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全セグメント増収増益。AIを最も使いこなし、次世代の社会インフラに ーソフトバンク株式会社 2025年3月期 第3四半期 決算説明会レポート

2025年2月10日、ソフトバンク株式会社の2025年3月期 第3四半期決算説明会が開催され、代表取締役 社長執行役員 兼 CEOの宮川潤一が連結業績を発表。あわせて、次世代社会インフラの構築へ向け、2025年2月3日に発表した「クリスタル・インテリジェンス」や、AIデータセンターなどについて説明しました。

全セグメント増収増益。上方修正後の通期業績予想に対して営業利益と純利益が85%超の進捗

2025年3月期 第3四半期累計の売上高は前年同期比7%増の4兆8,115億円と、全セグメントで増収。営業利益は8,219億円と前年同期比12%増で全セグメント増益となりました。エンタープライズ事業、ディストリビューション事業、ファイナンス事業が2桁成長を続けていると説明しました。

売上高 セグメント別

2024年11月に上方修正した通期業績予想に対する第3四半期累計の進捗率は、売上高76%、営業利益87%、親会社の所有者に帰属する純利益86%で、順調に推移していることを発表しました。

2025年3月期 第3四半期 業績予想

2025年3月期 第3四半期 進捗率

コンシューマ事業の売上高は、2兆1,810億円で前年同期比3%の増収、同事業の営業利益は前年同期と比べて4%増益。「通信事業以外の領域を拡大していく成長戦略『Beyond Carrier』を進めてきた結果が、収益源の多様化として全体の業績に表れている。通信事業以外の領域も収穫期に入った」とコメントしました。

コンシューマ事業売上高

モバイルの売上高は、通信料値下げの影響から順調に回復し増収に反転。再度成長軌道に戻り、従来よりも強い企業構造に変革できていると説明。さらにスマートフォン契約数は、前年同期と比べて4%増であるとしました。

モバイル売上高

スマホ累計契約数

さらに、「ワイモバイル」などから「ソフトバンク」へのブランド移行収支が、第2四半期に引き続き第3四半期も大幅なプラスであると報告。「プラス基調が定着しており、通期でもプラスを見込んでいます」と説明しました。

ソフトバンクへの移行

エンタープライズ事業は、売上高が前年同期比10%増収、同事業の営業利益が前年同期比9%増益となりました。特にソリューションの売上高が27%増収し、好調であると説明しました。

エンタープライズ売上高

メディア・EC事業は、売上高が1兆2,523億円で前年同期と比べて4%増収し、同事業の営業利益が33%増益(一過性要因を除いたベースでは前年同期比で17%増益)。利益率の高いメディア領域の復調が業績に貢献していると説明しました。

メディアEC売上高

ファイナンス事業は、売上高が2,036億円となり前年同期比19%増収。PayPayの黒字化も寄与し、第3四半期累計のファイナンス事業の営業利益は、前年同期のマイナス35億円から260億円と大幅に改善し黒字転換であると報告。

ファイナンス売上高

PayPayの第3四半期累計の連結売上高は1,837億円、連結決済取扱高(GMV)は前年同期比23%増の11.3兆円であると報告。連結EBITDAは353億円となり、第3四半期累計として2年連続で黒字。営業利益も3四半期連続で黒字化を達成し安定していると説明しました。

ファイナンス売上高

銀行・証券サービスをPayPayへ集約し、金融ビジネスを加速

2024年12月に発表したPayPay株式会社によるPayPay銀行の子会社化に続き、PayPay株式会社がPayPay証券を子会社化することを報告。「銀行・証券サービスを強化することを目的とし、グループ傘下の金融サービスをPayPayに集約することで決済サービスと金融サービスをシームレスに組み合わせ、シンプルな資本関係のもとに金融ビジネスの成長を加速していく」と意欲を示しました。

PayPay

次世代社会インフラ構築に向けた「分散型AIデータセンター」の取り組みを加速

次世代社会インフラの構築に向けた取り組みとして、「分散型AIデータセンター」について説明しました。

AI-RAN(Artificial Intelligence Radio Access Network)を提供する意義として、「モバイルネットワークを順次AI-RANに切り替え、通信需要の少ない時間帯に余った計算リソースを活用してAIの推論サービスを提供し、新たな収益源にすることを目指す」と説明。

AI-RAN

また、AIデータセンターの構築に向けて、2024年12月にシャープ株式会社の堺工場の土地や建物などを約1,000億円で取得することを決議したことにも触れ、日本の新たな産業集積地のモデルケースとして作っていく考えを説明しました。

データセンター

さらに、2025年2月に発表したOpenAIとのパートナーシップによる、個々の企業のシステムやデータを統合して企業ごとにカスタマイズされた最先端AI「クリスタル・インテリジェンス」についても説明。展開を加速するために「SB OpenAI Japan」が日本の主要企業に対して独占的に販売し、日本のあらゆる産業における企業変革を目指していくと述べました。

クリスタル

「AIを最も上手に使いこなして次世代の社会インフラになることを目指し、会社の骨組みを大改造していきます。今回のパートナーシップによって、最新かつ最先端モデルである『クリスタル・インテリジェンス』を世界で最も優先的に利用できるようになります。出遅れた日本のAIを挽回していく大きなチャンスと捉え、積極的に取り組んでまいりたいと思います」と語りました。

ソフトバンクの目指す姿

ESGで高い外部評価を獲得。今後も事業を通じた社会貢献をしていく

ESG評価

ESGの取り組みについて、国内通信業界で唯一「DJSI World」の構成銘柄に3年連続で選定されたことや史上初「日経SDGs経営大賞」の大賞を2年連続で受賞し、また継続して高評価を得ている企業を認定する「プライムシート企業」にも選出されたこと、その他最高峰の評価を複数受けたことを報告。「今後もサステナビリティの取り組みをより一層強化し、事業を通じて社会貢献していく」と宣言しました。

宮川さん

2025年3月期 第3四半期 決算説明会

(掲載日:2025年2月7日、最終更新日:2025年2月12日)
文:ソフトバンクニュース編集部