国内でフレキシブルオフィス「WeWork」を展開するWWJ株式会社(「WeWork Japan」)。
ソフトバンク株式会社の100%完全子会社として2024年4月よりWeWorkの運営を再始動し、この度、新たな拠点となる「WeWork JRセントラルタワーズ 名古屋」を開業しました。コロナ禍の困難を乗り越え、世の中で新たな働き方も普及した今、ソフトバンク100%子会社となりさらなる成長を目指すという、 熊谷慶太郎COO(最高執行責任者)に話を聞きました。
目次
WWJ株式会社 COO 兼 Head of Real Estate & Sales
熊谷慶太郎(くまがい・けいたろう)さん
不動産会社にて開発・売買・賃貸等に従事した後、J-REIT等不動産投資運用実務を重ねる。2019年WeWork Japan合同会社入社。2024年4月にソフトバンク株式会社100%子会社 WWJ株式会社にてCOO 兼 Head of Real Estate & Salesに就任。
名古屋の街を一望できるプレミアムなオフィス空間が誕生
すごい眺望ですね。
ありがとうございます。国内にあるWeWork拠点の中で一番高い50階からの眺望となるので、気持ち良いですよね。名古屋城も眼下に見ることができるんですよ。「WeWork JRセントラルタワーズ 名古屋」では、この景色を見ながら仕事していただけるように、10名以上が利用する入居者専用の個室は窓側にオフィスを配置しています。
この「WeWork JRセントラルタワーズ 名古屋」は、WeWorkの中でどのような位置付けになるのでしょうか?
東京では「WeWork 渋谷スクランブルスクエア」というWeWork最大規模の旗艦店があるのですが、「WeWork JRセントラルタワーズ 名古屋」は、中部エリアの旗艦店だと考えています。入居状況も非常に順調で、順次成約をいただいています。
満を持して、JR名古屋駅直上の好立地への進出となりました。
オフィスの空室率で見ると、名古屋は比較的低く好調で、需要が高いエリアとなっています。また、大阪市内にWeWorkは3拠点約5,000デスクあるのですが、名古屋は1拠点約500デスクしかない。市場規模から言っても圧倒的なニーズがあるのが明白でした。
2018年に日本へ参入し、名古屋市内の物件を探していたところ、すぐに「WeWork グローバルゲート名古屋」に1拠点目を出すことができました。名古屋におけるWeWork コミュニティを醸成する礎になっています。一方、さらなる名古屋のニーズに応えるためには、名古屋駅周辺での新拠点開設が必須でした。今回、名古屋No.1の立地とも言える「JRセントラルタワーズ 」で契約できたことは幸運でしたね。これもソフトバンクの全面的なサポートがあったからこそ可能だったと言えます。
コロナ禍がもたらした新たな働き方が、WeWork成長のアクセルに
コロナ禍は苦しい時期もあったそうですね。
コロナ禍で多くの企業が在宅勤務にシフトする中、日本でも非常に厳しい時期があったのは事実です。WeWorkはグローバルプラットフォームであり、コミュニティが強みなのに、コロナ禍で海外へ渡航もできない、対面で交流するイベントもできない。われわれの強みが出せず、守りの戦いを強いられました。
しかし、アフターコロナになると、業務内容に応じて場所を選べる柔軟な働き方として、テレワークとオフィス勤務を組み合わせたハイブリッドワークが急速に進み、浸透しました。このことが、WeWork成長のアクセルになっています。
WeWorkには、どんな変化が起こったのでしょうか?
WeWorkを利用する入居メンバーと言えば、以前はスタートアップや外資系企業というイメージを持っている方が多かった。しかしアフターコロナの今では、スタートアップや外資系企業のほか、日本のエンタープライズ(大企業や中堅企業)や自治体などの行政が、WeWorkを利用するようになっています。東京に本社を置いてる企業がWeWorkにオフィスを構えるだけでなく、支店もWeWorkに移転する動きも加速している状況です。日本市場に合った柔軟な対応ができるようになっています。
具体的にどのようなことを行ったのですか?
