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2023年11月7日掲載
こんにちは。クラウドテクノロジーブログ事務局の北野です。
ソフトバンク社内で「エンジニアがもっと自由に技術をアウトプットできる場をつくりたい」という想いから生まれた有志コミュニティ「SoftBank Tech Night」。
第13回目となる今回は、2023年10月4日に開催された「SoftBank World 2023」の会場内で実施しました。
今回は、ソフトバンクのグループ社員によるLTや、Tech Night 史上初めてとなるハッカソンを行い、笑顔溢れる楽しいイベントとなりました。
本記事では、その様子をレポートします。
アーカイブは「SoftBank World 2023 公式サイト」よりご覧いただけます。ぜひご覧ください。
2023年11月10日(金)18:00までアーカイブ配信中です。ぜひ「SoftBank World 2023 公式サイト」より登録の上、ご視聴ください。
まず初めに、常務執行役員 野田より開会挨拶がありました。
「今日のハッカソンのテーマは『笑顔×生成AI』ということで、このゆるい感じが非常にいいなと思っています(笑)審査員に、プロの芸人のカニササレアヤコさんもいらっしゃるので、純粋に笑いを追及した審査をしたいと思いますので、ぜひ楽しんでいってください。
予選も審査員として参加していたので、予選の内容からどんな風に仕上がっているのか期待しています。
このゆるい雰囲気のハッカソンに取り組んで腕を磨いていただいて、どんどんハッカソン参加者が増えていくといいなと思います。そしてぜひゆるい中にも、きらりとひかるテクノロジーで魅せて欲しいと思います。みなさん頑張ってください。」
続いて、第一部の「笑顔×生成AIハッカソン」決勝ピッチをおこないました。
今回のハッカソンのテーマ選定の理由や予選会の様子は、前回のレポート記事をぜひご覧ください。
1番目の発表は「Pepperくんと漫才」です。今回のハッカソンにぴったりなチームがトップバッターでした。
Pepperにお題を伝えると、お題に沿った漫才をおこなってくれるという作品です。
開発についても、Pepperのプログラミングが大変、共同開発ができないといった課題をどのように乗り越えたか、など工夫したポイントについて紹介がありました。
審査員・カニササレアヤコさんコメント
「私もPepperと漫才をしたことがあるが、すごく大変だったので、その苦労がわかります。間を詰めるなど、漫才の工夫も見られて、非常に素晴らしかったです」
2番目の発表は「Pepperくんと会話する」です。後輩エンジニアがチャットメッセージで質問をすると、先輩エンジニアPepperが、音声で回答やアドバイスくれるという作品です。
先輩エンジニアは、頭を使って理性的な対応をしますが、本当に言いたいことは心から漏れ出てしまいます。「理性的な応答」はしっかりした音声を発しますが、「心からの応答」は囁き声とそれに関連したイメージを出力するというものです。
生成AIを使用し、Pepperに対して2つのファインチューニングした応答を組み込みました。
「理性的な応答」は会社に良い結果を出すことを第一に考え、「心からの応答」はリラックスしたいという気持ちがある、礼儀正しくて面白いキャラクターに設定しました。
3番目の発表は「人力 生成AI」です。生成AIの課題の一つとして、大量に電力を使うというエネルギー問題に焦点を当てた作品です。
例えば、人力で画像生成をすると、1.5時間発電を続けてようやく画像が1枚生成されます。電子ペーパーの場合、電気を切っても画像が表示し続けるという特徴があるので、人力でも画像生成ができます。
この人力生成に、ゲームという要素を組み合わせてできたのが「発電力王ゲーム」という作品です。
プレイヤーの顔の写真を撮り、Pepperの掛け声で発電力王ゲームをスタート。Stable Diffusionの「img2img」機能を使い、勝者の写真を笑顔にしてGuiHubに公開します。
審査員・伴野 智樹さんコメント
「災害時の避難所などでも、子どもたちが楽しめるゲームで、さらに電気の大切さも知ることができるという意味で、非常に良いアプローチの作品だと思います」
4番目の発表は、Pepperに”人格”を与えてみた」です。
Pepperのいいところとして、他の音声AIサービスと比較し、ロボットならではの話しかけやすさや、身振り手振りや画面を利用したコミュニケーションの豊富さが挙げられます。
そこで、その良さをさらに引き出すため、Pepperに人格を付与することができれば個性が出せるのではと考えました。
今回はお母さんの人格を与えてみました。
