公開日:2022年3月11日
更新日:2025年1月17日
加湿器は部屋の乾燥防止に大きく貢献します。加湿器にはさまざまな種類があり、室内を加湿する早さや電気代が異なるため、ご家庭に合った製品を選択しましょう。
今回は、流行しているインフルエンザなどのウイルス対策や花粉対策にも役立つ加湿器について、どんな効果や種類があるのかを解説します。また、電気代を節約する方法もご紹介します。
これから加湿器を購入しようと考えている方も、買い替えを考えている方も、ぜひ参考にしてみてください。
加湿器は、冬場の乾燥対策だけでなく春や秋の花粉対策にも有効です。
とはいえ、ずっと稼働させていては電気代もかさんでしまいます。そこで、電気代を抑えながら上手に加湿する方法をご紹介します。
エアコンを運転しながら加湿器を使用する場合は、加湿した空気をエアコンの風が運んでくれる位置に設置しましょう。たとえば、エアコンの真下や吸入口の付近に置けば、エアコンの温風が加湿した空気を遠くまで運んでくれます。
ただし、エアコンの温風が直接当たる場所に置くと、加湿器の湿度センサーが誤作動を起こすことがあります。その結果、過剰な加湿が行われて消費電力が増え、電気代が高くなってしまう恐れがあるため注意しましょう。
また、窓際は外の冷たい空気の影響を受け、加湿器のセンサーが誤った判断をしてしまいがちです。窓の結露を防ぐためにも、窓際からは離して設置するとよいでしょう。
部屋の広さに合わせて適した加湿をすれば、電力消費を最適化でき、電気代の節約につながります。
加湿量が多すぎると電気代がかかるだけでなく、室内の湿度が上がりすぎてしまう可能性もあります。その結果、ダニ・カビの繁殖や結露の発生につながりかねません。
加湿器を別の部屋に移動させて使う際は、部屋の広さに対して適切な加湿量になっているかを確認するようにしましょう。
運転効率を高めるためにも、こまめに手入れをしましょう。加湿器の種類によって、重点的に手入れをする箇所は以下のように異なります。
加湿器のタイプ | 重点的に手入れが必要な箇所 |
---|---|
超音波式 | タンク内 |
気化式・ハイブリッド式 | フィルター |
スチーム式 | タンク内や吹き出し口 |
手入れを怠ると加湿能力が低下し、運転時に余計な電力を消費します。その結果、電気代が高くなってしまうでしょう。
また、タンク内に雑菌やカビが溜まると、室内に放出されて健康面で悪影響が出る恐れがあります。経済的にも健康的にも、こまめに手入れをすることは大切です。
加湿器の購入にあたって、製品には「適用床面積(畳数)」が表示されています。購入前に、使用する部屋の広さは必ず確認しておきましょう。
部屋の大きさよりも適用床面積(畳数)が小さい加湿器を選んでしまうと、加湿器が常にフル稼働の状態になり、消費電力が大きくなります。電気代を抑えるためには、部屋の床面積よりも少し広い適用畳数の加湿器を選ぶとよいでしょう。
運転時の電気代や機能面は、加湿器の種類によって異なります。「本体は安くても電気代がかかる」「電気代は安くてもフィルター交換の手間が発生する」といったタイプごとの特徴を把握しておきましょう。
フィルターの価格や交換時期の目安なども知っておくと計画的に購入でき、無駄なコストを軽減できます。
機能面では、自動で室温や湿度を調整できる「自動運転モード」や「省エネモード」がある加湿器を選ぶとよいでしょう。無駄のない加湿で消費電力を抑えられ、最適な湿度を維持できます。
加湿器を使う目的を明確にして、自分のライフスタイルに合った最適な製品を購入しましょう。
加湿方法によってさまざまなタイプがある加湿器は、それぞれ消費電力や電気代も違います。電気代の目安を確認するために、各メーカーから販売されている加湿器をピックアップして表にまとめました。
電気代は「消費電力(W)÷1,000×使用した時間(h)×料金単価(円/kWh)」で計算できます。例えば消費電力が100Wであれば、1kW = 1,000WですからkWに換算して0.1kW、電気料金単価を31円とすると、1時間当たり約3.1円になります。
加湿方式 | 加湿量 [mL/h] |
消費電力 [W] |
電気代の目安 [円/h] |
---|---|---|---|
気化式 | 150~800 | 4~19 | 0.1~0.6 |
スチーム(加熱)式 | 480 | 410 (立ち上げ時985) |
12.7 |
超音波式 | 28~350 | 21~45 | 0.9~1.4 |
ハイブリッド式 (温風+気化) |
370~570 | 12~170 | 0.4~5.3 |
ハイブリッド式 (スチーム+超音波) |
310~420 | 35~135 | 1.1~4.2 |
