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こんにちは、ソフトバンクの辻です。
この記事は、ソフトバンク Advent Calendar 2024 の 23日目の記事です。
Happy Birthday to Me 〜♪
私事ですが今日12月23日は私自身の誕生日です。記念に記事を執筆するのも3年目になりました。
私はソフトバンクで、法人のお客さま向けに提供する MSP (Managed Service Provider) サービス の「生成AIパッケージ」の開発を担当しています。昨年は OpenAI 社の ChatGPT のヒットを皮切りに生成AIが脚光を浴び、今年はビジネス領域での生成AIの活用が本格的に進み、少しずつ浸透しはじめた年だったかなと感じています。
そんな2024年、私事ですが日本マイクロソフト株式会社様より Microsoft Top Partner Engineer Award の AI部門に選出していただきました。
この記事では、私が Microsoft Top Partner Engineer に選ばれるまでに取り組んだことを紹介します。この経験を通じて得られた学びや工夫した点を共有することで、これから同じ目標を目指す方々の参考になれば幸いです。
Microsoft Top Partner Engineer Award は、 Microsoft のパートナー企業において、案件の中で大きな貢献を果たしたエンジニアや、先進的な技術の導入・マイクロソフトテクノロジーの社内外での普及に尽力したエンジニアを表彰するものです。表彰カテゴリは、 Azure、AI、Modern Work、Business Applications、Security の5部門です。
今年、ソフトバンクからはAI部門で2名、Modern Work部門で1名、Security部門で1名の計4名が受賞しています。なお、AI部門は今年から新設されたカテゴリでの初受賞となりました。
選考プロセスにおいては、2023年5月1日〜2024年4月29日までの1年間を活動対象期間とし、以下の基準・加点ポイントに基づいて総合的に判断されます。
この記事では、今回のアワード受賞までのプロセスをご紹介します。
ソフトバンクでは、2023年度に法人のお客さま向けに Azure OpenAI Service を活用したセキュアな生成AI環境を構築・提供する「Azure OpenAI Service スターターパッケージ」をリリースしました。私は同サービスの企画開始から数週間で法人のお客さま向けの ChatUI を開発し、2023年5月下旬にはデモや PoC が開始できる状況を整えました。
開発した ChatUI では、 Azure App Service をアプリケーション実行基盤とし、 CosmosDB をログ保管基盤として採用し、以下のようにお客さまの業務効率化を支援する多くの工夫を取り入れています。
さらに、お客さまにおける生成AI活用の促進を強力にサポートできるよう、2024年3月に「生成AIパッケージ」としてリニューアルしました。 UI やアーキテクチャを一新し、 Azure OpenAI Service や Azure 基盤の IaaS/PaaS/FaaS に加え、Azure の AI サービス群をフル活用したソリューションを提供することで、お客さまの AI 導入の障壁を下げ、新規のお客さまの獲得と既存のお客さまのさらなる AI 活用推進に貢献しています。
また、同サービスのインフラ基盤を IaC(Infrastructure as Code)で構築する Terraform コードを整備し、大量の案件流入にも対応可能な仕組みを整えました。この取り組みにより、サービス提供開始から延べ100社以上のお客さまに本番導入していただけるサービスにまで成長しました。この成功は Azure OpenAI Service をはじめとする Azure サービスの拡販にも繋がったと確信しています。
以上のように、 Microsoft が提供する AI ソリューションに限らず、 Azure などの Microsoft のクラウドソリューションなどを組み合わせたソリューションを短期間で開発できた点、多くのお客さまに本番導入していただき Microsoft のビジネス拡大にも貢献できた点が大きかったのではないかと考えています。
生成AIをお客さまに提案する立場として、私たち自身が最も生成AIを理解して活用できていることが重要です。このため、私たちは生成AIを用いたお客さま向けのソリューションをただ開発するだけでなく、自らの業務にも生成AIを組み込むことで業務改善することにも取り組みました。
具体的には、SaaS である GitHub Copilot の導入が難しい環境を想定し、Azure OpenAI Service、Azure API Management、Genie AI、PR-Agent といったツール群を組み合わせることで、GitHub Copilot に匹敵するようなセキュアかつ効率的な開発環境を構築しました。これにより、コードの自動生成やレビュー、ドキュメント作成などのプロセスを効率化し、開発スピードと品質の向上を実現しました。この事例の詳細は関連記事にまとめていますので、興味のある方はぜひご参照ください。
その他にも、生成AIを使った業務改善を日々検討・社内実践しており、これらの取り組みは社内の業務改善から始まった取り組みではあるものの、得られたノウハウはお客さま向けのソリューション開発にも生かされています。
