結果的に「メリハリプラン」は、2019年9月の企画立ち上げから、わずか半年間という異例のスピードでのサービスインとなった。「普通なら最低でも1年はかけて進めることを半年で進めるのがソフトバンクです。このスピード感は尋常ではないと思いますよ」と大野木は笑いながら語った。
「メリハリプラン」の企画からリリースまでの流れ
2019年9月 |
プロジェクトチーム発足・課題解決のための議論と企画立案
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2019年10月 |
マーケットリサーチを実施。市場ニーズと収益性を調査
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2019年11月 |
経営会議への付議・承認
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2019年11月 |
関連部署の担当者・責任者への全体説明会を実施
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2019年11月 |
テレビCMなどのコミュニケーション戦略の策定開始
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2019年12月 〜2020年2月 |
サービスの実運用に向けた関係部署との連携・調整、 記者発表会準備
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2020年2月 |
サービス名称が「メリハリプラン」に決定。テレビCMおよび 各種コミュニケーション施策の制作完了
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2020年3月 |
サービス開始。テレビCM・交通広告・デジタル広告・店頭ツールなどの コミュケーション施策の展開開始
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サービス開始以降の調査によると「メリハリプラン」は、約9割のお客さまに支持されていることが明らかになった。また、市場に対するインパクトの大きさを評価され、社内のアワード表彰でも社長賞で1位を獲得した。さらには「お客さまに提案しやすい」ということで社内の営業担当者からの評判も上々だという。サービス開始から数カ月後には競合他社が「メリハリプラン」と同じような、データ利用量に応じた割引を行う料金プランを打ち出してきたことからも、「メリハリプラン」が業界全体に与えた影響の大きさが分かる。この件について大野木は、「他社が追随したプランを出してきたことで、自分たちの作ったプランが認められた感触はある」と、他社から追いかけられる状況に悪い気はしないようだ。
今回、大々的な料金プランの立ち上げプロジェクトに初めて関わった武田は、社内のさまざまな部署の関係者と仕事をしたことで、「改めてソフトバンクの強みを知ることができた」と語った。
「プランの立て付けや仕様について関係部署の方々に説明した際に、多くの方々が『こうした方がいいのでは?』『こう説明した方が分かりやすいかもしれない』と、積極的に意見やアイデアを出してくれました。『企画のことは企画の部署でやってよ』という空気はまったくなく、社員の誰もが『お客さまのために素晴らしいものを作ろう』という考えを持って仕事をしているんですよね。このような社員一人ひとりの姿勢こそが、ソフトバンクの強さにつながっているのではないかと思いました」
「メリハリプラン」のサービス開始と同時に、テレビCM「勝手にHERO’S」と統一した訴求メッセージを交通広告・デジタル広告・店頭ツールなどで発信し、コミュニケーション施策の全方位的な展開もスタートした。このテレビCMは、CMデータバンクによる『CM好感度調査』でソフトバンクとして2年ぶりに1位を獲得したことをはじめ、さまざまな指標で水本たちが設定していた目標を大幅に上回る効果をあげたという。
「料金プランが決まってからコミュニケーション戦略を策定するまでの期間が短かったこともあり、常にスピードを意識して仕事を進めていたことを覚えています。プロジェクトが難航した際には、他部門の本部長クラスの方々に直接、交渉やプレゼンをしたこともありました。大野木さんや武田さんがサービスでNo.1を目指していたように、私たちも『コミュニケーション施策でNo.1を取りたい』という気持ちを常に持っていました。今回のプロジェクトではベネフィット調査からメディアプランの設計まで、一貫性のある効果的なコミュニケーション戦略を展開することができたので、達成感も大きいですね」と、水本は当時の状況を思い出しながら満足気に語った。