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「次世代社会インフラ」って何?未来を支えるプロジェクトメンバーに聞いてみた

次世代社会インフラって何?ミッツ・マングローブが望む未来とは 次世代社会インフラって何?ミッツ・マングローブが望む未来とは

生成AIやVR、自動運転… 。新たなテクノロジーが続々と生まれる中、それらを支える土台となるインフラ構築に、日々いそしんでいる人たちがいます。未来社会を縁の下で支えているのは、一体どんな人なのでしょうか? ソフトバンクの「次世代社会インフラ事業推進室」で働く若手社員2人の仕事ぶりに、ミッツ・マングローブさんが迫ります。

PROFILE

  • ミッツ・マングローブ
    MITZ MANGROVE

    タレント・歌手

    10代から20代にかけて約7年間をイギリス・ロンドンで過ごす。慶應義塾大学法学部政治学科を卒業後、英国ウェストミンスター大学コマーシャルミュージック学科へ留学し、音楽ビジネス全般を学ぶ。2000年にドラァグ・クイーンとしてデビュー。以来、ライブイベントやテレビ・ラジオ出演など、さまざまな芸能活動を展開。現在はコラム執筆、⼥装歌⼿3⼈による⾳楽グループ「星屑スキャット」として音楽活動など精力的に活動中。

北海道のAIデータセンター構築を担当
ソフトバンク株式会社 次世代社会インフラ事業推進室

杉本 龍一(すぎもと・りゅういち)

AIデータセンター事業企画を担当
ソフトバンク株式会社 次世代社会インフラ事業推進室

吉村泰輝 (よしむら・たいき)

「次世代社会インフラ」で私たちの暮らしはどう変わる?

ミッツ

今ソフトバンクは、北海道で超大型のAIデータセンターなるものを建設中だと聞きました。お二人はそれを担う「次世代社会インフラ事業推進室」で働かれているそうですね。どんなお仕事をされているんでしょうか?

前回の対談はこちらからご覧ください

杉本

北海道に建築中のAIデータセンターの取りまとめを担当しています。工事を担当する部署とのやり取りや、光ケーブルなどのネットワークの準備など、プロジェクトにおけるさまざまな業務を整理して、うまく回るようにつなぐのが仕事ですね。

吉村

私は次世代社会インフラを活用した事業企画を行っており、「次世代社会インフラを作ったら、どういうお客さまに向けて、どんなサービスができるか」ということをゼロから考える仕事をしています。

ミッツ

「次世代社会インフラ」ってまだちょっとピンとこないところがあって。それを整備することで何が変わるんですか?

杉本

AIがもっと身近になると思います。「この人と議論して、結果を良い感じにまとめてくれ」とAIに言えば、自分の代わりになんでもやってくれる時代になったらすごくないですか?

こうした未来は高性能の人工知能によって実現できるようになりますが、それを動かすためには大量のデータ通信やデータ処理を担うデータセンターなど、次世代インフラが必要になるんです。インフラを構築することによって新しいテクノロジーを支え、みんなをワクワクさせたいっていうのが私のモチベーションになっています。

2023年6月に開催した当社「第37回定時株主総会」事業戦略説明資料より抜粋

ミッツ

インフラができれば、AIがもっと便利に使えるようになるということですね。でも便利になればなるほど、ワクワクするとは限らないですよね? 私は年を重ねてきて、便利さにワクワクしなくなってきたんです。

杉本

ミッツさんがワクワクするのはどんな瞬間ですか?

ミッツ

たくさんありますよ。いい音楽を聴けばワクワクするし、いい男を見たってワクワクするし。テレビですごくタイプな男性を見て「この人の胸板のパーツだけ、どこかに売ってないかな?」とか思うことはあります(笑) こういう気持ちもテクノロジーが解決してくれるようになるんでしょうか?

