郵便物やチラシ、学校から配布されるプリント類。とりあえず取っておくものの、いつの間にか家の中に不要な書類がたまっている方も多いのでは? 放置していると、大事な書類がなかなか見つからなかったり、重要な支払期限が過ぎてしまったり… なんてことも。そこで今回は、デジタルを活用した書類の保管方法などについて、片づけアドバイザーの石阪京子さんに伺いました。
ほとんどの紙は捨ててOK! 書類整理、まずはここから始めよう
多くの人が経験したことのある、書類整理の悩み。家にたまっている大量の書類を放置すると、どうなるのでしょうか?
こんな経験ありませんか? たまった書類を放置するデメリット
- 家のあちこちに書類が散らばっていて、乱雑に見える
- いざというとき、大事な書類が見つからずに焦る
- 気付いたときには支払期限が過ぎている
- 取っておくべきか、捨てていいのか分からない
- 家にあふれる書類のせいで、いつも追い立てられているような気持ちになる
書類の整理において、石阪さんが推奨するのが「データ化」。書類をデータ化することで、どんなメリットを得られるのでしょうか?
「メリットはたくさんありますが、どこでも見られることが大きなポイントです。スマホやタブレット端末から外出中でもスケジュールや必要事項の確認ができますし、書き込みもできます。検索性の高さもメリットですね。書類の山の中から大事な物を探すのは骨が折れますが、データ化しておけばすぐに探し出せます。また、書類の内容を人に伝えるときも、メールやLINEですぐに送れるので便利です」
家にある書類で、データ化できるものは?
「家にある書類はほとんどデータ化できます。逆に言えば、紙として残しておくべきなのは『お金関連の紙』と『使う目的がある紙』だけなのです。お金関連の紙とは、払込用紙や保険の証券、税金の控除に必要な紙などお金にまつわる書類のこと。一方、使う目的がある紙とは、選挙の投票所入場券や運転免許の更新通知はがきなど、その紙自体が必要になるもののことです。ちなみに、チラシやDMなど読めばわかるものはそもそもデータ化する必要はありません」
まとめて管理! 書類整理におけるデジタル活用術
家にたまっている書類のほとんどが、データ化できることが分かりました。ここからは、書類整理の具体的なデジタル活用術について教えていただきます。
書類のデジタル保存テクニック
書類をデータ化する際に大切なのは、「まとめて管理」すること。石阪さんは、次の3つの方法で書類を管理しているそうです。
①日常の細かな書類は、写真に撮って「Google Keep」に保存する
「仕事の書類や自治会のスケジュール、雑誌で見つけたレシピなど、あらゆる情報の写真を撮って、画像として『Google Keep』に保存するようにしています。個別にタイトルが付けられるので、保存した年月日と検索しやすいワードを多めに入れておくと、必要な時にすぐに探せますよ」
②大量の書類はスキャンして「Google ドライブ」で管理
「公的書類や打ち合わせの資料、イベント時に回収したアンケートなど、枚数が多い場合は、スキャンして『Google ドライブ』に保存します。用途別にフォルダを作って、保存した日付と検索しやすいワードを入れておくといいでしょう。保存する量や頻度が多い人は、プリンターや専用スキャナーを使うとデータ化の効率が上がりますよ」
POINT:「Google ドライブ」で書類をスキャン&保存する手順
③紙で確認していた情報をアプリに移行
「お薬手帳や家電の取扱説明書など今まで紙で扱ってきたデータも、今はスマホのアプリを使って管理することができます。例えばお薬手帳の場合、処方された薬の種類や副作用から、感染症の予防接種まで、医療や健康に関する情報をアプリで一元管理できます。ちなみに私は、お薬手帳は『EPARK』、家電の取扱説明書は『トリセツ』を使っています」
使用するサービスは「Google Keep」や「Google ドライブ」でなくてもOKだそう。どのような基準で選べばいいのでしょうか?
「スマホやタブレット端末、PCなど、どんなデバイスからも見られることが重要です。それから、保存容量がなるべく大きいものを選ぶほうがいいですね。医療関係や教育関係など、家族と共有する書類も多いと思いますので、共有のしやすさも考えて選びましょう」
メモ帳感覚で気軽に使える! 「StickyNote」を活用しよう
買い物リストや仕事のアイデアなど、紙にメモを取ったもののその紙を失くしてしまうことはありませんか? そんな人に石阪さんがおススメするのが、スマホのホーム画面に貼れるメモ帳「StickyNote(スティッキーノート)」。今日の予定やSNSに投稿するテキスト、読みたい本リストなど、内容によって色分けでき、必要がなくなればすぐに削除できます。
それでも残った書類は?
