(2020年1月9日掲載)
目次
ニーハオ!ソフトバンクの中戸川です。
AlibabaはECサイト(タオバオ、天猫)が有名な中国IT企業ですが、このECサイトの基盤も実はAlibaba Cloudの上で稼働しています。
今回は最新のAlibaba Cloud情報収集や本プロダクトを活用したソリューションを検討するために、ソフトバンクやSBクラウドの方々と一緒に年に1度中国の杭州で開催されるカンファレンス「Alibaba Apsara Conference 2019」に参加してきました。
発表や展示に加え現地の中国事情も交えてご紹介いたしますが、情報が多いため2回に分けてお伝えいたします。
それでは見て行きましょう!
1.Alibaba Apsara Conferenceとは
Alibabaグループが主催する年次最大のカンファレンスです。杭州の云栖という地域で開催しているので中国語では「云栖大会」といいます。
開催日:2019年9月25日(水)〜27日(金)
場所:中国(杭州)
参加者:約67,000人
オンライン配信視聴者:1,250万人超
URL:https://yunqi.youku.com/?spm=a2c4e.11165380.1386816.2
※2019年実績
2.会場
場所は杭州駅(市内)からタクシーで南へ30分ぐらい行ったところにあります。キーノートセッションが9月25日の午前中に発表されるため、朝一番で会場に到着しました。
受付には顔認証デバイスがありますが、まだ使えませんでした。。受付でパスを受け取って
QRコードで入場します。
入り口を抜けて中に入ると広い会場が広がっています。
会場全体はこんな構成になっています。
3.Keynote
Keynoteで発表された内容を紹介していきます。
デジタル経済インフラの構築
題名:Building a digital economic infrastructure
登壇者:Zhang Jianfeng
肩書:Chief Technology Officer of Alibaba Group and President of Alibaba Cloud Intelligence
セッション動画リンク:https://yunqi.youku.com/2019/hangzhou/review?spm=a2c4e.11165380.1395223.1
※中国語
内容
- ビックデータとコンピューティングにより、さまざまな業界で新しい需要と供給を生み、新しい消費が生まれている
- 新しい供給に対してデジタルを用いた新たな価値を付加することが非常に重要
- デジタルエコノミー形成し、実現のためにはビックデータ(燃料)とコンピューティング(エンジン)が必要
- 今後量子力学の研究が進み、データの高速処理が実現する
- ビジネスやFinTechなどの分野でのBigData やAIの応用が期待される
コメント
Alibabaは単にクラウドを提供する事業者ではなく、クラウドを活用してさまざまな業界の企業と一緒にDigital Transformationに取り組んでいくんだ、という強いメッセージを押し出していました。
内容
- 全てのサービスにAIを活用
- パブリックで提供される全てのサービスにデータインテリジェンスを活用
・公共管理(電気、水道、ガスなどの公共インフラ)
・ 都市管理(交通、不動産、清掃、防災、環境保全など)
・市民提供サービス(役所手続、保険、金融など)
コメント
Alibaba自社のプラットフォーム(ECサイトのタオバオ、天猫など)で収集・解析したデータを利用したサービスはあるのですが、こちらはあらゆるデータを集めて一般市民すべての人に利便性を享受できるような社会インフラとして提供するという話です。スケールが大きいですね!
内容
- Hanguang 800チップはAI処理に特化したGPUであり、Alibabaが自社で開発
- ハードウェアのアーキテクチャは、Alibaba Damo Academy(研究施設)で研究開発
- 1つのチップで10個のGPUに相当する処理能力
- タオバオ(淘宝)にアップロードされる数十億枚以上の商品画像を分類
- 処理能力向上
・検索、パーソナルレコメンデーションする処理にかかっていた時間が1時間→5分へ短縮
・杭州市道路のリアルタイム動画処理は40個GPU、遅延300ms→4チップ、遅延150msへ改善
コメント
今回一番大きな話題となったAlibaba自社開発のGPUの発表がありました。AIチップはGoogleも開発を進めていますが、Alibabaは真のソフトウェアとハードウェアの統合と相乗効果を持つハイテク企業戦略を打ち出しています。すでに実績値を出してきており、スピード感を感じます。近々Alibaba Cloudのプロダクトとして利用ができるようになることを期待したいですね〜。
クラウドのAI業界のAI
題名:Cloud AI Industry AI
登壇者:Ma Jin
肩書:Alibaba Cloud Vice President, General Manager of Product and Solution Management
内容
- Alibabaの日時処理データ量
・20億枚の画像データ
・55万時間分の音声データ
・5,000億フレーズ自然言語処理
・1,600億回ビデオAI実行 - Alibabaの日時AI利用
・サービス利用ユーザー数は 10億人(全世界)
・1兆回(10,000億回)以上の実行
コメント
Alibaba Damo Academy(研究施設)は設立から2年で、自然言語処理・音声・ビデオのAI領域など40項目以上で世界一を獲得している!とのこと。最近中国がAI分野での論文数が世界一になったというニュースをいろんなところで見ますが、Alibabaも論文数を積み上げるのに重要な役割を持っている企業であると感じました。
4.Breakout Session
個別セッションで発表された内容を紹介していきます。
ChinaGatewayセキュリティー・ソリューション
題名:Anti-fraud, strong wind control, escort business system: China Gateway security solution
登壇者:Roland Zhang
肩書:Fortinet Asia Technical Director
内容
- Fortigateの仮想アプリケーションがAlibaba CloudのMarketplaceから利用可能
- FortigateとAlibaba Cloudのハイブリッド構成の紹介
コメント
日本でもおなじみのFortigateですが、Alibaba Cloudとも提携し世界中のさまざまな顧客に提供されているという話で、事例の内容は中国に拠点がある大手外資企業がヘッドクオーター拠点のアメリカ、シンガポールをAlibaba Cloudのネットワークプロダクトで接続し、Fortigateセキュリティーを組み合わせて利用しているというものでした。世界という視点で見てもAlibaba Cloudが存在感を出してきているなと感じました。
5.終わりに
セッション内容を中心にレポートさせていただきましたが如何だったでしょうか。
今回はソフトバンク、SBクラウドだけでなくパートナー企業様からもたくさんの方々が参加しており、皆様と一緒に現地で中国最先端のテクノロジーを堪能できたと思います。
ソフトバンクではAlibaba Cloudのプロダクト提供に加え、クラウドSEによる設計・導入支援、運用サポートや中国進出支援、サイバーセキュリティ法対策まで幅広く対応可能です。気になるキーワードがございましたらお気軽に以下のフォームよりご相談いただけたらと思います。
最後までお読みいただいてありがとうございました。
次回はブース展示の模様と番外編をレポートする予定です、お楽しみに。
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