【書き起こし】2017年3月期 第1四半期決算説明会(前編)

人生というのは本当に面白いものだとつくづく思う。つい最近、ARMの買収について発表したが、今回の買収案件についてARMの会長と初めて会談したのが、トルコの港町であった。会談を行った前後には、テロやクーデターがあり、タイミングが少しでもずれれば危険だった。さらにその少し前に、英国の国民投票によるEU離脱決定があった。もしそれがなければ、これほどいろんないいタイミングにならなかったかもしれない。いろんな偶然があって、少なくともソフトバンクの会社における歴史が大きく動くことになった。そんな中で本日は、ARMの買収発表直後の決算発表となることもあり、ソフトバンクグループ全体の現在の経営状況について報告するためにも、よいタイミングだと思っている。

2016年第1四半期のハイライト

ソフトバンクグループの国内通信事業は、キャッシュフローの一番の稼ぎ頭になっている。非常に順調に業績が推移しており、営業利益でも前年対比11%増となっている。また、先日のスプリントの決算発表では、調整後のEBITDAは18%増。そしてヤフーも、従来のビジネスモデルだけではなく、eコマースを強化した結果、38%増という高い伸びを継続することができた。また、投資資産に対する事業については、これはすでに公表している通り、アリババの一部株式、Supercell、ガンホーについての現金回収が非常に順調に推移した。

連結業績

売上高3%増について、スプリント事業は日本円に換算すると、1,000億円くらい減っているように見えるが、これは円高の影響もあり、ドルベースでは、去年と今年と売上は減っていないと見ることもできる。そういう意味ではスプリントも、それ以外も順調に推移していると認識している。

調整後のEBITDAも13期連続で最高益を継続できている。
その内訳として、スプリントも、ドルで見ると21億ドルから25億ドルということで、20%くらい伸びている。

つまり全体で見ると、円に直すと8%増が、本当は2桁増くらい伸びていると言えるかもしれない。また、営業利益はほんの少ししか伸びていないように見えるかもしれないが、円高の影響と、スプリントのネットワークの卸売り事業が関係している。

スプリントは米国で、地方の移動通信事業者に対して卸売りを行っているが、その卸売り契約を巻き取り終了させて、新しい契約へと組み替えている。契約を一旦終了することで、一時損を計上する形になっている。しかし、それは一時的なことで、かつ本質的にはより増益になる契約であり、良いことだと判断している。その部分まで含めて見ると、実は営業利益ももう少し順調に伸びていたと言えることができると思う。

ARM買収による財務状況への懸念

次に、今回ARMの買収では、「ソフトバンクは負債の全体額が非常に大きくなるのでないか」と心配する意見がいくつか寄せられている。私の見解を申し上げると、まず言えることは、ソフトバンクグループは今まで4回ほどあったIT業界のパラダイムシフトで、実は毎回、持っているものを全部売る、借りられるお金は全部借りるというくらいの、ある意味一か八かのような勝負を仕掛けている。例えばボーダフォンジャパンを買収するときは、インターネットがパソコンからモバイルに移り変わるということで、借りられるお金は全部借りた。売れるものは全部売ったという状況であった。

その手前のブロードバンド、Yahoo! BBでNTTに挑戦する時も、ネットバブルのはじけた後で、売れるものは全部売った。借りられるものは全部借りたという形で、かなり無理をした勝負を仕掛けた。

しかし今回のARM買収以前の純有利子負債がEBITDAに対して何倍かというと、3.8倍となっている。EBITDAというのは日本ではあまり使われないが、欧米では業績を判断するための一番中心となる数字である。

なぜEBITDAなのかというと、「Depreciation(減価償却)」「Amortization(償却)」は現金の支出をともなわない会計上の支出であり、現金の営業収益を見るときにはEBITDAを使う。その現金収益のEBITDAの何倍まで借り入れを起こすか。何倍くらいまでだったら健全かを測る物差しがEBITDAであり、M&Aを行う際の基本的な考えとなる。
たとえばケーブルテレビ事業者とかはM&Aが非常に多いが、4.5倍くらいは普通に行われる。ボーダフォンジャパンを買う時は、6.2倍という少し無理をした倍率での借り入れを行った。それに対して、今回は3.8倍だったものがARMの買収で4.4倍に増える。少し増えるが、十分健全な範囲だと思っている。だいたい数年以内に、3.5倍くらいのところまでいけると思うし、ソフトバンクグループの中長期的なポジションとして3.5倍が、心地よいバランス。絶対額ではなくて倍率で見るということが、よりバランスの取れた見方ではないかと思う。

