2024年11月12日、ソフトバンクグループ株式会社(以下「SBG」)の2025年3月期 第2四半期 決算説明会が開催され、取締役 専務執行役員 CFOの後藤芳光が、連結業績の内容について説明しました。
目次
ソフトバンク・ビジョン・ファンドやTモバイルが利益に貢献
2024年度上期連結業績は、ソフトバンク・ビジョン・ファンド(以下、「SVF」)やTモバイル株式に係る投資利益が貢献し、純利益が1兆円を超え、2023年度上期との比較では2兆4,140億円のプラスとなるなど「非常に良い数字で着地できた」と総括しました。
重要指標(2024年9月末時点)は、NAV(時価純資産)が29兆円、LTV(純負債/保有株式価値)が12.5%、手元流動性が3.8兆円となりました。NAVは為替などの影響により6月末時点と比較して若干減少したものの、成長トレンドを崩さずに評価アップできた期であったとし、LTVと手元流動性についても極めて安定した水準を維持していると述べました。
利益への貢献要因について、スプリントと2020年4月に合併した当時は82.99ドルだったTモバイルの株価が、決算発表前日の11月11日には上場来高値の238.32ドルにまで上昇したと直近の状況を紹介。その時価総額は2024年9月末時点で2,410通信億ドルと、チャイナモバイルを大きく超えて通信事業者では世界最大に成長し、SBGの投下資本倍率で9.6倍、IRRで26%という高い実績をあげるなど、あらためてスプリントへの投資は成功案件だったと説明しました。
SVF2の投資損益が大幅改善
また、SVFについては「この四半期は40億ドルという非常に好調な数字を出すことができた」といい、上場株を中心に好調な推移を続けるSVF1に加えて、SVF2のポートフォリオ企業がしっかり成長してきていると説明しました。
累計投資損益が6億9,800万ドルと黒字転換したことについて「この9四半期ぶりの黒字転換が、私どもとしては大きなメッセージだと思っている」とコメント。
また、SVF1とSVF2を合わせた株式公開実績は53社となったことや、レイトステージの投資先の公正価値についても触れ、将来の株式公開に向けた強固なパイプラインを確保していると大きな期待を示しました。
OpenAIなどAI革命をけん引する企業へ投資
また、この第2四半期にはSVF2が、gleanやpoolside、OpenAIといったAIをけん引する企業へ新規投資を行ったと述べ、OpenAIに関する投資と成長の概要についても言及しました。
SVF2はOpenAIの2024年9月の資金調達ラウンドに参加し、5億ドルを投資。OpenAIの本ラウンドでの調達額合計は66億ドル、資金調達後の企業価値は1,570億ドルと推定されるといい、「非上場企業の想定企業価値としては相当大きいものだが、それだけの技術力とビジネスモデル、企業価値がこのような数字になっても当然だろう」との考えを示し、期待を述べました。
また、アーム事業については、2024年度第2四半期の四半期売上高はガイダンスの上限値8億3,000万ドルを上回る8億4,400万ドル、四半期調整後営業利益もアナリストコンセンサスを上回る3億2,600万ドルの業績であったと報告。また第2四半期のトピックとして、Metaが開発したAIモデルのLlamaが、アームベースのCPUに対応したことを紹介しました。
AI時代に向き合うトップグループの1社として成長を続けたい
財務戦略については、SBGの財務原則は不変であるとした上で、投資会社としてキャッシュの活用方法を常に検討しており、「成長投資」「財務の安全性確保」「株主還元」の3つを最適なバランスで組み合わせることが、経営陣の最も重要な使命だと述べました。特に重要なのは、「将来のNAVの拡大のための成長投資や新規投資で、この数年は大きな投資はしていないが、常にその準備を整えている」といい、これから迎えるAI時代に向けて、今投資すべきテーマや企業、アントレプレナーをグループ全社で見極めながら「グループの成長をサポートできる一つ一つのプロジェクトに取り組んでいきたい」と語りました。
さらに後藤は、今年10月に開催された「SoftBank World 2024」の基調講演で、グループ代表の孫がASI実現への考え方を披露したことに触れ、「(10年以内に到来するという時間軸に)何年かのずれはあったとしても、この時代がやってくることは人類にとっての宿命であるのは間違いない」として、「グループ全社で同じ概念を持ちながら、それぞれの持ち場でAI時代に何ができるのか、このテーマに向き合いながらグループ価値を向上させていきたい」とコメント。
最後に、「だいぶ頂上が見えてきた。だけどまだ遠いですね。試行錯誤を繰り返しながら、ぜひ頂上に登るトップグループの1社として社として成長を続けていきたいし、企業価値も成長させていきたい」と決算発表を締めくくりました。
2025年3月期 第2四半期 決算説明会
- プレゼンテーション資料(PDF形式:4.12MB/72ページ)
- 短信、データシートなど決算説明会関連資料
(掲載日:2024年11月11日、更新日:2024年11月22日)
文:ソフトバンクニュース編集部