
旅行の計画やお出掛けスポットを探すとき、皆さんはどうやって調べますか? 雑誌やガイドブック、インターネット、SNSなどさまざまな方法がありますよね。観光庁の調査によると、旅行の際には動画SNSで情報収集をするユーザーが増えているのだそうです。
近年の動画SNSの高い人気やオーバーツーリズムなどの社会課題を背景に、ソフトバンクグループ企業の社内起業制度「ソフトバンクイノベンチャー」で、現在事業化を目指しているトラベル動画SNSアプリ「NewTravel」が開発されました。
2025年12月に開催された地域課題の解決に挑む東海発のオープンイノベーションプログラム「ふるさとイノベーションコンテスト 犬山市」でグランプリを獲得し、2026年1月30日から愛知県犬山市で3カ月間のPoC(概念実証)を開始。どのようなアプリなのか、企画・開発を主導する担当者に話を聞きました。
目次

話を聞いた人
ソフトバンク株式会社 インキュベーション事業推進室 イノベンチャー推進部
栗田 昂亮(くりた・こうすけ)
法人営業やスタートアップ投資などの新規事業企画を経て、現在はソフトバンクの次世代事業戦略を推進。2023年に社内起業制度 ソフトバンクイノベンチャーで「NewTravel」を提案・事業化検討決定ののち、2025年12月に「ふるさとイノベーションコンテスト 犬山市」でグランプリを獲得。
旅行先はもちろん、普段のお出掛けにも。動画で体験のシェアや情報収集ができる「NewTravel」
NewTravelは旅行やお出掛けに特化した動画SNSアプリで、さまざまな動画を見たり投稿したりして楽しむことができます。まずは代表的な3つの使い方をご紹介。中でもAIによる動画編集はとても便利なので、ぜひ試してみてほしい機能です。
①飲食店や宿泊先の検索ツールとして使う
初めて訪れる旅行先や普段あまり行かない場所で、ご飯がおいしいお店やひと休みできるカフェを探したいのに、なかなか見つからない…。そんな経験はありませんか?
NewTravelは、動画や現在地、ハッシュタグなどいろいろな切り口で飲食店などを探すことができます。たくさんの動画からピンとくる場所を訪れるもよし、現在地付近のお店やスポットを訪れるもよし。気になるお店が見つかったら、動画からそのまま予約もできます。



左:地図の検索結果画面。現在地近くのお店などを探したいときはこちら
中央:動画の検索結果画面。お店や料理などの見た目や雰囲気で探したいときに
右:動画内のメニューからそのまま予約もできる
左:地図の検索結果画面。現在地近くのお店などを探したいときはこちら
中央:動画の検索結果画面。お店や料理などの見た目や雰囲気で探したいときに
右:動画内のメニューからそのまま予約もできる
日常的に使用しているユーザーからは、「Google マップの代わりに使っている」「距離順に動画を見られるのが良い」といった声もあるんだとか。使えば使うほど、自分なりの楽しみ方が見つかってきます。
②撮影した動画の編集や、動画をシェアするSNSとして使う
旅先などで出会ったきれいな景色やおいしい食べ物、つい写真や動画を撮っちゃいますよね。撮った動画をシェアするときも、NewTravelの出番です。
AIによる自動編集機能で簡単にテロップ(字幕)と音楽付きの動画を数十秒で作成できるので、旅の思い出などが手軽にシェアできるんです。これは、シェアしたい動画と撮影場所を選択するとAIが動画を分析&ウェブ上のさまざまな情報を瞬時に収集し、動画内のきれいなシーンを抽出してテロップと音楽を入れてくれるという仕組み。実際に作ってみると、その手軽さにきっと驚きますよ!
動画作成のデモ動画。
25秒ほどでテロップ・音楽付きの動画ができあがる。
自分でも編集できるので、動画作成がグンと手軽に
③ガイドブックとして使う
全国の自治体と連携した、動画によるガイドブックを提供しています。そのエリア内で撮影・投稿された動画を集約しており、宿泊施設やお土産店、飲食店など全て動画で紹介。例えばお土産店なら、お店の雰囲気はもちろん、いま店頭にどんな商品が並んでいるかや、商品の質感などまでチェックできるのは動画ならではのうれしいポイント。他にも、地元で人気の居酒屋や雑貨屋といった穴場スポットなど、なかなか出会えない情報も数多く掲載されていますよ。




