Copilot Studio 使ってみた① -チャットボット作成篇-

2024年6月18日掲載

PowerPoint でMicrosoft Copilot for Microsoft 365 を試してみた

こんにちは、クラウドエンジニアの須藤です。 

この記事では、Micorosoft Copilot Studio というノーコードもしくはローコードでチャットボットを作成できる Microsoft のサービスを触ってみた結果について紹介していきたいと思います。

「Copilot Studio って具体的に何ができるの?」、「文面だけではなくて実際に操作している画面も見てみたい!」という方に向けて書いた記事なので、参考にしていただければ幸いです。「Copilot とは何か?」、「実際にどんなことができるのか?」と気になる方は「PowerPoint でMicrosoft Copilot for Microsoft 365 を試してみた」記事をご覧ください。

※この検証は 2024年4月に行われたものとなります。

目次

この記事では
  • Copilot Studio を使って、Webサイトの情報を基に回答するチャットボットを作って見る方法を、画面を交えながら紹介します。
  • 「Copilot Studio って具体的に何ができるの?」、「文面だけではなくて実際に操作している画面も見てみたい!」という方に向けて書いています

Microsoft Copilot Studioとは?

まずは、そもそも Copilot Studio とは何か?というところからですが、「 Power Platform と呼ばれるローコードまたはノーコードでアプリの開発や実行ができるプラットフォームの中にあるチャットボットを作成できるサービス」のことです。

Copilot Studio の旧名は Power Virtual Agents と呼ばれるチャットボットを作成できるサービスだったのですが、これに「生成AI」の機能が追加されたものが Copilot Studio です。チャットボットの複雑な設定がいらず、生成AI機能を利用することでチャットボットの設定を簡単に行うことができます。

例えば、以下のようなことが可能になります。

  • 自社専用のオリジナルのチャットボットを作成することができる(業務・管理システムなどのデータを取り込んだ独自のチャットボットの作成が可能)
  • 自分で作成したオリジナルのチャットボットを他人と共有することができる(他の人に自分が作成したチャットボットを使ってもらうことが可能)
  • Teams などにアプリとして公開することもできる(Teams 上で作成したチャットボットを他人がダウンロードでき、Teams 上で使えるようになる)
  • Microsoft の他のクラウドサービスとも連携することができる(例:Power Platformなど)

今回の記事では、実際に操作した画面等を織り交ぜながら、Copilot Studio を用いてすぐできる「Webサイトの情報を基に回答するチャットボットを作成する方法」について紹介していきます。

Copilot Studio の生成AI 機能を使うために必要なこと

リージョンを超えたデータ送信を許可

2024年4月現在、Copilot studio の生成 AI 機能を使うためには、アメリカのデータセンターで処理を行わなければならないようです。そのためアメリカのリージョンにデータを移動させる許可をお使いの環境に与えなければなりません。

Power Platform 管理センターの生成 AI 機能にて以上の2項目を許可しましょう。記載しているようにリージョンを跨いだデータ送信を行うので、設定を行う際には注意が必要です。

Copilot Studio にログインしてみよう

まずは Copilot Studio にログインしてみましょう。

赤枠の箇所をクリックし、Power Virtual Agents が利用できるライセンスが付与されているユーザでサインインします。

国 / リージョンを選択します(ここでは Japan を選びます)。

さっそくチャットボット(コパイロット)の作成を求められます。ここでは作成するチャットボットの「名前」と「話す言語」を入力・選択します。

そして、外部 web サイトをこのチャットボットに組み込ませます。そうすることで、その外部サイトに関する質問を投げた際に即座に回答してくれるようです。

Microsoft のwebサイトを追加して、「作成」をクリックしてチャットボットを作成してみましょう。

作成するとこのような画面が表示されます。ちなみにここまでのチャットボットを作成する時間は長く見積もっても3分程度です。とても簡単にチャットボットを作成することができます。※ちなみにチャットボットに登録するURLは複数読み込ませることが可能です

作成したチャットボットが本当に起動して、答えを返してくれるのかを見てみます。

チャットボットに質問してみた

試しに「Azure Storage の blob ストレージとは何ですか?」と質問してみました。

チャットボットに読み込ませた web サイトの内容に関することは答えてくれました。さらに、その内容が詳細に書かれたサイトの情報まで教えてくれました(案内されたサイトはたしかに質問内容の答えに関係する)。

