2020年9月18日、国⼟交通省からスマートシティのモデルプロジェクトに選定された、羽田空港に隣接する「HICity」において、⾃律⾛⾏バス「NAVYA ARMA （ナビヤ アルマ）」（仏Navya社製）の定常運⾏がスタートしました。当日の運行開始セレモニーの模様と、乗車の様子をレポートします。
HICityの街づくりとともに、自動運転の発展へ
HICity（HANEDA INNOVATION CITY）は、⽻⽥空港（東京国際空港）に隣接した⼤規模複合施設。ここが、国内で初めて、特別装置⾃動⾞が⾃律⾛⾏バスとして定常運⾏する舞台になりました。9月18日の運行開始セレモニーには、HICityの開発を進める⽻⽥みらい開発株式会社、ソフトバンクの子会社で自動運転バスの実用化・普及に取り組むBOLDLY（ボードリー、旧SBドライブ）などから、幹部や関係者が集まりました。
セレモニー冒頭、⽻⽥みらい開発の⼭⼝皓章代表取締役社⻑が「HICityのコンセプトは、日本の先端産業と文化産業を集結、融合させることで、新しいイノベーションを起こすこと。この取り組みが、イノベーションを起こす種になると期待しています」とあいさつ。続いて、鹿島建設 執行役員 塚口孝彦開発事業本部長が「先端的なモビリティは、日本が世界に打ち勝つ競争力だと考えている。この街を世界一の先進的な街に育てたい」と話しました。
そして、BOLDLY 代表取締役社長 兼 CEOの佐治友基が登壇。「自動運転バスを実用化・普及させたいという思いから、これまで各地で数々の実証実験を繰り返してきました。いよいよHICity内での定常運行を開始します。ここHICityは、最新技術をつめこんだ街。まさにイノベーションの種。ここから花がどんどん開くよう、まい進したい」と力強く宣言しました。
BOLDLY 代表取締役社長 兼 CEO 佐治友基
日本交通の佐藤真吾常務執行役員は、「ものすごいスピードで進化する自動運転に、われわれのホスピタリティと安全重視の考え方で貢献したい」と述べ、最後に、マクニカ 原 一将代表取締役社長が、「多くのエンジニアを抱える企業として、この取り組みを技術面で支援し、世界に誇れる最先端のスマートシティの発展に貢献したい」と語り、あいさつを締めくくりました。
安定感のある自律走行。もちろんノーハンドルで、実際に試乗させてもらいました
「NAVYA ARMA」はGPSなどで自車の位置を測定し、障害物を避けながら、あらかじめ設定したルートを自律走行します。HICity構内循環バスとして運行され、乗車は無料。早速、体験してみました。
HICity構内とはいえ、車も通る道路性のある道を走るので、ナンバープレートもちゃんと付けて走行します。
定員は運転手と保安員を含めて11名。コロナ禍の今は密集を避けるため、乗車人数を半分程度に制限して運行します。
車内のディスプレイには、設定されている走行ルートが表示されます。速度は時速7〜8キロ。安定したドライブで快適です。
「NAVYA ARMA」の前を、人や別の車が横切ると、自動停止します。ゆるやかに停止するので、衝撃はほとんどありません。この日の乗車は、BOLDLYの佐治社長が案内してくれました。
HICityの敷地内にて、遠隔で運行管理をしています。「NAVYA ARMA」と、BOLDLYが開発し提供する自動運転車両運行プラットフォーム「Dispatcher（ディスパッチャー）」を連携させ、車内の様子が監視できるようになっており、必要であればすぐに運行管理のオペレータと車内とが電話でつながり、会話ができるようになっています。
敷地内の移動を便利にする「NAVYA ARMA」。この運行を通して技術をさらに高め、将来的には敷地の外へも結ぶ循環バスへの転用を目指します。
（掲載日：2020年9月24日）
文・ソフトバンクニュース編集部
