静岡県御殿場市に位置する、国内最大級のアウトレットモール「御殿場プレミアム・アウトレット」。敷地内から富士山が間近で見える眺望の良さも人気なアウトレットモールで、お客さまがスマホでより快適な通信が行えるよう、敷地内に新たに基地局をソフトバンクが設置しました。基地局を新設した経緯や対策内容について、担当者に話を聞きました。
テクノロジーユニット統括 エリア建設本部 東海ネットワーク技術部 エリア技術1課
伊藤 雄治（いとう・ゆうじ）
東海地域の無線ネットワークの設計業務を担当。ネットワークデータやビッグデータなどの情報分析や、現地での電波測定を行い、通信品質維持・向上のため新規基地局設置の企画・提案や増設を行う。
テクノロジーユニット統括 エリア建設本部 東海ネットワーク技術部 エリア技術2課
上田 祥子（うえだ・さちこ）
東海地域の携帯電話の基地局建設業務を担当。通信品質を向上するため地域や観光スポット、企業施設などに基地局を設置。安全性や法律・規制に適合した最適な基地局の設置計画も行う。
敷地内に新たに3つの基地局を構築。混雑時でも快適につながるネットワーク通信
なぜ、新たに基地局を敷地内に設置することになったのですか？
伊藤 「近年のキャッシュレス決済の普及や、ウェブサイトやアプリでの店舗情報やフロアマップの確認など、敷地内でお客さまがスマホを利用するシーンが増えてきています。その中で、特に人が多く訪れる週末や祝日、初売りなどのセール時期は、通信回線へのアクセスが集中し通信速度が低下してしまったり、つながりにくくなるなどの課題がありました。さらに、2020年にオープンした新エリア『HILL SIDE』の増床に伴い、より安定的なネットワーク通信環境を提供するために、今回新たに3つの基地局を設置することになりました」
増床されたHILL SIDEにはもともと基地局は設置されていなかったのですか？
伊藤 「はい、元々は山だったところを切り崩しショッピングエリアとして開発された場所なので基地局はなく、すでに設置されている基地局では、そこまでのエリアを十分にカバーできない状態でした。増床エリアでネットなどの利用により通信量が増えると、既存の基地局間の通信トラフィック（一定時間内にネットワーク上で転送されるデータ量）のバランスが崩れてしまい、一部の基地局で通信品質の低下のリスクがありました。そこで増床エリアであるHILL SIDEに新たな基地局を設けることで、課題を解決できるほか、御殿場プレミアム・アウトレット全体の通信環境の向上につながっています」
ヒルサイドに設置された基地局
基地局設置の作業の様子
HILL SIDE以外にも、新たに基地局を設置されたのですか？
伊藤 「HILL SIDE以外では、各基地局間のトラフィックバランスを考慮し、立体駐車場やWEST ZONE周辺にも基地局を新設しています」
敷地内に新たに設置された基地局
上田 「昨年12月に基地局の設置工事作業を開始しました。敷地内の3カ所に新しい基地局を段階的に構築し、徐々に施設内のネットワークを増強していきました。そして先日、一連の工事が完了しました。現在はどのエリアでも5G通信をご利用いただけるようになっています」
作業の様子
富士山や美しい景観を損なわないよう、その辺りも考慮して設計されたのでしょうか？
上田 「御殿場プレミアム・アウトレットは富士山のふもとに位置しており、施設内から美しい富士山を一望することができます。敷地内のビュースポットから見える富士山の景観を損なわないように、景観に配慮しながら基地局や機器の設置場所や設計を慎重に行いました。また、ショッピングエリアからの景観にも配慮し、ドローン撮影や長尺棒などを使い検証を経て、最適なアンテナ高を決めています。通信の利便性を確保しつつ、周辺の景観に配慮した基地局を設置したというところが工夫した点です」
新設された3つの基地局によって、どのようなメリットがありますか？
伊藤 「基地局が増えることで、基地局とスマホなどのデバイスとの電波到達距離が短くなり、電波の強度が増すため通信速度がより安定します。また、これまでの既存の基地局からは届かなかったエリアにも5Gの電波が届くようになったため、より広いエリアで快適な通信サービスを利用できるようになります。混雑時に多数のユーザーがネットに同時接続すると、基地局のリソースを多人数で共用することになるため、通信速度が低下してしまうのですが、基地局を増やし分散させることで、混雑時でも安定した通信速度を保つことができ、通信速度の低下やつながりにくい事象を解消します。敷地内全体の通信バランスを最適化することで、各基地局が適切な負荷で動作するようになり、通信トラブルの予防にもつながります。訪れたお客さまが快適にSNSで発信を行えたり、プレミアム・アウトレットやその他ショップのアプリのダウンロード、敷地内の地図や情報をリアルタイムで確認するなど、安定したネットワークによるショッピング体験の向上につながることを期待しています」
今回の基地局新設で施設側として期待することについて、三菱地所・サイモン株式会社 御殿場プレミアム・アウトレット マネジメントオフィス 管理課の狩野佑介さんは、「2023年2月にPayPayなどのQRコード決済を施設に導入したのですが、その開始に向けて基地局の新設を行っていただき、おかげさまで繁忙日も通信速度の低下などなく利用いただいております。また7月からは、『PO PAY』という、プレミアム・アウトレット独自のQRコード決済サービスも始まり、決済サービスの他にも、各ショップのメンバー登録やお客さまによるSNSでの発信など、通信環境の整備は非常に重要となっています。今後もソフトバンクさまにご協力いただきながら、快適な通信環境を提供することにより、お客さまの体験価値の向上に努めていきたいと考えています」とコメントしました。
御殿場プレミアム・アウトレットに訪れた際は、5G通信で快適なショッピングを楽しんでくださいね。
（掲載日：2023年12月19日）
文：ソフトバンクニュース編集部
