
自己紹介と現在の事業内容についてご紹介をお願いします。
大阪大学の助教として、電気分野の教育と核融合、半導体などハードウエアの研究に取り組んできました。 2020年には、私を含む大学教員5名で、「温度による五感のハッキング」をテーマに大阪ヒートクール株式会社を設立。 主力製品は、かゆみを緩和するデバイス「ThermoScratch(サーモスクラッチ)」と、生理痛VR体験デバイス「Perionoid(ピリオノイド)」の2つです。
ペルチェ素子を用いた温冷刺激の錯覚技術を応用し、かゆみや痛みといった「人間の不快感」を科学的に和らげることを目指しています。この技術を活用したハンディタイプの接触冷温感試験機が2025年度グッドデザイン賞を受賞することもできました。
現在は研究成果を社会実装するべく、日々研究と事業の両輪を進めています。
アカデミアに応募しようと思ったきっかけは?
きっかけは、Facebookで見かけたアカデミアに関する投稿です。アカデミアについて詳しく知らなかったものの、「おもしろそうだな」と直感的に惹かれました。それまで関西以外の企業の方と知り合う機会も少なく、経営者同士の情報交換や学びの場にあまり縁がありませんでした。そんな時にアカデミアの存在を知り、応募してみようと思いました。
当時はソフトバンクのことも携帯会社という程度の認識でしたが、入校後に孫校長の動向やソフトバンクの多様な事業内容に触れる機会も増え、「想像を超えたスケールで未来をつくる会社」だと感じました。今では、「この計り知れない世界をのぞいてみたい」という好奇心も持つようになっています。
アカデミアの魅力、コミュニティで得られたことを教えてください。
一番感じたのは、メンバー全員の活動量と熱量の高さです。
経営者、研究者、社内起業家など、立場は違っても、皆が圧倒的に動いていることは共通点だと思います。飲み会で親交を深めたり、アカデミア生の結婚式に出席したりと、仕事の枠を超えたつながりもできました。
また、ソフトバンクイズムを持った人たちと出会えたことは大きな刺激でした。営業力が強く、ロジカルで、事業成長へのこだわりが強い。理系で研究畑に身を置く自分にとっては、“技術ありき” ではなく “価値創出ありき” で物事を考える姿勢を学びました。
さらに印象的だったのは、アカデミアで学んだプレゼンテーション哲学です。メッセージを明確に伝える構成やロジックの組み方など、ソフトバンク流に慣れるのは少し時間がかかりましたが、そのスタイルを勉強して自分自身にインストールしてみました。今では、伝えたいメッセージを具現化して端的にまとめてストーリーに組み込むという、学会発表や事業提案にも幅広く生かせる汎用スキルとして、身につけることができました。
最も記憶に残っている出会いや出来事はありますか?
プレゼンテーションプログラムの予選が思い出深いです。予選はオンラインながら緊張感があり、当時の空気感は今でも鮮明に覚えています。 予選を勝ち抜いて孫校長の前でプレゼンする本選に出場したのですが、とても緊張してはっきりと覚えていないこともあり、決勝よりも予選の方が印象深いです(笑)。
また、ファミリーイベントでは家族同士の交流が生まれ、子どもたちがすぐに打ち解けて仲良くなったことが印象的でした。アカデミアには、ビジネスだけでなく人としてのつながりを大切にする文化が息づいていると感じます。
さらに、少人数での勉強会での他のアカデミア生との対話も忘れられません。価値観が近い人もいるので話しやすいです。専門分野や立場は異なっても、探究する姿勢という共通点があり、毎回多くの刺激を受けました。お互いをリスペクトし合いながら、経営の悩みなど深い話もフラットに語り合える関係性も心地よく感じています。一番ストレス無く友人をつくれる場だと思っています。
伊庭野さんの志とは?
私は研究者としての根っこが深く、「人類が真理にたどり着くために、自分がどう生きるかを探究すること」を哲学としています。あえて言うなら、“アカデミアな人間” として、「人の世のために何かを」というよりも、「人類がたどり着くべき知や真理があり、その目標に到達するために、研究や事業をしている」という立場を大切にしています。
アカデミアにはアカデミア生それぞれが持つ哲学や志をお互いに、リスペクトし合う環境があります。多様な志に触れることができることは楽しいですし、自分自身も大学人としての考え方や社会の一員としての考え方を見つめることができました。
アカデミアに興味を持っている方へのメッセージをお願いします。
応募時はアカデミアをよく知っていたわけではありませんでしたが、今となっては、人生の糧になる経験を得られたと思っています。これだけの規模のプログラムを、ソフトバンクが社内リソースを使って無料で提供しているのも驚きでした。
気軽な場なので、少しでも興味のある人はぜひ参加してほしいです。応募して失うものは何もなく、プラスしかないコミュニティなので、とにかく積極的に応募してほしいです。
このコミュニティには、事業・研究・社会貢献―それぞれの分野で真剣に挑戦する人たちがいます。お互いを高め合い、支え合う中で、自分自身の軸が磨かれていく感覚があります。
迷っているなら、ぜひ一歩踏み出してみてください。
得られるものはきっと想像以上です。
求む!後継者。
ソフトバンクアカデミア

ソフトバンクグループの未来を担う人材を、グループ内外問わず、広く募集しています。共に成長し、限りない可能性を秘めた未来の扉を開く志高いメンバーをお待ちしています。
(取材日:2025年11月)
文:ソフトバンクアカデミア事務局





