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社員の8人に1人がG検定合格者。AIスキルの向上を全力支援するソフトバンクの人材育成戦略

社員の8人に1人がG検定合格者。AIスキルの向上を全力支援するソフトバンクの人材育成戦略

AI人材の需要がより一層高まる中、ソフトバンクではAI時代に適応できる人材の育成に力を入れています。ソフトバンクの事業戦略実現に向け、社員のAIに関するスキル向上のための教育プログラムや研修を整備する人事担当者に話を聞きました。

ソフトバンク株式会社 コーポレート統括 人事総務本部 採用・人材開発統括部 人材開発部

岩月 優(いわつき・ゆう)

岩月 優(いわつき・ゆう)

竹田 美紀(たけだ・みき)

竹田 美紀(たけだ・みき)

平林 佑菜(ひらばやし・ゆうな)

平林 佑菜(ひらばやし・ゆうな)

AIスキルを社内の共通言語に。自律的なスキルアップを実現する社内研修プログラム

ソフトバンクには、経営理念を実現するための教育機関として「ソフトバンクユニバーシティ」という社内の研修制度があります。業務に関わらず手上げ形式で自らが興味のある分野を学ぶことができるよう、間口が広いことが特長です。例えば、AIに関連するコースには基礎から応用まで幅広く学べる研修プログラムがあり、エンジニア職以外の社員も受講可能で、全社員がAIスキル向上を目指すことができる環境が整備されています。

AI人材育成に向け、どのようなプログラムを整備しているのですか?

岩月 ソフトバンクユニバーシティで受講できる、テクノロジースキル向上のための「SBU Techプログラム」は、デジタルリテラシー協議会が定めた「Di-Lite」に合わせたIT・AI・統計を軸に研修体系を整えています。2021年に開始した「AI Campus from SBU Tech」は、AI関連の学習コンテンツを体系化したものです。AIに関連する資格である「G検定」「E資格」の学習を支援したり、外部有識者による講演会などを開催したりしています。2024年度にはプログラムを一部見直し、全社的にレベルの底上げをするために2つの施策を実行しました。

SBU Tech 概要

竹田 具体的には、一つはレベル1の非エンジニア層 へアプローチして、AIの基本的なことがわかる人材を増やしていくこと。もう一つは外部で定義されているAI人材スキルと比較して、手薄になっている領域の学習コースを増やすことです。

生成AIの学習機会

2つの重点施策に取り組んだ背景には、どのような課題があったのでしょうか。

岩月 今後AI活用がさらに加速していくのを見据え、AIに関する用語が社内で共通言語のように使われる状態を目指すことが重要ではないかと考えています。ソフトバンクグループ代表 孫正義や、ソフトバンク株式会社 代表取締役 社長執行役員 兼 CEO 宮川潤一は、AI時代をけん引する企業として進化していくことを社内外で発信しており、高度なスキルを持つ人材も徐々に増えてきています。

AI専任部門によるサービス開発やインフラ基盤の構築推進も重要ですが、それらをどう活用していくか考えていくことは全社員に求められます。そのため、AIの知識を共通化させ、日常的に会話に出るようなレベルになることを大きな目標として掲げていきたいです。

スキルアップを目指す社員のモチベーションをどのように高めていますか?

平林 AIスキルの獲得には、知識のインストールはもちろんのこと、体験を通して学び、アイデアを考えることも大切です。ソフトバンクのグループ各社が参加する生成AIコンテストを定期的に開催している他、知識を底上げするための実践的な教育プログラムとして、eラーニングをメインに実施しています。また「1人で学習を続けると心が折れそう」という意見をくみ上げ、eラーニングの講師に直接質問できる場としてフォロー研修を設けました。同時期にeラーニングを受講している社員たちが実際にオンライン上で集まり、その場で問題に取り組んで解説を聞くといった機会があることで、一緒に頑張ろうというモチベーションの維持に寄与できたと思います。