それぞれの製品を比較すると、特にスチーム(加熱)式の加湿器は消費電力が大きく、電気代が高くなる傾向にあることが分かります。ただし加熱することによって雑菌が繁殖しにくいといったメリットもあります。
次はこういった各加湿器の特徴について詳しく見ていきましょう。
気化式・スチーム(加熱)式・超音波式・ハイブリッド式の特徴やメリットは下表のとおりです。
加湿方式 | 特徴 |
---|---|
気化式 | ・水を含ませたフィルターにファンで風を当てて水蒸気を発生させる ・吹出口が熱くならず安全性が高い |
スチーム(加熱)式 | ・水をヒーターで加熱し沸騰させて水蒸気を発生させる ・加湿力に優れている ・水を沸騰させるため雑菌が繁殖しにくい |
超音波式 | ・超音波で水を振動させ、細かな霧状のミスト(微粒子)にして空気中に噴出する ・運転音が静か |
ハイブリッド式 (温風+気化) |
・水を含ませたフィルターにヒーターで温めた風を当てて水分を気化させる ・迅速に広範囲へ水分を届けられる |
ハイブリッド式 (スチーム+超音波) |
・超音波振動で水を霧状にし、その霧をヒーターで温めてから空気中へ放出する ・加熱されたミストにより、部屋全体を迅速かつ均一に加湿できる |
加湿器の種類ごとに、湿度を高められる早さや水分を届けられる範囲は異なります。
例えば、スチーム(加熱)式は加湿力に優れている一方で、ヒーターを使用するためほかの加湿器よりも電力消費が大きい傾向にあります。
スチーム(加熱)式と超音波式をハイブリッドにしたタイプは、短時間で効率的に加湿でき、さらに加熱プロセスを経ることで雑菌が繁殖しにくく衛生的なメリットがあります。
一年のうちでも1月から4月にかけては最小湿度が20%を下回る日もあります。それだけ乾燥する日が多いということですから、加湿器は長く活躍するといえるでしょう。
部屋を適度に加湿すると、健康面でメリットをもたらしてくれます。加湿するメリットや大切さについて、詳しく見ていきましょう。
加湿器の使用は、花粉症やウイルス対策に有効です。
花粉症は、花粉に対するアレルギー反応としてくしゃみや鼻水、目のかゆみなどの症状が起こるもの。
対策としては、花粉を吸い込んだり体に付着させたりしないことが効果的です。しかし、窓やドアの開閉や外出着を脱ぐタイミングで花粉を完全にシャットアウトするのは困難です。
侵入してきた花粉を飛散させないためには、室内を適度な湿度に保てる加湿器が役に立ちます。湿度が上がると花粉は水分を含んで重くなり、飛散しにくくなるのです。このように、室内で加湿器を使って花粉の飛散を抑えることは、花粉症対策に有効です。
雨の日は花粉症の症状が落ち着くという話を聞いたことがある人もいるでしょう。同じ理由で、水分を含んで重くなった花粉が地面に落ち、飛散しなくなるため症状が和らぐのです。
室内で加湿器を使うと、のどや鼻の粘膜の機能を高める効果が得られます。
のどや鼻など呼吸器の粘膜には、花粉やウイルスといった異物の侵入を防ぐためのバリア機能があります。異物を感知すると繊毛(せんもう:細胞の表面にある短い毛)が粘液とともに、異物を排除しようとするのです。
その結果、異物は痰となって体外へ排出されたり、胃の中に流れ込んだりすることで排除されます。
ところが、空気が乾燥すると防御機能が低下し、有害な異物が体内に残ってしまうのです。その結果、アレルギー症状が起きたり、風邪やインフルエンザにかかりやすくなったりします。
加湿器を使って室内の湿度を快適に保てば、乾燥を防いで粘膜のバリア機能を保護できるでしょう。健康を守るためにも、加湿器を用いた適切な加湿は効果的です。
花粉の飛散防止や呼吸器のバリア機能を低下させないためには、適度な加湿が効果的です。室内での適切な湿度の目安は、40~60%といわれています。
加湿が過ぎると、別の問題が起こる可能性があるため注意しましょう。適切な湿度以上になるような運転を続けていると、ダニやカビが発生したり、窓が結露したりする可能性があります。
繁殖したカビ胞子を吸い込むことによる健康被害や、結露によって住宅が傷むことも考えられます。
加湿器を運転する際には、湿度計を併用したり一定の湿度以上にならないような設定を行ったりして、快適な環境を維持できるように心がけましょう。
花粉やウイルス対策に有効な加湿器には複数のタイプがあり、消費電力や電気代にも違いがあります。それぞれの特徴を知り、メリット・デメリットを踏まえたうえで、ご家庭に合った加湿器を選んでみてください。
メーカーによっては、花粉だけでなく細かいほこりやハウスダストなども除去できる「空気清浄機能」付きの加湿器や、空気中のウイルスを減らす「除菌機能」などの機能を備えた製品も開発しています。
空気の乾燥を防ぐだけではなく、健康にも役立つ加湿器を十分に活用して、湿度と上手に付き合っていきましょう。