フォーム読み込み中
- どれだけ素晴らしいデザインでも、お客様に伝わらなければ意味がない -
BtoBプロダクトにおいて、「売れるデザイン」を実現するためには営業活動や顧客の利用体験全体を見据えた「チャネル設計」が重要になります。
この記事はソフトバンク アドベントカレンダー2024に参加しています。16日目の記事です。
本記事では、法人営業からUX/UIデザイナーにキャリアチェンジした私の経験をもとに、売れるデザインを実現するためのアプローチを紹介します。
現在の業務
AI/DX人材育成サービス『Axross Recipe for Biz』のUX/UIデザインを担当
経歴について
私の経歴は少し変わっています。最初はデザイナーではなく、ソフトバンクに新卒で入社し、法人営業に配属されました。その後、自分の希望でUX/UIデザイナーに転身しました。
最初の3年間は、法人向けにスマートフォンやさまざまなITソリューションの提案と導入を担当していました。3年間のうち、最後の半年間は、法人営業の仕事をしながら、社内の副業制度を利用して現在の部署でデザイン業務を担当しました。
4年目からは、自分で手を挙げて現在の部署に異動し、『Axross Recipe for Biz』のUX/UIデザインを担当しています。
ソフトバンクグループの社内起業制度にて事業化検討が決定され、「AI・データを活用したDX人材育成・DX定着支援サービス」として立ち上げられたサービスとなります。エンジニア育成の"教育"と"実務"のギャップに着目し「学んだ知識を実践で活かせるようにしたい」という想いから生まれました。「Axross Recipe for Biz」では、現場で活躍しているエンジニアがAI開発ノウハウや事例を教材化し、700種類以上の実践的カリキュラムで企業のAI・DX人材の内製化を支援しています。最近では企業向けサービスとしてChatGPTやMicrosoft Copilot関連のカリキュラムも提供しています。2023年7月からは新たに「生成AI活用プラン」を導入し、法人向けに生成AIの活用法や安全な利用方法を学べるコンテンツも幅広く提供しています。
ソフトバンクで内定者アルバイトをしていた際、業務の一環で告知画像の作成を経験しました。そのときにデザインによってプレビュー数が変動することに気がつき、デザインが単に見た目を綺麗にする手段だけではなく、ユーザーの行動や心理に影響を与える手段だと知ったことで興味を持ちました。その後、本やYouTubeで独学で勉強して、社内副業でデザイン業務を経験したのちに、部署異動を経てUX/UIデザイナーにキャリアチェンジしました。
売れるデザインの実現には「デザインそのもののクオリティ」とその価値を正しく届けるための仕組み、つまり「チャネル設計」の2つの要素が必要だと考えます。
今回はデザインの価値を正しく届けるための仕組みである「チャネル設計」について、法人営業時代の経験から学んだことも踏まえて考えていきます。
法人営業時代に導入したスマートフォンをお客様にて初期設定いただく際に、事前に設定マニュアルを作成して配布しました。マニュアルの存在によりある程度問い合わせが抑えられたと感じた経験があり、事前に周知することの大切さを実感しました。それでもイレギュラーの問い合わせはあったので、同時にお客様にとってサービスの変更が与えるストレスの大きさを実感しました。
こうした経験から、スムーズな導入体験によりデザインが持つ価値を最大限に引き出すためには、単に情報を提供するのではなく誰にどんな情報を届けるかという「チャネル設計」が重要だと考えるようになりました。
BtoBプロダクトにおける情報伝達フローとしては大体こちらの図になるかと思います。
プロダクトが自社営業に情報を伝えて、自社営業がお客様である運用担当者に、運用担当者がエンドユーザーである社員に伝える流れになります。
さらに伝達漏れを防ぐため、プロダクトからも直接運用担当者・エンドユーザー向けに情報を伝達すると尚良いかと思います。
異なるニーズを抱える各チャネルに対して、それぞれの立場に立った上で、「デザインの価値がどのように伝わるのか」を考えることが、売れるデザインを生む鍵となります。
私が実際に業務でAxross Recipe for Bizのオンライン学習のHOME画面をリニューアルするプロジェクトをリードした経験から、効果的なチャネル設計について検討した内容を共有します。
プロジェクトの概要としては、オンライン学習のHOME画面が元々は左図のようにカード形式で講座を表示していたものの、受講順になっておらず「どこから学習すれば良いか分かりづらい」、「全体的な進捗が把握しづらい」という課題がありました。この課題を解決するために、右図の新しいHOME画面では学習ロードマップを導入しました。これにより、ユーザーは受講順序や進捗状況を一目で確認できるようになり、学習がよりスムーズに進むように改善されました。