G検定合格者は2,200人以上。本格的なAI時代に人材面から備える

ソフトバンクの研修プログラムの1つで、段階的にAIを業務に活用できる人材育成を目的とした「AI Campusプログラム」には、ディープラーニングの知識の習熟度を測る「G検定」の資格取得支援があります。2024年度には資格保持者が2,200人を超え、全社員の12%に達しました。(2025年3月時点)

G検定(ジェネラリスト検定)

日本ディープラーニング協会が実施する、AI・ディープラーニングの活⽤リテラシー習得のための検定試験。AI・ディープラーニングについて体系的に学ぶことで、「AIで何ができて、何ができないのか」「どこにAIを活用すればよいか」「AIを活用するためには何が必要か」が理解できる。データを活用した新たな課題の発見やアイデアの創出が可能になる、デジタル施策の推進に自信がもてるなど、AI活用の可能性を飛躍的に広げるための知識を身に付けられる。

AI人材育成の要として、G検定の取得を重視しているのですね。

竹田 G検定は、AIの知識を広く学べ、AI分野の実績を問われたときに十分な範囲をカバーしている資格です。今では受検者数も試験回数もかなり増え、認知度も高くなってきました。

体系的に習得した知識があるのとないのとでは、お客さまやパートナーの皆さまとの会話でも内容が全然違うものになるのではないでしょうか。例えばシステムを発注するシーン。知識不足では最適なシステムが実現できないこともあるでしょうし、また見識があることでこれまでとは違ったアイデアの創出や、質の向上も期待できるのではないかと思っています。

2,200人の資格保持者の中には非エンジニアも多いのですか?

竹田 AIの知識はエンジニアだけではなく全ての社員が習得するのが望ましいと考えています。目的なく学習するのはなかなか難しいですが、資格であれば目指すものが明確になります。合格すれば本人の自信につながりますし、正しい知識を保有している証拠になりますので、会社として積極的に資格保持者を増やすことを目標に掲げました。

ソフトバンクの社員のうち2,200人が合格すると、部署の中で何人かが資格を持っていて詳しい存在が身近にいるということになります。保持者がぐっと身近な存在になると同時に、隣で学んでいる人を見て自分もやってみようという意欲が高まる状況になっていると思います。

G検定の保持者拡大に向けて注力した取り組みを教えてください。

平林 まずはG検定保持者の年代・職種・役割別に、スキルの習得率や研修受講率などを分析しました。各年代や役職に応じて最適化したメッセージによりプロモーションを行っています。例えば、20代社員の5人に1人はG検定を持っていることを同年代に向けて発信。メッセージを受けとった20代の社員は、G検定がメジャーな資格だと認識し、自分も挑戦してみよう、と学習に取り組む人が増えました。また管理職の挑戦者も多く、自身が学んだことを部下に展開するという動きも見られました。

試験に向けてのコンテンツはeラーニングがベースになります。各個人で学習を進めてもらうのが基本ですが、事務局では個別に受講者の進捗を把握し、適切なタイミングで進捗に合わせた応援メッセージを送るなど、学習の後押しをするアクションも工夫しました。

G検定支援プログラムはとても盛況で、受講希望者は定員を上回る応募でした。そこで、電子書籍を導入することで、残念ながらプログラムに参加できない人も好きなタイミングで勉強をスタートできる体制を作っています。

G検定合格者は2,200人以上。本格的なAI時代に人材面から備える

G検定保持者の拡大を始めとするAIの知識向上に向けた今後の取り組みを教えてください。

岩月 G検定については、取得を目指す過程でAIの基礎知識をしっかり身につけられるものなので、取得支援を継続し、その結果として15%、20%と保持者を増やしていければと思っています。また、今後全社的な導入が予定されているクリスタル・インテリジェンスの活用においても、社員一人一人が日々の業務で積極的に使いこなしていくかが課題になります。会社の戦略や施策を見据え、会社でAIスキルを底上げするため、育成状況を踏まえながら今後もプログラムを拡充していきます。

ありがとうございました。

(掲載日:2025年4月28日)
文:ソフトバンクニュース編集部

ソフトバンクの人材戦略

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