プロジェクトストーリー 規格外の受注を、
チームで乗り越えろ
大手製造小売業への
「G Suite™」
(現:Google Workspace™)導入

法人事業プロジェクト

2018年秋、世界的な規模で事業展開する大手製造小売業が、
働き方改革の一環として世界中の全社員のコミュニケーション基盤に
Google のクラウドサービス「G Suite(現:Google Workspace)」を導入すると発表した。
この「G Suite」導入は、1年半前に導入した他社クラウドサービスからの切り替えであり、
現在もその運用を担当しているGoogle のパートナー企業であるソフトバンクが、
今回の「G Suite」への切り替えプロジェクトを全面的に支援するという驚きの内容だった。
ライセンス数は過去に類を見ない、規格外の規模。導入時の影響範囲を見極め、
切り替えのシミュレーションを重ねながら、移行のために必要となる事前作業や導入サポートを洗い出していく。
日本での「G Suite」パートナー・オブ・ザ・イヤー受賞のノウハウを生かして、
前例の無い大規模プロジェクトを成功に導くためにプロジェクトチームを結成。
チーム一丸でこの難題に立ち向かう。

  • 湯浅 麻衣 MAI YUASA

    法人事業統括 エンタープライズ第一営業本部
    第一営業統括部 第1営業部 2課
    2013年度新卒入社

  • 内田 晋輔 Shinsuke Uchida

    法人事業統括 SE本部 SE第1統括部
    クラウド・ゲートウェイサービス第2部
    部長
    2002年度新卒入社

  • 那須 晃介 Kousuke Nasu

    法人事業統括 SE本部 SE第1統括部
    クラウド・ゲートウェイサービス第2部 第3課
    2011年度中途入社

  • 杉山 佳隆 Yoshitaka Sugiyama

    法人事業統括 法人運用本部
    オペレーションサービス第2統括部
    ソリューションサービスデスク第1部 第1課
    担当課長
    2011年度中途入社

Episode.1 異例だらけの「G Suite」
導入プロジェクト、始動

「一つのプロジェクトのために、複数の部門を跨いでこれだけのメンバーがそろうことはまずない」とプロジェクトマネージャーの内田は振り返る。上述の大手製造小売業は生産や物流、店舗管理などの役割を担う複数部門を一つの場所に集め、各部門間で常に連携しながらビジネス展開を加速させるための働き方改革プロジェクトを進めてきた。2018年2月、その改革をさらに加速させるための起爆剤として「G Suite」導入構想が浮上し、「世界中にいる社員間コミュニケーションを円滑かつスピーディーにしたい」という大きな期待を込めて、法人顧客のデジタルトランスフォーメーションを手掛けるソフトバンクに相談が持ちかけられた。

通常、1万ライセンス以上の「G Suite」導入でも大規模案件として取り扱われるが、今回持ち込まれたライセンス数は規格外だった。さらに、この顧客は当時、他社のクラウド型グループウェアを利用していたが、当然ながらこの2つのサービスには明確な機能差分があり、使い勝手や仕様、ユーザーインターフェースも大きく異なる。だからこそ、切り替える意味があるとも言えるが、今回の「G Suite」への切り替えの影響範囲は顧客のコミュニケーション基盤のみならず、ITインフラ全体に及ぶ。正式に「G Suite」の導入を決定してもらうためには、切り替えを進めた場合にどのような影響があるのかを想定し、またどれだけのコストがかかるのかを算出して、提示する必要がある。あくまで概算という前提ながら、自社のサービス提供範囲はもちろんのこと、顧客が合わせて利用を検討する他社サービスの提供範囲も試算対象となり、切り替えのための総コスト算出には2カ月間の時間を費やすことになった。

営業担当は取引先のアカウント担当に抜擢されたばかりの湯浅。湯浅が作成する提案書(RFP)のベースとなる「影響範囲の調査」と「総コスト算出」のために、「G Suite」の専門SEを含む主幹3人に加え、プロジェクトマネージャー、運用設計担当、ネットワーク担当、グローバル担当、モバイル担当など、各領域の専任者が選出され、総勢10名以上の大プロジェクトをスタートさせた。