新しいHOME画面をリリースするにあたり、元々法人営業をしていた経験を活かし、先ほどお伝えした3つのチャネル「自社営業」「運用担当者(お客様)」「エンドユーザー(お客様)」がそれぞれどんな懸念・ニーズを抱えているかを整理、適切なアプローチを検討したため共有します。
自社営業は法人管理者やエンドユーザーに一番近い存在であり、顧客との橋渡しをする重要な役割です。営業が正確かつ安心して顧客対応できる状態を作ることが大事なポイントです。
サービスの変更時に自社営業が気にするポイントは、お客様、特に運用担当者への正確な情報伝達により信頼関係を構築することです。また個別カスタマイズをしているお客様がいる場合、事前に影響を把握、対策を準備する必要があります。
アプローチ方法としては、リリース前に自社営業向けの説明会を実施しました。この際、単に変更点を伝えるのではなく、実際に画面を使ってデモを実施することで、営業自身の解像度が上がり、お客様への説明がしやすくなります。また、提案資料の更新も行いました。提案資料では単なる機能説明ではなく、「お客様の抱えるどんな課題をどう解決するのか」というコンセプトやユースケースを訴求することで営業が提案しやすい説得力のある資料になります。
また既存顧客への対応について、事前に懸念点とそれに対する対応パターンを洗い出しました。例えば契約終了間近のお客様の画面を切り替えてしまうとユーザーの混乱を招いてしまうため、切り替えない方針とする、といった形でお客様ごとにリストアップして営業に共有しました。状況に応じて営業からお客様に事前説明のミーティングを実施することで、懸念点を払拭しました。
運用担当者はエンドユーザーの代表としてサービス変更を受け入れる立場となり、導入による負担を最小化することが重要になります。
特に気にするポイントは、サービスが変更されることでエンドユーザーが混乱することです。
アプローチとしては、サービス変更を運用担当者にメールで連絡する際に、運用担当者とエンドユーザーの両方の立場から見て分かりやすい資料をそれぞれに作成しました。運用担当者の仕事はエンドユーザーに変更点を知らせることなので、その資料を送るだけで簡単に周知できるようにして、運用担当者の負担を軽減しました。
エンドユーザーはサービスの最終利用者であり、変更が直接彼らの体験に影響します。混乱を与えず、スムーズに利用できるようにすることが重要です。
アプローチ方法として、切り替えのタイミングを特に重視しました。オンライン学習では、多くのお客様が月末にコースの受講期限を設定しており、この時期に利用が集中することが多いです。このようなタイミングで新しいHOME画面に切り替えると、万が一システムトラブルが発生した場合、お客様の業務に大きな影響を与えてしまいます。そのような事態を避けるために、利用が集中する時期を事前に把握し、その時期を避けて切り替えを行うことで、業務への影響を最小限に抑えるよう努めました。
このように売れるデザインを実現するためには「チャネル設計」が重要になります。各ステークホルダーの特性や懸念点を正しく理解し、適切な情報を的確なタイミングで届ける必要があります。
私個人としては、法人営業の経験を活かすことで、顧客の実際の体験やビジネス上の影響を理解し、デザインだけでは解決できない部分を補うアプローチを学ぶことができたと感じています。
デザイナーとして「価値を届ける仕組み」まで考慮したデザインを追求することで、より多くのユーザーに感動を届けられるようになると考えています。
ソフトバンク アドベントカレンダー2024、18日目もおたのしみに!
ソフトバンクグループの社内起業制度にて事業化検討が決定され、「AI・データを活用したDX人材育成・DX定着支援サービス」として立ち上げられたサービスとなります。エンジニア育成の"教育"と"実務"のギャップに着目し「学んだ知識を実践で活かせるようにしたい」という想いから生まれました。「Axross Recipe for Biz」では、現場で活躍しているエンジニアがAI開発ノウハウや事例を教材化し、700種類以上の実践的カリキュラムで企業のAI・DX人材の内製化を支援しています。最近では企業向けサービスとしてChatGPTやMicrosoft Copilot関連のカリキュラムも提供しています。2023年7月からは新たに「生成AI活用プラン」を導入し、法人向けに生成AIの活用法や安全な利用方法を学べるコンテンツも広く提供しています。
条件に該当するページがございません