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多様な子どもたちが共に学ぶ未来をICTで支援。「LEARN with ソフトバンク~魔法のプロジェクト~」

多様な子どもたちが共に学ぶ未来をICTで支援。「LEARN with ソフトバンク~魔法のプロジェクト~」

スマートフォンやタブレット端末などのテクノロジーを活用し、子どもたちの苦手や困りの解決を目指す「魔法のプロジェクト」。ソフトバンク株式会社と東京大学先端科学技術研究センターが2009年から実施しているプロジェクトです。

2024年度は、苦手や困りをICTで支援するノウハウをより広く共有するため、 “ICT・インクルーシブ教育キャラバン” として、日本国内の自治体や教育委員会、学校を訪問し、ICT機器を学びに活用するためのレクチャーなどを行いました。

訪問先の中から、鹿児島県徳之島町の小学校で行われた、学びに役立つテクノロジーを見つける取り組みや、鹿児島市および香川県高松市での開催の様子を紹介します。

全ての子どもが同じ場で学ぶインクルーシブ教育の実現に向けて

「魔法のプロジェクト」は、特別支援学校をはじめ、これまで延べ700校以上で実践されてきました。2024年度は、東京大学先端科学技術研究センターの寄付研究部門「個別最適な学び研究」と協力し、同部門が推進する未来型のダイバーシティー教育プログラム「LEARN」と連携し「LEARN with ソフトバンク~魔法のプロジェクト~」として実施しました。

近年、文部科学省の「通常の学級に在籍する障害のある児童生徒への支援の在り方に関する検討会議報告」の公表を受け、障がいの有無にかかわらず、全ての子どもが同じ場で共に学べる環境の整備や、よりインクルーシブな社会の実現に向けた取り組みの充実が求められています。

「LEARN」は、教育関係者向けの研修プログラムに加え、さまざまな子どもを対象としたアクティビティ型プログラムや、保護者向けの子育て支援プログラムを展開しています。これらの取り組みの一環として、インクルーシブ教育の正しい理解を深め、現場での実践を促進することを目的に、「LEARN」と、ICT活用に豊富なノウハウを持つ「魔法のプロジェクト」が連携しました。 希望する自治体や教育委員会、学校などへ「LEARN」とソフトバンクのスタッフが訪問し、子どもの学びや生活にICT機器を活用する方法をレクチャーした他、講演会や相談会、参加者がICT機器を自由に試せる機会などを提供しました。

全ての子どもが同じ場で学ぶインクルーシブ教育の実現に向けて
全ての子どもが同じ場で学ぶインクルーシブ教育の実現に向けて
全ての子どもが同じ場で学ぶインクルーシブ教育の実現に向けて
全ての子どもが同じ場で学ぶインクルーシブ教育の実現に向けて

「LEARN with ソフトバンク 〜魔法のプロジェクト2024~」協力団体の詳細はこちらをご覧ください。

「魔法のプロジェクト」とは

「魔法のプロジェクト」とは

「魔法のプロジェクト」は、ICTとこれまで培ったノウハウを活用し、インクルーシブな教育を推進する取り組みです。特別支援学校や特別支援学級、通常学級に所属する児童・生徒および教員にICT機器を提供し、活用実践事例を研究・公開することで、障がい児の学習・生活支援を促進することを目指しています。2009年に開始され、これまでに700校以上が実践研究に協力しています。このプロジェクトは、小・中学校・高等学校・特別支援学校においてICTの効果的な活用を通じて、全ての児童・生徒の学びを支えることを目的としています。

「読む」「書く」「聞く」などを支援する便利なツールやアプリを体験

鹿児島県徳之島町では、徳之島町立亀津小学校の5・6年生と支援学級が合同で、タブレットを使って「読む」「書く」「聞く」など、子どもが学習で使えるツールやアプリの機能を体験するプログラムが行われました。

「読む」「書く」「聞く」などを支援する便利なツールやアプリを体験

自分にとって便利なテクノロジーを活用する力を身につける

子どもたちは、東京大学先端科学技術研究センターの中邑賢龍(なかむら・けんりゅう)シニアリサーチフェローから「タブレットやスマートフォンには、翻訳や検索、拡大、色の反転、音声メモ、音声読み上げなどの、読む、書く、聞くを支援する機能がある」などの説明を受けた後、「細かい注意事項の多い話」をタブレットで録音。

書いてメモすることが難しい場合や、覚えきれないようなときにサッと使える便利な機能の活用場面を体験しました。その他にも、タブレットの機能をいろいろ触りながら「自分にとって便利なもの」を見つけていくことを学びました。

自分にとって便利なテクノロジーを活用する力を身につける

「細かい注意事項の多い話」をタブレットで録音し(左)、音声を再生して内容を確認する子どもたち(右)。

「細かい注意事項の多い話」をタブレットで録音し(上)