ARMの買収、フルスイングしたつもりはない

次にもう一つの見方は、純有利子負債に対して、いざとなれば売れる資産をいくら持っているかということである。

ソフトバンクグループは、売れる資産、仮に売ったとしても本業に差し障りのないものとして約9兆円持っている。財務の安全性は、借り入れの総額で評価するのではなくて、手元にある現金を差し引いた純負債に対して、売れる資産をいくら持っているかということで、実は2兆円ある。私に言わせると、実質無借金じゃないかと。さらに、国内通信事業で年間5,000億円の潤沢なフリーキャッシュフローが毎年入ってくるという状態なので、少なくとも私自身はまったく心配していない。今までの大きなパラダイムシフトの時の賭けに比べて、今回はまったくフルスイングしたつもりがない。コントロールショットの範囲だと思っているというのが、実に率直な気持ちである。

国内通信事業~年間5000億円の収益獲得へ~

国内の通信事業は、順調に推移しており、営業利益は約11%伸びている

移動通信(モバイル)では、顧客の累積回線数もコンスタントに推移し、解約率は史上最低レベルぐらいまで下がっている。これは、お客さまがわれわれのネットワークに満足してご利用いただいているという状況だと認識している。また、顧客1人当たりの収入も安定している。

この10年間では、ソフトバンクを携帯電話事業者だと思っている人がかなりいると思うが、それまではブロードバンドを中核にした会社だった。ブロードバンドサービスとして「Yahoo! BB」を中心に展開してきたが、光ファイバーを「ソフトバンク光」として提供開始したところ、これが急激に伸びている

設備投資は一巡した。なぜ一巡できたかと言うと、ネットワークの接続率において、ソフトバンクの携帯電話と言えば「つながらない」と多くの人にご批判を浴びたが、ここ数年のソフトバンクのネットワークは、つなぎたい時に一番つながるという結果となった。

したがって、設備投資を急激に増やさなきゃいけないという状況ではもう無くなった。一番設備投資の中で大きいのは鉄塔の建設であるが、鉄塔の建設がひと通り終わったということである。

その結果、去年の第1四半期まではマイナスだったフリーキャッシュフローが潤沢に出るようになった。つまり、設備投資などによって、お金が外に出て行くという状況だったわけだが、今年の3カ月間で設備投資や税金などを払った後に手元に残る現金として、約700億円のフリーキャッシュフローが手元に残っている。

今回初めて、フリーキャッシュフローが年間通じていくらになるかを公表すると、約5,000億円となる見込み。今回の決算で初めて、われわれの国内の通信事業から、設備投資・税金の後の現金が会社にいくら残るか、貢献できるかというと、約5,000億円のフリーキャッシュフローを得られるレベルにきた。これが先ほどの負債に対して、十分に自信をもってバランスよく返していけるということの背景にある。

次に、ソフトバンクを取り巻く全体の収益機会、なぜ国内の通信事業が安定的に顧客を増やし、安定的に現金収益を残していけるかというと、いろいろな手を打っているということ。それらが非常に順調に推移しているからである。

スプリント事業~黒字に反転~

なぜ今回約3兆円の投資で、ARMを買収するという決断ができたかというと、国内で5,000億円のフリーキャッシュフローが得られること。もう一つは、今まで足を引っ張っていたスプリントの業績が著しく改善し、今までのように足を引っ張る存在ではなくて、これからわれわれの利益に貢献する存在に転換できる目処が立ったということ。

調整後のEBITDAが18%前年対比で伸びたこと、またフリーキャッシュフローがこれまで何千億も赤字だったが黒転した。設備投資・税金を全部勘案した後のフリーキャッシュフローでも、スプリントが今年中か来年早々には黒字化できる。まず四半期レベルで見れば、実はもう黒転したということで、反転のメドが見えてきたということである。

4つの反転戦略の成果

経営指標として掲げていた、「純増の改善」「OPEXの改善」「資金調達」、そして「ネットワークの改善」。CEOのマルセロ・クラウレと共にやってきたこれら四つの課題が順調に推移できた。

純増の改善・売上の安定化

まず純増について、ポストペイドの中でも、iPadやAndroidなどのタブレットは、実は各社共にほとんど利益が出ない。また、プリペイドもほとんど利益が見込めない。実は利益貢献の90%以上は、ポストペイドのスマートフォンであり、このポストペイドで17万件の純増となったことは過去5年間で初めてである。

「スプリントのネットワークがつながらない」ということで解約率が非常に高かったが、この解約率がスプリント史上で最小限のレベルまで改善できた。ネットワークを改善し、スプリントの総合的なサービスも改善したことで、2%を超えていた解約率が1.39%まで減った。先ほど純増と言ったが、1顧客当たりの支払額(ABPU)も、実は順調に推移している

