公開日:2022年3月3日
更新日:2025年2月7日
新年度を控え、引っ越しを検討している方もいるのではないでしょうか。新社会人の方や転勤・転職が決まっている方にとって、2月~3月は引っ越しの準備を始めることが多い時期です。
引っ越しは電気代を節約するチャンスです。新生活をスタートさせる際には、自分に合った電力会社や契約プランを選択し、節約する意識を持つとよいでしょう。
今回は引っ越しにおける電力会社の選び方や電気代の節約方法、必要な手続きなどをご紹介します。新生活をおトクに始めるためにも、ぜひ参考にしてみてください。
引っ越しは契約する電力会社を見直すよい機会です。
以前は、家庭や商店向けの電気は、各地域の電力会社(東京電力・関西電力・中部電力など10社)だけが扱っており、消費者が自由に購入することはできませんでした。
しかし、2016年(平成28年)に電力が自由化され、今では契約する電力会社を複数の事業者から選べます。新規参入した「新電力」と呼ばれる会社が全国各地で749社あり、消費者は各家庭に合った電力会社と契約できます(2025年1月21日現在)。
自分のライフスタイルや価値観に合った電力会社を選ぶと料金プランやサービスをうまく活用でき、電気代を節約することが可能です。
引っ越しの際には必ず電気の使用に関する手続きが発生します。引っ越しを機に電力会社を見直せば、おトクに新生活を始められるでしょう。
「電力の小売全面自由化」で新たな電力会社が算入し、さまざまな料金プラン・サービスが登場しています。
世帯人数に応じたプランや、時間帯によって単価が変化する時間帯別料金プランなどが代表的です。多種多様な料金メニューから、自分のライフスタイルに合ったプランを選べます。
また、電力会社によっては電気とガスをセットにした割引メニューや家庭の省エネ診断、ポイントサービスなども提供しています。
各電力会社の特性を知り、自分のライフスタイルに合った会社を選ぶことで、快適かつおトクに電気と付き合えるでしょう。
実際に電気の契約を見直す場合は、どのような点に注意する必要があるのでしょうか。ここでは、知っておきたい選び方のポイントについて紹介します。
一般的に電気料金は、毎月定額でかかる「基本料金」と、月々の電気使用量に対して課金される「電力量料金」によって決まります。
電気を多く使う場合は、1kWh(キロワットアワー)あたりの単価が低い電力会社を選ぶとよいでしょう。一方で、電気をあまり使わない場合は、基本料金が低い電力会社を選ぶとおトクに使用できます。
電力会社によっては、以下のようにさまざまな料金プランを用意しています。
・電力使用量の少ない世帯や一人暮らし向けのプラン
・電力使用量が多い世帯や家族世帯向けのプラン
・一定の電気使用量までは定額になるプラン
・電力量料金の単価が時間帯によって変動するプラン
ほかには、電気料金の支払い方法をクレジットカードにするとポイントが貯まるプランなどもあります。自分の生活のスタイルに合わせて、使いやすいプランを選びましょう。
電力会社が提供しているインフラサービスや通信サービスなどとまとめて契約すると、割引が適用されるケースがあります。「電気とガス」「電気とスマホ」など、セット契約も選択肢の一つです。
また、セット契約にするとポイントが多く貯まる場合もあります。月々の電気代がそこまで変わらなくても効率よくポイントが貯まれば、実質的に経済的な恩恵を受けられます。
ポイントサービスの有無や内容も、電力会社選びの際に確認してみてください。
また、販促キャンペーンを実施している会社がないか、併せて確認するのもおすすめです。引っ越しシーズンに合わせた期間限定キャンペーンを実施している場合は、特典を利用することでさらなる節約につながる可能性があります。
ブレーカーの容量によって基本料金が決まるブレーカー契約の場合、電気料金で基本となるのは契約している「アンペア数」です。
契約アンペアの数値は、同時に使える電気の量を表しています。アンペア数が低いとブレーカーが落ちて停電する可能性があり、逆に使用量に比べて設定したアンペア数が高すぎると基本料金が高くなり電気代の負担が重くなります。
引っ越しの際には自分の電気使用量を確認したうえで、適切なアンペア数で契約しましょう。なお、一般家庭における契約アンペアの目安は以下のとおりです。
