自然言語処理(NLP: Natural Language Processing)は、コンピュータが人間の言葉を理解し、処理する技術のことです。わかりやすく説明すると、NLPはコンピュータが人間の言葉を読んだり、話したりすることができるようになる仕組みです。
自然言語処理(NLP)は次のような特長があります。
言葉の意味を理解することができる
単語や文章の意味を理解することができます。たとえば、「犬は鳴く」という文章を読むと、犬が鳴くことを理解できます。
文章を生成することができる
与えられた情報に基づいて文章を生成することができます。例えば、あるトピックについて記事を自動生成することができます。
質問に答えることができる
人が質問をすると、その質問に適切な回答をすることができます。
NLPはAI(人工知能)の一部です。AIはさまざまな形式のデータを処理できますが、NLPは主に言葉や文章の処理に特化しています。ChatGPTは、この自然言語処理モデルの1つになります。
形態素解析
形態素解析は、文章を形態素と呼ばれる意味を持つ最小単位に分割する処理です。文章を単語や接辞に分割し、それぞれの形態素に品詞を付与します。例えば、「私はリンゴを食べる」という文を形態素解析すると、「私」「は」「リンゴ」「を」「食べる」という形態素に分割され、それぞれの形態素に名詞や助詞などの品詞情報が付与されます。
構文解析
構文解析は、文章の構造を解析する処理です。つまり、文の中で単語やフレーズがどのように組み合わさっているかを理解します。構文解析では、文法規則に基づいて文を解析し、主語や述語、修飾語などの関係を特定します。このようにして、文の構造や意味関係を把握することができます。例えば、「猫が魚を食べる」という文を構文解析すると、主語として「猫」、述語として「食べる」、目的語として「魚」が特定されます。
意味解析
意味解析は、文章の意味を理解する処理です。意味解析では、単語や文の意味を把握し、文脈に応じた解釈を行います。これには、単語の類似性や関連性、語彙的な意味関係などが考慮されます。例えば、「車を運転する」という文では、「車」は乗り物、特に自動車のことを指していると推定されます。
文脈解析
文脈解析は、文章を理解する際に文脈(周囲の文脈や状況)を考慮する処理です。文脈解析では、単語や文の意味を文脈に応じて解釈し、正確な意味を把握します。文脈解析には、前後の文脈や文のつながり、推論などが関与します。例えば、「彼女は犬が好きだ。彼女は犬を飼っている」という文脈の中で、「彼女」という単語は同じ人物を指していると解釈されます。
これらの処理はNLPの中核をなしており、自然言語の解析と理解に重要な役割を果たします。
NLPはさまざまな場面で活用されています。
機械翻訳
異なる言語間の文章を自動的に翻訳することができます。文法構造や表現方法など言語間の違いを理解し、より自然な翻訳を実現することができます。
自動要約
大量の文章から重要な情報を抽出し、要約することができます。多数の文書を処理することができ、短時間で要約することができます。例えば、検索エンジンの概要欄に表示される説明文や、記事の前書きなどの文章を自動的に生成することができます。重要なキーワードや文を自動的に抽出し、可読性と情報の正確性を両立しながら要約を生成します。
意見マイニング
文章中に含まれる意見を自動的に抽出し、分類することができます。例えば、製品レビューの文章から、その製品に対する評判や意見を自動的に抽出することができます。抽出した意見は、肯定的か否定的かなどの分類を行うことができ、企業のマーケティング戦略や新製品の開発、改善点の把握などに利用されます。
文書分類
ドキュメントを法律、医療、官公庁などの分野に分類することができます。各分野で使われる専門用語やフレーズを学習し、分類を決定します。分類により、ドキュメントの探索性や分析性を向上させ、迅速な情報収集を支援します。
バーチャルアシスタント
NLPを使ったバーチャルアシスタント(例:SiriやGoogleアシスタント)は、音声コマンドを受け付け、質問に答えることができます。
これらはNLPの一部ですが、NLPの技術はますます進化しており、新たな活用方法も開発されています。
NLPにはできないこともあります。
新しい言葉の理解
一般的な言葉については処理できますが、新しい言葉、専門用語、スラングなどに関しては理解できません。NLPシステムは、事前に学習された辞書や単語リストに基づいているため、新しい単語や表現が現れた場合、理解することができません。
感情と表現
言語データからは、ポジティブ、ネガティブ、ニュートラルな感情を判断することができますが、人間の感情を読み取るためには、言葉や表情、声のトーンなども重要な要素となります。自然言語処理ではこれらの要素を計算することができず、完全に正確な結果を得ることはできません。
文脈依存の意味の理解
言葉の意味を理解することはできますが、文脈依存の言葉の意味を正確に理解することはできません。同じ言葉でも、文脈によって異なる意味を持つことがありますが、NLPシステムは、文脈を正確に理解することができないため、誤った情報を処理することがあります。
例えば、NLPは人間の感情や複雑な文脈を完全に理解することは難しいです。また、一部の言語や方言に対応することも困難です。
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