結果、これまで顧客が純減し、売上が下がっていたのが、ようやく底打ちをできた。ここからは売上も反転していけるという目処が見えた。

EBITDA、フリーキャッシュフローの利益率で世界一

日本円に換算すると売上が減っているように見えると言ったが、スプリントは米国の企業であり、ドル対ドルでスプリントの業績を見ると、純減が底打ちをして、ここから反転できるところまできた。売上やユーザー数が反転できた上で、今までかかり過ぎていた固定費のバランスを一気に改善するということで、固定費の削減に対する努力も続けている。

ソフトバンクは、EBITDAの利益率では、世界の携帯事業者の中で一番高い。
また、フリーキャッシュフローも世界で一番利益率が高く、チャイナ・モバイルやベライゾン、AT&Tよりも高い。

スプリントについて米国で4位とか、いろんなご心配をいただいているが、よく考えてみると、世界一利益率が高いと言えるソフトバンクの国内移動通信よりも、絶対額ではスプリントのほうがユーザー数も売上も多い。つまり、経費率のバランスさえ改善し、ソフトバンクで培ったノウハウや経営力のスプリントへの移植が完了すれば、スプリントとソフトバンクの2社から得られる現金収益は、AT&T、ベライゾンに匹敵する規模になれる。世界でもトップレベルの収益を絶対額でも稼げるようになる可能性がある。

潤沢な資金でアメリカ最強のネットワークを設計

T-mobileとの合併は、アメリカ政府の許認可が取れそうにないということで一旦断念しているが、スプリント単体でも、ソフトバンクと足せば世界でも有数となる規模の利益が得られるため、私は今非常にスプリントを、「買ってよかったな。売りたくない」と思っている。

ソフトバンクのグループ入りしてから、3年連続でEBITDA償却前の営業利益が増え、改善している。 フリーキャッシュフローでも四半期で500億円レベルの黒字というところまで実績が出てきた。12月の四半期というのは売上が大きく伸びるため、そこで1回フリーキャッシュフローは赤字になるが、今年初めて、年間通期で見ても黒字になる見込み。仮に今年フリーキャッシュフローで若干赤字だったとしても、来年にはもう確実にフリーキャッシュフローで、年間通じても黒字化が見えてきた。フリーキャッシュフローで黒字というのは、借金が減り、営業利益は伸びていることである。

ネットワーク、解約率の改善

フリーキャッシュフローが増えると、「設備投資をしないからじゃないか」「設備投資が足りないんじゃないか」と言われるかもしれないが、われわれはネットワークの設備投資を、米国最強のネットワークにしようと思い設計している。すでにその兆しが出ており、nielsenの調査でネットワークの通信速度では、他社を抜いて継続して一番となっている。

別の調査会社、RootMetricsによる調査でも、去年の下期に比べて今年の上期、もう75%ぐらい表彰が増えており、ネットワークは急激に改善している。そのおかげで、スプリント史上最大限に解約率を低くすることができた。解約率が一番低くなったというのは、ネットワークが改善したからだということ。
また、スプリントの資金繰りについて一時心配をかけたが、今やスプリントも潤沢に資金繰りが回るようになっており、スプリントの安心感が一気に増えた。

「マイナスのスプリント」の汚名を返上

つい先日、スプリントの決算発表が行われたが、決算発表をした翌日には株価が大幅に反転して、今日現在で見ても、発表前から比べて25%上がってる

スプリントの経営について、米国の投資家の皆さんにも、やっと「もしかしたら、改善しているのではないか」と安心感が広がったように思う。今までソフトバンクと言えば、いろいろな記事で必ず「ソフトバンク、マイナススプリント」と1行で表される評価だったが、ソフトバンクがスプリントの買収に使ったお金は1.95兆円。それが、今日現在のスプリントの時価総額は2.01兆円となっている。

実はドル換算にするともうちょっと凹んでいるが、スプリントを買ったのは、1ドルが83円ぐらいのときだったので、事実は事実(笑)。ですからわれわれは、当時の円高でタイミングよく買ったと。結果、われわれが使ったお金は日本円ですから。日本円で借入を起こして、日本円でスプリントの株を買った。それに対して、今日現在ついに、減損どころかスプリントが含み益に化けたということで、スプリントも大いに改善したということである。

「スプリントもういけるぞ」と自信ができたからこそ、今回のARMの買収の意思決定ができたということ。

後編へ続く >

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(掲載日:2016年8月5日)

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【書き起こし】2017年3月期 第1四半期決算説明会(後編)

ヤフー事業

ヤフーも、連続して営業利益が伸びている

ヤフーといえば広告収入だが、広告収入も検索連動型は減少傾向にあるが、ディスプレイ広告側が22%と非常に伸びている。さらに、今ヤフーが一番力を入れている「Yahoo!ショッピング」の取扱高が38%増加している。恐らく日本のeコマースを提供している主要企業の中では、圧倒的に伸びているのが「Yahoo!ショッピング」だと思う。ということで、われわれの主だった自らの本業については、それぞれ順調である。

