公開日:2024年7月12日
家電のなかでも使う頻度が高い洗濯機の使用方法を見直せば、電気代の節約につながります。また、古い洗濯機を使用している場合は、買い替えも電気代を抑えるための有用な手段です。
この記事では、洗濯機の電気代と水道代を抑えるための方法や家庭に合った洗濯機の選び方などを解説します。電気代の節約方法に悩んでいる方に役立つ内容となっているので、ぜひ参考にしてみてください。
洗濯機は縦型洗濯機とドラム式洗濯機に大別されます。それぞれの特長と、電気代・水道代を比較しました。
縦型洗濯機は、洗濯槽が垂直に配置されているタイプの洗濯機です。洗濯機の底にあるパルセーターと呼ばれる羽根を回転させ、洗濯物を「もみ洗い」します。洗濯物どうしをこすりあわせて汚れを落とすため、固形汚れを落としやすい点が特長です。
乾燥機能が付いている縦型洗濯機であれば、一気に乾燥まで行えるため洗濯物を干す手間を省けます。縦型洗濯機の乾燥機能は、温風で衣類をカラっと乾燥させる「ヒーター方式」が主です。
洗濯槽が斜めや横に設置されているのがドラム式洗濯機です。ドラムを回転させて洗濯物を持ち上げて落とす「たたき洗い」と、「もみ洗い」を組み合わせて汚れを落とします。衣服が傷みにくく絡みにくいというメリットがあります。
乾燥機能は縦型よりも優れており、「ヒートポンプ方式」「ヒーター方式」などがあります。特に除湿しながら乾いた温風で乾燥させる「ヒートポンプ方式」は「ヒーター方式」よりも消費電力が少ないため、電気代を抑えることが可能です。
ここで縦型洗濯機とドラム式洗濯機の電気代と水道代を比較してみましょう。2023年に発売された同メーカーの縦型洗濯機とドラム式洗濯乾燥機(ヒートポンプ式)で、洗濯のみを行った場合と、洗濯から乾燥まで行った場合を比べてみます。
電気代は、「消費電力(kW:キロワット)×使用時間×料金単価(円/kWh:キロワットアワー)」の計算式を適用(下図参照)。電気代単価は、公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会の新電力料金目安単価の31円/kWhで算出しています。
例:消費電力100Wの家電を1時間使用した場合 0.1kW×1×31円/kWh=3.1円
それぞれの電気代・水道代の目安は以下のとおりです。
洗濯のみ (容量12kg) |
縦型洗濯機 | ドラム式洗濯機 |
---|---|---|
消費電力量 | 約65Wh | 約78Wh |
1回あたりの電気代 | 約2.0円 | 約2.4円 |
使用水量 | 約125L | 約88L |
1回あたりの水道代 | 約37.9円 | 約26.7円 |
洗濯・乾燥 (容量6kg) |
縦型洗濯機 | ドラム式洗濯機 |
---|---|---|
消費電力量 | 約1,980Wh | 約1,570Wh |
1回あたりの電気代 | 約61.4円 | 約48.7円 |
使用水量 | 約140L | 約86L |
1回あたりの水道代 | 約42.4円 | 約26.0円 |
乾燥まで行うと電気代・水道代ともにドラム式洗濯機の方が安くなります。洗濯のみの場合でも水道代はドラム式洗濯機の方が10円以上も安いため、光熱費を抑えたいと考えている方はドラム式洗濯機を選ぶとよいでしょう。
縦型洗濯機はドラム式洗濯機に比べるとランニングコストが高くなりがちですが、本体価格は縦型洗濯機の方が比較的安いので、初期投資を抑えられます。
また、どちらの洗濯機においても乾燥機能を使用すると消費電力量が大幅に上がるということは覚えておきましょう。縦型式洗濯機においては、ヒーター乾燥は冷却のためにも水を使用するため、容量が半分であっても洗濯のみの場合よりも使用水量が増えます。
乾燥機能をいかに賢く使うかが、洗濯機における節電・節約の要と言えそうです。
洗濯機を効率よく使用すれば、電気代と水道代を抑えられて家計の節約につながります。光熱費を安くするためのおすすめの方法と効率的な使い方を解説していきます。
頻繁に洗濯機を使用するのではなく、ある程度洗濯物が溜まってからまとめ洗いをしましょう。洗濯回数を減らせば、電気代と水道代を節約することが可能です。
例えば、容量6kgの洗濯機を使用する際、容量の4割を入れて洗う場合と、容量の8割を入れて洗う回数を半分にした場合を比較すると、後者は年間で約4,510円の節約になります。節約できる電気代と水道代の内訳は下記のとおりです。
節電・節水量 (年間) |
節約できる金額 (年間) |
節約できる合計金額 (年間) |
---|---|---|
節電量:5.88kWh | 約180円 | 約4,510円 |
節水量:16.75m³ | 約4,360円 |
ただし、洗濯物を入れすぎてしまうと汚れが落ちきらず、結局洗濯しなおさなければならなくなり、かえって電気代や水道代がかかってしまいます。
また、洗濯物の詰め込みすぎは洗濯機の故障にもつながります。まとめ洗いをする際でも、洗濯物は容量の8割程度を目安にするといいでしょう。
前述の通り、乾燥機能を使用すると消費電力が大幅に増えます。ある程度乾いたら洗濯物を取り出し、あとは自然乾燥させることで電気代が抑えられます。
