Gemini で実現するクラウドコストの最適化とFinOps

2024年12月25日掲載

Gemini で実現するクラウドコストの最適化とFinOps

この記事はソフトバンクアドベントカレンダー2024の25日目の記事です。

生成AI の進化とともにクラウドへの需要がますます高まっていく中、クラウドサービスを利用しているけど、サービスの料金分析に困ったことありませんか?

  • クラウドサービスは従量課金なので来年度の予算を決めにくい
  • コスト最適化方法、削減方法を知りたい
  • 異常な支出パターンがないか把握したい

最近、このような問題を解決してくれる Cloud Billing での Gemini Cloud Assist in Billing (*)機能がパブリックプレビューで公開されましたので、早速使ってみました!
(*) クラウドサービスなので随時機能追加や仕様変更が生じる場合があります。

Cloud Billing での Gemini Cloud Assist は、FinOps でトレーニングされたモデルを使用して費用レポートを分析、およびコスト最適化を支援するツールとなります。

このブログでは、Cloud Billing での Gemini Cloud Assist の主な特徴と利点、そしてどのようなことができるのかを実際の環境を使いながら解説します。そのほか参考となるプロンプト例もいくつか紹介しますので、少しでも皆さんのビジネスにお役に立てれば幸いです。

目次

Billing での Gemini Cloud Assist の主な特徴

Gemini による分析

Cloud Billing での Gemini Cloud Assist は、FinOps に焦点を当てた AI アシスタンスによるコストレポートの作成、主要な洞察をまとめることで、簡単かつ迅速にクラウドコストの理解と管理を行うことができます。具体的には以下のことができます。

  • コスト傾向の分析
  • 重要なコスト要因の特定
  • 支出の異常検出
  • パーソナライズされたコストレポートの生成

自然言語による対話

ユーザーは自然言語のプロンプトを使用して Cloud Billing での Gemini Cloud Assist と対話し、カスタムコストレポートを作成したり、クラウド支出に関する質問をしたりすることができます。直感的なインターフェースにより、複雑な請求情報に素早く簡単にアクセスすることが可能です。

時間節約

Cloud Billing での Gemini Cloud Assist のもう一つの主な特徴は、コストの削減とリソース放置に関する懸念点を特定することです。具体的には以下のことができます。

  • 十分に活用されていないリソースの特定
  • アップグレードの潜在的な問題の発見
  • コスト削減への推奨事項の提示

実際の例

実際の画面を見ながらどんなことができるのかを見ていきましょう。
Cloud Billing での Gemini Cloud Assist の設定とアクセスについては、公式ページをご確認ください。

例①

<プロンプト>
現在のコスト傾向が続くと、年間予算をいつ超過しそうですか?

<回答>
過去に利用したサービスと料金傾向に基づく分析を実施したうえ、予想した金額とレポート、内訳を表示してくれました。

Gemini Cloud Assist によって提供された概要

  • 2024年12月 の間に ¥102,848 の支出がありました。 これは 2024年11月 と比べて 4% の減少でした。
  • 前の期間と比べて -¥44,481 の費用(-74%)の名目上の変化が最大となったのは Support でした。
  • 異常な支出パターンを調査するには、異常ページに移動します

<回答イメージ>


例②

<プロンプト>
使用率の低いリソースを特定し、潜在的な節約額を示してください。

<回答>
コスト削減への推奨事項およびレポート、内訳が表示されました。

Gemini Cloud Assist によって提供された概要

  • 12月 1-18, 2024 の間に ¥102,848 の支出がありました。 これは 11月 12-30, 2024と比べて 65% の増加でした。
  • この期間中に ¥77,652 を節約しました。 さらに節約するための推奨事項を確認するには、FinOps ハブにアクセスしてください
  • データを BigQuery にエクスポートすると、費用の詳細を確認できます。