杉本

自分の好みを伝えると、3Dプリンタで作ってくれるようなサービスは今後出てくる可能性もあるのではないかと…… (笑)

ミッツ

それは期待したいですね(笑) 他にも、便利になりそうなことはありますか?

吉村

例えば、ミッツさんはYouTube用の動画を作成される際に、高機能な高いパソコンを使ったり、制作会社さんにご依頼なさっているかもしれませんが、次世代社会インフラで提供されるAIサービスやクラウド上で作業することによって、もっと速く安く動画が作れるようになると思います。

それから、最近は電気代が高騰していると思うのですが、それは電力を消費する施設が東京に多いことが一因です。そこで次世代社会インフラ推進室では、建設中の北海道データセンターをはじめとし、東京に集中しているデータセンターを地方に分散させることで電力消費を分散させようとしています。それによって電気代の高騰が抑えられる可能性があるんです。

ミッツ

胸板から電気代まで、次世代社会インフラの影響力って幅広いんですね!

新しいテクノロジーで、伝統的な文化もアップデート

ミッツ

それにしても、ソフトバンクがそんな仕事をしているとは知りませんでした。

杉本

携帯電話会社というイメージが強いので、意外に思われるかもしれませんね。でも、ソフトバンクを、携帯電話の通信ネットワークを作ってきた “インフラ屋さん” と捉えれば、次世代のインフラづくりはその延長線にありますし、これから通信事業と合わせて会社の核となっていくプロジェクトの一つだと思います。

ミッツ

これからもっと力を入れていくということですね。やりがいはありますか?

杉本

はい。すごく楽しく働いています。社内でも立ち上がったばかりの新しい組織なので試行錯誤しながらですが、新しいことをやっている分、自分のスキルの幅が広がっているように感じます。

吉村

今後AIが普及していくと、今よりもっとたくさんのデータ処理をする必要が出てきますし、それらを動かすための電力も多くなるので、インフラ不足が大きな社会問題に発展することも考えられるんです。そうした大規模な問題を解決するために働くのは、やりがいがあります。

ミッツ

私の青春時代なんて、「若者は社会や地球のためにならないことをするもの」と思っていました(笑) そういう前向きな意識の持ち方って、大人に刷り込まれてきたわけではないですか? 今の若い子って、素直すぎる気もするからちょっと心配なんです。

吉村

私たちは大きな震災なども経験してきた世代なので、環境問題や社会課題が自分の暮らしに不安をもたらすことへのリアリティがあるのかもしれません。例えば、2011年の東日本大震災のときには計画停電がありましたよね。あの計画停電は非常時のことだったので受け入れられましたが、最近も首都圏は電力不足が続いていますし、このままの状態が続くと災害ではない平常時にも計画停電を実施しなければならなくなるかもしれません。そうなってしまうと日常生活を制限されているようで受け入れ難いなと感じているので、そんな未来が来ないようにしたいなと思っています。

ミッツ

なるほど、実体験に基づいているのは、いいですね。そもそも、お二人はなぜソフトバンクに入社されたんですか?

吉村

子どもの頃、初めて買ってもらった携帯がソフトバンクだったので親しみを感じていました。それと、当時ソフトバンクユーザー限定でチェーン店のアイスが1個無料になるようなキャンペーンがあって、新しいことをやる面白い企業だなと感じたのが原体験です。

さらに就活の際、ちょうどソフトバンクが携帯キャリアの枠を超えて、新規事業への取り組みを強化し始めた時期だったこともあり、ソフトバンクに入れば面白い事業に関われるのではないかと思い、入社しました。

杉本

私はもともと別の通信事業者に新卒入社したのですが、その会社とソフトバンクが合併したため、ソフトバンクのモバイル通信部門に所属することになりました。そこで仕事をする中で「新しいことをやりたい」という思いが強くなり、自ら手を挙げて新規事業部門へ異動しました。

ミッツ

お二人とも「新規事業」とか、新しいものに惹かれている感じが、若者ならではのまぶしさですね。

吉村

確かに、新しいものへの興味は強いかもしれません。でも実は、音楽一家に育ったこともあって、オペラなど伝統的なものにも興味があります。なので、ゆくゆくはAIなど新たなテクノロジーを生かして、昔からある文化をサポートすることにもトライしてみたいです!

