
9月30日に発行されたソフトバンクの「統合報告書 2025」。2024年度の振り返りやAIを基軸とした中長期的な成長戦略、財務戦略、株主還元に関する経営陣の考えなどに加えて、「次世代社会インフラ」の実現に向けた技術戦略や、ESG・リスクマネジメントに関する取り組みについても網羅的に紹介しています。
ソフトバンク「統合報告書 2025」

ソフトバンクが目指す姿や中長期的な成長戦略、価値創造プロセス、マテリアリティ、財務・非財務情報を網羅的に掲載し、年1回発行しています。
持続的な企業価値の向上のためには、実効性のあるコーポレート・ ガバナンスの構築が不可欠です。ソフトバンクは、2024年6月から取締役11名で構成される取締役会のうち、過半数の6名を独立社外取締役として選任することで取締役会の監督機能を強化しています。
ソフトバンクグループ株式会社という親会社を持つ当社の少数株主保護に向けたガバナンス強化の取り組みや、DE&I推進における課題と具体的な対策について、社外取締役である越直美氏のインタビューを一部抜粋して紹介します。
社外取締役インタビュー
親子上場について、少数株主保護や利益相反の観点からどのような点に留意されていますか。
親会社であるソフトバンクグループ株式会社との関係は、当社に米OpenAIとのパートナーシップをはじめとする戦略的機会をもたらしています。一方で、親子ともに上場していることにより、ソフトバンクグループ株式会社との取引を実施する際には、当社の少数株主保護に資するガバナンスの徹底、具体的には利益相反に特に留意しています。ソフトバンクグループ株式会社が関与する案件では、ソフトバンクの成長やリスクという観点から契約条件等を交渉する必要があります。また、特に米OpenAIに関する案件については、利益相反だけでなく、AIのようにビジネスモデルが確立されていない領域においても、リスクとリターンの関係を慎重に検討し、ソフトバンクの企業価値最大化のために最善の判断を行う必要があると考えています。
LINEヤフーとの関係においては、当社が親会社となりますが、LINEヤフーとして自らの少数株主に対して果たすべき責任があるため、そこへの配慮が必要です。私が社外取締役に就任してからも、同社の情報セキュリティ問題で、株主のみならずお客さまにご心配をおかけすることがありました。この点について、親会社としてグループ会社のセキュリティ確保・強化に対する責任があると考えています。また、ビジネス面ではAIへの取り組みなど、一緒に進められることは進めていくのがよいと考えています。
当社では、親会社との取引やM&Aなど、利益相反が想定される重要案件を社外取締役のみで審議する場として特別委員会を設置していました。2024年6月より社外取締役が取締役会の過半数を占めたことから、コーポレートガバナンス・コードに基づきこの機能は取締役会で十分に果たせると判断し、特別委員会を廃止しました。しかし、私は、独立社外取締役のみで少数株主の利益について検討する場は非常に重要だと考えていたため、そのような独立した場の維持を提案しました。そして、その結果として「独立社外取締役会議」が新設されました。この会議は、実質的に特別委員会の役割を引き継ぐものであり、社外取締役によるガバナンス機能を一層強化する仕組みとなっています。

DE&I推進における課題と、その対応策について教えてください。
私は、社外取締役に就任以来、当社の女性活躍推進委員会のアドバイザーを務めています。当社は、2035年度末までに女性管理職比率を20%以上へ引き上げる目標を掲げています。目標達成に向けては、経営トップによる強力なコミットメントが極めて重要です。当社では、宮川社長が女性活躍推進委員会の委員長を務めており、明確なメッセージを発信しています。また、当社はデータやアンケートを詳細に分析し、それを基に課題を洗い出している点が特徴的だと感じています。データ分析の結果、人事評価そのものに性差はないにもかかわらず、管理職への登用率に差があるといった課題も特定されており、対策につながっています。
さらに、当社に限らず日本社会全体に共通して見られる構造的な課題として、管理職を志望する女性の割合が男性より低いことが挙げられます。家事・育児などの負担による時間的制約に加え、「自分には務まらないのでは」という不安が要因と考えられます。これに対して当社では、メンター制度を強化し、管理職になる前の女性が、管理職のメンターを通じて仕事の進め方ややりがいを具体的に知る機会を設けています。こうした取り組みの成果として、これまで女性の管理職が少なかった職種でも子育てをしながら昇格を目指す女性が出てきています。そして、働き方改革とともに、上司がアンコンシャスバイアスをなくし挑戦的な業務へのアサインとサポートができる意識改革を進めれば、目標達成は十分可能だと確信しています。

続きは、「社外取締役インタビュー」をぜひご覧ください。
(掲載日:2025年10月14日)
文:ソフトバンクニュース編集部