ここまでの取り組みで Microsoft の AI ソリューションを活用した経験をもとに、Microsoft が提供する AI 関連の資格として、以下の2つの資格の取得に挑戦しました。業務ではすべてのAIサービスに触れることは難しいため、幅広い領域を体系的に学ぶことができました。
なお、本アワードの AI カテゴリにおいては、AI に関連する Microsoft の認定資格の所有数が評価されます。対象資格は2024年4月時点で上記の2資格で、全認定資格取得者はさらに加点されるようです。
ここまでのステップで生成AIについての知識やノウハウを身に着け、生成AIを活用した開発ができるようになりましたが、一方的に情報を自らにインプットして蓄えていくだけでした。その情報は、定期的に引き出して活用しない限りは脳内のタンスの肥やしになるだけでなく、時間経過とともに劣化し定着しづらいものです。
私は自らの生成AI活用の取り組みを、ソフトバンクのテックブログであるこの クラウドテクノロジーブログ への記事執筆というカタチでアウトプットしました。インプットした情報を自分自身の言葉でアウトプットすることで記憶の定着化も図れるだけでなく、情報を整理するフェーズを経るため理解が深まり、新しい発見もあります。
テックブログに記事を執筆することで一旦はアウトプットするという目標は達成できましたが、私は公開した記事の内容をもとに技術イベントへの登壇にもチャレンジしました。
ソフトバンクでは SoftBank TechNight という技術者向けの社外イベントを不定期で開催しており、同イベントの生成AIをテーマとした会にエントリーしました。大勢の前で発表するのはあまり得意な方ではありませんが、自らの取り組みを発表し直接反響やフィードバックをいただける場として、単にブログの記事を書くだけよりも有意義な体験になりました。
技術イベントへの登壇をキッカケに、多くの企業のエンジニアの方と交流する機会ができ、その際のご縁からコラボレーションのお誘いをいただけるようになりました。
具体的にはLINEヤフー株式会社様が運営されている LINE API Use Case という技術情報サイトへの記事寄稿と、対談インタビューのお誘いをいただきました。いずれも私個人としても組織としても初の試みだったためチャレンジングではありましたが、エンジニアとしてのコミュニティから会社の垣根を超えたコラボレーションに繋がった非常に良い経験となりました。
社内においては Microsoft の AI 関連資格を始めとする MCP (Microsoft Certifications Program) 資格の取得を推奨することで、組織として MCP 資格認定者、特に AI & Data 領域の認定資格者を大きく増やすことに貢献しました。
また、生成AIを活用した取り組みを組織内で共有し横展開したり、組織として記事執筆やイベント登壇などのアウトプット活動を推奨することで、社内外への情報発信も増えてきています。
AI 領域は日進月歩で絶え間なく進歩しているため、常に最新情報のキャッチアップが欠かせません。特に、Microsoft の AI 関連技術だけでなく、OpenAI や Anthropic、Google、AWS など生成AIをリードする各社の最新動向を抑えて、気になる技術があればすぐに自ら試してみることで理解を深め、その技術を自らの業務改善にどう活用できるか、お客さまの新たな価値創出につながらないかといった視点で考えるようにしています。
最後は、ここまで述べてきたような1年間の取り組みをもとに、活動内容や成果、その領域に対する熱意を応募フォームに入力し応募することになります。
自薦・他薦問わず応募することはできますが、それまでの努力や成果を理解してくれている方に他薦していただけるかどうか、という点も個人的には重要な点だと考えています。独りよがりな個の活動にとどまらず、Microsoft のパートナー企業の一員として、組織や Microsoft に対してどれだけ貢献できていたかどうか、という点が重要になってきます。
私はこれらの取り組みを通じて、Microsoft Top Partner Engineer という栄誉ある賞をいただくことができました。ここまでのプロセスを振り返ってみると、チャレンジの連続でしたが、大きな成長と学びを得ることができました。この記事が、これから同じ目標を目指す方々に少しでも役立つことを願っています。
いよいよ ソフトバンク Advent Calendar 2024 も大詰めを迎えます。それでは 24日目の記事にバトンを渡します。
Microsoft Azureは、Microsoftが提供するパブリッククラウドプラットフォームです。コンピューティングからデータ保存、アプリケーションなどのリソースを、必要な時に必要な量だけ従量課金で利用することができます。
MSP(Managed Service Provider)サービスは、お客さまのパブリッククラウドの導入から運用までをトータルでご提供するマネージドサービスです。
セキュアなAzure OpenAI Service などの生成AI環境をパッケージとして提供するサービスです。よりスムーズに生成AIの導入を実現することができます。
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