海外企業への投資と資産の再配分

投資事業については、eコマースだとか、ライドシェア、フィンテックなど、いろいろあり、それぞれに投資を行っている。

国別で金額的に言うと、米国が約6割でその他が4割。

例えば、ライドシェアの「滴滴(ディディ)」について、これまでアリババグループとTencentグループの子会社間で競合していたが、この度合併した。このことで、中国で圧倒的No. 1となり、乗客数ではついに中国1カ国で全世界のUberの乗客数を超え、世界最大のライドシェア企業となった。
ソフトバンクグループは「滴滴」の株主として、さらに持ち株比率を増やしている。
そのほかにインドでは続々と投資を行っているが、非常に順調に業績を伸ばしている。

投資回収では、世界最大のスマートフォンのゲームカンパニーであるSupercellをTencentへ無事に売却ができた。約1兆円規模の価値で75%程保有していたので、投資リターンとしては93%くらい。この規模で93%のIRR(内部利益率)というのは、なかなかないことである。また、アリババの株式の一部売却を行い、資産の再配分を行った。

7,400億円の累積投資額で10兆円のリターン

ソフトバンクグループというと「投資会社か?」あるいは「事業会社か?」と、いろんな質問を受けるが、「両方だ」というのが私の答え。両方で何を行っているのかというと「情報革命を行っている」ということ。情報革命を行うために、自らの事業会社だけではなくて、グループでシナジーを出しながら行っていくことが私の思いである。では投資事業について、どれくらいのリターンを得ているのかというと、先ほどのSupercell、ガンホー、アリババなどいろいろ含めて、44%のIRR。約10兆円のリターンを得ることができた。

7,400億円の累積の投資額で10兆円というのが、インターネット関連企業への投資事業の成果。この規模で、このパーセンテージのリターンを得ているというのは、世界中のベンチャーキャピタル、世界中のプライベートエクイティの中で、私自身は1社も聞いたことがない。

今までわれわれが本業としてやってきた事業会社としての部門。もう一つの本業としてやってきたグループの投資戦略。実は両方とも非常に良い状況であり、次の大きな勝負として、さらなる成長のために、私はソフトバンク創業以来、一番大きな、一番中核になる事業がこれだと心の中で確信している。

先ほど、国内通信事業やスプリントを足せば、近い将来にAT&T、ベライゾンに追い付く追い越すぐらいの利益の絶対額になるかもしれないと言ったが、圧倒的にソフトバンクグループの中心になる事業会社、ソフトバンクグループの本業として、今から5年後、10年後、20年後、「ソフトバンクグループが何の会社か?」と聞かれたら、「本業はARMです」と多くの人が思うぐらいの存在感になるというのが、このARMの買収だと思っている。

ARMとの戦略的提携

買収額は3.3兆円だが、そのうちの約70%は手持ちの現金で支払い、資金調達・借り入れは30%ぐらい。これはソフトバンクグループが行ってきたM&Aとしては初めて、必要金額の70%を手持ちの現金で払ったということ。そのぐらい余裕をもって、今回は資金調達ができた。

そのため、いろんな会社に相談せず済んだことで、短期間で、しかも情報が外に漏れずに実行できた。発表が7月18日だったが、少なくとも9月中ぐらいまでには、全体の手続きが終わると想定している。現在、順調に手続きが粛々と進んでいる。

ARMとは?

ARMの決算発表でも順調に増収増益が継続しているという発表があったが、売上高、営業利益、そして営業利益率も50%を超えているという、大変な高収益企業である。今後、その絶対額が二次曲線でうなぎ上りに上っていくと考えている。

ARMの伸びしろ

今回の買収で彼らに語りかけているのは、確実に伸びていくことは明白であり、場合によってはこの2~3年あるいは4~5年間は目先の利益を少し減らしても、売上・マーケットシェアの拡大、技術者を増やし、研究開発費を増やそうと。これからやってくるIoTのパラダイムシフトに向けて先行投資することを彼らに語りかけている。彼らも非常に強い共感をもって、意見が一致している。

彼らは研究開発の会社で、設計図を他のチップメーカーに販売している。どんな企業に売っているかというと、日本ではルネサス、世界的に見るとAppleだとかSamsung、Qualcomm、HUAWEI、さまざまな企業に提供している。彼らの最終製品であるスマホ、自動車、家電などいろんなものに搭載されている。

スマートフォンのマーケットシェアでは97%前後。95%と書いているが、実際97%ぐらいじゃないかと言われている。圧倒的No. 1である。そして、タブレットやウェアラブル、ストレージ、自動車の頭脳部分。ワイパーとか窓などのコントローラー部分については、必ずしもARMではないが、自動車の頭脳となる機器については、ARMが95%ほどを占めています。ということで、いろんな分野で非常に高いマーケットシェアとなっている。