世帯 | 契約アンペアの目安 |
---|---|
1人暮らし | 20~30アンペア |
2人暮らし | 20~50アンペア |
3~4人暮らし | 40~50アンペア |
5人以上 | 50~60アンペア |
これらの見直しポイントを踏まえて、適切なアンペア数や生活時間帯に合わせた、おトクなプランを選んでみてください。
政府の家計調査では、2023年における単身世帯の平均的な電気代は6,726円というデータがあります。また、先ほどの一般家庭の電気使用量データからみても、単身世帯の契約アンペアは20~30Aが一般的です(アンペア契約がある電力会社の場合)。
基本料金と電力量料金について考えたとき、電気使用量の少ない一人暮らしでは、電力量料金が一定額のプランだと結果的に割高になってしまう可能性があります。使用量にかかわらず同じ単価が適用されるため、一般的に使用量の少ない一人暮らしの方にとって不利になりやすいのです。
「いくらまでなら電気代は同じなのか」「自分が使用している電力はどの程度なのか」を確認し、契約内容に無駄がないかを把握しましょう。
自分の生活スタイルに合わせて、料金プランを柔軟に選択できる点は一人暮らしのメリットです。生活スタイルだけでなく自分の使っているクレジットカードやスマホキャリアなどに合わせて、セットで契約できる余地があるかも確認してみてください。
電気代を見直すにあたって、家電製品の買い替えを検討してみましょう。型式が古く消費電力量が多い家電製品から高性能かつ省エネタイプの家電製品に買い替えれば、電気代の節約につながります。
日本の家電製品の電源周波数は、富士川(静岡県)周辺と糸魚川(新潟県)周辺を境に、東日本側は50Hz(ヘルツ)、西日本側が60Hzとなっています。東西をまたいで引っ越しを考えている場合は、持っている家電製品が対応しているかどうかも確認して、無駄な出費にならないように気を付けてください。
また、不用品を処分すると引っ越し費用を軽減できます。節電と節約の両面から、おトクな引っ越しを実現しましょう。
ひと口に省エネタイプの家電製品といっても、性能はさまざまです。経済産業省資源エネルギー庁によると、新しい家電製品へ買い替えることで見込まれる節約効果は、以下のとおりです。
家電製品の種類 | 10年前と比べたときの省エネ効果 |
---|---|
冷蔵庫 | 約28〜35% |
照明器具 | 約86%(白熱電球から電球形LEDランプとの比較) |
エアコン | 約15% |
また、省エネ性能の高い製品の普及を促進する制度として「トップランナー制度」があります。これは機器を製造する際に、各機器で商品化されている製品のなかでもっとも省エネルギー基準が優れている機器の性能以上にするというものです。
各製品に表示されている省エネルギーラベルを見ると、トップランナーの基準を達成しているかどうかが分かります。
基準を達成しているものはグリーンの省エネ性マーク、未達成のものはオレンジの省エネ性マークがついているので、買い替えの際に目安にするとよいでしょう。
機器の選び方にも、いくつかポイントがあります。
冷蔵庫の場合、インバーター機能や真空断熱技術を用いた製品は省エネ性能が高い傾向にあります。容量(リットル)は大きさに比例して消費電力量が大きくなるわけではないため、ライフタイルに合わせて適切なサイズを選ぶとよいでしょう。
テレビは基本的に画面が大きいほど電力を消費します。ただし、液晶や有機ELなどパネルの種類によって消費電力量が異なるため、購入時に確認しましょう。明るさセンサー・オフタイマー・無操作自動オフ・無信号自動オフなどの省電力機能を搭載した機種を選べば、より節電になります。
引っ越しのタイミングで家電製品を買い替えるなら、基本的な性能だけでなく省エネ機能の有無も確認してみてください。
購入してからそこまで年数が経過していない家電製品に関しては、買い替えないこともあるでしょう。買い替えない場合は、引っ越しを機にお手入れをすれば、電気代の節約につながります。
例えば、エアコンや空気清浄機などのフィルターを掃除したりテレビの画面に付着しているホコリを取ったりすれば、消費電力を抑えられます。また、照明器具のカサが汚れていると暗く感じるため、照明器具の清掃やLED電球の導入を検討するとよいでしょう。
