フォーム読み込み中
The Acitivity of the "DE&I Working Group for Engineer"
2025年12月12日掲載
みなさんこんにちは、昨日ぶりですね。馬田です。
今日で2025年のソフトバンク アドベントカレンダー12日目!折り返し地点が迫っております。
実は今回、日程の関係で2日連続で私が記事を出させていただいています。
連続で執筆となると大変でしたが、これまでの記事とは全然違う方向性のトピックである「エンジニア×DE&I」について、どうしても執筆をしたくて、この記事を出させていただきました。
DE&Iとは、(本文中でも詳述しますが、)多様な人材を受け入れ、公平な機会を提供し、誰もが活躍できる環境をつくる取り組みです。
この記事では、ソフトバンクのエンジニア部門におけるDE&I WGの1年半にわたる活動を振り返っていきます。
本文中でも言及していますが、ダイバーシティ施策って難しいですよね...。
もしこれを読んでいる皆様の中で、
という感覚をお持ちの方がいらっしゃったら、皆さんの企業でも3章のポイントを踏まえた施策を考えてみたり、4章でまとめた各WGで実施した活動が、皆さんの活動のヒントになるかも知れません。
それでは、ぜひお楽しみいただければと思います!!!
ところで皆さん、「DE&I」という単語を聞いたことはありますか?
「D&I」という単語はだいぶ有名になってきましたが、これに「E」が入ると途端に知名度が下がりますね...。
「DE&I」は、以下の3つの言葉の頭文字を取ったものです。
Diversity(多様性)
性別、年齢、国籍、障がいの有無だけでなく、経験や価値観など、多様な人材が存在している状態。
Equity(公平性)
一人ひとりの置かれた状況を考慮し、公平な機会やリソースを提供すること。
(※例えば高い柵があって中が見えないスポーツコートで踏み台を分配する際に、平等(=Equality)の「全員に同じ踏み台を配る」に対し、公平(=Equity)は「その人の身長にあう踏み台を配る」イメージです。図1のイメージがわかりやすいですね。)
Inclusion(包摂)
多様な人々がお互いを認め合い、その能力を発揮して組織に参加できている状態。
D&Iと比べてDとIは全く同じなのですが、これにEquityの観点が加わることで、単に「多様な人がいる」だけではなく、「多様なバックグラウンドを持った人みんなが公平にチャンスを得られ、自分らしく活躍できる場所」を目指す、というのがDE&Iの考え方です。
図1:「Equity」のイメージ
平等に同じ高さの踏み台ではなく、全員が見えるように踏み台を分配しています。
出典:Interaction Institute for Social Change | Artist: Angus Maguire, January 13, 2016
さて、ソフトバンクのエンジニア部門であるTU統括/IT統括では、自社の職場をよりDE&Iの観点が反映された場所にするべく、2023年の10月に「TU/IT統括 DE&Iテーマ別ワーキンググループ」を立ち上げました。
このWGは、女性活躍WG、育児WG、障がいWG、介護WG、LGBTQ WG、多文化共生WGの6つのWGとそれをまとめるWG事務局の7つのチームで構成されており、2025年4月に開催された最終報告会まで1年半をかけてそれぞれのチームが「現場の課題」を掘り起こし、ボトムアップで解決策を模索しました。
この記事では、WG事務局という立場に立候補した私が、1年半を通して6つのWGを見つめた記録を書き連ねていこうと思います。
さて、「ダイバーシティ」という単語は最近流行りでもあるので、多くの企業が取り組んでおられるテーマであるかとは思いますが、これまでWG事務局として様々なDE&I担当者交流イベントに参加した身としては、「うちの会社はダイバーシティ推進に成功しました!」と堂々と発信している企業の方はあまり多くなく、多くの企業の方は苦戦されているな、というのが私の肌感覚です。
完璧とは言えないものの、ソフトバンクのWGは立ち上げ当初から試行錯誤を重ねながら活動を続け、メンバー全員の力を集めて、ようやく形にすることができました。
このWG施策で成果をあげられた要因はいくつかあると思いますが、私が良かったと考える2点を紹介します。
「DE&I」というテーマは実際に普段の業務内では取り組むことが難しいテーマです。しかし、それに興味のあるメンバーは少なからず存在するのも事実です。そういった社員が、気兼ねなくメンバーとして名乗り出ることができる環境を用意したことで、本WGのメンバーは50名規模となりました。
このブログのタイトルには「ボトムアップ」と書いたところなので「ん?」と思った方もいるかと思いますが、やはりWGの立ち上げにあたってはトップダウンの「絶対にやるぞ」という意思も欠かせないと思います。
立ち上げる部分はトップダウンで、立ち上げた後の活動はボトムアップという、この絶妙なバランスも、このWG活動で成果があがった一つの要因かと思います。
さらに、このWGでの活動が業務目標に取り入れられることで、「会社に必要な業務なんだ」と上司や周囲の同僚にも認識されることで、よりメンバーが自信をもって活動に取り組むことができ、各WGの活動がより活発になる要因となったと思います。