システム構成については、外部サーバーにFastAPIを立て、そこからChatGPTのAPIをリクエストすることで、処理落ち対策をしています。また、高解像度の返答もアピールポイントです。
審査員・カニササレアヤコさんコメント
「普段ロボットを触っていて怒られることはないので、ロボットから怒られる経験をするというのがすごく面白いなと思いました。またお母さんの性格の作り込み具合が素晴らしくて、ヒステリックな感じが上手く出せているなと思い、とても面白かったです。」
5番目の発表は、「癒し系 元気絵葉書メール屋さん」です。コンセプトは「癒し系画像で笑顔を」ということで、電話で欲しいイラストを伝えると、AIのメルセデスさんが絵葉書を自動生成し、メールで送ってくれるという作品です。
アーキテクチャは、1番目にtwilioを使い、Speech-to-text / Text-to-speechを利用しています。2番目でchat GPTを役割分担しつつ、3番目で音声を自然言語化して出しています。4番目でDALL-E2に画像生成をさせつつ、最後5番目にSendGridでメールを送るという流れになります。
審査委員長・牧園 啓市 専務
「まさに孫さんがやりたかったことを実現していると感じました。欲しいものを手に入れるというのはなかなか難しいと思っているところで、自分が欲しいものをAIがわかるようになるにはどうやったらいいかというのは、これからなんだろうなと思って聞いていました。ぜひその部分もチャレンジしてほしいなと思いました。」
6番目の発表は、「笑☆顔☆王」です。笑顔になれるカードゲームということで、笑顔の写真と必殺技名を入力すると、生成AI(chat GPT / DALL-E)が、オリジナルカードを考えてくれます。
オリジナルカードには、タイトル、説明文、スコア、背景が自動で記載され、カードの強さで勝負をするという作品です。
実際デプロイして外部公開しましたので、参加者もオリジナルカードの生成を楽しみました。
技術コンポネントについては、外部アプリケーションとしての公開はVercelを使い、WebアプリケーションフレームワークにNEXT.JSを使用。MediaPipeを使い撮影した写真の顔の3D座標を取得し、座標をOpenAI社のAPIで笑顔スコアを算出します。スコアをランキングにして公開もしているので、データベースとしてsupabaseも使用しました。
審査員・伴野 智樹さんコメント
「確かなる技術に裏打ちされた、しかも使いやすいUI、誰でも笑顔になれる、など全て完璧だったと思います。私がやっているコンテストにぜひ応募をいただきたいです。確実に賞を取れるレベルかなと思いました。」
最後の発表は、「誹謗中傷とめるくん」です。SNSやネットニュースでの誹謗中傷が社会問題となっています。人々の笑顔を奪ってしまう誹謗中傷コメントを投稿しようとすると、イケメンや美女などのユーモアのある画像+音声+言葉が生成され、代替コメントを提案してくれるという作品です。
ユーザーが文章を送信しようとすると、chat GPTが誹謗中傷の判定を行います。ここで誹謗中傷だと判定されると、今度はユーモアのある諭し文と投稿が生成され、生成された文章はText-to-speechで音声に変換されます。
今回、ユーモアのある諭し文を生成するために、芸能人の名言集を元にデータセットを作成し、GPTに追加学習してもらいました。
審査の間に、ソフトバンクグループ社員によるLTが行われました。
審査を行なっている間に、ソフトバンクグループ社員によるLTが行われました。
藤田 玲央・福盛 浩之/ソフトバンク株式会社
「ソフトバンクはこれまで、3G、4G、5Gなどのネットワーク技術を導入し、通信技術を進化させてきました。現在、モバイル&ネットワーク本部はSRV6と呼ばれる新しいルーティング技術を国内全体に展開しています。SRV6は、将来のサービス展開をサポートする鍵となっており、AI、自動運転、遠隔医療などの技術を支える基盤として機能します。」
「SRV6は、従来のIPルーティングに代わる新しいアプローチで、シンプルで複雑さのない高機能なネットワークを提供します。モバイル&ネットワーク本部は、戦略的にSRV6の運用を開始し、新しいサービスに取り組んでいます。」
「SRV6の動作は、通常のモバイル通信と異なり、より柔軟なコントロールを可能にします。これにより、通信の遅延を最小限に抑え、例えば遠隔で楽器演奏などを実現できます。また、AIアプリケーションやエッジコンピューティングを迅速に実現するためにも、SRV6が有用です。」
「ソフトバンクは今後もSRV6を活用して、次世代のサービスを展開していく予定です。」
向山 裕一朗/ソフトバンク株式会社
「今回は、前回 SoftBankTech Night #12 の続きとして、生成AIとMicrosoft Power Appsを活用し、とにかく早くトライ&エラーを回せるような環境の検討についてお話しします。」
