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AIでつながるボランティアの輪。和歌山県のすさみ町で地域の助け合い活動を、AIによるボランティアマッチングとドローン物流で支援

AIでつながるボランティアの輪。過疎地域の助け合いをAIによる「ボランティアマッチングシステム」とドローン物流で推進

医薬品や弁当などの物資を届けて欲しいときに、最適なボランティアを生成AIで自動マッチングして、ドローンで効率的に輸送する実証実験が、和歌山県のすさみ町で行われています。2025年11〜12月の検証を経て、2026年1月からはマッチングシステムにおける住民参加型実証実験を開始しました。
ソフトバンク株式会社は、LINEを活用した情報共有や、生成AIを活用した依頼者とボランティアのマッチングシステムの構築、ドローン輸送の飛行計画策定などに取り組みました。

最適なボランティアを生成AIが自動でマッチング

すさみ町は少子高齢化が進み町民の約2人に1人が高齢者という現況で、日常生活に「ちょっとした手助け」が必要な方が増えています。年齢を重ねても、住み慣れた地域で自分らしく暮らす願いを実現するために、専門職によるサービスだけでなく、住民も一緒になって支え合う体制づくりを推進。生活支援コーディネーターの他、すさみTMS(ティーエムエスは『たのしい まちに しょうら』) を合言葉とする、日常生活のちょっとした困りごとを住民同士で助け合うボランティア組織も活動しています。

ソフトバンクは、すさみ町と連携し、AIとLINEを活用した「ボランティアマッチングシステム」を開発しました。2026年1月から運用を開始しています。依頼者と支援者は、LINEフォームからそれぞれの情報を登録し、AIが行ったマッチング結果を、公式LINEを通じて依頼者と支援者の双方に案内します。これまで人手で行っていたマッチングをAIが担い、条件に合った最適なボランティアを自動でマッチングすることで、ボランティア事務局の負担軽減を目指します。
また、リマインダー機能など、事務局の業務効率化を目的とした機能を、ボランティア依頼者・支援者向けに実装し、検証を行います。

ボランティアマッチングにおけるAIとLINEの活用

2026年1月7日、住民参加型実証実験にあたり、すさみ町地域包括支援センターや社会福祉協議会、すさみTMSなどの支援者向けに、システムの利用方法の説明会が開催されました。

システムの利用方法の説明を受ける関係者や住民ボランティア

システムの利用方法の説明を受ける関係者や住民ボランティア

依頼者とボランティアのマッチングに使用するのはLINEアプリ。すさみTMSが提供するLINE公式アカウント「すさみTMS」を友だちに追加し、LINE公式アカウントのトーク画面を開くと、画面下部に3種のタブに分かれたリッチメニューが表示されます。

ボランティアマッチングシステム「すさみTMS」のメニュー画面

ボランティアマッチングシステム「すさみTMS」のメニュー画面

依頼者用の画面(左)とボランティア用の画面(右)

依頼者用の画面(左)とボランティア用の画面(右)

ボランティアは最初に「ボランティアを登録する」から支援者情報を登録。登録後、自分がマッチングの候補者に選ばれると事務局から依頼内容の通知が届くので、通知に対して「参加」か「不参加」を選択します。「参加」を選択した場合には事務局の確認後にマッチング確定通知が届く仕組みです。

マッチング候補の依頼確認通知を確認している様子
マッチング候補の依頼確認通知を確認している様子

マッチング候補の依頼確認通知を確認している様子

このボランティアマッチングシステムは、今回の実証実験で行う薬や弁当配達の他、ゴミ出し分別、電球交換、掃除、雨戸の開け閉め、話し相手、散歩の付き添い、草むしり、畑の手伝い、書類の確認など、さまざまな支援での利用が可能となっています。

医薬品や食品の配達など、ドローンを日常の課題解決に活用

ドローン配送の実証実験は2025年11月4〜7日 にかけて行われ、運搬する荷物の梱包やドローンまでの運搬、ドローン着陸拠点から依頼者への配送効率などを検証しました。
すさみ町では、過疎化や少子高齢化、交通手段の減少、道幅が狭いといった課題を抱えており、買い物や生活支援活動の負担が地域全体の課題となっています。こうした状況を踏まえ、地域のボランティアと連携し、ドローンを活用して物資を届ける実証実験を、総務省の過疎地域持続的発展支援交付金を活用して行うことになりました。

実証実験の対象範囲

すさみ町とソフトバンクは、これまでも災害時のドローン活用で令和6年度に「ドローン技術を開発するフェーズ(防災時の訓練)」を実施してきました。また、2025年9月には防災協定を締結しています。
今回の実証実験では、こうした災害時の備えを、平時の効率化にも活用するという大きなフェーズ転換を目的に、課題の洗い出しなどを行いました。

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今回の実証実験でドローンが配送するのは、医薬品とお弁当。3Dマップシステムで作成した航路をドローンの自動運転で運び、待機していたすさみTMSのボランティアが物資を受け取り、徒歩や自転車などで依頼者の自宅まで届けます。

町内のあちこちにドローンの離着陸場所が設置されている。弁当を積み込む様子と(左)と依頼者宅の近くに到着したところ(右)

町内のあちこちにドローンの離着陸場所が設置。弁当を積み込む様子と(左)と依頼者宅の近くに到着したところ(右)

着陸場所から依頼者の家へはボランティアが徒歩などで配達

着陸場所から依頼者の家へはボランティアが徒歩などで配達

従来はボランティアが依頼者の要請に応じて、物資の受け取りから配達までを自転車やバイク、徒歩で行っていたものが、依頼者の近くの拠点までドローンで運べるようになり、ボランティアの負担軽減につながることが確認できました。
実験にはすさみ町役場をはじめ、すさみTMS、社会福祉協議会、地域包括支援センター、国保すさみ病院など多くの関係者が参加して行われました。

依頼者への物資配送におけるドローンの活用

行政・地域住民・企業が連携し、テクノロジーを活用した地方創生の新たなモデル

今回の取り組みでは、行政・地域住民・企業が連携し、テクノロジーを活用した地方創生の新たなモデル構築を目指しています。特にAIを活用することでボランティアの希望やスキルを自動的にマッチングし、効率的な支援活動を実現します。

ソフトバンクで実証実験のプロジェクトマネージャーを務めるSE本部 SE第4部の髙橋 佑太は「町と連携し、最適なボランティアを生成AIで自動マッチングするデータ集計・管理ツールの開発に取り組んだ。今回は開発して試してもらうことが目的であったが、説明会の中でも多くのご意見をいただき、システムに対して前向きにとらえていただけた。次年度以降システムを改善し、さらにボランティアの輪が広がればうれしい」と意気込みを語りました。

すさみ町では、今後、実証実験の検証結果をもとに、持続可能な地域支援モデルとして他の地域への展開も視野に入れています。

行政・地域住民・企業が連携し、テクノロジーを活用した地方創生の新たなモデル

(掲載日:2026年1月26日)
文:ソフトバンクニュース編集部