ネットなどで人員を募り、違法な仕事を若者にさせる「闇バイト」。近年、闇バイトによる強盗や傷害事件が後を絶ちません。狙われた家には、実行犯が宅配業者や市役所の職員を装って訪ねてきたり、事前に在宅を確認する電話がかかってきたりすることも。そこで本記事では、闇バイトによる被害に遭わないための具体的な防犯対策を、犯罪対策の専門家である “リーゼント刑事” こと秋山博康さんに伺いました。
目次
アポ電・予兆電話がかかってきたらどうしたらいい? 不審に思った時に取るべき行動
「アポ電」とは、特殊詐欺や強盗などの犯行の前に、犯人グループが家族構成や資産状況などを確認する手口のこと。近年、その手口は巧妙化しており、うっかりだまされて個人情報を話してしまう人も少なくありません。まずは、犯罪の予兆とも言われるアポ電への対策方法をご紹介します。
怪しい電話には要注意! 巧みに個人情報を引き出すアポ電・予兆電話の手口
「アポ電」の犯人は、市役所の職員や警察官、消防局員、ガスや水道の業者、テレビ局や保険会社のアンケート員などになりすまして、電話をかけてきます。あたかも仕事の一環として電話をかけたように装い、「犯罪に使われたリストにあなたの名前があったので被害状況を確認したい」「災害時に救助ができるよう地域の家を訪問している」といった話から、自然な流れで家族構成や資産状況、在宅時間などを巧みに引き出すのです。
「電話ではなく、犯人がリフォーム業者や買取業者を装って、直接家を訪ねて来ることもあります。その目的は、見積もりを取るといって家に上がり、間取り図や現金の置き場所を把握すること。そうして作られた資料が犯人グループ内で共有されて、闇バイト強盗のターゲットになるのです。不審な人が訪ねてきた場合、安易に家に入れないようにしましょう」
個人情報の公開には注意! 犯人グループはSNSで在宅確認も…
犯人グループは、ターゲットにした家の住人をSNSでチェックし、在宅確認をすることがあります。被害を防ぐためにも、SNSに投稿するときは、次のことに気を付けましょう。
- 外出や旅行時に具体的な日程や行き先は載せない
- 時差投稿する
- 個人情報や住所が特定できるような写り込みを避ける
詐欺電話やアポ電には対応せず遮断すべし!
アポ電強盗の被害に遭わないための対策として、以下のようなことが挙げられます。
- 電話をとる前に番号を確認する
- 不審に思ったらすぐに電話を切り、誰かに相談する
- アポ電かわからないときは「1回切って折り返す」
- 自動録音機能付きの電話にする
- 在宅中でも留守電にしておく
「不審な電話がかかってきたときは、すぐに電話を切って、必ず警察に相談をしてください。そうすることで、警察が家の周辺をパトロールしたり、日頃から気にかけたりするきっかけになります」
闇バイト強盗の被害を未然に防ぐための自宅防犯対策
闇バイトによる犯罪は、今や特殊詐欺から強盗にまで広がり、手口も凶悪化しています。次に、闇バイトによる強盗被害の特徴や、自宅周りの防犯対策について解説します。
近年増加する闇バイトによる強盗被害の特徴
従来、空き巣や強盗は「留守の家」を狙って侵入するケースがほとんどでした。しかし、リーゼント刑事によると、最近の闇バイトによる強盗は、在宅・不在に関わらず家に侵入し、住民を暴行して金品を奪い逃走するなど強引な手口が増えているそう。また、一時期は資産のある高齢者を狙った強盗事件が相次ぎましたが、今や高齢者以外にもターゲットが広がってきています。
「闇バイト強盗で恐ろしいのは、実行犯たちが素人である点。その日初めて会った数人がチームを組み、犯罪グループの指示に従って犯行を行います。侵入方法の多くは、バールやハンマーで窓ガラスを叩き割るといった強引なもの。素人なので加減がわからずに、雨戸を壊してまで侵入してきた事例もあるほどです」
相手は素人。とにかく侵入に時間がかかる家にすべし!
闇バイトの被害を防ぐためには、日頃の防犯対策が重要です。外から見て「侵入に時間がかかりそうな家」「警戒していそうな家」と思わせることが、被害を未然に防ぐことにつながります。下記を参考に、自宅の防犯を強化しましょう。
<自宅の防犯を強化する方法>
- ホームセキュリティを導入する
- 防犯カメラを複数設置する
- センサーライトを設置する
- 窓を防犯ガラスに変える
- 窓に防犯フィルムを貼る
- 玄関ドアや窓の鍵を複数にする
- 窓に格子を設置する
- 衝撃を感知する防犯ブザーを取り付ける
「闇バイト強盗は、従来の空き巣と違って、ターゲットにする家をピンポイントで絞っているため、たとえ侵入しにくそうな家にも強引に侵入してくることがあります。そこで重要なのは、侵入に時間を稼がせること。犯人が窓ガラスを割ったり、鍵を開けたりするのに手間取っている間に、別の出入り口から外に逃げましょう。外に出たら、隣家に飛び込んで助けを求めることです。そういった意味で、万が一の際にすぐ助けを求められるよう、近隣住民とのコミュニケーションを積極的に取ることも防犯対策に役立ちます」
家の中でも常にスマホは手元に。そしてすぐに助けを呼ぶべし!
もし家の中まで侵入されてしまった場合は、とにかく外へ逃げてください。玄関や窓から逃げることが難しい状況であれば、鍵がかけられる部屋に逃げ込みましょう。逃げる際は、110番通報や外部へ助けを求めることができるよう、必ずスマホを持って逃げることが重要です。
「万が一の事態に備えて、寝るときは枕元にスマホを置いておくと良いですね。また、犯人は大きい音に敏感なので、防犯ブザーを鳴らしたり、防犯アプリでアラーム音を出すことも効果的です。近隣住民に異変を知らせることにもつながるでしょう。万が一、犯人と鉢合わせてしまった場合は、騒いだり抵抗したりしないようにしてください。なぜなら、黙らせるために暴行される可能性が非常に高いからです。闇バイト強盗の一番の目的はお金です。金品を要求された場合に備えて、茶封筒に数万円を準備しておくのも良いでしょう」
ここがポイント! 110番通報をする時に覚えておきたいこと

110番通報をして警察につながったら、必ず住所を伝えましょう。また、固定電話やスマホから通報をして、警察につながった後に犯人と鉢合わせてしまった場合、通話を切らないでください。現場の背景音から場所を特定したり、状況を確認したりするためのヒントになります。
闇バイトは、私たちにとって非常に身近な犯罪です。被害を未然に防ぐためにも、本記事を参考にして、防犯対策に努めていきましょう。家の周りで不審な人物を見かけたり、不審な電話を受けたりしたら、すぐに警察へ相談することを心がけてくださいね。
(掲載日:2025年1月16日)
写真:大崎あゆみ
文:佐藤由衣
編集:エクスライト
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