「日々増加する生成AIニーズに対して、対応の限界を感じ、その課題を解決する策としてローコード活用を検討しました。ローコード開発にはMicrosoft Power AppsとPower Automateを利用し、チャットUIを構築しました。」
「これにより、ユーザーインターフェースの作成や会話型ボットの迅速な構築が可能となりました。Power AppsとPower Automateを統合し、外部への通信を実現し、ユーザー入力と結果の受け渡しを行いました。」
「Power Appsでは、利用者は自分の好みに合わせて画面を作成でき、Power Automateでは、用意されているパーツをつなげば、ほとんどコードを書くことなくデータの処理・連携ができます。これらを使いこなすことにより、生成AIの活用範囲が広がっていきます。」
「今後は、プラグインの増加によるユーザビリティ向上に取り組むと同時に、Semantic Kernelを活用してオートマティックなプラグイン選択を実現する予定です。チャットUIの拡張と高度な機能の開発にも注力し、音声入力への対応や多様なユースケースに適用する計画があります。ローコード開発とチャットUIの進化について、また発表したいです。」
鈴木祥太/ソフトバンク株式会社
「GPT-4が登場し、これがもたらす生成AIの進化が非常に話題となっています。特に、GPTに「目と耳と口」が実装されるなどの進化が見られ、画像やテキスト、音声といったさまざまな分野での活用が進んでいます。」
「加えて、生成AIの進化はサービス増加にもつながっています。ソフトバンク社内では、1時間かかっていた作業が10分まで短縮されるなど、生成AIにより各業務の時間を大幅に短縮できています。」
「しかし一方で、生成AIの学習や活用には難しさがあり、多くの人が混乱を感じているという現状もあります。そのため、生成AI離れが進んでいると指摘されています。」
「解決策として『1人の1時間より100人の6分』を優先し、生成AIを組織全体で活用することが重要だと考えています。そのために、業務フローを洗い出し、生成AIをどのように業務フローに組み込むかをマニュアル化することが求められます。」
「マニュアル化が実現できると、chatGPTがExcelになり、生成AIを当たり前に使う世界が実現できると考えています。」
徳田哲久/ソフトバンク株式会社
「新しいインターネットの形として『データを自分の所有権・所有物にする』というのが一番のトレンドになっています。それを扱うため、秘密鍵を持っている、自分が所有しているという証明を暗号学的に保証するというところをWalletを通じて行っています。」
「それがWeb3の入り口であり、実際のデータを記録する元になるので、全てのNFTや金銭価値など全てがブロックチェーンに記録される大元になっています。」
「さらに、Web3が一般化するためには、一般のユーザーが容易に扱え、自己管理ができる形になることが重要です。そのための具体的なアプローチとして、Web3authという技術があります。」
「この技術は、秘密鍵を3つに分割し、その3分の2のシェアを使用して秘密鍵を復元する秘密分散技術を活用するというものです。これにより、一般的なソーシャルログインのUXを維持したままで、ユーザーが自身のデータを扱えるという主権性を保つことができます。」
「また、スマートコントラクトウォレットを使用し、ウォレットの機能をコードで管理することで、一般ユーザーにとってセキュリティが高く、かつユーザーフレンドリーな体験を提供することができます。」
「最終的に、ウォレット技術はマスアダプションに向けて進化を遂げており、セキュリティと利便性のバランスを保つ技術が目指されています。」
LTが終わり、最後に表彰式が行われました。
第三位は同率で2チームありました。
Starters「誹謗中傷とめるくん」とノラハック「人力 生成AI」でした!
第二位は、卍電車で来た卍「Pepperに”人格”を与えてみた」でした!
そして、栄えある第一位は・・・
小林杉野女(しょうりんすぎのおんな)「笑☆顔☆王」でした!
そして、栄えある第一位は・・・
小林杉野女(しょうりんすぎのおんな)「笑☆顔☆王」でした!
おめでとうございます!
最後は恒例の参加者全員で集合写真を撮って終了しました。
とても笑顔あふれる2時間となりました。ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました!
2023年11月10日まで、アーカイブで全編視聴が可能です。
ぜひ「SoftBank World 2023 公式サイト」より、登録をいただきご覧ください。
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