
ある日、会社から支給されているスマホに1本の着信がありました。普段は絶対に応答することのない怪しい電話番号からの着信だったのですが、操作を誤って電話に出てしまったのです。その後どのような展開になったのか、ほぼ実録でお届けします。
実録・ソフトバンクを名乗る不審な電話との対話
ある日の在宅勤務中、たまたまスマホで仕事のやり取りをしていると、突然着信が。操作している途中だったため、思わず電話に出てしまいました。その時、一瞬見えたのは「0800-500-XXXX」なる電話番号…。(うゎ、出ちゃった…。フリーダイヤルってことは、営業の電話かな。もしかすると悪質な勧誘とか詐欺電話の可能性もあるよなぁ…)
巧妙に始まる “それらしい” 電話
電話相手 「こちら、ソフトバンクサポートセンターと申します」
自分 「(あれ? うちの会社に、そんな組織あったっけ?)あ、ごめんなさい。もう一度お願いします」
電話相手 「こちら、ソフトバンクサポートセンターと申します」
自分 「…はい」
気になって、公式サイトや社内システムで調べ始めても、そんな組織名はなさそうです。
電話相手 「お客さまのご自宅ではソフトバンク光をお使いでしょうか?」
自分 「…はい(確かに自宅はソフトバンク光を使ってるけど、なんで “会社支給” のスマホに “自宅回線” の話が…?)」
電話相手 「お客さまのソフトバンク光のルーターが古くなっておりまして…」
自分 「はぁ…(なるほど、やっぱり他社サービスへの勧誘電話か)」
電話相手 「このままですと通信速度が落ちる可能性があるため、交換のご案内をさせていただいております。今、●●●(他社サービス)のルーターに…(中略)…ですが、お客さまは、ソフトバンクの携帯電話をご利用でしょうか?」
自分 「はい」
電話相手 「ソフトバンクのご契約をいただいている方に、特別にご案内させていただいておりまして…」

噛み合わない会話。違和感が確信に
自分 「ちょ、ちょっと、いいですか?」
電話相手 「はい」
自分 「ソフトバンクのサポートセンターなら、この電話番号がどこの会社でどういう契約内容か調べられますよね? なんでこの電話にかけてきてるんですか?」
電話相手 「お客さまは、ソフトバンクかワイモバイルをお使いでしょうか?」
…全く、質問への回答になっていません。
自分 「はい、使ってます」
電話相手 「ソフトバンクのご契約をいただいている方に…」
自分 「いやいやいや、あなたはこの電話番号がソフトバンクかどうかも分からずに電話をかけてるんですか?」
電話相手 「はい、ソフトバンクのご契約をいただいている方にご案内をしておりまして…」
自分 「ソフトバンクの方なら、この電話番号の契約情報を把握していないんですか? 会社で契約している端末なので、自宅でソフトバンク光を使ってるとかどうとか、ありえないんですよ」
電話相手 「えっと、法人契約の方にはご案内しておりませんで…」
自分 「はい、だからそう言ってますよね。どうしてこの電話番号にかけてきたんですか?」
電話相手 「ソフトバンクのご契約をいただいている方に…」
その後も相手は、同じような発言を繰り返すばかりで、会話が成り立ちません。
電話相手 「…少々お待ちください」
(「保留音〜♫」)
その後、5分、10分…、気づけば15分ほど放置していましたが、誰も電話に出る様子はなく、繰り返し保留中の音楽が流れているだけ。「もういいかな…」とこちらから電話を切りました。
改めて振り返って気づいた5つの怪しいポイント
正直なところ、発信元の電話番号「0800-500-XXXX」を見た瞬間に、詐欺や勧誘を目的とした迷惑電話かもしれない、ということはある程度想像していました。他にも、会話全体を振り返ってみると、怪しいと感じるポイントがいくつかありました。
ポイント① 見知らぬ「0800」や「050」、「+1」から始まる番号で突然かかってくる
「0800」は着信課金(フリーダイヤル)、「050」はIP電話(インターネット電話)で使われており、企業からの問い合わせやサービスの連絡など、正規の企業や公的機関でも一般的に利用されています。そのため、すぐに迷惑電話だと断言することはできません。しかし、これらは発信側のコストが低い、あるいは番号の取得が比較的容易であることから、詐欺や営業目的の迷惑電話に悪用されるケースが多発しており注意が必要です。
