公開日:2023年12月15日
更新日:2024年12月13日
電気代が高騰している昨今において、家計への影響を軽減するには暖房器具を賢く使用する必要があります。効率的に暖房し、消費電力を抑えつつ快適に冬を過ごしましょう。
電気毛布は消費電力が少なく本体価格も手頃で、比較的コストパフォーマンスのよい暖房器具のひとつです。一人用の暖房器具として重宝する場面もあるでしょう。
今回は、電気毛布にかかる電気代や効率的な使い方をはじめ、電気毛布の種類や機能などを解説します。具体的に活躍する場面も紹介するので、参考にしてみてください。
電気毛布は電気代を安く抑えられる暖房器具ですが、掛け・敷きなど使用するタイプや電気毛布のサイズ、そして温度設定などによって消費電力が変わります。
それぞれのタイプによってどのくらいの電気代がかかるのか、ほかの暖房器具と比べてどのくらい安いのか、具体的に見ていきましょう。
以下の表は、一般に発売されている複数の製品をピックアップして、本体の平均的な価格帯や1時間あたりの電気代などをタイプごとにまとめたものです。
電気代は「消費電力(W)÷1,000×使用した時間(h)×料金単価(円/kWh)」で計算できます。例えば消費電力が100Wであれば、1kW = 1,000WですからkWに換算して0.1kW、電気料金単価を31円とすると、1時間当たり約3.1円になります。
種類 | サイズ | 本体価格 | 消費電力 | 電気代(1時間) |
---|---|---|---|---|
掛け毛布 | 約130×188cm | 約5,000~10,000円 | 約10~80W | 約0.3~2.48円 |
敷き毛布 | 約80×140cm | 約2,000~20,000円 | 約40~80W | 約1.24~2.48円 |
掛け敷き兼用 | 約130×190cm | 約4,000~25,000円 | 約50~100W | 約1.5~3.1円 |
なお、温度設定や製品のサイズなどによって消費電力に幅があるため、上表はあくまでも目安です。
次にほかの暖房器具と電気代を比較してみましょう。例えば以下の表は、一般的な暖房器具の消費電力(W)と電気代(1時間)の目安です。
暖房器具 | 消費電力の目安 | 電気代の目安 (1時間) |
1日あたりの電気代の目安 (8時間想定) |
---|---|---|---|
電気毛布 | 約40~100W | 約1~3.1円 | 約8~24.8円 |
ホットカーペット(2畳用) | 約215~330W | 約7~10円 | 約56~80円 |
こたつ | 約300~600W | 約9~19円 | 約72~152円 |
セラミックファンヒーター | 約600~1,250W | 約20~39円 | 約160~312円 |
電気ストーブ (ハロゲンヒーター) |
約180~1,000W | 約6~31円 | 約48~248円 |
オイルヒーター | 約500~1,200W | 約16~37円 | 約128~296円 |
エアコン(暖房) | 約100~1,100W (立ち上がり時2,000W) |
約3~34円 (立ち上がり時約62円※) |
約24~272円 |
電気毛布を高温(100W)で8時間使用したと想定しても、3.1円×8時間=24.8円程度です。
同じく局所的に暖める用途で使用するホットカーペットは約80円、こたつは約152円です。電気毛布は電気代が安く、家計にとってやさしい暖房器具といえるでしょう。
電気毛布はもともと電気代が安い暖房器具ですが、さらに電気代を節約できる使い方があります。
冬場は暖房に関する電気代が高くなりやすいので、家計への負担を軽減するためにも節約しながら使用する方法を知っておきましょう。
電気毛布は運転音が発生しないため、スイッチを切り忘れてしまう事態が考えられます。使っていないのにもかかわらずつけっぱなしにすると、不要な電力消費を生じさせてしまいます。
電気代の節約だけでなく、火災を防ぐためにもスイッチの切り忘れには注意が必要です。
運転時間を抑えるために有用なのが、タイマー機能です。例えば、就寝時にオフタイマーを設定しておけば、運転時間が最適化されて余計な電力消費を抑えられます。
なお、タイマー機能を有効活用すると、電気代の節約以外にも低温やけどや脱水症状を防げるメリットも期待できます。安全・健康面においてもタイマー機能は効果的です。
設定温度が「弱」と「強」では消費電力が異なるため、必要に応じて設定温度を調整しましょう。
例えば、暖めはじめは「強」で運転し、十分に暖を取れたら「中」または「弱」にすれば消費電力を抑えられます。その結果、快適に暖を取りつつも電気代を節約できるでしょう。
電気毛布は、サイズが大きいほど多くの電力を消費します。使用する人数や場面を想定して、適切なサイズを選べば電気毛布にかかる電気代を最適化できるでしょう。
