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ソフトバンク・ビジョン・ファンドの投資利益が貢献ーソフトバンクグループ株式会社 2026年3月期 第1四半期 決算説明会

2025年8月7日、ソフトバンクグループ株式会社(以下「SBG」)の2026年3月期 第1四半期 決算説明会が開催され、取締役 専務執行役員 CFO 兼 CISO 兼 GCOの後藤芳光が、連結業績の内容について説明しました。

AI投資の成果で、NAVは32.4兆円に

冒頭、後藤は世界のAIの歴史とSBGの取り組みを重ね合わせて振り返り、2016年に行ったアーム買収やその後のさまざまな事業展開、OpenAIとの協業などがAI戦略の礎となっていると述べました。また代表取締役 会長兼社長執行役員 孫正義が2021年3月期 第2四半期の決算説明会で述べた 「AIを制する者が未来を制す」というコメントも挙げ、AIを中核に据えた事業戦略を進めていく意思を固めた時期だったと話しました。今回の決算では、アーム事業やソフトバンク・ビジョン・ファンド(以下「SVF」)の投資先の成長がけん引役となり、重要指標であるNAV(時価純資産)は32.4兆円に達するなど、AIに対する投資の成果が確実に現れていると述べました。

NAV

また、決算説明会当日の終値が上場来高値を更新。NAVに対する時価総額の割安度を示すディスカウントは39.8%となったことを受けて、「ディスカウントの改善は、われわれの方向性について評価していただけているからだと思う」との認識を示しました。

2025年度は好調なスタート

2026年3月期 第1四半期について、当期純利益はSVFによる投資利益が貢献し前年同期比5,961億円増加の4,218億円、NAVは主にアームの株価上昇により32兆4,000億円(2025年3月末比 6.7兆円増)となりました。手元流動性は3兆7,000億円、LTV(純負債/保有株式価値)は17.0%と、大型投資を行いながらも改善しているとして「時価総額もNAVも増加し、財務的には非常に充実」と述べました。
また、アームとOpenAIを両輪に、引き続きNAVの成長を実現していきたいとしました。

2025年度Q1決算ハイライト

連結業績

AI関連銘柄が牽引しSVFの投資利益が増益

2026年3月期 第1四半期におけるSVF事業の投資損益は50億600万ドルと、大幅増益となりました。内訳として、SVF1は主に公開投資先であるCoupangの株価上昇などにより投資利益が35億6,300万ドルに、SVF2は主に公開投資先のSymboticの株価上昇により投資利益が7億8,800万ドルに、ソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドも6億5,400万ドルの利益を計上したことに触れ、「順調な回復で非常に良いクォーターだった」とコメントしました。

投資損益(四半期)

SVFの株式公開実績として、当第1四半期に2件のフィンテック銘柄の新規公開があり、活動開始以来、投資先企業の株式公開が累計57件となったことを報告。また、OpenAIやPayPay、バイトダンスなどレイトステージ投資先の公正価値合計が450億ドルであることにも触れ、これらの投資先の成長に期待を示しました。

株式公開実績と今後のパイプライン

アームはロイヤルティー収入が前年同期比25%増

アーム事業は引き続き強い成長を続け、四半期売上高が10億5,300万ドルで、そのうちロイヤルティー収入が前年同期比で25%増加。コンピュート・サブシステム(CSS)の浸透がロイヤルティー収入の拡大に大きく寄与した他、クラウド市場でのシェアが拡大し、「主要なハイパースケーラーが導入するサーバー向けチップのうち50%程度がアームベースになっていくだろう」との見方を示しました。

売上高(四半期)(米国会計基準)

四半期調整後営業利益が前年同期比で減少となったことについては、「将来の成長のための研究開発投資加速のため」と説明しました。

調整後営業利益(四半期)(米国会計基準)

