2026年5月11日、ソフトバンク株式会社は2026年3月期 決算説明会を開催し、代表取締役 社長執行役員 兼 CEO 宮川潤一が、2026年3月期の連結業績と2027年3月期の業績予想に加えて、前中期経営計画の総括、新たな中期経営計画について説明しました。
目次
全セグメント増収。過去最高の売上高7兆387億円を達成
2026年3月期の売上高は、前年同期比8%増の7兆387億円となり、過去最高となりました。全セグメントで増収となり、エンタープライズ事業とディストリビューション事業は初めて売上高1兆円を超えました。

営業利益は、前年同期比5%増の1兆426億円となりました。メディア・EC事業は、アスクルにおけるランサムウェア被害の影響により減益した一方で、コンシューマ、エンタープライズ、ディストリビューション、ファイナンスの4事業は増益となりました。

親会社の所有者に帰属する純利益は、前年同期比5%増の5,508億円となり、過去最高を更新しました。また、プライマリー・フリー・キャッシュ・フローは6,336億円となり、高い水準を継続しました。

普通株式一株当たり配当金は、期初予想通り年間8.6円を予定しています。

2度の上方修正後の業績予想を上回り、前中期経営計画は全目標を達成
2023年5月に発表した前中期経営計画については、営業利益および親会社の所有者に帰属する純利益が、3期連続で期初の業績予想を上回りました。

また、2026年3月期の財務目標(売上高、営業利益、親会社の所有者に帰属する純利益)は、計画期間中に2度の上方修正がされましたが、これらを上回って達成しました。さらに、セグメント別の事業目標も、全て達成しました。


設備投資は、3年間平均で年間3,253億円となり、目標としていた年間3,300億円を下回る水準で実行しました。プライマリー・フリー・キャッシュ・フローは年間6,000億円以上を継続的に創出し、株主還元においては、2024年3月期から2026年3月期まで、普通株式一株当たり配当金8.6円を維持し、高水準を継続しました。
非財務目標である実質再生可能エネルギー比率についても、2026年3月期の目標を前倒しで達成しました。なお、2031年3月期の目標は、新中期経営計画の非財務目標に置き換えています。

新たな中期経営計画の成長戦略「Activate AI for Society」を発表
続いて、宮川は2027年3月期から2031年3月期までの中期経営計画について説明しました。
今後5年間について、AIは学習を中心とした段階から、日常的に推論が実行される段階へ移行すると説明。ソフトバンクは、これまで構築を進めてきた次世代社会インフラを活用し、AIを社会実装するフェーズへ進むとしました。

新たな中期経営計画は、AIの構築フェーズから社会実装・収穫フェーズへ移行する計画として位置付けられます。

ソフトバンクは、全事業でAIの可能性を起動させ、社会への実装を推進する成長戦略として「Activate AI for Society」を掲げました。

2031年3月期の財務目標として、売上高9兆円、営業利益1兆7,000億円、親会社の所有者に帰属する純利益7,000億円を掲げました。


また、株主還元については、2027年3月期に普通株式一株当たり配当金を8.8円へ増配する予想を示しました。中期経営計画期間においては、利益成長に合わせた継続的な増配を目指します。

エンタープライズを成長ドライバーに、各事業で成長戦略を推進
エンタープライズ事業では、商用化するAI計算基盤やAIデータセンターを同事業に統合し、「クラウド・AI」を新たな注力領域として開示します。通信の安定成長を土台に、ソリューションの拡大とクラウド・AIの伸長を図り、2031年3月期に「クラウド・AI」領域の売上倍増を目指します。

また、エンタープライズ事業のセグメント利益についても、2031年3月期に倍増を目指します。

クラウド・AIサービスでは、企業規模や機密レベルに応じて、ソブリンクラウドや国産LLM「Sarashina」、「Crystal intelligence」などを一気通貫で提供していく方針を示しました。

コンシューマ事業では、モバイルサービス売上の継続的な増収と、セグメント利益の継続的な増益を目指します。新料金プランの浸透やグループ経済圏の活用、長期利用ユーザーの獲得・定着に取り組むとともに、AI共存社会を見据えてサービスや顧客接点、ネットワークの進化を進めます
ファイナンス事業では、決済領域と金融サービス領域の継続的な成長を目指します。オンライン決済の強化やクレジット決済の拡大により金利収入の成長を図るほか、中小企業向けのローンを中心とした金融サービス領域の成長にも取り組みます。加えて、PayPayの米国上場を機に国内外のオポチュニティーを追求します。
メディア・EC事業では、AIエージェントサービス「Agent i」による顧客体験の進化と事業成長を目指します。

大阪堺AIデータセンターにおいて、AXファクトリー/GXファクトリーを構築
中長期的な成長に向けた取り組みとして、大阪府堺市のAIデータセンターにおいて、「AX(AI Transformation)ファクトリー」と「GX(Green Transformation)ファクトリー」を構築する構想も説明しました。