さらに自然乾燥させる際には、扇風機やサーキュレーターを利用するとよいでしょう。風を当てることで乾くまでの時間を短縮できます。
「でもそうすると扇風機などの電気代がかかるのでは?」と思われるかもしれませんが、扇風機は消費電力が低いエコな家電です。扇風機の電気代についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
洗剤を入れすぎると、すすぎの回数が増えて結果的に電気代と水道代が高くなります。洗剤の投入量は洗浄力に影響しないため、適量を意識するとよいでしょう。洗剤の適量は、洗濯機の説明書や洗剤のボトルなどに目安が記載されています。
家電全般に当てはまりますが、新しい機種ほど省エネ性能に優れているため、洗濯機を買い替えれば電気代を抑えられる可能性が高くなります。
例えば同メーカーの2019年製と2023年製のドラム式洗濯機を見てみると、2023年製には乾燥機能に省エネ乾燥モードが搭載されています。2019年の標準乾燥モードを使用した際の電気代と比べてみましょう。
2019年製(乾燥容量6kg) | 2023年製(乾燥容量6kg) | |
---|---|---|
洗濯・乾燥の消費電力量 | 800Wh (標準乾燥モード使用時) |
680Wh (省エネ乾燥モード使用時) |
1回あたりの電気代 | 約24.8円 | 約21.1円 |
1回あたりの差額 | 約3.7円 |
比較すると1回あたり約3.7円の節約になり、毎日洗濯機を使用するとして、1ヵ月(30日間)では約111円、1年では約1,332円の電気代を削減できます。
特に10年以上前の洗濯機を使っている場合は、買い替えによって上記よりもさらに節約できる可能性があります。
洗濯機は生活に欠かせない家電製品です。買い替えを検討しているものの、どのように選べばよいのか分からないという方もいるのではないでしょうか。
以下で、各ご家庭に合った洗濯機を選ぶ方法を解説します。
以前は縦型洗濯機の方が洗浄力が高く汚れが落ちやすいとされ、ドラム式洗濯機は衣類が傷みにくく、かつ電気代や水道代が安いことがメリットとされていました。
しかし、近年はドラム式洗濯機の洗浄力も上がっており、汚れの落ちやすさについては大きな差がなくなっています。
初期投資を抑えたい、あるいは設置スペースが限られている場合は縦型洗濯機を、電気代や水道代を抑えたい場合はドラム式洗濯機を選ぶとよいでしょう。乾燥機能を重視する方にもドラム式洗濯機が向いています。
洗濯機には、一度に洗濯できる容量の目安として「洗濯容量」があります。一般的に必要な容量は「世帯人数×約1.5kg」とされ、布団など大きなものを洗濯することも考えて以下を目安にするとよいでしょう。
世帯人数 | 洗濯容量の目安 |
---|---|
1~2人 | 5~7kg |
3~5人 | 7~12kg |
6人以上 | 12kg以上 |
ただし、ご家庭によって洗濯物の量は異なります。人数だけでなく衣服などの量も加味したうえで、十分な容量があるか確認してみてください。
容量の選択に迷う大型家電といえば、洗濯機のほかに冷蔵庫があります。冷蔵庫の最適な容量や電気代を抑える方法については、以下の記事を参考にしてみてください。
乾燥機能が付いている洗濯機は、洗濯から乾燥まで行ってくれます。干して乾燥させる手間を省けて、洗濯機から取り出して畳めば一連の洗濯が完了するため、家事の時短につながるでしょう。
さらに、乾燥機能があれば雨の日でも洗濯できます。梅雨の時期でも、天気の心配をすることなく洗濯できるメリットがあります。
乾燥機能を使う際に電気代が発生するものの、洗濯に関する手間と時間を短縮させたい場合は乾燥機能が付いている洗濯機があると便利です。
なお、洗濯機の乾燥方法は主に「ヒートポンプ方式」と「ヒーター方式」の2つです。
ヒートポンプ方式は空気中から熱エネルギーを集めるため、省エネ性が高い特長があります。また、乾燥温度が低いため衣類を傷めにくい点もメリットです。
一方で、ヒーター方式は熱風によって衣類を乾かします。ヒーター方式の洗濯機の方が本体価格は安い傾向にあるものの、電気代が高くなりやすい点に注意が必要です。
洗剤自動投入機能があれば、洗濯物の量に合わせて適切な量の洗剤や柔軟剤を投入してくれます。ついつい洗剤を入れすぎてしまう事態を防げるため、電気代・水道代の節約効果が見込めるでしょう。
液体洗剤や柔軟剤を本体の専用タンクに入れておけば、洗濯するときに自動で必要量が投入されます。わざわざ洗剤量を量る手間を減らせるメリットもあるため、家事の負担軽減にもつながるでしょう。
洗濯機は、使い方次第で電気代と水道代を節約できます。まとめ洗いをして洗濯する回数を減らしたり、洗濯機の「スピードコース」や「お急ぎコース」などの機能を活用したりと、さまざまな方法があります。
また、新しい家電は省エネ性能がすぐれているため、古い洗濯機を使い続けている場合は、買い替えも検討してみてください。
洗濯機は使用頻度が高い家電です。洗濯機のランニングコストを抑えられれば、家計における光熱費の削減につながります。この記事でご紹介した節約方法をぜひ実践してみてください。