
Google の生成AI「Google Gemini」は、文章作成だけでなく画像や動画の生成まで対応できるAIとして注目を集めています。ChatGPTに続く生成AIの代表格として急速に普及しているものの、「実際にどう使えばいいのか」「どんなことができるのか」と疑問を抱く人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、 Google Geminiの基本的な機能や、仕事やプライベートでの活用法について、一般社団法人AICX協会代表理事 小澤健祐さんにお聞きしました。
目次
“自分専用アシスタント” が日常に。Google の生成AI「Gemini」の実力
今、世界中で注目を集めている Google Gemini。まずは、概要や活用例、モデルタイプ別の特徴について、小澤さんに教えていただきました。
強みは「Google との連携」と「パーソナライズ」
はじめに、 Google Geminiとはどんなサービスなのか、概要を教えてください。
小澤さん 「 Google Geminiは、ChatGPTと並ぶ世界トップクラスの生成AIです。一番の強みは、やはり Google との連携ですね。Google ホテルや Google フライトなど、さまざまな Google のサービスと連携できます。例えば『羽田から函館に行く今日の飛行機を教えて』と指示すれば、すぐに候補を挙げてくれます。

また、検索履歴にもとにパーソナライズする点も強みです。Google のユーザーがどのような人物なのか検索履歴を分析して、それに合わせた情報を提供してくれるんです。これからさらに性能が上がって、より多くのことができるようになっていくと思うので、とても可能性に満ちた生成AIですね」

Google の検索履歴から、ユーザーの人物像を推測してくれる
文章、画像、音声も。マルチに使える Google Geminiで業務効率化が加速
Google Geminiを使うと、どんなことができるのでしょうか?
小澤さん 「主な機能として、以下のようなものが挙げられます。
- 文章生成
- リサーチやデータ分析
- 画像、動画、音声の認識・分析・生成。
- Google Workspace との連携
また、Gem(ジェム)機能を使うと、自分専用のAIアシスタントをカスタマイズして作ることができます。例えば『旅行の計画を立てるのが得意なアシスタントとして、現地の情報を詳しく教えて』など、用途に合わせて Google Geminiをパーソナライズできるイメージです。これによって、より専門的かつ自分のニーズに合った会話や情報提供を Google Geminiから引き出すことが可能になります。僕は、メール作成やSNSの投稿など、用途に合わせてGemを定義し、作業を効率化しています」

Gemで実際にSNSの投稿内容を作成している例
これは便利ですね。まさに “自分専用のAIアシスタント” という表現がぴったりです。 Google Geminiは、実際のビジネスシーンでどのように活用されているのでしょうか。
小澤さん 「例えば、資料作成の際には、構成案の提案や文書の下書き作成をサポートしてくれます。限られた時間でも、質の高いアウトプットを目指すことができます。また、長文のWebページや複雑な資料の内容を要約し、短時間で必要な情報を把握するのにも役立ちます。さらに、Google ドキュメントやスプレッドシートなどの Google Workspace と連携させることで、日々の業務をよりスムーズに進められるのも特徴ですね。そのほか、ポスターや動画、広告などのクリエイティブ制作においても、アイデア出しの段階から柔軟な発想を引き出すツールとして活用されています」

Google のいろいろなサービスとの連携が可能
速さ? それとも分析力? Google Geminiが提供する2つのモデルタイプ
Google Geminiの種類とモデルタイプについて教えてください。
小澤さん 「2025年7月現在、 Google Geminiは以下の2つのモデルタイプを提供しています」
| サービス名 | 概要・主な機能・特徴 | 利用料金 ・回数 |
向いている作業 |
|---|---|---|---|
| Gemini 2.5 Flash |
【概要】 【主な特徴・機能】
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| Gemini 2.5 Pro |
【概要】 【主な特徴・機能】
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アカウント登録から画像生成まで。 Google Geminiの基本的な使い方
ここからは、基本的な使い方について解説していきます。以下を参考にして、実際に Google Geminiを活用してみましょう。
Google Geminiの基本的な使い方を教えてください。
小澤さん 「 Google Geminiを使用する流れは以下の通りです。
ウェブブラウザから始める場合
- Google アカウントを作成してログインする
すでに Google アカウントを持っている場合は、そのアカウントでログインします。
- Google Geminiのサービスページにアクセスして始める
Google アカウントにログインしている状態であれば、すぐに Google Geminiとのチャットを開始できる画面が表示されます。
スマホアプリから始める場合
- Google Geminiアプリをインストールする
デバイスに応じて、Google Play ストアまたはApp Storeから「 Google Gemini」アプリをダウンロードしてインストールします。
- Google Gemini機能を有効にする
アプリを初めて起動すると、Google アカウントでのログインが求められるので、普段使っている Google アカウントでログインするとすぐに Google Geminiを使えるようになります」
チャット形式で手軽に生成。 Google Geminiを使った文章・画像作成の始め方
Google Geminiのチャットボットを活用して、文章や画像を生成する方法を教えてください。
小澤さん 「以下の手順で、簡単に文章や画像を生成することができます。
- プロンプトを入力してテキストや画像を生成する
テキスト入力欄に生成したい内容のプロンプト(指示テキスト)を入力すると、文章や画像が生成されます。 - 対話を通じて精度を上げる
『もっと詳しく』『〇〇について追加して』など、具体的な指示を出すことで、回答の精度を上げていきます。 - 回答の再確認と再生成で最終調整
『回答の再確認(ファクトチェック)』ボタンを使うと、生成された情報の信頼性を確認できます。また、『再生成』ボタンを使えば、同じプロンプトで別の回答を生成させることも可能です」
画像や動画から物語が作れる!? Google Geminiに画像や動画ファイルを読み込ませてみよう
Google Geminiに画像や動画を読み込ませて作業することもできますか?
小澤さん 「はい。画像や動画を読み込ませて作業する手順は以下の通りです。
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Google Geminiのモデルを選ぶ
まずは、使用したい Google Geminiのモデルを選びます。モデルによって処理能力や速度が異なるため、目的に合ったモデルを選択します。
- ファイル(画像・動画・音声)をアップロード
チャット画面下部にある「+」ボタンをクリックまたはタップし、画像、動画、音声ファイルをアップロードします。
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プロンプトを入力して分析・要約
ファイルがアップロードされたら、そのファイルに対してどのような作業を行いたいのか、具体的なプロンプトを入力します。例えば画像から新しい情報やコンテンツを出力したい場合、『この画像に写っているものを教えて』『この風景から物語を作って』といったプロンプトを入力します。 Google Geminiはプロンプトにもとづいて、分析や要約、または新しいコンテンツの生成を行います」