それでは、4月の最終報告会で発表された各WGの活動内容や成果についても紹介します。
テーマ:技術領域の女性活躍とジェンダーバランスの改善
「多様性が注目されるなか、(今回のテーマの中で一番母数が多い)女性すら活躍できないと感じてしまう組織風土や文化を変える」という強い意志のもと、対話と意識変革に注力しました。
ダイバーシティウィークの取り組みの一環として開催されたパネルディスカッションでは、ソフトバンクの役員が登壇。「技術部門の女性活躍」をテーマに、現場の社員とリアルな対話が行われました。視聴満足度は93.2%に達し、アンケートでは「女性活躍を自分ごととして捉えるきっかけになった」という回答が8割を超えるなど、意識改革に大きな手応えを得ました 。
技術系バックグラウンドがない社員がエンジニア職に挑戦する際の不安を解消するため、キャリアの道筋を示す「ポジションマップ」の検討を開始しました。多様な人材が技術職を目指せる土壌づくりを進めています 。
テーマ:育児による「働きづらさ」を解消する
育児中の社員だけでなく、周囲のメンバーも働きやすい環境を目指し、ユニークな施策を実行しました。
法人統括のDE&I組織であるTerra`sのご協力のもと、夏休みと春休みに、社員の子どもたちをオフィスに招待する「TECH PARK」を開催しました。朝、社員と一緒に来たお子さんを預かって、お子さん同士でのゲームを通してアイスブレイクした後は、一日自由研究のような形でプログラミング教室や工作教室等を行いました。昼休みに社員食堂で親御さんと一緒にご飯を食べる以外の時間帯は、親御さんは安心して仕事に向かうことができ、夕方の成果発表会では一日の集大成となる作品を発表する成果発表会を通してお子さんの成長を感じることができるイベントとして大盛況!
保護者からの満足度は100%、さらに「働くことへのモチベーションが上がった」という回答が81.3%に達するなど、エンゲージメント向上に直結する施策となりました 。
育休取得者へのインタビューを通じ、「人が休んでも困らない働き方」を言語化した「パタンランゲージ」を作成。属人化を防ぎ、チームで業務を回すためのヒントを全社に共有しました。
テーマ:障がいに関する基礎知識の理解度向上と正確な情報発信を通じて相互理解を促進し、働きやすい職場環境をつくる
障がいを持っている方が周りにいないという人も多い中、障がいについて「知らない」ことから来る不安や壁を取り払うため、体験型の学習機会を提供しました。
車いすでの移動、アイマスクと白杖を使った歩行、手話や難聴の疑似体験などを実施しました。実際に体験することで見えないバリアに気づくことができ、参加者全員が「障がいへの理解が深まった」「障がいのある方と接する際の具体的な配慮や行動のイメージが湧いた」と回答する結果となりました 。
障がいのある社員と周囲のメンバーが、配慮事項や業務上の特性について円滑にすり合わせるためのシートを作成。実際に活用した現場からは「配属前に具体的なイメージができた」「本音を知ることができてよかった」と好評を得ています 。
テーマ:「ケア×ケアプロジェクト」~個々の介護ニーズへの対応と、介護経験者のナレッジと知見共有による自分事化~
育児に対する施策は育児休暇などメジャーになっていますが、社員の親御さんを介護するための施策について、皆さんは思いつきますか?
潜在的な課題となりがちな「介護」に光を当て、実態把握と制度への提言を行いました。
「介護ご意見フォーム」で150件のリアルな声を収集
社内で見えにくい介護の悩みや課題を吸い上げるため、専用の意見箱を設置。約150件もの切実な声が集まり、これまで埋もれていた課題が浮き彫りになりました 。また介護経験者同士での交流会を実施することで介護をしている社員のコミュニティの形成も実施しました。
「完全リモートワーク」制度の検討
上記のフォームや交流会で集まった声を元に、介護従事者が離職せずに働き続けられるよう、出社を前提としない「完全リモートワーク」制度のトライアル導入に向けた要件定義と検討を進めました 。
テーマ:「アライ(LGBTなど性的少数者に理解と共感を示し、その権利を支援する人のこと)」という言葉の理解と、行動に移そうと思う意識改革
「関心を持ってもらう」ことをファーストステップに、正しい知識の普及に努め、一人でも多くのアライを増やすべく活動を実施しました。
「アライハンドブック」の制作・配布
「アライとして具体的に何をすればいいの?」という疑問に応えるため、イラスト付きで分かりやすいハンドブックを制作しました。ダイバーシティウィークなどで周知し、人事部門とも連携して活用が進んでいます 。正しい知識・アライとしてできることを、多くの方に知っていただき、行動につなげていくことができました。今後は「接客ハンドブック」の提供に向けて接客部門とも継続調整の上、構成含めて見直しの実施予定です。
基礎から応用まで学べる勉強会の開催
基礎知識を学べる「基礎編」だけでなく、LGBTQの方々が直面する困難やLGBTQ教育の意義や課題などを考える「応用編」の勉強会も実施。
また、一般社員向けの勉強会だけでなく、本部長以上の幹部向けの当事者トークイベントも開催し、各組織トップの意識改革にも努めました。一連のイベントを通じて、参加者の関心度を35%向上させることに成功し、よりLGBTQに対する社内の理解度を深めることができました。
