AlibabaCloud IPsec-VPNが可能な2つのプロダクト比較

2023年3月31日掲載

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ご覧頂き有難うございます。ソフトバンクの西野です。

弊社ではパブリッククラウド「Alibaba Cloud」を取り扱っており、中国と日本間の通信品質改善に関する問合せを多数いただきます。一般的に、パブリッククラウドとオンプレミスを接続する手段として、IPsec-VPNを利用することが多いと思います。主な理由としては、コストの面でのメリットが挙げられます。

Alibaba Cloudでは、IPsec-VPNマネージドサービスで提供するプロダクトが「VPN Gateway」と「CEN の IPsec Connection構成」 の2種類があります。本記事では、プロダクトの仕様について比較します。

目次

IPsec-VPNプロダクトの構成紹介

 

はじめにAlibabaCloudで構成可能なIPsec VPN構成を紹介します。

 

VPN Gateway構成

01
 
  • 従来パターン
  • VPCの中にVPN Gatewayが所属している。
  • VPN GatewayインスタンスにつきIPsec-Tunnelは10本まで収容可能

 

CEN IPsec Connection構成

02

 

  • 新しく出来たパターン

  • VPC不要で直接Transit RouterにIPsec-Tunnelを収容できるためシンプルな構成が可能

  • CEN Transit GatewayインスタンスにつきIPsec-Tunnelは16本まで収容可能

 

IPsec-VPNプロダクト機能比較

比較項目

VPN Gateway

CEN IPsec Connection

SLA

99.95%

99.95%

プロダクト帯域幅

10Mbps~1Gbps

1Gbps~16Gbps

冗長方式

Active / Standby

Active / Active

マルチAZ対応

×

〇※1

IPsec接続最大数

10

16

ルーティング

Static、BGP

Static、BGP


※1 マルチAZ構成の場合も、CENとしてのSLAは99.99%ではなく99.95%になります。

IPsec over BGP構成における両プロダクトの動作の違い

 

VPN GatewayとCEN IPsec ConnectionともにBGPを使用できますがルート広報の動作に違いがあります。構成例としてAlibaba Cloudに対してオンプレミスとAzureを接続したパターンで解説します。

 

VPN Gatewayの場合

VPN GatewayのBGPはAlibaba Cloudからオンプレミスへ広報されるルートはSystemルートのみとなります。カスタムルートやDynamicルート(BGP)の経路は広報されません。

 

VPN Gateway 構成

03

対象機器(FortiGate)のルーティングテーブル

04

Azure側のセグメント172.16.200.0/24,172.16.1.0/24
Alibaba CloudからFortiGateに広報はされていません。

 

CEN IPsec Connectionの場合

CEN IPsec Connection構成の場合、Alibaba Cloudを経由し対象機器とAzureをIPsec over BGPで接続してもAlibaba Cloudから対向側のルートを広報することが可能です。

 

CEN IPsec Connection構成

05

対象機器(FortiGate)のルーティングテーブル

06

Azure側のセグメント172.16.200.0/24,172.16.1.0/24は、Alibaba CloudからFortiGateに広報されています。ただしデフォルトではループを避けるためTransit Routerに対しIPsec VPN、CCN、VBRのBGP経路を受信しないルートマップが定義されているので赤枠の経路は広報されません。広報するためには別途経路広報するためのルートマップが必要になります。

IPsec-VPNプロダクト料金比較

比較項目

VPN Gateway

CEN IPsec Tunnel

インスタンス料金

VPN Gateway

10Mbps:$66.43=JPY8,836

200Mbps:$200.75=JPY26,098

IPsec connection * 1

TR conncection * 2

$109.5=JPY14,235

トラフィック料金

同一

同一

※$1=JPY130のレートにて計算

 

まとめ

前編では、2種類のIPSec-VPNプロダクトについて、機能比較と価格比較をご紹介させて頂きました。
まとめると以下のような使い分けになります。

CEN IPsec Connectionが適しているケース

  • マルチAZ冗長

  • Active / Activeな冗長構成(ECMP通信)

  • IPsec over BGPを使用したブランチ間通信

VPN Gatewayが適しているケース

  • シングルAZ

  • Active / Standbyな冗長構成

  • Static ルーティング

  • 低コスト

いかがでしたでしょうか、整理してみると両方のプロダクトの違いが明確になり選択し易くなりましたね。

関連記事にCEN IPsec Connectionを使用してAzure Virtual WANと接続する手順をご紹介してますのでご興味があればぜひ読んでみてください。

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