
SNSやインターネットが子どもたちにとって身近な存在になる一方、誹謗中傷や個人情報の取り扱いなど、不適切な利用によるトラブルも課題となっています。ソフトバンクは大分県から2026年度の「ネット安全教育推進事業業務」を受託し、県内120の小・中・高校・特別支援学校で情報モラルに関する授業を実施しています。
なぜ今、ネット安全教育が必要なのか。授業では子どもたちに何を伝えているのか、大分県教育庁とソフトバンクの担当者に聞きました。
県内120校で実施。大分県が「ネット安全教育」に力を入れる理由

SNSを通して友人とコミュニケーションを取ったり、インターネットで気になることを調べたり。スマートフォンやインターネットは、子どもたちにとっても欠かせない存在になっています。一方で、SNS上での誹謗中傷や、写真を投稿することによる肖像権の侵害など、不適切な利用によるトラブルも起きています。
大分県 教育庁 教育DX推進課 ICT教育指導班 指導主事 友永有司さんに、情報モラル授業について、お聞きしました。
昨年度は100校、今年度は120校という大きな規模で、ネット安全教育に注力している背景を教えてください。
友永さん 「スマートフォンなどを所持する児童生徒の増加に伴い、SNSなどの不適切な利用(誹謗中傷、肖像権の侵害など)等も問題となっています。児童生徒が、そのリスク等を理解し、安全にそれらを活用する力を身に付けていくため、各学校の取り組みに加えて県としてもネット安全教育に注力しているところです」
情報モラルの講座にどのような効果を期待していますか?
友永さん 「出前授業の実施に最も期待する効果としては、児童生徒が情報技術のリスク等を理解し、安全にそれらを活用する力を身に付けることです。各学校の日ごろの授業等に加えて、専門的な知識をもった講師が出前授業をすることで、最新のトラブル事例や具体的な対処法をより実践的に学ぶ機会となり、ネット安全教育のさらなる充実につながります。
あわせて、この授業をきっかけに家庭でもスマートフォンとの付き合い方を保護者と話し合う機会が増えたり、地域の方と学校の取り組みを共有できたりすることで、家庭・地域・学校が一緒になって、ネット安全教育を推進していけるような環境づくりにつながることも期待しています」
インターネットやスマホとの付き合い方の「正解」は一つじゃない。年代に合わせ伝え方を工夫

ソフトバンクの講師が学校に出向いて直接授業を行うほか、オンラインによる授業も併用。学校によっては保護者の参加も受付しています。2026年6月15日から授業を開始し、2027年3月末までに合計120校で開催する予定です。
講師を務めるソフトバンクのコンシューマ事業統括 スマホ推進2部 龍野仁美、小牟田祐希に話を聞きました。

ソフトバンク株式会社
コンシューマ事業統括 スマホ推進2部
龍野 仁美(りゅうの・ひとみ)

ソフトバンク株式会社
コンシューマ事業統括 スマホ推進2部
小牟田 祐希(こむた・ゆき)
120校の規模感で実施するにあたっての運営の工夫を教えてください。
龍野 県から受託が正式に決定した後、授業開始まで数週間しかなかったため、講師の育成が急務となりました。今回の授業を担当するメンバーの中には、これまで登壇経験がそれほど多くないメンバーもいたため、限られた準備期間の中で、授業の進め方や伝え方をそろえていく必要がありました。
そこで、経験のある講師の登壇内容を文字起こしし、生成AIも活用しながら、特に伝えたいポイントや言い回しを整理しました。例えば、「ここはしっかり伝えたい」「この部分は子どもたちに響くように話したい」といったポイントを共有し、講師それぞれが短期間でも準備しやすいように工夫しています。また、学校ごとの日程調整も限られた期間で行う必要があったため、メンバーで役割を分担しながら準備を進めました。
小・中・高校と年代別にスマートフォンの利用形態も異なると思います。学年によって授業内容を変えるなど、工夫している点はありますか?
小牟田 「小学生、中学生、高校生で教材を分けるだけでなく、話し方や伝え方も年代によって変えています。小学生の場合は、長い説明が続くと集中が切れてしまうこともあるため、話し方に抑揚を付けたり、途中でクイズを取り入れたりして、楽しみながら参加してもらえるようにしています。
中学生には、『スマートフォンは楽しいよね』『休日に動画を見ることもあるよね』と、まずは普段の使い方に共感するところから入るようにしています。一方的に『使い過ぎないように』と注意するのではなく、味方の立場で話すことを意識しています。また、大きなリアクションがなくても、うなずいてくれたり、少し反応してくれたりしたときには、その反応を見ながら授業を進めています。