テーマ:国籍や文化の違いを認め合い、同じ組織の構成員として共に生きていく環境の整備
ソフトバンクには外国籍の社員や、日本国籍でも日本より海外に住んでいた時期が長い方など、多くのバックグラウンドを持った方が所属しています。これからの時代にはより多くのプロフェッショナルでインターナショナルな社員を迎える必要も出てくると考えられます。
そのような中でも言葉や文化の壁を超え、心理的なつながりを作れる場を提供しました。
「食」を通じた異文化交流イベント
「餃子」や「カレー」など、日本でもポピュラーながら奥が深い各国の「食」をテーマにした交流会を開催。業務だけでは生まれないコミュニケーションを生み出し、多様なバックグラウンドを持つ社員同士のネットワーク作りを支援しました 。
社内システムの多言語化サポート
日本語のみで分かりにくかった稟議システムなどの操作説明動画を作成したり、各種マニュアルへの導線を整理した「システム地図」を公開したりと、日本語が使いづらいと感じる社員が働きやすい環境整備を総務部門へ提言・実行しました 。
さて、6つのWGの活動をご紹介したところで、私が所属していた事務局についても、少しお話をさせてください。
テーマ:活動の「基盤づくり」と「発信」による活性化
6つのWGが円滑に活動できるように裏方としてWGを支えるだけでなく、組織全体のDE&I推進を加速させる「仕掛け人」としても奔走しました。
WGのスムーズな運営と活動成果の広報
6つあるWGの全てに横串を通す事務局は、各WG毎に違う部分と統一する部分をしっかり見極めることで、WGをスキームとして回しつつも各WGで考える内容は柔軟に受け入れるような運営を心がけていました。普段の定例会議から専務に向けた中間/最終報告会の運営まで実施しつつ、各WGの成果を社内ポータルやSlack投稿を通して社員全体に届けられるように努めました。
データドリブンな活動支援
各WGの情報発信ポータルのアクセス状況を可視化するため、Google Analyticsを活用した分析ダッシュボードを自作!
閲覧数やユーザー行動をデータで把握できるようにすることで、各WGが「どうすればもっと社員に成果を見てもらえるか」を改善できる環境を整えました。
他社交流による視点の拡張
社内だけでなく、DE&I先進企業との交流会を積極的に実施(事例収集16件、情報交換4件)。自社の取り組みを発信しつつ、外の風を取り入れることで、ソフトバンクのエンジニア部門の現在地を客観的に把握し、新たなアイデアがあれば社内に持ち帰って各WGに還元するハブとしての役割も果たしました。
私たちが取り組んできたWG活動は、社内アワード「SoftBank Award」にてDE&I賞を受賞し、社長表彰を受けるという成果を得ました。これは、メンバー全員の協力によって成し遂げられたものです。
特に注目したいのは、人事部門ではなくエンジニア部門の主導でDE&Iのアクションを実行した点です。これにより、現場に即した取り組みが可能となり、自部署内でのPOC(概念実証)を通じて、小さく始めながら全社展開につなげるといった、柔軟で効果的な進め方が実現できました。
DE&Iは他社との競争ではありません。
皆でより良い世界をつくることが目的です。このマインドが、私たちの活動の根底にありました。
私は事務局の立場から、他社での成功事例を参考にソフトバンク社内にも提案し、エンジニア部門の施策として実装することができました。
DE&Iはすべての企業にとって取り組むべき重要なテーマですが、実際の着手にはそれぞれの企業の事情や環境が大きく関わります。だからこそ、私たちの取り組みが、どこかの会社で一歩踏み出すきっかけになれば嬉しいです。
それでは、また次回の記事でお会いしましょう!
アドベントカレンダー13日目もお楽しみに!
本記事の著者
ソフトバンク株式会社
CIOリレーション室
2022年度ソフトバンク新卒入社。初期配属ではサイバーセキュリティ本部に本務を置き、社内の情報漏洩防止の観点でのセキュリティ向上を業務としつつ、2023年7月より社内副業制度にてAI戦略室/Beyond AI推進課、同11月よりDE&Iテーマ別WG事務局、2025年2月からは人事総務本部と、多くの組織を兼任。
Beyond AI推進課では、東京大学との共同研究機構「Beyond AI研究推進機構」にて学生向けのイベント/グローバルインターンシップ企画、DE&I WG事務局では、ソフトバンクのエンジニアが「どのようなマイノリティ属性を持っていようと働きやすい環境」を目指し、各WGによる企画の実行支援や、DE&I推進室/人事本部との連携を担い、人事総務本部では新卒社員研修で1クラス42人分の担任チューターを受け持った。
2025年10月よりジョブポスティング制度にて現職へ異動し業務を一本化。
CIOである牧園専務のもとで、対外発表資料作成やグループ会社の統制等CIOと社内外の各ステークホルダとのリレーション構築をサポートしている。
業務外で興味のある分野は、モビリティ分野の自動運転や自動操縦、IoT分野を用いた第一次/第二次産業のDX、地方活性化など。
条件に該当するページがございません