AXファクトリーでは、110エクサFLOPSの計算能力を有するAI計算基盤を収容できるAIデータセンターなどの整備を進めます。このAIデータセンターの完成時の受電容量は140MW規模を想定しています。

GXファクトリーでは、革新型バッテリーや太陽光パネルなどの製造を進めます。

革新型バッテリーは、亜鉛およびハロゲン化物電池を用いたもので、自社設備への導入を進めるとともに、将来的には外部提供・収益化を目指します。

ソフトバンクは、開発から製造までを国内で一気通貫で行う体制を構築します。自社のデータセンターや基地局での活用に加え、自社の販売チャネルを活用した家庭向け・法人向けの販売も進めていきます。さらに、将来的には海外への展開を見据えます。これにより、2031年3月期までに1,000億円以上の売上規模を目指します。

AIによる事業成長と持続可能な社会の実現を追求
ソフトバンクは、AIによる事業成長のみならず、持続可能な社会の実現との両立に向けた取り組みを推進する方針です。AIデータセンターなどの拡大を進める中においても、2030年度のカーボンニュートラル達成を堅持することを、非財務目標として掲げました。

企業価値の最大化に向けて、財務規律を維持しながら、成長投資と株主還元の両立を図る
キャピタル・アロケーションについても説明しました。2027年3月期から2029年3月期までの3年間累計で、通信事業やAI関連事業などにより3.4兆円の営業キャッシュ・フローを創出する見込みです。これにより、通信関連の設備投資や配当総額を上回るキャッシュ・フローを確保し、AI関連を中心とした戦略的投資枠として1兆円を確保します。財務規律を維持しながら、成長投資と株主還元の両立を図ると説明しました。


また、中期経営計画のまとめとして、「Activate AI for Society」を推進し、企業価値の最大化を目指すこと、営業利益・親会社の所有者に帰属する純利益ともに最高益の更新継続を目指すこと、2030年度のカーボンニュートラル達成を堅持すること、継続的な増配を目指すことを説明しました。

2027年3月期業績予想は通期で増収増益を見込む
2027年3月期の連結業績予想は、売上高7兆5,000億円、営業利益1兆1,000億円、親会社の所有者に帰属する純利益5,600億円とし、通期で増収増益を見込んでいます。

セグメント別では、エンタープライズ事業とファイナンス事業の両事業において高い営業利益成長を見込んでおり、これらが全体の成長を牽引する計画です。

宮川は、新たな中期経営計画の成長戦略「Activate AI for Society」を推進し、企業価値の最大化を目指すと説明し、決算説明会を締めくくりました。
質疑応答

説明後に行われた質疑応答では、新たな中期経営計画を中心に多くの質問が寄せられ、宮川が回答しました。その中から一部を紹介します。
コンシューマ事業の目標設定や今後の成長に関する問いに対して、「人口減少やホッピングユーザー(短期間で通信キャリアを移行するユーザー層)の問題など、事業環境は厳しく、5年先をすべて見通すことは難しい。一方で、ホッピングユーザーへの対策は先手を打って取り組んでいる。不透明な環境下であっても、モバイルサービス売上高の増収と増益は継続していきたい。」と説明しました。
AI関連投資と財務規律に関する質問に対しては、「AIデータセンターの需要は非常に旺盛であり、今後立ち上げていく大阪堺AIデータセンターは110エクサFLOPS、北海道苫小牧AIデータセンターはさらにその数倍の計算能力を持つAIデータセンターにしていきたい。今後の投資については、オンバランス(当社単独ですべて投資し、自社のバランスシートに抱えること)だけを前提とせず、オフバランス(パートナーとの連携や外部資本の活用など)も含め、最適なスキームを柔軟に選択し、財務規律を担保していきたい。」と説明しました。
また、1兆円の戦略投資枠については「現時点で0.3兆円の投資は確定している。残りは大阪堺AIデータセンターにおける「AXファクトリー」「GXファクトリー」で検討しているさまざまな事業に投じる可能性があるが、投資対効果を見極めながら判断する」と述べました。
革新型バッテリー事業への参入理由については、「日本全体のエネルギー需給の最適化を実現することが目的」と説明しました。自社開発のAIエネルギーマネジメントシステムを活用し、需給バランスをコントロールする基盤を構築するとともに、「国内で調達可能な材料で製造可能なバッテリーを開発することで、内需中心の成長から外貨を稼げる海事業モデルへの転換を目指す」と述べました。
大阪堺AIデータセンターを中心とした取り組みに関する質問では、「AIデータセンターの周辺にさまざまな産業が集まり、AIの恩恵を受けながら成長する “産業集積地” を実現したい」と説明しました。広大な敷地を生かした第一弾の取り組みとして革新型バッテリーの製造を開始するとともに、今後も複数の事業を順次展開することで、AIによる産業の進化と新たな成長機会を追求していく考えを示しました。
2026年3月期 決算説明会
(掲載日:2026年5月8日、最終更新日:2026年5月14日)
文:ソフトバンクニュース編集部