ミッツ

それはいいですね。どんなものも、新しい概念とか価値観を採用しないと生き残っていけないという現実はありますから。私も音楽活動では、配信などデジタルな部分を受け入れなければ成り立たないし、自分自身も受け手として利用しています。

でも、今はまだ、デジタルに任せられないなという気持ちもあります。配信サービスでランダム再生にすると、次から次へと「あなたこれ聞きたいですよね?」とか提案してきますけど、浅はかだなって思う。夏なのにクリスマスの曲を流してきたときなんかは、ちょっとかわいさも感じましたけれど(笑) その辺はどうなんでしょうか、私をうならせるようなAIってこの先できると思いますか?

吉村

できると思います! 例えば、少し前の音楽配信サービスのレコメンド機能は、「他のユーザーが聴いている曲」や「同じジャンルの曲」を自動的に提示するだけでしたが、現在のレコメンド機能は、AIの技術を使って、ユーザーの再生履歴や聴いている時間帯、さらにはテンポやリズムといった楽曲そのものの特徴を元に、個々人に合わせた提案を行うまでに発展しています。なので、これからはもっと効率的にAIがミッツさんの気分や好みを学習していけるようになりますし、近い将来にはミッツさんに刺さるレコメンドをしてくれるAIも生まれてくると思います。

ミッツ

それはちょっと楽しみだな。文句は言うけれど面倒くさがり屋だから、人が選んでくれたものに「はーい」って乗っかりたいところもあって。

テクノロジーの進化に重要なのは「誰が使うのか」という視点

ミッツ

今日はありがとうございました。私はアナログ人間だから、まだAIが普及している実感は全然ないですが、AIの便利さを実感したときはお二人のことをきっと思い出すと思います。

吉村

逆に、ミッツさんからユーザーの代表として私たちへ望むことはありますか?

ミッツ

テクノロジーの最前線を支えるお二人にお願いしたいのは、基本的なことなんですが「それを誰が使うのか」を想像してみていただきたいです。例えば、スタッフから仕事の資料をもらうとき、私には字が小さくて読めないことがあって。相手の視力が弱いことが分かっていたら、プリントするサイズを調整しておけばいいわけですよね。今の時代、そんなことを注意するのはパワハラだとか言われるのかもしれませんが、使い手の気持ちを想像するということは大事なことだと思うんです。

特にこれから日本は高齢社会になっていくわけですから。体のいろいろな部分が以前のようにはいかない人が増えていくことを考えると、みんなに対して優しいものを作ってほしいです。私は来年50歳になるんですけど、だんだんと理解力が下がったり、新しいものを受け入れるのに時間がかかったりします。ですから、テクノロジーが普及するスピードについていけない人に対しても、少し心配りをしてくれるとありがたいですね。

杉本

それは本当に大事なことですね。

ミッツ

今はお二人とも若いけれど、例えば50年後、「自分がヨボヨボになったときに暮らしやすい世の中にするために」というところを目指すのがいいんじゃないでしょうか。

吉村

普段の業務では、目の前の仕事で一杯一杯になってしまいがちですが、次世代社会インフラは世の中のあらゆる課題を解決していくためのもの。だからこそ、「誰のためのサービスなのか」は肝に銘じたいと思います。

杉本

私たちの仕事はインフラを作ることですが、その先でテクノロジーを使う方に寄り添うことを意識しながら、サービスを設計していけたらなと思います。

ミッツ

ぜひお願いします。本当にこの世代の方々に支えていただかなければならないので。これからのご活躍を期待してます。