「CPU」という言葉ですぐ連想するのはIntelだと思うが、Intelが1年間で出荷しているCPUの数に対して、去年1年間で、マイクロコントローラユニットなども含めたARMのCPUは40倍となっている。つまり、世界中に出荷されているCPUの圧倒的No. 1がARMだということになる。

製品ラインアップと性能の進化

ARMが取り扱っていたのは、もともとClassicという1種類のチップだけだった。
ちょうどこの5~6年前からCortexのA、R、Mの3種類が出てきた。AというのがアプリケーションプロセッサのA。RというのがリアルタイムのプロセッサのR。MがマイクロコントローラのMとなっている。

それぞれ用途が違い、それぞれの異なった分野の異なった用途向けにARMがそれぞれ特化したCPUを枝分かれさせて進化させた。それが大変高い伸びで、多くのお客さんに受け入れられたということ。では来年は、どんな新製品が出てくるのか。

来年出てくる製品は、現行製品よりも30%性能が高く、30%消費電力が少なく、チップの面積(サイズ)が0.65ミリ角という一番小さいものが出てくる。

2015年のチップが、現在のスマートフォンであるGalaxyのS6やNexusの6Pとして売られている。それと比べて来年出てくるチップは、今日のスマートフォンの倍となるパフォーマンスとなるものが来年出荷される。

面積は、現在売られているものより70%小さくなる。チップの値段、チップの製造コストというのは面積に比例するが、現在のスマートフォンに入っているものに比べ70%小さいということは、それだけチップが安く作れるということを意味している。年々こういう勢いでARMの設計力がどんどん高まっている。将来的にこれが2.5ナノメートルに達する技術の開発にすでに入っている。

ARMがつくる世界一のエコシステム

これらのことを考えると、設計というのがいかに大切か、いかにARMの設計力が優れているかということになる。だから世界の97%の企業が、「スマホにはARM」となっている理由。どのくらいGPU性能が上がったかというと、6年間くらいで300倍になっている。

このように、ARMは次から次に開発する能力があり、特許を取り、著作権を取って、どんどん開発している。その処理速度だとか、革新性、信頼性、汎用性、リアルタイム性ということで、R(リアルタイムのプロセッサ)も世界No. 1のアーキテクチャとして進んでいる。

これがどういうところに使われているかというと、リアルタイム性を要求される自動車に使われている。
ブレーキを踏むと、ブレーキが効く必要があり、リアルタイム性が要求されるところにRが大いに活躍する。ストレージや自動車など、コンピューティングパワーというよりも、早い速度でいろんな処置をしなければいけない場合に、Rが使われるということ。

また、さらにMはマイクロコントローラとして、これからさまざまなIoT機器に続々入っていく。これが、世界一となるARMのエコシステムを作り上げることにつながった

AとRとM、それぞれをファミリーとして持っていて、またそれを開発環境として使っているアプリケーションソフト制作会社が世界中にたくさんある。それらを元に、世界中のチップメーカーがARMのコアをシステム・オン・チップとして使うということ。
2020年の予測として、非常に大きな市場の伸びを自動車でもスマートフォンでもその他の家電でも、全て持っているということである。

総合インターネット企業としてのソフトバンクグループの成長

ソフトバンクグループの創業以来初めて、世界のパラダイムシフトの中心にいる
「ソフトバンクは何の会社か?」というと、総合インターネット企業だということ。出世魚のように姿形を変えてきた。

ソフトバンクという名前の由来は「ソフト」の「バンク」。
パソコンは生まれたばかりで、単体で機能していたが、創業した第1日目から私の頭の中のイメージでは、いずれこれがお互いにつながると考えていた。「ハード」がインターネットワーキングされて、アルゴリズムを持った「ソフトウエア」、「データ」含めると広い意味での「ソフト」となるが、これらが一つに「バンク(蓄積)」され、世界中の人々が分かち合う。今でいうところのクラウドです。当時はクラウドという言葉はなかった。でも、今でいうクラウドというコンセプトを、ソフトバンクの創業の第1日目から私は想定していた。

米国に渡った16~17歳の時からコンピューターを使って、プログラミングをしていたが、その頃、すでにカリフォルニア大学バークレー校のメインコンピューターはネットワークでつながっていて、Eメールやソフトウエアを分かち合うということをバークレー版UNIXで体験していた。だから、最初に触れたコンピューターが、すでにネットワークされており、ソフトやデータは分かち合うということを、最初に触れたときから体験していたのである。