ハイブリッドワーク向けに、日本独自で「Private Access(専用アクセス)」というプランをローンチしました。例えば従業員100人の会社が、ハイブリッドワークで出社率50%であれば、50席の部屋を借りればいい。つまり、50席の部屋を100人で使えるというサービスとなっています。実はサテライトオフィス向けのプランという位置付けだったのですが、このプランを出したことで、本社をWeWorkに移転する企業が増えました。
この流れに合わせ、エンタープライズの需要に合うように、営業手法も変えました。WeWorkが提供するサービスはエンタープライズの皆さまが求めていらっしゃることにも合致しているんですよ。
必要な分だけ借りればいいとなると、コスト面でのメリットもありますよね。
おっしゃる通り、コストが抑えられることのメリットを感じておられる企業が多いです。その上、WeWorkは立地やグレードを重視した拠点ばかりなので、より便利な場所へオフィスを構えることができます。
また、現在の国内や世界情勢からみると、原材料費や工事費など入居時にかかる費用が高騰していたり、半導体不足で一部の資材が届かないなど工期遅延のリスクもあります。全て用意されたWeWorkに入ることによって、実はかなり設備投資を抑えることができるんですよね。
それらハード面に加え、WeWorkの最大のメリットであるソフト面、その両方のメリットを享受できるという点が、スタートアップからエンタープライズ企業まで選んでいただける理由となっています。
"つながる" が、WeWork最大の付加価値
ソフト面でのメリットについて教えてください。
スタートアップ企業の皆さんはWeWorkを通して、大手企業とつながる機会であったり、横のつながりを求める声が非常に多いです。一方、大手企業の皆さんは、本業や新規事業に注力したいという要望があります。
WeWorkの各拠点には、コミュニティチームが常駐し、 WeWorkの顔として入居メンバー企業のサポートを行っています。また、入居メンバー企業のパートナーとして、イベントやメンバーマッチングなどの企画・開催、また、郵便物の受け取りサービスなど、総務の業務の一部をアウトソースする感覚で委託が可能です。業務の効率化という点においても、企業の皆さまにはメリットを感じていただいています。
イベントはどのくらい開催されているのですか?
国内に約40拠点ありますが、月に200から300件ぐらい開催しています。 名刺交換会や交流会みたいなものから、趣味をテーマにしたもの、よりビジネス寄りなもの、採用イベントなどもあります。実は、採用イベントが非常に人気なんですよ。
例えば、メーカー企業とIT企業の異業種間で採用イベントを開催することで、IT系を希望する人たちに、メーカー側のPRもできる。もちろん逆も同じで、相互にメリットがあるんです。しかも東京だけじゃなくて、地方のWeWorkでも開催できる。WeWorkに入居して採用がうまくいったという声は多数いただいており、人員計画に合わせてWeWork内のオフィスを拡張されていく例も多く、コスト的なメリットにもつながりますよね。
実際にイベントなどを通して生まれたコラボレーションはあるのでしょうか?
一例になるのですが、本ビルのオーナーでもある東海旅客鉄道株式会社と産業ドローンの人材育成と新規事業を行うスタートアップの株式会社スカイピークが、WeWorkのコミュニティチームの紹介でつながり、鉄道設備のドローンを活用した維持管理について、協業が進んでいます。
WeWork を舞台に生まれた共創が、日本のインフラの維持管理にイノベーションを起こす(WeWork Japan)
ソフトバンクとのシナジー。テクノロジーでオフィスにも変革を
来年の2月には新拠点「WeWork 赤坂グリーンクロス」の開業が予定されています。
次世代のスマートビル「オートノマス ビルディング」となる赤坂グリーンクロスですが、ソフトバンクと株式会社日建設計が合弁会社として設立したSynapSpark株式会社が、スマートビルの構築支援を行っています。WeWorkは5階と6階への入居が決定しており、オートノマス ビルディングでの開業第一弾となります。
ハード面は出来上がった瞬間から経年劣化が始まりますが、ソフト面はアップデートし続けることができる。WeWork自体の付加価値を上げていくためにも、WeWorkだけではできなかったテクノロジーの部分を、ソフトバンクのDXチームと連携して取り組んでいるところです。
ソフトバンクと日建設計、データを活用して自律的に進化し続けるスマートビルの構築に向けて「SynapSpark株式会社」を設立(2023年10月25日 ソフトバンク株式会社 プレスリリース)
最新のテクノロジーと融合することで、新しいWeWorkが生まれそうですね。
元々不動産をやっていたのですが、2000年に日本の不動産は大きな変革期を迎えました。日本版不動産投資信託である「J-REIT(ジェイ・リート)」が誕生し、不動産と金融が融合したんです。この融合を見てきて次の時代が何かと考えると、まさに不動産(Property)とテクノロジー(Technology)が融合した「プロップテック(PropTech)」の世界が来るんじゃないかと。オフィス業界でそこを実現できている会社はなかなかいない。だからこそ、ソフトバンクの子会社になったことで、私自身が思い描いていたことを実現していきたいと考えています。
ソフトバンクとWeWorkとのシナジー。これからが楽しみです。
2019年にWeWork Japan に入社後、WeWork グローバルにおいてさまざまな困難があり、そしてコロナ禍後に急成長するなど、本当に飽きさせてくれないですね。面白いです。
ソフトバンクの100%子会社として再始動し、今回新しい拠点が出せるっていうのが、本当にありがたいと思いますし、ほっとしてます。国内でこのまま成長軌道に乗って、日本でできたものを、今度は海外に発信していきたい。ソフトバンクと共に「Beyond Japan」を実現していきたいと思っています。
(掲載日:2024年11月1日)
文:ソフトバンクニュース編集部
現代の働き方に、最適解を。WeWork Japan
WeWork Japanは、国内30拠点以上の横断的な利用が可能なプロダクトや、柔軟なオフィスソリューションを提供。新時代の多様な働き方を支援し、イノベーションやコラボレーションを促進する新しいオフィスの価値を提案しています。