一般的に電化製品のお手入れを怠ると性能が低下し、不具合や故障を起こすリスクが高まります。買い替えのコストを抑え、電気代を安くするためにも、引っ越しを機に家電製品のお手入れを意識してみてください。
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記事を読む引っ越しの際には、旧住居の電気を停止する手続きと、新住居で電気を使用開始する手続きが必要です。
電気の手続きを計画的に行わないと切り替え時期がずれ込んでしまうこともあります。また、停止の手続きが遅れると、引っ越したにもかかわらず旧住居の電気料金を無駄に支払う事態にもなりかねません。
基本的に電力会社では前回の検針日から検針日の前日までを1ヵ月の電気料金としており、その間に引っ越しの日を迎えた場合は日割り計算を行います。計画的に電気の引っ越し手続きを行い、無駄な支出の発生を防ぎましょう。
電気の使用停止や開始の手続きは、1ヵ月先までの申し込みが可能です。遅くとも5日前(できれば土日をのぞく1営業日前)までに、利用開始の手続きを終えておくとよいでしょう。
また、旧住居で契約している電力会社への停止連絡は、3日前までを目安にしておくとよいでしょう。
停止の連絡はインターネットか電話で行うのが一般的です。インターネットでは電力会社のホームページからいつでも申し込めますが、引っ越しの日程が迫っている場合は受け付けてもらえないことがあります。
電話で申し込む場合は直接日時を伝えられるため、当日に受け付けてくれるケースもあります。ただし、3月から4月にかけて引っ越しが多い繁忙期は、電話がつながりにくいことがあるため注意しましょう。
どちらの方法で申し込む場合でも日程にゆとりを持って、早めに利用停止の手続きを済ませておくと安心です。
電気の使用を停止する手続きでは、以下の情報が必要となります。すべての情報を手元に準備したうえで、手続きを始めましょう。
引っ越し先でも同じ電力会社を利用する場合は、旧住居での電気使用停止と新居での電気使用開始をまとめて申し込めます。引っ越し先のエリアで使用する電力会社について、前もって確認しておきましょう。
電気を停止する際に立ち会いは必要ありません。また、退去時には万一の漏電事故を考えて、必ずブレーカーを落としておきましょう。
新居で電気使用を開始するとき、以下の情報が必要となります。
電気を使用開始するときの手続きは、電話またはインターネットで行うか、新居に備え付けられている「電気使用申込書」に必要事項を記入して郵送する方法があります。一般的に、インターネットでの手続きがスムーズです。
なお、実際に電気の使用を開始する方法は、電気メーターのタイプによって異なります。引っ越しをする前に、どのタイプの電気メーターなのか把握しておきましょう。
従来型の電気メーター(玄関脇や物置などに設置されている分電盤) | アンペアブレーカー→漏電遮断器→配線用遮断器の順に、つまみを「入」にする |
---|---|
スマートメーター | 事前に使用開始手続きが済んでいれば、ブレーカーの操作を行わずに電気が使える |
スマートメーターは、電力会社から通電の停止・開始が遠隔操作で行われるため、契約が済んでいれば引っ越し当日から電気を使用できます。
ただし、申し込んでから開通まで2営業日ほどかかることがあります。引っ越し前の申し込みを忘れると通電に時間がかかり、引っ越し当日に電気を使用できない可能性があるため注意が必要です。
新住居で電気の使用を開始する場合も、基本的には立ち会いは不要です。手続きを早めに済ませておけば、引っ越しと同時に快適に電気を使えるでしょう。
電力の自由化に伴って、さまざまな料金プランや電力会社独自のサービスが登場しています。引っ越しと同時に電気代を節約するために、契約している電力会社を見直したり、自分の生活スタイルに合った料金プラン・サービスを探したりするのは効果的です。
電気契約の見直しだけでなく、古い家電製品の買い替えも電気代の節約につながります。家電製品を買い替える際には、「省エネルギーラベル」を確認し、省エネ性能に優れた製品を選ぶのがおすすめです。
あわせて、旧住居で電気を停止する手続きと、新住居で電気を使用する手続きも忘れずに行う必要があります。計画的に手続きを済ませて、新住居で快適に新生活を始めましょう。