「初めてトヨタの皆さんとお会いしたとき、きびだんごをもらったんです」と話すのはプロジェクトリーダーの広沢。「食べたら一緒に鬼退治に行くんだよ」というトヨタ社員の茶目っ気だったという。笑いが起きたそうだ。 両社に文化の違いはあるけれど、今回のプロジェクトでは両社とも若手中心のメンバー構成で同世代ということもあり、ミーティングは和やかな雰囲気だったという。
今、自動車業界は100年に1度の変革期にある。海外のモビリティ市場が大きく変わり、日本でもいち早くモビリティ事業に取り組まないといけないという危機感があったと広沢は振り返る。
そんな中、トヨタがソフトバンクの“未来の種を見抜く先見性”を認め、「一緒に組まないか」と声を掛けた。トヨタが持つモビリティサービスプラットフォーム(MFPS)や車両に関する知識、ソフトバンクが持つ技術やビッグデータ、グループのアセットなど、両社の強みを上手く掛け合わせることで、新しいモビリティの未来を作ることに繋がっていく。
2018年2月に立ち上がったプロジェクトのメンバーは、両社が集まっても10人ほどと小規模だった。これからのモビリティはどうなっていくのか、自分たちに何ができるのか、ディスカッションを繰り返し、ビジョンを共有する中で5月には具体的な話に落とし込んでいった。共同出資会社を立ち上げようという段階になり、両社の企業トップに話を持ち込んだところ、トップ同士が即決。10月4日に発表というスピードでプロジェクトは進んでいった。