
9月30日に発行されたソフトバンクの「統合報告書 2025」。2024年度の振り返りやAIを基軸とした中長期的な成長戦略、財務戦略、株主還元に関する経営陣の考えなどに加えて、「次世代社会インフラ」の実現に向けた技術戦略や、ESG・リスクマネジメントに関する取り組みについても網羅的に紹介しています。
ソフトバンク「統合報告書 2025」

ソフトバンクが目指す姿や中長期的な成長戦略、価値創造プロセス、マテリアリティ、財務・非財務情報を網羅的に掲載し、年1回発行しています。
ソフトバンクは、「Beyond Carrier」を成長戦略として掲げ、コアビジネスである通信事業の持続的な成長を図りながら、通信キャリアの枠を超え、「DX・ソリューション」「ファイナンス」「メディア・EC」「新領域」など、情報・テクノロジー領域のさまざまな分野で積極的に事業を展開することで、企業価値の最大化を目指しています。
ファイナンス事業の核であるPayPayグループが急成長している背景や、ソフトバンク・LINEヤフーとのグループシナジーなどについて、PayPay株式会社 執行役員 金融事業統括本部 金融推進本部長 兼 PayPayカード株式会社 執行役員 ビジネスグロース統括本部 事業推進本部長の川田博樹のインタビューを一部抜粋して紹介します。
PayPay 金融推進本部長インタビュー
PayPayカードがPayPayの完全子会社となって2年以上が経過しましたが、あらためてその狙いを教えてください。
完全子会社化の狙いは、PayPayとPayPayカードが「一心同体」となる体制を築き、決済事業における重要な成長ドライバーへと成長させることです。PayPayの設立当初、PayPayカード(当時ワイジェイカード株式会社) はLINEヤフー(当時ヤフー株式会社)の完全子会社でしたので、両社の関係は、各社が自社の収益を守りつつ協力できる部分で連携する「二人三脚」の体制であり、いわば「足し算」のような関係でした。しかし、キャッシュレス決済市場での「PayPay」のシェア拡大に伴い、より大きな成長を描くにはクレジットカード事業との一体運営が不可欠だと判断し、PayPayカードがPayPayの完全子会社となることにより、「一心同体」の体制へと深化しました。この「一心同体」の体制では、「PayPayカードの成長はPayPayグループの成長である」という明確な共通認識が形成されています。これにより、これまでの「足し算」の発想から、お互いの強みを「掛け算」する発想へと転換しました。
この発想の転換を具体的なアクションに移すため、まずはカードそのものの基盤固めから着手しました。「PayPayカード」の前身である「Yahoo! JAPANカード」時代は、「Yahoo! JAPAN」のeコマースで使いやすい、いわばインハウスカード的な位置付けでした。そのため、競合と比較して足りていない機能や未対応の領域が多くありました。そこで私はPayPay側でPayPayカードとの連携責任者を務めるだけではなく、PayPayカードにも出向し、事業推進責任者の立場から当時のPayPayカードの課題を洗い出し、2年ほどかけて改善を主導してきました。今は、ようやくPayPayグループならではのサービスを生み出すフェーズに入ったという段階です。しかし、「PayPayカード」のクレジットカード市場におけるシェアはまだ約5%ですので、数十%のシェアを持つ競合に追いつき、追い越すことがわれわれの急務です。「PayPayカード」のためになるのであれば、「PayPay」アプリを最大限活用するという方針の下、グループ全体でキャッシュレス決済市場のシェアを拡大させる取り組みを進めています。

ソフトバンクやLINEヤフーとのグループシナジーについて教えてください。
「PayPayカード」のユーザー獲得は「PayPay」アプリ経由が最も大きいのですが、それに続く二大柱が、ソフトバンクとLINEヤフーとのグループシナジーです。 PayPayカードは元々LINEヤフーのグループ会社でしたので、「Yahoo!ショッピング」を中心としたeコマース領域において、以前から密な連携を築いてきました。LINEヤフー側で「LINEヤフーのeコマースを使うなら『PayPayカード』で決済した方が便利でお得」という世界観を構築してくれており、それが毎月の新規ユーザーの獲得につながっています。
また、ソフトバンクとの連携においても、携帯電話料金が割引になる「PayPayカード割」や通信料に応じたポイント付与といった特典を用意し、ソフトバンクユーザーにとって最も魅力的なカードとなることを目指して取り組んでいます。これらの取り組みを、全国のソフトバンクショップやオンラインチャネルといった強力な顧客接点でプロモーションしており、ユーザー獲得の大きな源泉の一つとなっています。
このように、携帯電話やeコマースといった、必ず決済が発生し、かつその大半がクレジットカードで支払われるシーンにおいて、「せっかく使うなら『PayPayカード』で」とユーザーに自然に選んでいただける価値を提供することこそが、われわれのグループシナジーの核となっています。

続きは、「PayPay 金融推進本部長インタビュー」をぜひご覧ください。
統合報告書 2025
「PayPay 金融推進本部長インタビュー」
(掲載日:2025年10月7日)
文:ソフトバンクニュース編集部