パソコンを取り扱う事業を始めた当初は、パソコン同士はつながっていなかったが、いずれ必ずつながると私は読んでいた。だから、ソフトのアプリケーションメーカーではなくて、OSメーカーでもなくて、クラウドを提供する会社になりたいということを、第1日目の時から思っていた。そのクラウドにさまざまなデータを提供するのは、世界中にばらまかれたチップであり、チップがないとデータを集められない。チップのあるところにデータがある。そのデータは、ネットワークを通じてクラウドに集まる。そのネットワークを日本、アメリカで、われわれグループ自ら持っている。それらのネットワークと、われわれのグループ傘下に入るARMのチップ。

このARMのチップが、私の推定では今から約20年前後で、地球上に約1兆個のチップがばらまかれる。地球上にばらまかれた1兆個のチップが、全部通信でつながって、全部クラウドに収納されるようになることで、ソフトバンクグループは総合インターネットカンパニーとして、総合的なエコシステムを持ち、プラットフォームを持つことになる。

ソフトバンクグループの創業時につけた社名に、近づいていくということ。また、ソフトバンクグループの創業前、私が19歳の時に巡りあった1枚のチップの写真から、その旅路はすでに始まっていたということである。

その想いで、ARMとの戦略的提携を発表した。今回の資金調達等、財務的な方針については、新株を発行するようなエクイティ・ファイナンスは一切行わない。資金は既に調達できており、新株を発行する必要がなく、配当の方針も変更はない。純有利子負債についても、先ほどの通り、いずれ3.5倍前後のところまで改善していく。

われわれはあくまでも成長していく。
そのために、誠心誠意、命をかけて、自分の情熱、夢をかけて、人々に貢献したいと思っています。
よろしくお願いいたします。

質疑応答

ソフトバンクグループが日本経済から受ける恩恵

足元の日本経済について、昨日、安倍総理大臣が大規模な経済対策を発表した。また今後、例えば日銀の追加的な金融緩和対策みたいなものは必要だと見ているのか。

 政治の観点から、日本経済全体を考えて十分に議論された日本のリーダーの方々の判断には、それなりに十分な検討の結果が表れていると思う。ただ一つ一つの詳細について、議論の中身を知らないので、コメントする立場にはない。

ソフトバンクグループとしては、先ほど「スプリントは円高の恩恵も受けた」とのことだが、どのように捉えているか。

 まだ借入があるので、金利が安定的に低いというのはありがたい。また、円高の結果、われわれが買収できたということもある。これから円安になれば、多くの企業がそのメリットを受けられる。積極的な投資を行っている立場からみると、ありがたい援護射撃だと思う。

ニケシュ退任、社長続投、ARM買収を振り返って

孫社長は冒頭で、「人生というのは本当に面白いものだとつくづく思う」と言っていたが、ニケシュ・アローラ氏が退任し、それと同時に孫社長がしばらくトップであり続けると公言された。また巨額のARM社の買収もあり、衝撃的なニュースが続いた1カ月だったと思うが、孫社長にとって、人生の中でどんな期間だったのか、どんな気持ちで過ごされたのか聞かせてほしい。

 毎日がワクワクで、寝る時間がもったいないと。朝が早く来てほしいという思いだった。今は本当に、事業家として人生充実している。非常に楽しい。スプリントの苦しみもがいた部分も、今となってみれば非常に楽しいと思うし、新しい挑戦がまたできるということも非常にワクワクするということ。当分社長は辞められないなと(笑)。楽しくてしょうがない。

ソフトバンクの株は今が一番の買い時

ソフトバンクの株価について、ARMの買収の後、株価は下落しおり、マーケットから必ずしも評価を受けているとは思えない水準だが、どう捉えているか。

 今まで大きな買収を何回かやってきたが、毎回1度下がる。大きな買収のたびに、毎回「負債が大きすぎる」「大丈夫か」ということで、一度下がっている。その後に少し市場がこなれてきて、そのプロセスの中で、きっと株主の方も入れ替わっているのだと思うが、ここから成長が面白いじゃないかという人は株を買うし、いやいやもう借金が多いからダメじゃないかと思う人は株を売る。これはもう株主の皆さんの自由な判断だと思う。

ただ、私も大株主。私も中長期的に見れば当然株価は上がってほしい。だから本質的に見て、中長期的に見て、私は株価が下がるような意志決定はしない。ただ、それが市場の信任を受けるかどうかというのは、短期的に見た場合と、長期的に見た場合とでいろいろあることであり、判断は皆さんそれぞれの責任だと思う。ただ、私はもう今うれしくてしょうがない。ソフトバンク創業以来、最大の成長となる飛躍の前に屈んでいる時であり、もしソフトバンクに興味のある方にとっては、実は一番の買い場だと思う。これは、Yahoo! BBを始めた時にも、スプリント、ボータフォンジャパンを買った時にも言ったが、毎回正しかったと思う。ただ短期的に見れば毎回下がっているから、短期的に見ると「やっかいなヤツだ」ということになるのだと思うが、本音では心底買い時だと思っている。

