コロナ禍でもマスクの大量供給を可能にしたハイアールの産業用プラットフォーム「COSMOPLat」

2020年6月22日掲載

新型コロナウイルス感染が拡大しはじめた時、中国ではマスクや防護服を急遽大量生産する必要に迫られました。このような緊急事態でも、産業用インターネットがあれば大量生産をスマートに実現できます。

産業用インターネットが実現できることは多岐に渡ります。たとえば生産現場では、異なる企業が結びつき、多種多様な生産依頼を効率的に受注生産することを可能にしました。

今回は数多くある産業用インターネットソリューションの中でも、家電のグローバルブランドとして有名なハイアールが提供する「COSMOPLat」の事例を紹介します。

マスクや医療物資の緊急量産を可能にしたプラットフォーム構築

ハイアールCosmoplatの緊急物資のマッチングサービス「新冠病毒戦疫供需平台」 ハイアールCosmoplatの緊急物資のマッチングサービス「新冠病毒戦疫供需平台」

新型コロナウイルス感染拡大期間中、COSMOPLatはマスクや医療物資の製造に特化し、多くの工場を急遽マスク量産工場へと変えることに成功しました。

たとえば山西省候馬市では、省内のさまざまな医療機関からのマスクニーズに応えるため、リソースを調整しました。その結果、マスク自動生産ラインを6日間で構築し、1日10万枚ものマスクの量産に成功したのです。

また1月末には、医療物資資源情報プラットフォームをリリース。マスク・防護服・消毒液などの、需要と供給のマッチングを可能にしました。

加えてこのプラットフォームは、マスクの材料など、資源の需要と供給も結びつけました。その結果、マスクの材料を生産する企業・マスクを組み立てる企業・両社の間でマスク材料を運ぶ物流企業のそれぞれのリソースをムダにすることなく、中国全土にマスクを供給し続けることに成功したのです。

異業種企業と提携し、企業が活動再開するための支援を実現

またCOSMOPLatは提携した異業種企業と共に、企業活動再開ソリューションを発表しました。これは医療物資の生産環境のスマート化にとどまらず、企業が活動再開するために必要な各種サービスを、提携した専業の企業が担当するというものです。

たとえば居住サービスであれば、中国で漢庭酒店や海友酒店などのホテルチェーンを運営する華住会が役割を担い、金融サービスであれば、大手銀行の招商銀行や交通銀行や中国建設銀行が役割を担います。ハイアールも自社の空気清浄機や自走ロボットを、再稼働する企業クライアントが利用する華住会ホテルに提供しました。

ハイアールが華住会系ホテルに提供した無人ロボ ハイアールが華住会系ホテルに提供した無人ロボ

このソリューションによって、下記にあげた企業再開のために必要な支援が、円滑に提供されたのです。

  • リモートオフィス
  • オンライン設計サービス
  • 人材確保
  • スタッフのオンライントレーニング
  • スタッフの体調管理スマートツール
  • 金融サービス
  • 居住サービス

今回のコロナショックを受け、医療物資を必要とする病院と工場をマッチングするサービスが急遽提供されました。同様に、マスクの材料を生産する企業・組み立てる企業・物流企業をマッチングするサービスも活用されました。企業再稼働をしっかりとバックアップしつつ、企業のリソースをマスクや医療機器製造に注力させたのです。

産業用インターネットは万能ではありません。「産業インターネット化を進めてみたけれど、役に立たなかった」という実例を紹介する報道もされています。ですが、緊急時でも医療物資を効率的に生産するための産業用インターネットは、今後も必要とされるものではないでしょうか。

新型コロナウイルスだけでなく、未曽有の大災害による危機は急遽訪れるもの。いざという時に複数の企業が手を組み、必要物資をスムーズに製造して、必要なところに提供できるようなシステムを構築することは、今後も求められるでしょう。

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