不要な書類は捨てて、情報のみ必要な書類はデジタルで保存。それでも手元に残った書類は、どのように管理すればいいのでしょうか。
「暮らし、健康、教育、マネー、取説・保証書、未処理の6つのファイルボックスを用意し、分類して管理するファイリング方法がおススメです。具体的な分類は、次の通りです」
暮らし | パスポートや印鑑登録証明書、マイナンバーカード、年賀状や転居のはがき(1年分だけ)、緊急連絡先、特に大事なパスワード、紙のポイントカードなど |
---|---|
健康 | 保険証、診察券、予防接種の紙、母子手帳、健康診断の申込書など |
教育 | 月謝の請求書や資格試験の申込書など |
マネー | キャッシュカード、通帳、控除の書類、保険証券など |
取扱説明書・保証書 | 家電や家具の保証書、海外製の家電など取説アプリに掲載されていないもの、取扱説明書に付いてくる六角レンチなどの付属品など |
未処理 | 後で判断したい書類、家族に確認してもらう書類、期限がある書類など |
「ファイルボックスは取り出しやすいものがおススメです。また、ファイルボックスの中でさらに細かく分けられるよう、ポケット型やファスナー付きのファイルなどのグッズを使って仕分けると、必要な時に数秒で取り出せるようになりますよ。リビングなど、家族全員の目に入る場所に置き、全員で管理するようにしましょう」
もっと知りたい、データ化していい紙の見分け方。石阪さん直伝の整理術を試してみた
いざ整理しようとしたものの「これって捨てるべき?」と悩む書類も多いですよね。どうすべきか悩みがちな書類について、捨てる基準やデータ化の仕方を1つずつ教えていただきました。
これってどうすべき? 捨てるか迷うもの一問一答
- クレジットカードやポイントカードの契約書・規約
石阪さん 「契約書や規約はオンラインで確認できるため、捨ててしまって構いません。パスワードや問い合わせ用の電話番号が記載されている場合は、写真に撮ってデータ化しておきましょう」
- 診療明細書
石阪さん 「風邪など一時的な治療の場合は、捨ててしまって構いません。ただし、手術で入院した場合などは、医療保険の給付金請求のために診療明細書が必要になるので、『お金関連の紙』として保管しておきます。また、持病があり今後の治療方針を決める手掛かりとして取っておきたい場合は、データ化しておくと便利です」
- 源泉徴収票や寄付金控除証明書
石阪さん 「確定申告に関わる書類は、5年間、7年間など保存期間が決められています。10年分は取っておくと覚えておけば、いざというときも安心です」
- 子どもの絵、日記、大切な手紙などの、思い出の品
石阪さん 「子どもの絵や通知表、卒業証書、日記や手紙などは、処分するかどうかは個人の判断に委ねられます。そのものを大切に持っておきたい場合、小さなボックスや手帳に保管しておくといいと思います。私も、亡くなった母から最後にもらった手紙や、お礼状などは、専用ボックスに大事にしまっています。子どもの絵や工作などはスペースを取るため、最近は写真に撮って思い出だけ残すという方が増えていますね。SNSに専用アカウントを作ってアップするのもオススメですよ」
実際に整理してみました
大量の紙類に悩む編集部メンバーが、家の中の紙を集めてみました。説明書や公共料金の明細、医療費の領収書、学校のお便り、そして開けていない封筒…。教えてもらった分類に従い、紙として残すものを選別したところ、驚くほど少なくなりました! あとは、ファイルボックスと仕切りを使って収納するだけです。
気軽に書類のデジタル化を始めて、生活をもっと快適に!
「今や何でもデジタル化の時代。難しいと思わずに、まずは気軽に取り組んでみてください。書類を整理すると、家の中も頭の中も見違えるようにスッキリしますよ!」と石阪さん。この記事を参考に、皆さんもぜひ書類整理をして、快適に過ごしましょう!
(掲載日:2024年3月14日)
文:佐藤由衣
編集:エクスライト
「あんしんデータボックス」でも書類データの管理が可能です!
クラウドストレージの使い方が分からなくて不安… という場合は、ソフトバンクショップでサポートが受けられる「あんしんデータボックス」がおススメです。たくさん保存でき、複数の端末からの閲覧や、リンクを共有することで、家族や友人もデータを閲覧することが可能です。