風景の画像を読み込ませて物語を生成した例
Google GeminiのDeep Research、Veo3とは?
Google GeminiのDeep Research機能は、複雑なテーマを徹底的にリサーチし、まとまったレポートを作成してくれる機能です。具体的には、市場調査や競合分析、学術研究、企画立案など、高度な情報収集と分析が必要な場面で役立ちます。
Veo3は、Google が開発した最先端の動画生成AIモデルです。プロンプトを入力するだけで、高品質な動画を自動で生成してくれます。
2025年7月現在では、どちらも Google Gemini Advanced(有料プラン)で利用できる機能ですが、将来的には Google のほかのサービスに統合されていく可能性があります。
Deep Researchについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
もっと便利に! Google Workspace との連携術
Google Geminiは、ビジネスから日常生活まで、幅広い場面で私たちをサポートしてくれます。ここからは、Google アプリや Google Workspace と連携した際にどのように活用できるのか、具体的な活用事例をご紹介します。
Google Workspace と連携してビジネスを次のレベルへ
Google Geminiを Google Workspace と連携させて、ビジネスシーンで活用する方法を教えてください。
小澤さん 「 Google Geminiを Google Workspace と連携させることで、日々のビジネス業務を効率化できます。また、Google ドライブ上のファイルなどからも情報を収集し、アウトプットに活用できます。『対話しながら作り上げる』ことも、『おまかせで作業を完結させる』こともできるため、多様なビジネスシーンで活用できます」
| 連携するツール | 活用方法 |
|---|---|
| Gmail | メールの文面の自動生成、メールスレッドの要約、 過去のメール検索 |
| Google ドキュメント | 文章の自動生成、要約、 Google ドライブ上の他のファイルの参照 |
| Google スプレッドシート | データの分析、グラフの作成、テーブルや数式の生成 |
| Google スライド | スライドや画像の生成、プレゼンテーションの要約 |
| Google ドライブ | ファイルの要約、複数ファイルの情報統合、ファイル検索 |
| Google カレンダー | 予定の作成、スケジュールの確認、会議時間の変更 |
| Google Meet | 会議の文字起こし、要約 |
いつもの検索ツールが Google Geminiに変わる? Google アプリとの連携で、日常がより快適に
ビジネスシーンだけでなく、普段の生活でも活用できるのでしょうか?
小澤さん 「はい。今後、Google は、ユーザーが意識せずに自然と Google Geminiを使うようなUX設計を進めていくと予想しています。プライベートでも例えばこんなシーンで活用できるのではないでしょうか」
| 連携するツール | 活用方法 |
|---|---|
| Google 検索 | 検索結果の統合と要約、深掘りしたリサーチ |
| Google マップ | ルート案内と情報提供、スポットの提案 |
| Google フォト | 写真の検索と管理、内容分析、思い出の整理と提案 |
日常に溶け込んでくるということですね。ほかには今後、どのような進化が期待できますか?
小澤さん 「 Google Geminiの大きな強みは、やはりロングコンテキスト(長文処理能力)にあると思います。長い資料を読ませても、内容を理解して、適切に対応してくれる点は、かなり評価できるポイントです。将来的には、推論能力とマルチモーダル(多様な形式のデータ)対応がさらに進化し、より複雑な課題解決やクリエイティブな作業を支援する、今よりもさらに高度にパーソナライズされたAIパートナーのような存在になっていくのではないでしょうか。
特に注目しているのは、音声と映像生成の融合ですね。現在開発が進む『Flow(フロー)』のように、音声も一緒に生成できるようになれば、表現の幅がさらに大きく広がると思います」
文章や画像を生成するだけでなく、Google と連携して作業効率を大幅にアップできる Google Gemini。うまく使いこなせば、毎日のタスクをサポートする自分専用のAIアシスタントとして活躍してくれるでしょう。本記事を参考に、ビジネスから日常生活まで、さまざまなシーンで Google Geminiを活用してみてください。

(掲載日:2025年8月19日)
文:東谷好依
編集:エクスライト






