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2022年7月25日掲載
Windows Server 2012及びWindows Server 2012 R2が2023年10月10日にサポート終了となります。
サポートが終了されると、セキュリティ更新プログラムが提供されなくなり、セキュリティのリスクが高まります。そのため、サポート終了までにOSのアップグレードを検討することが多いかと思います。
しかし、最新バージョンのOSに移行する場合、動作検証や追加開発に時間を要し、サポート終了までに移行が間に合わない可能性もあると考えられます。
そういったケースに応じるかのように、Microsoftから「拡張セキュリティ更新プログラム」が発表されました。現在オンプレやAzure以外のパブリッククラウド上で使用している環境をAzureに移行する場合、最長3年間無料でセキュリティ更新プログラムが提供されます。
Azureに移行すれば、セキュリティ更新がされた状態で、さらに3年間Win2012が使用でき、延命することができます。
Win2012を引き続き使う必要がある、もしくは、残り一年ではバージョンアップができないシステムでは、Azureへの移行は有効かと思います。
今回、Alibaba CloudのWindows Server 2012 R2を例として、Azure Migrateを使ってAzureに移行する手順を紹介します。
特設サイト:Windows Server 2012/2012 R2延長サポート終了。システム移行準備を始めましょう
Azure Migrateは、オンプレミス上のWindowsServer、SQL Server、Linux、などのサーバを移行してくれるプラットフォームです。クラウドサービスの恩恵を生かした技術の一つで、例えば、WindowsServer2012などサポート終了間近のサーバ、老朽化したサーバ、保守運用が必要とするサーバ環境でも、Azure Migrateを使うことで、Azure上の新しいサーバ環境へ自動移植してくれるサービスです。
今回は、Azure Migrateを使ってWindowsServer2012 R2をAlibabaCloudに移行する方法を紹介します。Azure Migrate自体の料金は無料です。
マイグレーションツールとしてAzure Migrateを紹介いたしましたが、他社クラウドではどんなサービスがあるのでしょうか?こちらに対象となるプロダクトサービスをまとめてみました。
また、これらのマイグレーションツールに関する検証記事も当ブログで公開していますので、参考にしていただければ幸いです。
※クラウドサービスの並び順はアルファベット順となります。
Alibaba | AWS | Azure | GCP | |
---|---|---|---|---|
サーバの移行 | Server Migration Center | AWS Server Migration Service | Azure Migrate | Migrate for Compute Engine |
今回はインターネット経由での移行を前提にしています。
Azure Migrateを利用して移行する場合、別途以下の2台のサーバを用意する必要があります。各サーバのスペック及び通信に必要なPortを構成図に記載しておきます。
移行手順としては次の通り、Step-by-Stepで作業を進めます。
手始めに、Azure Migrateのプロジェクトを新規作成します。コンソール上のAzure Migrateで「プロジェクトの作成」ボタンをクリックすれば、作成できます。
著者も、当初コンソール上のAzure Migrateを操作したところ、「プロジェクトの作成」ボタンがグレーアウトされて、権限が足りないか色々切り分けしたところ、真ん中にある「プロジェクトの…」のボタンが隠れていたため、気づきにくかったです。 (スクロールしないと、このボタンが表示されず、かなり隠れています。)
続いて、アプライアンスサーバを使用して移行対象サーバを検出します。この作業は少し細かい部分があるので、Step-by-stepで説明します。
移行対象サーバとプライベート通信できるセグメントにアプライアンスサーバ:WindowsServer2016(8CPU、16GB RAM、80GB Disk)を用意し、上記「2.Azure Migrate アプライアンスをダウンロードする」からダウンロードしたファイルをアプライアンスサーバにインストールします。
移行対象サーバ及びアプライアンスサーバのローカルユーザを以下3つのグループに参加するように設定します。
まずは移行対象サーバにて「winrm quickconfig」でwinrmを許可します。
また、移行対象サーバにアプライアンスサーバからのインバウンド:TCP:5985の通信許可が必要です。
アプライアンスサーバにて「https://アプライアンスサーバ:44368」でアクセスし、5-1で生成されたProject Keyを入力し、Azure Portalへのログイン認証を行います。
Azure Portalにて、1台のサーバが検出されました。
今度は、Azure Portalによる評価をします。
以下の通り、評価が完了しました。
今度はレプリケーションサーバを使って、レプリケートします。レプリケートはデータの複製をするという意味です。
ここも細かい部分があるので、Step-by-stepで説明します。
※アプライアンスサーバでも検出していますが、ここでもう1回検出があります。
上記ここまでの作業が出来たら、レプリケーション先となるサーバ(WindowsServer2016:8CPU、16GB RAM、600GB Disk)を準備します。
上記1のダウンロードのリンクをコピーして、レプリケーションサーバからダウンロードし、インストールします。
Azure Portalで発行されたキーを登録します。
MySQLのインストールが必要そうですが、著者はこの移行の過程でこのパスワードが求められることはありませんでした。
30分くらいインストールが続きます。完了したら、Passphraseが表示されます。移行対象サーバでAgentインストール時、必要となりますので、メモしておきます。
移行対象サーバのAccount情報を設定します。
インストール完了後、以下の通り、Configuration Serverとして選択が可能になります。「登録の最終処理」をクリックします。
レプリケーションサーバにある「Microsoft-ASR_UA_9.48.0.0_Windows_GA_21May2022_Release.exe」このファイルを移行対象サーバにコピーします。
※ファイル名はお客さま環境によっては変わりますのでご注意ください。
上記7-2 移行対象サーバにて、レプリケーションサーバからコピーしてきた「Microsoft-ASR_UA_9.48.0.0_Windows_GA_21May2022_Release.exe」を実行して、Agentをインストールします。
インストールが完了したら、以下のコマンドを実行します。
$ cd C:\Program Files (x86)\Microsoft Azure Site Recovery\agent $ UnifiedAgentConfigurator.exe /CSEndPoint 192.168.20.221 /PassphraseFilePath C:\Users\Administrator\Desktop\pass.txt
※192.168.20.221はレプリケーションサーバのIPです。paas.txtのファイルの中身は、7-4-2でメモしたPassphraseです。IPとPathは実際の環境に応じて変更してください。
仮想マシンが表示されるまで、15分くらいかかります。
40分くらい待ったら、レプリケートが完了し、移行できるようになります。
テスト移行をクリックします。
VMのPortalでVMが作成されたことを確認できます。
必要に応じて、テスト端末にログインし、各サービスが問題なく動いているかを確認できます。
テスト移行のクリーンアップを行います。
最後に、移行を行います。
以下の通り、VMが無事移行できました。
こんな感じでWindowsにログインができました。
今回、Azure Migrateを使って、サーバの移行方法をご紹介しました。Azure Migrateは作業ごとにStep-by-stepで進む必要があり、細かい部分もありますが、その分オンプレミス等、さまざまな環境からAzureへシームレスにマイグレーションすることができます。もちろん、Alibaba CloudやAWSにも同様のマイグレーションサービスがありますので、こちらも参考にしてみるといいでしょう。
ソフトバンクでは、Windows Server 2012/2012 R2の移行サポートも行っています。クラウド移行へお悩みの場合は、ぜひご相談ください。
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