必要以上に大きなサイズの製品を選ぶと、余計な電力を消費し、結果的に不要な電気代がかかってしまいます。また、大きいと重量が増えて持ち運ぶ際の負担が重くなるため、適切なサイズの製品を選択しましょう。
電気毛布の電気代や節約方法について分かったところで、今度は暖房器具として電気毛布を使うメリットとデメリットを見ていきます。
電気毛布は、ほかの暖房器具よりも電気代が安い傾向にあります。エアコンのように部屋全体を暖める機能はないものの、有効活用すれば家計の負担を抑えられるでしょう。
例えば、部屋全体を暖める必要がない場合や短時間だけ暖まりたい場合は、エアコンやオイルヒーターではなく電気毛布が向いています。
使用する場面に応じて電気毛布を活用すれば、電気代を抑えつつ快適に暖を取れるでしょう。
電気毛布の本体価格は、安い製品では2,000円前後から購入できます。導入にあたっての初期コストを考えると、心理的にも購入しやすいのではないでしょうか。
なお、本体価格は付帯している機能やサイズなどによって異なります。各家庭に合った製品を購入すれば、コストパフォーマンスよく冬を過ごせるでしょう。
毛布の部分は布地や柄のラインナップも豊富なので、選ぶ楽しさがあります。また、毛布だけでなくひざ掛けタイプ・肩掛けタイプなどサイズもさまざまです。
手頃な価格なので、自宅で使うだけでなくギフトやプレゼントとしても気軽に購入できます。
電気毛布の多くは重量が約1kg程度と軽く、持ち運びやすいメリットがあります。羽織ったりひざ掛けにしたりできるタイプもあり、コードレスの製品は屋内だけでなく、車中やキャンプでも活躍するでしょう。
電気毛布は室内の温度を上げることができないため、電気毛布から出ている部分は冷えてしまいます。部屋全体を快適な温度にしたい場合は、エアコンやオイルヒーターなどを併用するとよいでしょう。
脳と体を休めるために、人は体温を下げながら眠りにつきます。しかし、電気毛布で温め続けると体温をうまく調節できません。
体温の調整がうまくできないと、体温を下げようとして大量の汗をかいたり、眠りが浅くなったりして、起床時に疲れが残る可能性があります。
暖かく感じる程度の温度でも、体の同じ部分をずっと温め続けると低温やけどのリスクが高まります。
特に高齢者の方は皮膚が薄く、運動機能や感覚機能が低下しているため、重症化することがあります。低温やけどを防ぐには、寝るときに電源を切るか、タイマー機能を使って自動でスイッチが切れるように設定しましょう。
電気毛布は使いやすくてリーズナブルな暖房器具ですが、実際に活用するためには押さえておきたいチェックポイントがいくつかあります。
そこで、選び方や管理の方法、注意点などについてまとめてみました。
電気毛布はほかの暖房器具に比べると本体価格を安く抑えられますが、安さだけで購入すべきではありません。質の悪い製品だと、すぐに故障してしまったり、電熱線がすぐに折れて燃えたりする危険性があります。
そこで、安全性について確認しておきたいポイントをいくつかご紹介します。
電気製品の安全を守る「電気用品安全法」の基準に達したことを示す「PSEマーク」や、防災安全協会が災害時でも安全に使えると認定した「推奨品マーク」などの表示があるかどうか、確認しておきましょう。
PSEマーク | 電気用品安全法に基づき、電気製品や材料が安全基準を満たしていることを示す認証マーク |
---|---|
推奨品マーク | 災害時に役立つ防災製品に対して推奨する認証マーク |
電気毛布は、屋内だけでなく屋外でも使える便利な暖房器具です。場所を問わず安全に使うためにも、安全性が認められたマークの有無を確認しましょう。
電気毛布のさまざまな機能は、安全のためにも役立ちます。
過熱防止機能 | 電気毛布が熱くなりすぎるのを防ぎ、火災のリスクを軽減する |
---|---|
コントロール機能 | 温度調節ができる機能によって、温めすぎを防ぐ |
タイマー機能 | 必要以上に温めることがなく、スイッチの切り忘れ対策になる |
室温センサー | 室温を検知して自動で設定温度を下げる |
安全に配慮した機能が搭載されていれば、火災や低温やけどが発生するリスクを軽減できるでしょう。
暖房器具として電気毛布を使い続けるためには、定期的なメンテナンスが必要です。メンテナンスで知っておきたいポイントを解説します。
電気毛布を清潔に使いたいなら、洗濯ができるかどうかは大きな問題です。最近の電気毛布はコントローラーを外して洗濯機でも洗える製品が増えていますが、洗えない製品もあります。
清潔さを維持するためにも、洗濯に対応しているかどうかは確認しておきましょう。
電気毛布に保証がついているかどうか、保証期間はいつまでかは確認すべきポイントのひとつです。故障の際には修理や交換ができるか、アフターサービスはどこまで対応してくれるかなど、あらかじめ知っておけば故障したときでも冷静に対処できるでしょう。
