
わずか2カ月半で250万を超えるAIエージェントが誕生 —— ソフトバンクの全社員を巻き込んだビッグプロジェクトは、単なる社内へのAI導入ではなく、“AIを使いこなす人材を育てる” ための前例のない取り組みでした。AIが、特別なものではなく、日常の仕事道具のひとつに。編集部でも働き方の変化を実感しています。そんな挑戦の舞台裏を紹介します。
前例のないビッグプロジェクトがスタート
2025年2月3日、ソフトバンクグループとOpenAIは、企業向けの最先端AI「クリスタル・インテリジェンス(Crystal intelligence)」の開発・販売に関するパートナーシップを発表しました。この実現・展開に向けAI開発が進み、ビジネスの中心にAIが据えられる時代が加速する中で、課題として浮かび上がったのが “AIを使いこなせる人材” の育成です。
そこで2025年6月、ソフトバンクの全社員に生成AIを利用できる環境が用意され、全社員が1人100個のAIエージェントを作成することをミッションとしたビッグプロジェクトが開始されたのです。このプロジェクトのゴールは、社員一人一人にとって「AIを使うことを、特別なことではなく日常の行動に変えよう」というもの。この文化づくりこそが狙いでした。「AIって難しい…」とAIに抵抗を感じている社員も、まずは業務に限らず使ってみること。とにかくAIに触れる機会を作り、AIエージェントの作成に慣れることや、作成する体験を通じて理解を深めることを目的にしていました。
全ての社員が身につけた “AIを使うチカラ”
ソフトバンクの社員だからといって、最初からAIを自在に使いこなせる人ばかりではありません。AIの基礎知識を学べるeラーニングによる研修や、AIエージェントの作り方を学べるセミナーなどが連日開催され、さらに各部門でもAIエージェント作成を支援する独自の取り組みが行われ、コミュニケーションツールで次々とAIエージェントが共有されました。全社一つの方向に向かって動く大きなムーブメントとなり、AIエージェントの数は日に日に増加。開始からわずか2カ月半ほどの8月末には、250万を超えるAIエージェントが誕生したのです。

この取り組みを事務局として推進した太田愛菜は、アンケート結果を受けてこのように語っています。「前例のない取り組みだったので、1人100個のAIエージェント作成に対して、社員からどのような反応があるか不安もありましたが、事務局としては『とにかくまずはやってみよう!』と。AIエージェントを作ってみようと思ってもらえるような “きっかけ” 作りから、作成しただけで終わらないような施策を展開し、全社員巻き込み型の “お祭り” のような施策として推進してきました。部門により進捗は異なりましたが、このお祭りに乗っかって、目標としていた8月末を待たず、早い進捗で進んでいる部門もありました。結果、目標の期日までに、ほぼ全ての社員が1人100個のAIエージェントを作成できたことには、本当に驚いています。またアンケートでも9割の社員が施策に対してポジティブな評価をしてくれていて、AIを使う文化醸成につなげることができたかなと思っています。この一体感、いかにもソフトバンクらしいですよね(笑)」

プロジェクトを経て、“AIを使うこと” が文化に
プロジェクトに対する社員の受け止めはどうだったのでしょうか。プロジェクトの終了後、2025年9月に行ったアンケート(回答者9,207名)は、とてもポジティブな結果でした。生成AIに対する理解度は、約9割の社員が深まったと回答。また約8割の社員が、今後業務で生成AIを活用していくイメージができたと回答しています。

社員からは以下のようなコメントがありました。
- 「楽しく参加できて、生成AIへの理解や関心が高まった」
- 「全社的に生成AIが浸透していると感じた」
- 「実際に業務に活用できている。今後業務がどのように変化するか楽しみ」
- 「数を作ることに集中してしまったので、今後は質の高いものを作りたい」
確かにソフトバンクニュース編集部内でも会話内容に変化が。プロジェクト実施前は生成AIを使うメンバーが限られていましたが、最近では「AIに相談してみた?」「このAIエージェント便利だよ」みたいな会話が普通に出るようになりましたし、生成AIを使うことがごく自然な行動になっていると感じます。狙いとしては大成功で、かつては遠い存在に思えたAIが、仕事道具のひとつになりました。まさに、AIを使うことが文化になる。その瞬間に立ち会えたと感じています。
AIが当たり前に使える社会を目指して
このプロジェクトは、ゴールではなく “始まり” です。生成AIという単なるテクノロジーの導入ではなく、社員一人一人の働き方やチーム・組織のあり方そのものに、革新的な変化をもたらす取り組みです。今回のプロジェクトを通して、AIエージェントでできることを体感し、社内の共通言語にすることに成功しました。今後はより業務で使いこなすことを目指した取り組みを続けていく予定です。
ソフトバンクでは、全社的にAI活用を進めるために「AI利活用基盤の整備」「生成AIの学習プログラムの提供」「活用促進施策」という3本柱を整備しています。今回のプロジェクトの他にも、ソフトバンクグループ横断で開催される「生成AI活用コンテスト」など、社員が主体となってAI活用を競い合う場や学び合う場が用意されています。また、AI人材育成の取り組みの成果として、2,000名以上のソフトバンク社員がAI関連の資格を取得。さらに、1,000名以上がAIやクラウドなどの新たな領域に挑戦するなど、さまざまな変化が生まれています。

全ての社員がAIを使いこなす会社だからこそ、これからどんな革新的なAIが誕生するのか。
社員の一人としても、その未来が楽しみで仕方がありません。
(掲載日:2025年12月4日)
文:ソフトバンクニュース編集部







