「AIの導入で新卒採用単体業務の工数削減効果は75%」と話すのは、採用・人材開発統括部の安藤。派遣管理を経て2013年から新卒採用を担当しているが、手作業の業務が多いことに驚いたことがAI導入のきっかけだった。新卒採用には学生が登録するエントリーシートのテキストデータがある。これを利用できるのではないかと思いつき、当時、元同僚に相談に行った。
「気軽な妄想段階の希望を伝えたところ、“面白いからやってみなよ”と言われて。この気軽さが、ソフトバンクらしいなと思いました」と、安藤。実際、AIを導入すればすべてが解決すると思っていたが、AIにもできないことがあると知った。AIの不得意な部分を運用で補足して、人間がどのようにうまく使っていくかが、業務にAIを導入する際カギだと分かり、そこから試行錯誤が始まった。
調べてみると、ソフトバンクがIBMと業務提携して「Watson」をベースにシステムを開発販売することが分かった。「じゃあ、社内で使えるんじゃないの?」と考えるところが、安藤の柔軟なところだ。すぐに重政や春日を訪ね、話を聞いた。
「ITに明るい部門と交流させていただくことで、私たちも業務以外のことを掛け合わせたら新しいことができるのだということが分かるようになりました」。それ以来、エンジニアを誘ってお茶会をしたり、AI導入に成功した他部署の同僚を誘ってユーザー会をしたりして、日頃から気軽な情報交換を行うようになった。
部署内の雰囲気も変わった。安藤自身、「こういうことできないの?」という相談を受けるようになり、みんなの意識が前向きになってきたと感じている。少し突飛に見える提案も「面白い。やってみようよ」と言われることが増えたと感じている。