他にも、「+1」など「+(国番号)」で始まる国際電話番号からかかってくる電話は、特に警戒すべきです。見覚えのない国際番号からの着信には、不用意に応答しないよう注意しましょう。なお、ソフトバンクから国際電話でお客さまにご連絡することはありません。
ポイント② 名乗りが曖昧
「ソフトバンクサポートセンター」という名称は、何となく本物の組織名のように聞こえますが、実はこれが迷惑電話の手口の一つです。他にも「カスタマーセンター」「カスタマーサポート」など、それっぽい名前を名乗ってきます。一般の方はなかなか気づくのが難しいかもしれませんが、詳細を尋ねても、曖昧ではぐらかされる場合は、何か後ろめたさがあると考えた方がよいでしょう。
ポイント③ 契約情報を把握していない
今回のケースでは、会社支給の電話番号に自宅回線の案内が来るという、その時点で明白な矛盾がある電話でした。正規のサポート窓口であれば、その電話番号が個人契約か法人契約か、どのようなサービスを利用しているか、といった基本情報を把握しているはずなので、「何のサービスを使っているか」といった質問をすること自体が不自然です。契約者名など契約情報を把握していない状態で電話をかけてくるのは、名簿などを元に無差別に電話をかけている証拠です。その後の個人情報の聞き出しを目的としている可能性が考えられます。
ポイント④ 不安を煽り、他社サービスへ誘導
「ルーターが古い」「このままだと速度が落ちる」とユーザーの不安を煽(あお)るのは、強引な勧誘の常套(とう)手段です。今回の電話も「ルーターが古くなっている」と他社サービスを紹介するものでした。そもそも自社から競合他社のサービスへの切り替えを積極的に案内することは、企業の活動として不自然極まりません。根拠のない不安を植え付け、考える時間を与えずに契約を急がせようとするのは、典型的な迷惑電話の特徴です。
ポイント⑤ 質問に的確に答えられず、同じ文言を繰り返す
今回、核心を突く質問をしたところ、相手は同じ回答を繰り返すばかりで会話が成り立たなくなりました。これは、相手がこちらの状況に合わせて話しているのではなく、用意された「台本(マニュアル)」通りにしか話せないためです。こちらの問いかけに対して要領を得ない回答が続いたり、言葉に詰まったりする場合は、対話の継続を避けてすぐに電話を切るべきでしょう。
知っておきたい不審な電話やメールの手口
今回かかってきたのは、ソフトバンクのサービスを装い、機器の見直しを理由に別のサービスへ誘導するタイプの勧誘電話でしたが、通信キャリアだけでなく公共機関や配送業者を装うなど、さまざまな手口による被害が報告されています。
手口① 公式や提携先を装う「乗り換え勧誘」型
特定の企業やその関連会社を名乗り、あたかも「公式なメンテナンス」や「契約の見直し」であるかのように振る舞って接触してきます。
「●●●社から承諾を得てお電話しています」「料金改定のご案内です」「お使いの機器が古くなっているので交換が必要です」 といった内容の電話。一見、どれも “ありそう” に聞こえますが、正規の窓口であれば、最初から契約内容を把握したうえで話が進みます。 今回の電話でもそうでしたが、「どのサービスを使っているか」といった探るような質問が続くのは、名簿を元に手当たり次第に電話をかけ、対話の中で個人の情報を補完しようとする典型的なやり方です。「公式の窓口であれば把握しているはずの情報を、なぜかこちらに聞いてくる」場合は、その時点で警戒すべきです。
手口② 未払いや利用停止で不安にさせる「恐怖訴求」型
より悪質なのが、心理的な不安を煽(あお)り、冷静な判断を奪うタイプです。通信キャリアだけでなく、警察や官公庁、電力会社などを装うケースも増えています。
「未払いがある」「まもなく電話や電気が使えなくなる」「裁判・法的手続きに進む」といった言葉で焦らせることで、考えが整理される前に、支払いの指示や個人情報の開示といった行動を促すのが狙いです。特に最近は、国際電話番号(「+1」 など)からの自動音声ガイダンス「オペレーターにつなぐには『1』を押してください」といった手口も報告されています。このまま『1』を押すと、オペレーターを名乗る犯人につながり、金銭要求や個人情報を聞き出そうとしてきます。
ソフトバンクが国際電話で連絡することはありませんし、そもそも日本の企業が国際電話で連絡するケースは、極めて考えにくいと言えるでしょう。この1点だけでも、判断材料として覚えておく価値があります。
