、エアコン(2.2kW)の冷房設定温度を27℃から1℃上げると(使用時間は9時間/日)、年間で約30kWhの電力を削減でき、約940円の節約になります。

扇風機で冷たい空気を室内のすみずみまで送れば、体感温度は2~3℃下がると言われています。エアコンの設定温度を上げても涼しさは維持したまま、電気代を安く抑えられます。

モーターの種類で違う、扇風機の電気代

モーターの種類で違う、扇風機の電気代
モーターの種類で違う、扇風機の電気代

扇風機には、丸いリビング扇が付いたポピュラーな据え置き型をはじめ、スリムファンなどとも呼ばれる縦に長いタワー型のもの、壁掛けタイプなど様々な種類がありますが、モーターの種類によって電気代が違うことはご存じでしょうか。

扇風機に使われているモーターは「ACモーター」と「DCモーター」の2種類で、従来から使用されてきたタイプの「ACモーター」に対して、2012年(平成24年)に登場した新しいタイプの「DCモーター」があります。それぞれの特長についてみていきましょう。

リーズナブルさが魅力のACモーター扇風機

ACモーターは、コンセントの交流電源をそのまま使用する交流(Alternate Current:オルタネート・カレント)タイプのもので、一般的な家電製品はほとんどがこの形です。DCモーターの扇風機が登場するまでは、扇風機と言えばACモーターでした。今回はDCモーターと比較しながら、その特長をみてみましょう。

シンプルな風量調節で分かりやすい

細かい風量調節ができるDCモーターの扇風機に比べると、ACモーターは「強・中・弱」などの大まかな設定が多く、最大でも5段階程度です。ただし、シンプルなほうが分かりやすくて使い勝手がいい、という場合もあるのでライフスタイルに合わせて選んでください。

本体価格がリーズナブル

DCモーターの扇風機と比較すると、本体価格は安くなっています。お風呂あがりや料理中などピンポイントで強い風が欲しいときや、2台目・3台目の扇風機として選ぶならACモーター扇風機がおすすめです。消費電力は20W~44W(ワット)程度と、DCモーターの製品(10W~22W程度)と比較すると消費電力は大きいですが、それでも1時間当たりの電気代は0.62円~1.364円程度です。

細かい風量設定が可能なDCモーター扇風機

DCモーターは、発電所から家庭に送られてくるコンセントの交流電源を直流(Direct Current:ダイレクト カレント)に変換して使用するタイプです。身近な例では、乾電池やバッテリーなどが直流電源にあたります。 このタイプの扇風機にはどんな特長があるのでしょうか。

好みに合わせた風量調節が可能

直流の場合は電圧が常に一定で一方向にしか電気が流れないため、安定して扇風機の羽根を回転させることができる特長があります。回転が制御しやすいので、風量調節も「微風」や「弱風」といった細かい段階設定のできるものが多いのです。「長い時間、扇風機の風にあたると体の冷えが心配」という方には、ごく弱い風が選べることで安心して使えるでしょう。

初期投資をすれば省エネで電気代も安く

DCモーターは従来のタイプに比べるとより繊細な制御が可能な分、本体価格は比較的高めです。しかし、消費電力はACモーター扇風機の約1/2のため、電気代が安いというメリットがあります。

比べてみたら:ACモーター VS DCモーター

以下は、これまでご紹介した内容を踏まえて、ACモーター扇風機とDCモーター扇風機を比較した一覧表です。本体価格は、各メーカーから販売されている羽根径約30センチの扇風機をもとにした参考価格です。

  ACモーター扇風機 DCモーター扇風機
電圧タイプ 交流 直流
風量調節 強・中・弱と3段階程度が多い 細かい風量の調整が可能
消費電力 20W~44W程度 10W~22W程度
1時間あたりの
電気代
0.62円~1.364円程度 0.31円~0.682円程度
本体価格 約4,500円~約14,000円 約6,000円~約20,000円
  • 消費電力は、各メーカーから販売されている羽根径約30センチの扇風機を参考にしています。
  • 電気代は、「1時間あたりの消費電力(kW:キロワット)×使用時間×料金単価(円/kWh:キロワットアワー)」の計算式を適用(下図参照)。
    例:消費電力20Wの扇風機を1時間使用した場合 0.02kW×1×31円/kWh=0.62円
  • 電気代単価は、公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会の新電力料金目安単価の31円/kWhで算出。
1時間あたりの
消費電力(kW)
100W = 0,1kW
×
使用時間
(時間)
1時間
×
1kWhあたりの
電気料金単価(円)
31円
1時間あたりの
電気代
約3.1円

「電気代の安さを重視する」「静かな微風で長時間使いたい」という方には、DCモーターの扇風機がおすすめです。「本体価格の安さを重視する」「昔ながらの大風量の扇風機が好き」という方は、ACモーターの扇風機がよいでしょう。

価格や必要な機能などを総合的に鑑みて、自分に合っている扇風機の購入を検討してみてください。

扇風機とサーキュレーターはどう違う?

扇風機と同じく風を送る家電製品としてサーキュレーターが挙げられますが、この二つは用途が異なります。

扇風機は、暑いときに体の表面温度を下げて涼むために使うものです。一方で、サーキュレーターは室内の空気を循環させるために使う機器なので、エアコンが冷房運転時でも暖房運転時でも使用できます。

送風の方法も扇風機が大き目のファンを使って広い範囲に風を送るのに対して、サーキュレーターは必要な場所へ直線的に風を送ります。 エアコンと併用することが多いサーキュレーターですが、エアコンの暖房運転時は天井にたまった暖かい空気を部屋の下までおろすために、天井に向けられるように角度調整ができる点が特長です。

まとめ

日本の夏の風物詩とも言える扇風機。現在では、きめ細かい風量調節や省エネ仕様などで性能も進化してきました。しかし、以前と比べて暑さが厳しくなったため、扇風機だけでは涼をとるのが難しくなったのも事実です。

熱中症対策を万全に行ったうえで、エアコンとも上手に付き合いながら扇風機を使いましょう。扇風機を適切に活用すれば、電気代をぐっと抑えつつ夏を快適に過ごせます。