OpenAIとのパートナーシップでAI革命を加速へ

後藤は、今春発表したOpenAIへの追加出資の概要について、最大400億ドルの出資額のうち100億ドルを外部投資家へ割り当て(シンジケーション)し、ソフトバンクグループの実質的な出資額は最大300億ドルの予定でスタートしているとあらためて説明。そのうち、4月に実施したファーストクロージングの100億ドルについて、25億ドルはシンジケーションにより外部投資家が出資、残りの75億ドルはSVF2が出資。セカンドクロージングは、残りの300億ドル(最大・予定)をソフトバンクグループが225億ドル(予定)、外部投資家が最大75億ドルまでとし、順調に推移していると述べました。

追加出資コミットメント(2025年3月)

OpenAIの成長については、グローバルでの週間アクティブユーザー数について触れながら、成長が加速していることを強調し、「この成長基盤がOpenAIの企業価値の評価に直結するだろう」とコメントしました。

週間アクティブユーザー数(グローバル)

また、ソフトバンクグループとOpenAIは、AI革命の最重要パートナーとして協業を進めてきているとし、その一例としてクリスタル・インテリジェンスを挙げました。年内にはグループ全体で10億エージェントの構築を目指すと話し、今後どのようにソフトバンクグループが変わっていけるのか楽しみだと語りました。

さらに、OpenAIのために新たなAIインフラストラクチャを米国内で構築する「Stargate Project」の推進についても、米国内の複数の州でプロジェクトを進めていると説明しました。

ASI時代のNo.1プラットフォーマーへ。財務方針を堅持しつつ大型投資を実行

財務方針については、通常時LTV25%未満で運用すること、2年分の社債償還資金を保持していく方針に変更はないことを強調。

財務方針

投資については、この第1四半期にOpenAIへの75億ドルの出資を中心に合計で84億ドルの投資を行い「これまでのクォーターと比べても最大となった」と説明。また、投資と資金回収の最適化を図っていくことが投資会社としての健全な財務運営であるとして、Tモバイル株式を2025年6月と8月に合計78億ドルで売却したほか、ドイツテレコム株式を活用したデリバティブを2025年8月に早期清算し12億ユーロを一括受領したと、資産の資金化について報告しました。

投資額(SBG+SVF)

株主還元は今後も重要なテーマ

また後藤は、1年間にわたり実施してきた自己株式取得プログラムが8月7日に終了を迎えたことを報告しました。この取り組みの開始時は株価下落局面であり、投資家の皆さまに迅速な財務対応力を示す意図があったと説明。その後株価は順調に回復し、さらに成長を続ける中で、当初の目的は達成されたと判断したと話しました。また、株主還元は今後も重要なテーマだとして、「戦略的投資、株主還元、財務改善の3つのバランスを重視し、最適なタイミングと規模で還元を検討していく」と方針に言及しました。

自己株式取得の終了

さらに、冒頭で触れたNAVディスカウントについて改めて言及。昨年の第1四半期には57%あったものが39.8%にまで縮小したことを示しながら、ディスカウントのさらなる縮小には、SBGの投資戦略やAI事業戦略に対する市場の期待が株価に反映されることが不可欠であり、その説明責任や、投資成果を示す責任があるとの認識を示しました。

NAVディスカウント

ASIのNo.1プラットフォーマーを目指して

最後に、今年の株主総会で孫が「ASIのNo.1プラットフォーマーになる」と発言したことに触れ、プラットフォーマーとは産業の中核を担う存在を意味すると解説。「次の時代に、ASIという全く新しい産業において、われわれも存在感を示せる基盤となる企業になっていきたい」「アームとOpenAIと組むことで、AIでのステージでわれわれの存在感を出すことができると確信している」と説明会を締めくくりました。

ASIのNo.1プラットフォーマーを目指して

2026年3月期 第1四半期 決算説明会

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(掲載日:2025年8月6日、最終更新日:2025年8月13日)
文:ソフトバンクニュース編集部