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皆さん、こんにちは!IT&ソリューション運用本部の辻本優加です!
早いもので2023年もあと残り日数わずかですね。12月といえばアドベントカレンダー!ということで、この記事はソフトバンク アドベントカレンダー2023 の最終日となる25日目の記事となります。
今回はSoftBank Tech Night #13にて登壇された 「生成AI離れを防ぐ、組織定着化のヒント」(鈴木祥太/ソフトバンク株式会社)という発表を技術的な側面で紹介していきます。
さて25日目の今日は、近年多くの注目を集めている「生成AI」の企業における活用方法と「生成AI」をどう組織内に定着させるかについて深く掘り下げて行きたいと思います。一体「生成AI」は私たちの業務をどう効率化することができるのか?実例を交えながら詳しく見ていきましょう。
人工知能(AI)技術は日々進化を遂げており、特に生成AIの進歩は目覚ましいものがあります。「ChatGPT」のような生成AIは企業内での利用が急速に増加しており、ソフトバンク社内のイベントやコンテストの対象となるほどです。ソフトバンク社内で定期的に開催されている『ChatGPTなど生成AI活用コンテスト(Yahoo!ニュース掲載)』では、1年間で総額3億円の賞金が設定されています。第1回目の開催では10日で5.2万件を超える応募数があり、今では社内の大きなコンテストの1つとなっています。
そんな急成長を遂げている生成AIですが、活用する上で特に重要になるのが「ゴールシークプロンプト」という概念です。
「ゴールシークプロンプト」とは、簡単に言うと「ゴール」に到達するために生成AIにどう「シーク」させるかを文章によって生成AIに伝える「プロンプト」のことです。より分かりやすく言い換えると、特定の目的や目標を達成するために設計された指示のことを言います。ChatGPTのような生成AIモデルでは、この「ゴールシークプロンプト」がユーザーの質問や要求に対して適切な回答を導き出すために必要不可欠です。
そもそも「プロンプト」とは私たちと生成AIの対話の最初の一歩です。私たちが生成AIに求めるもの、知りたい情報、それら全てを「プロンプト」として入力することで生成AIはその答えを提供してくれます。「プロンプト」が不明瞭だったり、不完全だったりすると適切な回答を得ることができません。つまり、「プロンプト」のクオリティが生成AIがどれだけ正確に私たちの質問に答えるかに直結しているのです。
さらに、ユーザーが特定の情報や答えを求めるときの「ゴール」は、生成AIから正確で有益な情報を得ることであり、その「ゴール」に向けて、生成AIにどのように「シーク」させるかを指示する必要があります。「ゴールシークプロンプト」は、ユーザーからの要求に応じて生成AIが最適な回答を生成する基盤を提供しているのです。
ChatGPTは、膨大なデータと学習経験を元に最も適切な応答を生成します。これにより、ユーザーは自分の目的に合わせた情報を得ることができるわけです。これはまさに、AI技術が私たちの問いに答え、新たな価値を生み出す力を持っていることを示しています。
このような「ゴールドシークプロンプト」の考え方をもとに、ChatGPTのような生成AIが、企業にどれだけのメリットを与えることができるのかを考えてみましょう。今回は生成AIが企業に与えるメリットについて、3つの具体的な実例を挙げてみます。それぞれの例では、処理時間の短縮や業務の効率化が主なメリットとして取り上げられています。
顧客窓口のオペレータ支援:かつて60分かかっていた顧客対応を10分に短縮することができました。これにより、オペレータは迅速かつ的確なサービスを提供できるようになり、顧客満足度が高まりました。
国際開通業務の設定チェック:通常30分かかる作業を5分に短縮することが出来ました。これにより、業務の迅速な進行が可能になり、全体的な生産性が向上しました。
スキルアセスメント問題作成:問題作成にかかっていた25分を、わずか1.5分に短縮することが出来ました。これにより、スキルアセスメントのプロセスが効率化し、人材育成がスムーズに進みました。
これらの例から、生成AIの導入によって業務の処理時間が著しく短縮され、作業効率が向上していることがわかります。しかし、1人だけの時間を短縮しても大きな組織メリットが得られにくいという問題が出てきます。例えば、1人が60分かかっていた作業を10分に短縮できた場合、それが全社員に普及して作業時間を6分の1にできるかどうかが重要なのです。生成AIが広く活用されないままであれば、大規模なメリットが期待できません。そのため、生成AIには組織内での定着化が必要です。
しかし、生成AIが流行し、最初は物珍しさで触ってはみるものの「ツールが多すぎてどれを使ったらいいかわからない…」、「プロンプトってなんだろう、難しいなあ…」と、無意識にユーザーが思ってしまっていることや、生成AIについて詳しい人にばかり仕事が振られてしまっていることが理由で、利用者が減少し、利用率が低迷してしまっているのが多くの企業が直面している現状です。