手口③ メール・SMSで誘導する「フィッシング」型
電話以上に多くの人が日常的に危険にさらされているのが、メールやSMSを用いた手口です。
「未払いがあります」「重要なお知らせ」「利用停止予告」「お荷物をお届けにあがりました」 こうした文言でURLをクリックさせて、本物そっくりの偽サイトへと誘導する手口です。そこでうっかりID・パスワードやクレジットカード情報を入力してしまうと、アカウントの乗っ取りや不正決済の被害につながる危険があります。
「不審なURLをクリックしない」「返信しない」「怪しいメッセージは削除する」。これらを徹底することが、被害を防ぐ基本です。

迷惑電話の被害を防ぐための「3つの鉄則」
不審な電話やメールによる被害は、誰もが被る可能性のあるリスクです。最近では生成AIの広がりとともに手口もますます巧妙化しており、簡単に見破ることが困難になってきています。自分自身と大切な情報を守るためにも、3つの鉄則を覚えておきましょう。
鉄則① 個人情報は教えず、その場で判断しない
電話口で氏名、住所、生年月日、クレジットカード番号などの個人情報を求められても、その場で答えてはいけません。相手がいかに言葉巧みに危機感を煽(あお)ろうとも、「一度家族と相談する」「内容を再確認する」と伝え、いったん電話を切ることが重要です。自分一人で即断しないことが、最大の防波堤となります。
鉄則② 相手が示す連絡先やリンクは使わない
不審なメールやSMSに記載されたリンクを不用意にタップしたり、指定された番号に折り返したりしてはいけません。身に覚えのない電話番号や送信元からの「重要なお知らせ」には、まず疑いの目を持つことが必要です。少しでも違和感を抱いたら、同様の詐欺被害がないかをインターネットで検索したり、情報の真偽を確かめる習慣をつけましょう。
鉄則③ 届いた内容ではなく、“公式情報” を正規の情報源とする
電話やメールで請求内容や利用停止の通知が届いたからといって、相手の指示やメール内のリンク、指定された電話番号をそのまま信用してはいけません。これらは、公式の窓口を装って偽サイトや詐欺窓口へ誘導するための典型的な手口です。
まずは本物かどうかを確かめるために、自分自身で公式サイトや公式アプリから情報を確認しましょう。自分で確認した情報こそが、最も信頼に値する情報であり、被害を防ぐ決定打となります。
簡単な設定で、ソフトバンクからの着信時に店舗名やコールセンターの窓口名が表示されます
ソフトバンクでは、2025年9月より電話帳に登録していない番号でも、「My SoftBankアプリ」から着信設定をすることで、ソフトバンクからの着信時に店舗名やコールセンターの窓口名が表示されるようになりました。


最後に、今回のようなケースに直面した際に、すぐに「不審」だと断定するための判断基準を改めて整理しておきましょう。
- 「+1」などの国際電話番号から、日本のサービスを名乗る電話
- こちらの契約状況を把握していない
- 「安くなる」「交換が必要」と言いながら、話の途中で他社サービスを勧めてくる
- 未払い、利用停止、法的措置などを強調して、判断を急がせる
- SMSやメール内のURL、あるいは指定した電話番号へしつこく誘導する
これらのうち1つでも当てはまったら、その連絡は「偽物」である可能性が極めて高いと判断すべきです。予期せぬ着信やメッセージに、つい冷静さを欠いてしまうこともあるかもしれません。大切なのは、一呼吸を置いて相手のペースに乗らないこと、そして、自ら公式の情報を確認すること。この2つを徹底するだけで、ほとんどのトラブルは未然に防ぐことができます。正しい知識を持って怪しい電話を撃退しましょう!
もし被害に遭ってしまったら、不安を感じたら
もし、不審な電話やメールに出てしまったり、途中まで応じてしまったとしても、気づいた時点で適切に対応すれば、被害を最小限に抑えることができます。大切なのは、ひとりで抱え込まないことです。
個人情報を伝えてしまった、強引な勧誘で契約してしまった、金銭を要求された、など不安を感じるような場合は、できるだけ早く第三者に相談しましょう。
- 警察相談専用窓口:#9110
- 消費者ホットライン:188(いやや!)
(掲載日:2026年2月16日)
画像:Nano Banana Pro
文:ソフトバンクニュース編集部