シーズン家電の電気毛布は使わない期間が長いため、保管にも注意が必要です。カビを寄せ付けないためにも、保管場所の湿気には気を配りましょう。密閉性の高い布団袋などに入れて収納すれば、虫やホコリの侵入を防げます。
安全性やメンテナンスの確認のほかに、電気毛布を活用する上で気を付けたい点をいくつかピックアップしました。
必要以上に大きいサイズの製品を使用すると、不要な部分まで温めることになります。その結果、無駄な電気代を発生させてしまいます。
合理的に電気毛布を使用するためにも、適切なサイズの製品を選びましょう。
自治体によって電気毛布を捨てる際の分別方法は異なります。「燃えないゴミ」に分類される自治体もあれば、サイズ次第で「粗大ゴミ」として処分する自治体もあるため、処分時にはきちんと確認しましょう。
電気毛布はさまざまな場面で活用でき、機能も多岐にわたっています。素材の違い、掛けたり敷いたりする使い方の違い、さらには機能の有無もさまざまです。
以下、それぞれの違いとともに特長について見ていきましょう。
体に直接ふれる毛布の繊維には、大きく分けて化学繊維と天然繊維の2種類があります。
素材 | メリット | デメリット |
---|---|---|
ポリエステル、アクリルなどの化学繊維 | ・価格が安い ・伸びにくく丈夫 ・保温性に優れている |
・汗を吸収しにくく蒸れやすい ・静電気が起きやすい |
フランネル、コットンなどの天然繊維 | ・表面がなめらかで吸湿性が高い ・肌触りがよい |
・価格が高い ・洗濯するとシワになったり縮んでしまったりする |
化学繊維は、価格が安くて丈夫である点が特徴です。また、保温性に優れているため、冷え性の方と好相性といえるでしょう。
天然繊維は表面がなめらかで肌触りがよいメリットがあります。ただし、化学繊維に比べると割高で、洗濯するとシワになったり縮んでしまったりする点に注意が必要です。
電気毛布の使用方法を分類すると、掛けて使うタイプと敷いて使うタイプ、どちらも兼用できるタイプの3種類があります。
タイプ | 特徴 |
---|---|
掛けるタイプ | ・就寝時だけでなく、ひざ掛けや肩掛けとして利用できる ・「着る毛布」として体を覆って室内を移動できるタイプもある |
敷くタイプ | ・効率よく体を温めて快眠に役立つ ・体の下に敷くことで暖気が全身を包み込んでくれる |
兼用タイプ | ・ひざ掛けとして使いつつ寝るときは敷いて使える ・オフシーズンでも1枚分の収納で済む |
掛けるタイプは就寝時に布団として掛けたり、ひざ掛けや肩掛けとして利用したりするケースが一般的です。最近では「着る毛布」として体をすっぽり覆って室内を移動できるタイプも登場しており、サイズや形のバリエーションが豊富です。
敷くタイプの電気毛布は主に就寝のタイミングで使用し、効率よく体を温めて快眠する際に役立ちます。熱を逃がさないことで、寒さが厳しい時期でも睡眠の質を高められるでしょう。
兼用タイプは、掛けるタイプと敷くタイプのよい面を取り入れられます。普段はひざ掛けとしても使え、寝るときは敷いて活用できるため、オフシーズンでも1枚分の収納で済みます。
電気毛布は、毛布の中にある電熱線に電気を通して発熱させる仕組みですが、現在では温める以外にも多様な機能を備えた製品が揃っています。
毛布の中のダニを死滅させる「ダニ駆除モード」が搭載されている電気毛布なら、手間をかけず定期的に駆除ができます。しかし、特にこの機能がなくても温度を50℃以上に設定できるものであれば、ダニ退治は可能です。
設定時間に電源を切ることができるオフタイマー機能があれば、スイッチの切り忘れがなく安心です。また、朝の冷え込みなどに備えて自動で電源を入れるオンタイマー機能も便利です。無駄な電力消費も防げるので、電気代の節約にも役立ちます。
多くの電気毛布には温度調節機能が付いています。中には、室温が下がると自動的に設定温度を上げる室温センサーが搭載されている電気毛布もあります。自動で温度調整ができれば温めすぎを防ぎ、電気代を抑える効果が期待できるでしょう。
電気毛布にはコンセント型と、充電式のコードレスタイプがあります。モバイルバッテリーから電気を送れるUSB充電式の電気毛布なら、車中や屋外でも使用可能です。
電気毛布には、洗濯できる製品とできない製品があります。洗濯可能な製品は、コントローラーを外した状態で洗濯ネットに入れれば洗濯機でも洗えます。冬場でも寝汗はかくため、衛生面を考えると洗濯できる製品がおすすめです。
電気毛布は本体価格がリーズナブルで、消費電力が低く電気代も抑えられるメリットがあります。場面に応じて有効活用すれば、快適に暖を取りながら冬場における生活の質を向上できるでしょう。
電気代を抑えて節電しながら、体の温かさをしっかりキープできる電気毛布。掛けたり敷いたりさまざまなタイプの製品があるため、ぜひ自分に合った電気毛布の活用を検討してみてください。