他の通信大手がARMを買えない理由

ARMは素晴らしい会社だと思うし、それを買収する決断というのには敬服しているが、先述された話にあったシナジーが、今の説明の中ではいまひとつ分からない。例えば、ARMを買ったことによってスプリントの売上がさらに増えるとか、日本のソフトバンクのユーザーがよりハッピーになるとか。どう考えているのか教えてほしい。

 だからいいのだと思う。シナジーが見え過ぎると二つの点で問題である。
まず、シナジーがすぐ見える会社。例えば、Intelとか、AppleとかGoogle とか、いろいろあるが、ARMがこれだけ高いシェアを持っていて、別の分野でこれだけ高いシェアを持っているIntelとかクアルコムとか、そういう会社が買いに来るというのは独占禁止法上成り立たない。

一方で、世界中のシナジーが直接的に見えない会社。直接的に見えないから、まさに今おっしゃったような議論が取締役会で出る訳だが、シナジーがすぐ見えるような手だと、われわれが買えない。だからソフトバンクにこんな素晴らしいチャンスが今、目の前に現れて、無風状態で買いに行けるというのは、そういうメリットがあったということ。

今まで若干比喩として使ったが、囲碁の場合、例えば自分が持っている黒い石を、すぐ側にもう1個黒い石を置く。そういう人が必ずしも勝てるかというと、そうではない。名人戦となると必ずしもすぐ側の石を打たない。ポーンと離れたところに打った石が、一手目、二手目、三手目では、つながりがよく見えないが、深く分かる人からみれば「なるほど。よくぞ、そこを見つけて、そこに打ったな」と。私としてはうまみがあると喜んでいる。そのつながりを説明するつもりはない。われわれはリングに立つボクサーみたいなもの。相手とリング上で戦うのに、「次は左のジャブを何発目に打ちますよ」なんていうのは絶対言わない。勝つことが大事なわけで、勝つプロセスを説明することが大事なのではない。

ベライゾンによる米国ヤフーの買収について

今、通信業界を見ていると、世界中でM&Aの嵐である。米国では、例えばAT&TがDIRECTVを買収。そして今度、今回のこの発表の直後に、ベライゾンが米国ヤフーの中核事業を買うという発表があった。ベライゾンはすでにAOLも買収している。スマートフォンあるいは携帯電話向けのサービスがあって、そこに情報サービスを載せるというのは、分かりやすいシナジーである。 日本でも米国でも言われている通り、スマートフォンが普及したことで、通信サービス会社が土管化していると。それを違うビジネスに持っていこうということを、AT&T、ベライゾンはやっている。こともあろうに、ベライゾンが米国ヤフーを買収することによって、日本のヤフーの収益の一部が、ライバルであるベライゾンにいく訳である。それなら、孫さんの持っている力で米国ヤフーを買い、スプリントとヤフーを合わせて、もっと違う情報革命を起こして、さらにその中に日本を巻き込んでいくというような形の構想はありえなかったのか。

 すぐ隣に石を打つというのはあまりにもシンプル過ぎる。それはもうわれわれが20年前に打った手である。日本のヤフーを20年前にわれわれが作った。シナジーはもう20年前に計算して、20年前に打った手である。それでも意味のある手だと思うから、その手自体を批判するつもりもない。逆に、「あなたもよく分かっていただきました」ということで、「あなたも私もやはり同志ですね」と高く評価する。ARM買収の手を打ったことが、20年後に、もしかしたら多くの会社に「なるほど」となるのかもしれないが、それでいいのではないかと思う。

20年後の話は分かるが、このままスプリントが20年ずっと万年4位に安穏として良いのか。

 20年よりもはるか前にスプリントは、もうすでにV字回復の兆しが出て、われわれが投資した時の株価を上回るというところまできている。スプリントは着実にこれから収益化していく。20年待たずに収益化できる。ただ、いろんな形で結果的に見えてくるのは、5年後、10年後、20年後と思う。噛めば噛むほどおいしいというふうに、後から多くの人が思うと思う。20年後まで何も出ないということではない。

ARMの成長と中国企業との提携

ARMについて、1兆個のチップがばらまかれる世界を現実なものとするには、だいたい年率3割で伸びていけば、17~18年目で達成できると思われる。今週行われたARMの決算だと、ドルベースの売上で9%しか伸びておらず、チップの出荷でも9%しか伸びていない。9%と30%というのはあまりにも乖離があって、ソフトバンクグループが支払った1兆円のプレミアムというのは、今のARMではなかなか届かないのではないか。今どう変えていけば9%から30%に変わるのか。どこの市場を攻めればいいのか。数年経てば電気自動車でも世界最大の市場は中国であり、IoTでもおそらく間違いなく最大の市場は中国になると思うが、ソフトバンクグループのみならず、例えばアリババと組んで、どうやって中国市場を攻めていくのかなど、どう考えているか。

