
2025年7月16日に開催されたソフトバンクの法人最大規模のイベント「SoftBank World 2025」。展示会場内では、ソフトバンクの原点ともいえる通信事業の軌跡と、その進化の先にある「Beyond Carrier」の世界観が来場者を迎えました。通信に込めた「つながる力」が、いかに未来をひらこうとしているのか。本記事では、当日の展示ブースの様子をレポートします。
目次
「つながらないを、なくしたい〜ソフトバンク通信事業のあゆみ〜」 黒電話から携帯電話、そしてスマートフォンへ
当日は、ソフトバンクのブース担当(かなまる)と一緒に展示をのぞいてみました。

ソフトバンク株式会社 かなまる
ソフトバンクの法人事業のSNSで、さまざまなソリューションを紹介。スマートフォンが人生初めての携帯電話という世代。
まず、目に飛び込んできたのは、黒電話。
思わず、ぐるっと回してジーという音を懐かしむ人もいれば、黒電話を初めて目にする人も…。

かなまる 「どうやって電話をかけるのか、使い方がわからなくて、つい数字をプッシュしてしまいました…」
日本でアナログ式の黒電話が主に使われていたのは1950年代から1980年代前半。その後は、番号をプッシュするボタン式の電話へ移行していきました。
1980年代後半になり、携帯電話の登場により通信は新たなステージへ進みます。第1世代(1G)と呼ばれる携帯電話は、アナログ信号を使って音声通話を可能にしていました。肩に担ぐタイプの「ショルダーホン」や自動車に設置する電話が登場し、それまで、家や会社など決まった場所からしか使えなかった電話を持ち歩くことが可能に。とはいえ、当時はまだ高価で、主にビジネス用途が中心で、誰もが使えるものではありませんでした。

1990年代に転機が訪れ、登場したのが一般消費者も手軽に使える携帯電話。2Gではデジタル方式が導入され、音声の品質が向上。スマートフォンの普及により今ではガラケーと呼ばれるコンパクトな携帯電話には、折りたたみタイプもありました。
2000年には携帯電話として世界で初めてカメラを内蔵したJ-SH04が登場。写真を添付できるメールサービスと相まって、のちに「写メール」と呼ばれるコミュニケーションスタイルが広まりました。
かなまる 「アンテナがビョーンと伸びるのも新鮮です。"写メする" が大流行したんですね」
2000年にJ-フォンから発売されたJ-SH04。世界で初めてカメラを内蔵した携帯電話
インターネット接続などの機能が続々と搭載され、2000年代に入ると3Gが普及し、携帯電話は「電話」から「インターネット端末」へと本格的にシフトしていきました。
J-SH04の隣には、カラフルな「SoftBank 812SH」。発売時は20色、その後4色が追加されました。
かなまる 「なんと24色展開されていました。今では1機種でここまでのカラーバリエーションはなかなか見かけなくなりましたよね。私だったら、上の段、左から4番目のピンク色が欲しいです!」
2007年発売。PANTONEカラーが採用された
「ワンセグ(地上デジタル放送)対応」のAQUOSケータイ「905SH」も登場。液晶画面を回転させる構造が特徴で、テレビ視聴に最適と話題を集めました。
2006年、ボーダフォン・ソフトバンクから発売された905SH
2008年発売 815T PB
中にはこんなユニークな形の携帯電話も。特撮ドラマ『ケータイ捜査官7』に登場する「フォンブレイバー 7(セブン)」の実物そっくりの携帯電話として発売。キャラクター音声や動きが楽しめる携帯電話です。劇中のキャラクターと「同じ端末」を使えると話題になりました。
新しいコンセプトの携帯電話が続々登場する一方、2008年にはソフトバンクモバイル株式会社が日本で「iPhone 3G」の独占販売を開始しました。日本で初めての iPhone の発売に、多くのユーザがソフトバンクショップの店頭に列をなしたのを覚えている方もいますよね。
2010年代には4G(LTE)が登場し、動画視聴や大容量データのやり取りが当たり前に。SNSや動画配信サービスの普及もこの時代に加速。スマートフォンが「生活インフラ」として定着しました。

そして、2020年代に入り、5Gの本格展開が始まり、大容量かつ低遅延、多数の端末との同時接続が可能に。こうしてモバイル通信は、単なる通信手段ではなく社会課題の解決や新産業創出の基盤へと進化をしてきました。
「Beyond Carrier 〜通信の、その先へ〜」 次世代の通信を支える最新技術
黒電話のアナログ通信から5Gまでの進化を振り返った先に展示されていたのは、現代の通信をより便利に快適に支える最先端の技術です。