小学生向けの教材の一部

高校生向けの教材の一部
高校生になると、スマートフォンやSNSの利用に慣れている生徒も多いため、トラブルそのものだけではなく、『その後、自分にどのような影響があるのか』まで伝えるようにしています。進学や就職など将来について考え始める年代でもあるので、SNSへの投稿やアルバイト先での行動、個人情報の取り扱いなど、社会に出た後にも関わるような事例を取り上げながら、自分事として考えてもらえるようにしています」
ソフトバンクが伝えるからこそ、子どもたちに響く
ソフトバンクが情報モラル教育を行うことには、どのような意義があると考えていますか?
小牟田 「実際に学校で授業をして感じるのは、SNSやスマートフォンの使い方には、正解が一つあるわけではないということです。家庭によってルールは異なりますし、子どもたち一人一人の使い方も違います。学校や家庭でも、『どこまで使わせるのがよいのか』『どういうルールにすればよいのか』と模索しているのだと感じています。
だからこそ、通信サービスを提供している私たちが第三者の立場から、安全な使い方や実際に起こっているトラブル、自分を守るための考え方を伝えることに意味があると考えています。
先生や保護者が普段から伝えていることでも、ソフトバンクの講師が伝えることで、子どもたちが改めて耳を傾けてくれることがあります。スマートフォンや通信サービスに関わる立場だからこそ、身近な事例を交えながら伝えられる点も、この取り組みの意義だと感じています」
実際に授業を重ねる中で、児童生徒の反応をどのように感じていますか?
龍野 「授業を始める前は、『またスマートフォンについて注意される』と思われてしまうのではないかという心配もありましたが、実際には小学生、中学生、高校生ともに、想像していた以上に真剣に話を聞いてくれています。
中学生や高校生は、小学生ほど大きなリアクションはありませんが、身近な事例を取り上げるとうなずいてくれることがあります。高校生の場合、SNS上で目にするようなトラブルの事例を紹介すると、『見たことがある』という反応も多く、自分たちの生活に近い話として受け止めてくれていると感じます。

学校によっては、授業後に感想を書いたり、クラスで話し合ったりするところもあります。学年が上がるにつれて、『これから自分はこうしていきたい』と、自分の行動に置き換えて考えてくれる子どももいます。中には、子どもたちが書いた感想を冊子にまとめて送ってくださった学校もあり、授業をきっかけに自分なりにスマートフォンやインターネットとの付き合い方を考えてくれていることを感じています」
先生方、保護者の受け止め方はいかがでしょうか?
龍野 「先生方からは、普段学校や家庭で伝えている内容でも、ソフトバンクの講師から改めて伝えることで、子どもたちがより耳を傾けてくれる、という声をいただくことがあります。また、学校によっては授業参観などにあわせて保護者にも参加していただいています。保護者が一緒に授業を聞いている場合には、最後に『今日聞いたことを、お父さんやお母さんとも家で話してみてください』と子どもたちに呼びかけることもあります。
スマートフォンやSNSの使い方には一つの正解があるわけではないからこそ、授業をきっかけに、親子で「自分たちの家庭ではどう使っていくか」を話し合ってもらうことも大切だと考えています。学校や保護者が手探りでルールを考えている中で、この授業が一つのきっかけになればと思っています」
(掲載日:2026年10月27日)
文:ソフトバンクニュース編集部