「細かい注意事項の多い話」をタブレットで録音し(左)、音声を再生して内容を確認する子どもたち(右)。

音声を再生して内容を確認する子どもたち(下)。

「細かい注意事項の多い話」をタブレットで録音し(左)、音声を再生して内容を確認する子どもたち(右)。

聞けば分かるけれど読むのは苦手、読めても書けない、書くのが遅い、漢字が書けないなど、自分の苦手にあわせてテクノロジーを使えばよいのだとの説明に、参加した子どもたちからは「こんなことができるんだと驚きました」「ボイスメモはあったけど触れたことがなかった、メモを取るのに便利で魔法みたいだった」「英語を Google レンズで読み取れてドキドキした」などの声が聞かれました。

ICTを活用するのは眼鏡をかけるのと同じこと

鹿児島市では、親子・支援者向けと教員向けのプログラムが行われました。

「学習や生活のつまずきを、スマホやタブレットで解決してみませんか?」と題する講演で、中邑氏は「タブレットを使うことで他の生徒と同じスタートラインに立つことができるのに、教育の現場で理解が追いついていないために学びの目標が奪われている」と指摘。「子どもの特性によっては人と同じ勉強の仕方が有効でない子もいる。そのことを知らずに『努力が足りない』と決めつけるのは、遠くの文字が見えないのは近視のせいなのに、眼鏡を与えられないまま、遠くの文字を読みなさい、と言われるようなもの。視力にあった眼鏡をかけさえすれば、直ちにその文字が読めるようになる」といい、テクノロジーを使うことが当たり前の世の中になり、子どもたちがありのまま学べる素地作りが必要だと呼びかけました。

ICTを活用するのは眼鏡をかけるのと同じこと
ICTを活用するのは眼鏡をかけるのと同じこと

展示コーナーには「読み書き計算が苦手」「コミュニケーションがうまくいかない」などの悩みや困りごとを助けるICT機器やツール、アプリが困りごと別にさまざま展示。

ICTを活用するのは眼鏡をかけるのと同じこと
ICTを活用するのは眼鏡をかけるのと同じこと

参加者は最新のICT機器やアプリの操作手順、活用シーンなどを学んだ他、子どもたちが、スマホのカメラをかざすだけで翻訳ができるアプリを使い、外国のお菓子の生産国や原料などを確認して楽しむ姿が見られました。

ICTを活用するのは眼鏡をかけるのと同じこと

知的障がいや肢体不自由のある子どもにICT活用のアイデアを

知的障がいや肢体不自由のある子どもにICT活用のアイデアを

個々の子どもに応じたコミュニケーション方法を探る

高松市では、香川大学教育学部 坂井聡研究室、かがわATサポーターズ、一般社団法人 在宅療養ネットワークの協力の下、知的障がいや肢体不自由のある子どもの学びや生活にICT機器を活用するプログラムが、香川大学で行われました。

知的障がいや肢体不自由のある子どもたちは、「思ったらすぐに行動してしまう」「ルールが守れずトラブルになってしまう」「表現が繊細で思いをくみ取りにくい」など、個々にさまざまな困難を抱えています。

「知的障がいや重度重複障がいのある子どもの個々に応じたコミュニケーション支援とICT・支援技術の活用について」と題した講演では、コミュニケーションに困難さを抱える子どもたちに対し、どのような場面や方法でやり取りすれば伝わりやすく、意思を理解しやすくなるのかを事例とともに紹介。また、最新のICTの活用による可能性にも触れ、参加者が自由に機器を試しながら活用アイデアを考える機会を提供しました。

個々の子どもに応じたコミュニケーション方法を探る

展示コーナーでは、知的障がいや肢体不自由のある子どもたちのコミュニケーションや生活を助けるさまざまな機器やアプリを紹介。

個々の子どもに応じたコミュニケーション方法を探る
個々の子どもに応じたコミュニケーション方法を探る

まばたきのようなわずかな動作でスイッチのオンオフを行う方法や、音声だけで電化製品の操作を行うための機器や方法、タブレットやスイッチを車いすやベッドなどに取り付けられるアームなども展示されました。

個々の子どもに応じたコミュニケーション方法を探る

また、本プログラムでは、普段、決まった場所から出かけていくことがない子どもたちが、安全に体験の幅を広げられるよう「香川大学に体験入学」という形で、聴講の他、大学のカフェでのランチ体験も実施。

個々の子どもに応じたコミュニケーション方法を探る

最後に、大学体験プログラムの修了証書が参加者全員に手渡されました。

個々の子どもに応じたコミュニケーション方法を探る

2025月1月でキャラバンを終えた「LEARN with ソフトバンク 〜魔法のプロジェクト2024〜」には、延べ1,156人が参加しました。ソフトバンクは今後も、「魔法のプロジェクト」で培ったノウハウを活用し、インクルーシブ教育の実現に貢献していきます。

2025年度もインクルーシブ教育をテーマに、2月12日~4月11日まで、参加団体を募集します。

「魔法のプロジェクト」の
ウェブサイトをみる

(掲載日:2025年2月12日)
文:ソフトバンクニュース編集部