円い筒状のアンテナは、屋外基地局用のSub6マルチバンドアンテナ。LTEから5Gまでのネットワークに対応、広い範囲の周波数を効率的にカバーし、全国の通信ネットワーク構築に貢献しました。現在も幅広く活用されています。
四角い形状の無線機一体型のアンテナは、多数のアンテナで同時多接続・高速通信を可能にする「Massive MIMO」。従来のMIMO技術を大幅に進化させ、通信容量と効率の向上を実現したこの技術は、5G以降の次世代ネットワークインフラに欠かせない「基本構成」として、今後もさらなる展開が期待されています。

写真左:Sub6マルチバンドアンテナ。写真右:Massive MIMO
かなまる 「Sub6マルチバンドアンテナは、ひと際大きくブースの中でも目立つ存在です! 高速通信を実現するMassive MIMOも、実物を初めて見る方が多いと思います」
地上のモバイルネットワークとNTNを融合。「UTX」で無限につながる世界を実現
ソフトバンクは、地上の5Gなどのモバイルネットワークと、人工衛星や成層圏通信プラットフォーム(HAPS:High Altitude Platform Station)を活用した非地上系ネットワーク(NTN:Non-terrestrial Network)を融合し、ユビキタストランスフォーメーション(UTX:Ubiquitous Transformation)を実現することを目指しています。
山岳地帯や建設現場、災害時の避難所など、地上のモバイルネットワークが届かない「不感地帯」でも、安定した通信を届けるために活用されているのが衛星通信サービス。BCP強化の一環として、企業のネットワークが切断された際のバックアップに利用されることもあり、実用的なユースケースが増えています。
現在、ソフトバンクでは法人向けの衛星通信サービスとして「Starlink Business(スターリンクビジネス)」を提供しており、その他にも「Eutelsat OneWeb(ユーテルサットワンウェブ)」の提供に向けた準備を進めています。直接インターネットに接続するStarlink Businessは、山間部や災害現場、学校や工事現場といった場面での活用が多く見られます。一方、Eutelsat OneWebはソフトバンクのSmartVPNと接続することで、閉域ネットワーク内で通信ができます。災害時における企業ネットワークの代替手段をはじめ、高いセキュリティーや安定した通信品質が求められる用途での利用が期待されています。
かなまる 「Starlink Businessは通信速度が速く、比較的安価に利用できます。Eutelsat OneWebはセキュアな閉域接続の通信に向いています」
Starlink Businessのアンテナ
Eutelsat OneWeb(衛星模型)
新型のStarlinkアンテナ「スタンダードV4アンテナ」は、従来のものより大幅に軽量・コンパクト化されており、専用のケースに収納すれば背負って運ぶことも可能です。組み立ても容易で現地での設置もスムーズ。機器に不慣れな方でも扱いやすく設計されています。
成層圏から通信を提供する空飛ぶ基地局「HAPS(High Altitude Platform Station)」は、高度約20kmから直径最大200kmの範囲に通信を届けることが可能です。HAPSには、空気より軽く、浮力を利用して飛行を維持する「LTA(Lighter Than Air)型」と、飛行機などのように揚力を持って滞空する「HTA(Heavier Than Air)型」の2種類があります。
「Altaeros」の高高度係留気球「ST-Flex」の模型。右のシリンダーアンテナを搭載して商用化に向けた実証実験を実施
HAPS向けのシリンダーアンテナ。機体の旋回に合わせて電波の向きを変えることで、通信エリアを固定することが可能
2025年6月、ソフトバンクは、米国SceyeのLTA型のHAPSを利用して、2026年に日本でプレ商用サービスを開始することを発表しました。プレ商用サービスでは、災害時を想定した限定的な通信サービスの提供を行い、2027年以降は、災害時の対応に加えて、山間部や離島といった既存のモバイルネットワークの電波が届きにくい地域でのサービス提供を視野に入れています。

HTA型のHAPS「Sunglider(サングライダー)」の模型の隣には、宇宙服を着たお父さんの姿も
黒電話や携帯電話を経て、スマートフォンが普及した時代に宇宙から通信を届ける最先端の技術に、ブースを訪れた人が足を止めて聞き入る姿が見られました。

(掲載日:2025年7月29日)
文:ソフトバンクニュース編集部
SoftBank World 2025 公式サイト

SoftBank World 2025の講演は、一部を除き、2025年8月29日(金)まで公式サイトからオンデマンド視聴可能です。