続いて web サイトとはまったく関係のないこと、「カレーの作り方について」聞いてみました。

たしかに web サイトには記載されていないことは答えてくれないようですね。

ここで少し疑問に思ったのですが、これはwebサイトの情報をただコピーしているだけなのか?、それともチャットボットが回答を生成してくれているのか?少し気になったので回答内容を調べてみることにしました。

調べてみた結果、両者とも考えられると思います。

赤枠の部分は、ドキュメントをほぼコピーしていると考えられますが、青枠の部分は外部 web サイトの内容を簡潔にまとめて答えてくれているように見えます。

この結論としては、コピーだけをしている部分もあれば、サイトの内容を解釈して答えを生成してくれている部分もありました。

個人的に思ったこと

作成したそのチャットボットの使い方の例

外部web サイトを読み込ませた専用のチャットボットを作成したところでそれを使うことがあるか?と言われたら、私は素直に「Yes」とは答えられないと思いました。

理由はチャットボットに答えをもらうよりも、自分でネットで調べた方が自分の求めている答えをもらえる可能性が高いと思うからです。

しかし、これもユーザが何で困っていてそれを解決するためにどんなチャットボットを作成できるかが大切だと思うので使えないなんてことはないと思います。

例えば、料理チャットボットなどはどうでしょうか?その日の献立に困ったり、特定の食べ物を使って料理を作りたいけど調べるのが面倒くさい、あまりもので何か作りたいとなった時に便利かと思います。人それぞれお気に入りの料理のサイトがあると思います。それを読み込ませたチャットボットを作成すれば、お気に入りのサイトから自分の好みに合った料理を提案してくれます。実際に料理サイトを読み込ませて、「豚肉とほうれん草を使った料理」と質問すると、3つほど料理を提案してくれました。調味料なども詳細に指定すればもっと自分に合う料理を探すことも出来ると思います。

今回の検証で作成した外部 web サイトの URL を読み込ませたチャットボットを使用する場面は本当にその人の使いどころなどが大切になってくるかと感じました。

ハルシネーションについて

他にもインターネット上の web サイトを読み込ませたチャットボットを作成して、質問をしてみましたが、質問内容とはまったく関係ない答えを出してくるときもありました(例:サービスAの内容について聞いているのに、サービスXの内容を教えてきた)。

他の生成 AI サービスについても同様ですが、AI が回答してきた内容をそのまま鵜呑みにすることは危険ということは、Copilot Studio で作成した専用のチャットボットでも言えるのではないかと思います。

Copilot for Microsoft 365 の回答と何が違う?

今回、外部 web サイトを読み込ませたチャットボットと Copilot で同じ質問をしたら、回答に何か差が生まれるのか?ということを疑問に思ったので同じ質問を投げかけて調べてみることにしました。その際に Copilot Studio では質問に答えてくれるように web サイトを読み込ませました。

両者とも回答の内容は特に差がないと思われますが、Copilot Studio で作成したチャットボットの回答には、関係性の高い web サイトを紹介してくれているので、ここに差があるかと思われます。また、Copilot Studio はある特定のサイトからのみの情報から回答するのに対して、従来の Copilot はネットに公開されている情報から回答をするのでここにも回答の差異が現れるかと思います。どちらの回答がいいとか悪いとかの問題ではなく、いろんなシチュエーションによってユーザーが使い分けることが大切だと思います。

読み込ませる URL にも制限はあるが...

実は、チャットボットに設定した外部 webサイトの URL にも制限はあります。以下のように web サイトの階層は 2階層以下に設定しなければなりません。

それでは、その指定された階層のページの情報しか答えられないかと言われるとそうではありません。今回の検証で作成したチャットボットとの会話内容を振り返ってみると、

設定した URL:https://learn.microsoft.com/ja-jp/

返してきた URL:https://learn.microsoft.com/ja-jp/azure/storage/blobs/storage-blobs-overview

のように設定した URL の階層よりも深いところにもチャットボットは確認を行ってくれているようです。

まとめ

今回は、Microsoft 社が提供する Copilot Studio の生成 AI 機能を用いて、チャットボットの設定について検証した結果を紹介しました。外部 Web サイトを読み込ませたチャットボットを作成することはとても手軽に早く出来ることが確認できました

今回はただ外部 Web サイトを読み込ませたチャットボットを作成するだけでしたが、他にもいろいろなことを試すことができますので、続きを見たい方は第二弾の記事もご覧ください。

この記事が「Copilot Studio って具体的に何ができるの?」、「文面だけではなくて実際に操作している画面も見てみたい!」という方々の参考になれば幸いです。

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