Episode.2 前提条件と影響範囲が変動する、途方もないコスト算出作業

4月に入り、「G Suite」担当SEの那須は、ほぼ毎日先方のオフィスに常駐して、「G Suite」サービスの仕様・特徴とともに、導入の際に留意すべきことを伝え続けた。一方、社内では、毎日湯浅が持ち帰ってくる先方からの追加要望を「G Suite」切り替えのための必要タスクとして整理する作業を進めていた。先方から、RFPをまとめるための材料として「G Suite」切り替えの影響範囲と必要タスクを整理するように依頼されていたためだ。その情報を元に先方によってまとめられたRFPが、7月に各社展開されることになるが、その後の具体的な提案作成がさらに困難を極めることになる。協力会社に依頼しないとコスト算出できない項目が多く、膨大な量のメールが飛び交うことになった。提案作成中にもかかわらず新たな条件は容赦無く追加される。新たな条件が加わると影響範囲が変わり、それを細かく文章化して先方に提示するとまた追加の要望が発生する。出口の見えない途方もない作業が続く中で、ひとつずつ前提条件を書き足して提案をブラッシュアップする作業を繰り返した。不思議なことに、そんな大変な状況に置かれてもチームの活気が失われることは無かった。

Episode.3 社内・お客様との信頼関係が、本当の価値を生む

提案書提出までの期限も限られていたが、プロジェクトメンバー総出でRFPに対する回答を提案書としてまとめ上げ、その成果を期限内に先方に提出した。チームでまとめ上げた提案内容で先方にもご納得いただき、過去最大の「G Suite」導入が発表される運びとなる。大きかったのは、8年前の先方の新オフィス立ち上げ時にコミュニケーション基盤を構築したノウハウ、一年半前に実施したクラウド型サービスへの移行ノウハウを活用しながら、概算費用算出に従事したメンバー、提供中のサービスの構築・運用に従事しているメンバーを中心に体制を組むことができたこと。先方のことをよく知った上で、自分の領域以外のところまで全員が互いに目を配り、「こうじゃない、ああじゃない」と意見出しに時間を割くのを厭わなかった。

顧客先に足繁く通い続けた結果、那須は先方との強い信頼関係を築き上げていた。先方との関係性無くしては聞き出しづらいようなことも踏み込んで聞き出し、提案の精度を上げる重要な役目を果たした。「G Suite」が苦手とするポイントを包み隠さず伝えることで、さらに信頼関係を深めることができた、と那須は振り返る。

今回提出した提案書に他社が提供する領域を盛り込むこともできたが、「G Suite」導入以外の追加工数や無駄な一時費用を発生させてしまうことになる。先方の担当者目線で何を優先すべきかを考慮した結果、徹底的に無駄を排除した効率的な導入プランを提示することができた。

Episode.4 要件に応える姿勢、領域を超えた当事者意識

「G Suite」の導入プロジェクトは現在進行系だが、問題が発生したときに領域を超えて全員でカバーし合えるチームワークは、ますます強固なものになっている。その当事者意識はどこから?という質問に対して、メンバーは笑いながら「だって、やらないという選択肢はないでしょう」と口をそろえる。

できない理由を、言わない。お客さまからのリクエストは、なるべく受ける。一方で「ココで100点満点は無理なので、80点で勘弁してください」「全て運用でカバーするのは無理ですが、こういう条件でよければ受けられます」など、できないところもしっかり伝えつつ、なるべく要件を満たせるよう前向きにレスポンスする。こうしたコミュニケーションから「ソフトバンクさんがそこまでおっしゃるなら」と先方からの信頼が生まれていく。

プロジェクト発足当初は不安を抱えていたという湯浅も、「今は皆さんと一緒に仕事できるのがすごく楽しい」と前向きだ。本来営業が担当する業務範囲であってもSE担当が「これやっときましたから」と言うように、メンバー全員が自身の担当範囲外の領域にまで自発的に介入してきてくれる。チーム全体でプロジェクトの進捗に気を配り相互に支え合うことで、連帯感が一層強くなってきた。

11月から、国内主要店舗で「G Suite」の機能を使って業務を変えていくトライアルを行うなど、本プロジェクトは実践段階に入っている。「運用サービスを作り終わってからが本番、これからもっと臨機応変な対応が必要になっていく」と杉山は構える。しかし、一人一人が当事者意識を持ってサポートし合えるこのチームなら、どんな難題も乗り越えていけるはずだ。

G Suite:Googleが提供するクラウド型グループウェア。Gmail™ や Google カレンダー™ 、ドキュメントファイルの共有など、ビジネスに最適な基本機能がインターネットの接続環境さえあればデバイスを問わずどこでも利用可能となる。

Google、G Suite、Gmail、および、Google カレンダーは Google LLC の商標または登録商標です。

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