<回答イメージ>


例③

<プロンプト>
異常(*)な支出パターンはありますか。
(*) 異常とは、過去の支出パターンに基づいた著しい費用支出のことです。以下の費用は使用料金を示しており、確約利用割引やクレジットは含まれません。

<回答>
概要として異常パターンへのページが案内されました。そのほか現在の支出料金とコスト最適化に向けた推奨事項も合わせて概要として提示されました。

Gemini Cloud Assist によって提供された概要

  • 12月 1-18, 2024 の間に ¥102,848 の支出がありました。 これは 11月 12-30, 2024と比べて 65% の増加でした。
  • この期間中に ¥77,652 を節約しました。 さらに節約するための推奨事項を確認するには、FinOps ハブにアクセスしてください
  • 異常な支出パターンを調査するには、異常ページに移動します

<回答イメージ>

異常パターンのページにアクセスすると「ずれ割合が大きい」プロジェクトとその内容が表示されました。

さらに、個別しきい値の設定による異常検知も可能です。

FinOps ハブ

FinOps(*) ハブへアクセスして具体的な推奨事項も確認してみましょう。
ご覧の通り、コスト削減見込みと上位の推奨事項や温室効果の排出量を含む FinOps 観点での概要が表示されました。
(*) FinOpsは、Finance(財務)とDevOpsの合成語で、組織がクラウド利用を通じて最大のビジネス価値を得ることを目的としています。

プロンプト例

コスト分析と最適化を実現するためのプロンプト例をいくつかご紹介します。

コスト分析と予算管理

  • 過去3ヶ月間で最もコストが増加したサービスはどれですか?
  • 現在のコスト傾向が続くと、年間予算をいつ超過しそうですか?
  • 過去1年間のコスト傾向を分析し、季節的な変動パターンを特定してください。

コスト最適化

  • 使用率の低いリソースを特定し、潜在的なコスト削減額を示してください。
  • 現在のリザーブドインスタンスの使用状況と、追加購入による潜在的なコスト削減額を教えてください。
  • ストレージコストの内訳とコスト削減の推奨事項を教えてください。

異常検出

  • 先月の予期せぬコスト増加の原因となったリソースやサービスはありますか?
  • 異常な支出パターンはありますか。

まとめ

Cloud Billing での Gemini Cloud Assist は、自然言語によるコストレポートの作成、主要な洞察のまとめ、詳細なコスト傾向の分析をすることで、FinOps の機能を大幅に強化しています。

Cloud Billing での Gemini Cloud Assist を活用することで、クラウドコスト管理への広範な専門知識を必要とせずに、組織のクラウドコストを簡単かつよりよく理解しコストの中身を把握し、コストの最適化を実現しながらクラウドの価値を最大限に引き出すことが可能です。

段階的な観点での最適化方法としては、まず、各サービスやプロジェクトごとのコスト傾向を分析し、最適化の余地がある領域を特定します。そのうえ、特定サービスにおけるコストの最適化方法に関する具体的な提案をえて、優先度順にリスト化し、段階的に実施していきます。実施していく過程で定期的にレポートを確認し、最適化の進捗状況を追跡することも大事ですね。

長期的な観点での最適化方法としては、過去6ヶ月など、一定期間のコスト傾向を分析し、長期的なコスト削減の戦略を立てるためのインサイトを提示してもらいます。そのうえ、提案された戦略のもとに、コミットメント割引(CUD)やスポットインスタンスやプリエンプティブルインスタンスの適切な利用を検討、実施することで大幅なコスト削減を実現することが可能です。

今まで Excel や データベースで管理されていたコスト管理、そのコスト管理に精一杯で最適化まで考慮できなかった方、その業務を Gemini に託してみるのはいかがでしょうか。

この記事で、ソフトバンクアドベントカレンダー2024は終わりになりますが、テックブログは続いていきますので引き続きよろしくお願いします。

最後に、当社の Google 生成AI サービスをご紹介して終わりにしたいと思います。

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