 基本的に、年率20数%の伸びで、そのぐらいの数になると思うが、IoTはまだ始まったばかり。これから本格的に伸びていくと思っている。1兆個と言っているのは、年間じゃなくて累積である。「インターネットを広げたのは誰か」という質問と同様で、IoTは好む・好まない、誰かがやる・やらないに関わらず、技術の大きな流れとして皆の力で広がっていく。技術の進展というのはそういうものだ。

ARMはそのコアを設計している。それを世界中のさまざまなチップメーカーがいろいろな用途に合わせカスタマイズし、システム・オン・チップという形で提供している。さまざまところが調査しているが、だいたい彼らの調査の平均値ぐらいのところで、それぐらいの数になる。もちろん中国はその中でも一番大きな市場になると思う。ジャック・マーからも早速、「詳しく話を聞きたい」という連絡がきている。ぜひいろいろな形で、アリババだけではなくて、さまざまな中国企業とも提携していくと思う。

スプリントとARMの兼務は可能か

今でもスプリントのチーフネットワークオフィサーなのか、いつまでやるのか。ブロードバンドやモバイルの時も、それに専念し、成功してきた。スプリントをやりながらARMというのは想像つかないが、どう考えているのか。

 少なくとも来年末までは、私がチーフネットワークオフィサーをやるということをマルセロには伝えており、またスプリントのネットワークの技術者もそういう認識である。その後どれくらい続けるかは、その時になってみないと分からないが、今までの私の時間配分としては、1日の50%ぐらいがスプリント関連でやってきた。そのスプリント関連の中でもさらに中心はネットワーク設計に時間をかけ、残りの半分を投資や国内通信などに費やしていた。

今後どうなるかというと、全体の中の45パーセントぐらいがスプリント。つまり、50パーセントが45パーセントに減るが、あまり変わらないと思う。残りの部分については、45パーセントをARMの中長期の戦略を考えるところに時間配分し、集中したい。最後の残りの10パーセントでその他を行う。国内で言えば、宮内(謙)を中心に非常に安定的に収益が伸びており、海外の投資事業は、ロン・フィッシャーを中心にしっかりやっていけている。

だから、スプリントがおろそかになるというのではなくて、ほぼ変わらないぐらい費やす。その他の部分をどんどん権限移譲して、私はダブルエンジンでスプリントとARMを中心にここ数年間はやっていくという形になる。

IoTの打ち手だが、チップで打ち手は終わりなのか。何かまだ足らないところがあるのか。

 ARM自身は、このチップで自らの事業モデルがある。ソフトバンク・ARMグループとして、そのインフラ、プラットフォームをこれからさらに強化していく。いつどういう形で、どのようにということについては、まだ戦略上コメントできない。

スプリントやヤフーを売るつもりはない

すぐ売れる資産というところにスプリントやヤフーが含まれていたが、ソフトバンクグループの本業ではないと見なしているのか。

 違います(笑)。売るつもりはないですよ。万が一売らなきゃいけない時には売ることも可能だと言っているわけで、万が一というのは来ないと思っている。年間5,000億円のフリーキャッシュフローがあり、売る必要はない。

国内通信事業について、最近Y!mobileが好調という話がよく聞こえてくる。あまりSoftBankの話は聞かなくなった。決算の資料でも、純増数はSoftBankとY!mobileの合算になっている。SoftBankの実体が見えづらく感じる。ここを少し詳しく教えてほしい。

宮内 ブランド戦略として、Y!mobileとSoftBankの二つがあるということ。

 ブランド戦略というのは、いくつかに分けて、それぞれの持ち場で活躍をさせていくということである。ファーストリテイリング社の、ユニクロとGUのようなもの。二つブランドがあって、それぞれの客層にそれぞれのターゲットでお客さまを獲得していくということ。

ARMの買収のお話の中で、1兆個チップがばらまかれて、そこからデータを吸い上げ、ソフトバンク、スプリントのネットワークでバンク(蓄積)するという話があったが、それというのはARMの設計の中に、ソフトバンクのための何らかのものを入れて、データを吸い上げるということなのか。中立性や独立性について聞きたい。

 それは、あくまで例えばの事例。ARMは世界中にいろんな形でばらまかれている。いろんな形のスマートフォンやタブレットが、他社のネットワークでもつながっている。ソフトバンクだけでそれをやれると思っているわけではない。

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(掲載日:2016年8月5日)

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