そこで、生成AIをどうやって組織に定着させるか?について考えてみましょう。
生成AIを最大限に活かすためには、組織の業務フローに生成AIをしっかりと組み込む必要があります。具体的には、生成AIを用いた業務プロセスを明確に定義し、それをマニュアル化することです。このマニュアル化により、各々の従業員が生成AIを自身の業務に使いこなせるようになることが見込まれます。
広告制作の業務フローを例として考えてみましょう。従来の広告制作の業務フローは一般的に、要件の確認、デザイン設計、メディア制作、プロトタイプ制作(テスト)、修正というステップがあります。ここで注目すべきは、これらの各段階において、生成AIをどのように活用できるかです。
次に、どのようにして生成AIの活用をマニュアル化するかです。その方法の1つが、必要な情報を穴埋めすれば誰でも使えるように、テンプレート化することです。プロンプトを関数とし、入力箇所を穴埋めできるようにしておけば、利用者はその値を入力するだけで済みます。これらを一連の処理として設計することで、ゴールシークプロンプトを作成しテンプレートとして活用することができます。
以上のように生成AIを活用することで効率化が見込める業務が多々存在します。
今回の例であれば、図のようなゴールシークプロンプトを作成し、あとは「ターゲット」「コンセプト」「目的」(青字部分)を入力すればよいだけです。状況によっては、制約文をアレンジしてもよいかもしれませんね。
以上の例のように、ゴールシークプロンプトに沿って生成AIを組織内でマニュアル化して利用することで、組織全体で見たときに大きな効果を発揮することができます。
最後に、生成AIをどうやって組織に定着させるか考えられている皆さん向けに、ソフトバンクグループから生まれた1つのサービスを紹介します。「Axross Recipe for Biz」というサービスです。このサービスは、上の活用例でも名前が出てきましたが、ソフトバンクグループ社内起業制度「ソフトバンクイノベンチャー」で事業化検討が決定され立ち上げられたサービスとなります。
このサービスは、上の活用例でも名前が出てきましたが、ソフトバンクグループ社内起業制度「ソフトバンクイノベンチャー」で事業化検討が決定され、「AI・データを活用したDX人材育成・DX定着支援サービス」として立ち上げられたものとなります。エンジニア育成の"教育"と"実務"のギャップに着目し「学んだ知識を実践で活かせるようにしたい」という想いから生まれました。「Axross Recipe for Biz」では、現在、生成AI関連の学習コンテンツを200種類以上も提供しており、最近では企業向けサービスとしてChatGPT関連の研修も提供しています。2023年7月からは新たに「生成AI活用プラン」を導入し、法人向けに生成AIの活用法や安全な利用方法を学べるコンテンツも提供しています。
ぜひ皆さんにも「Axross Recipe for Biz」を試していただければと思います!
ソフトバンクでも、生成AIを積極的に活用しています。その一つとして営業部門が自ら構築したxBasecamp(仮称)は社内でも高い定着率を誇っています。その理由はどこにあるのか、動画で解説していますのでぜひご覧ください。
今回のブログでは、「ゴールシークプロンプト」という考えをもとに、生成AIを用いた企業内での活用方法とその効果について深く掘り下げました。生成AIの活用は、顧客サポート、設定チェック、スキルアセスメント問題作成など、多岐にわたる業務で処理時間の短縮と効率化を実現しています。しかし、これらの技術を組織全体で効果的に利用するためには、その定着化が鍵となります。
生成AIを組織に定着化するためには、業務フローへの組み込みとマニュアル化が必要です。これにより、従業員それぞれが自身の業務で生成AIを使いこなせるようになります。特に、広告制作のような業務では、生成AIの利用により新たな可能性を見出し、より効率的でクリエイティブな成果を生み出すことが期待されます。
プロンプトをテンプレート化することで、組織内の誰もが自身の業務に合わせて生成AIを活用することができます。徐々に慣れてくると、従業員それぞれが特定の目的やコンセプトに合わせてプロンプトをカスタマイズし、生成AIの力を最大限に引き出すことが可能になります。
生成AIはこれからもまだまだ進化していくことが見込まれます。今後も生成AIの進化に注目し、その活用法をさらに探求していきましょう!
現場で活躍しているエンジニアがAI開発ノウハウや事例を教材化し「レシピ」として提供している、人材育成支援サービスです。オンライン演習やワークショップで応用力を高め、AI技術・データサイエンスを使いこなす能力を鍛えられます。また、ChatGPTについて学べるコンテンツもあります。
Azure OpenAI Serviceは、OpenAIのAIモデルをMicrosoft Azure上のセキュアな環境で利用できるサービスで、機械学習や自然言語処理などの高度な機能を提供します。簡単にAIを組み込み、スケーラブルなソリューションを構築し、効率的にビジネス価値を生み出すことができます。
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