愛知県犬山市の事例。地元の方々の協力のもと、続々と魅力的な動画が増えている

愛知県犬山市の事例。地元の方々の協力のもと、続々と魅力的な動画が増えている
栗田 「このガイドブックは、自治体ごとに、飲食店や旅館などのオーナーさまやそこで生活している方々にも動画を投稿してもらっているので、普通のガイドブックなどではあまり出てこない情報とも出会えると思います。まずは普段のお出掛けで使っていただき、旅行のときにはガイドブックとして活用してもらえるとうれしいです」
日本中の動画マップを作り、日本の魅力を世界に発信したい。機運高まる今だからこそのチャレンジ

NewTravelは、「日本の魅力を世界に伝え、観光が抱える課題解決を目指す」というミッションを掲げて運営しています。アプリが生まれた背景や、現在注力している取り組みなどをうかがいました。
NewTravelを立ち上げた背景をお聞かせください。
2つありまして、1つはオーバーツーリズムです。東京や京都などの大都市に観光客が集中し、他の地域になかなか分散しないことが観光業界で2~3年前から課題となっています。私自身、仕事でいろいろな地域に出張に行くことが多いのですが、大都市圏以外のエリアでは観光客があまりいないというのを実感していました。これをテクノロジーを使って「人の流れ」を作ることができないかと考えたんです。
もう1つはOTA(Online Travel Agency:宿泊やアクティビティなどの予約サイト)に頼る部分が多いということです。民宿から大手リゾートホテルまで多くの事業者の方にヒアリングする中で、ほとんどの方が集客や予約など大部分の導線をOTAに頼っていることに課題を感じていました。手数料はもちろん、宿の魅力を伝えきれないことや、口コミの評価が予約の有無に大きく影響していることも同様です。この課題に対して、宿泊事業者の皆さんに持続可能なモデルを提供したいという思いからスタートしました。
サービスの主軸に動画を選んだ理由を教えてください。
まずはトレンドですね。今、30秒から1分くらいの「ショート動画」が世界中の人に見られています。海外企業の調査によると、モバイルでのインターネットトラフィック全体の約8割がショート動画視聴なんだそうです。以前は30分や1時間の動画をYouTubeで見ていたのが、今では10分のスキマ時間に30秒の動画を何本も見るといった流れに変わってきています。

1分のショート動画は、全てテキストで説明しようとすると180万文字必要とも言われています。例えば洋服の試着の動画だと、サイズ感だとか着用感とか気になるポイントがいくつかありますよね。そういった、文字での細かい説明では伝わりにくいことも、短い時間ですぐに理解できるのはショート動画の強みだと思います。
TikTokやInstagramなどの既存動画SNSもありますが、NewTravelならではの強みや差別化のポイントを教えてください。
大きく違う点は2つあって、1つは「旅行・飲食に特化している」ということと、もう1つは「全ての動画が位置情報とひもづいている」ということです。既存の動画アプリはオールジャンルで、飲食や宿泊だけでなくお笑いなどいろんな動画が混ざっていますが、NewTravelは旅行や飲食のジャンルに特化しているので、目的にたどり着きやすいのが特長ですね。また、位置情報をもとにユーザーの現在地付近のお店やスポットを表示するので、来訪につながりやすいです。

さらに、掲載いただく自治体や事業者には、動画の視聴数や視聴されている時間帯、ユーザー属性などさまざまなデータを提供しています。このデータは、事業者側が作成・掲載したものだけでなくユーザーが投稿した動画のものでも見ることができます。これも既存の動画SNSとは異なる点です。
ユーザーにとっても事業者にとっても利便性が高いアプリですね。今後の事業化に向けて、特に注力していることを教えてください。
現在、自治体との連携に注力しています。具体的には、アプリ内に動画によるガイドブックを作るという取り組みで、旅行雑誌など紙面にまとめている情報を全てデジタル化するというものです。
例えば、先日ガイドブックを公開した愛知県犬山市では、犬山城の城下町に観光客が集中していて、そこ以外への来訪者が少ないとか、観光客の滞在が短く宿泊してもらえないといった課題を抱えています。ご相談をいただく他の自治体でも同様の課題が多く聞かれます。このような、人の流れを作りたいという課題に対して動画ガイドブックの作成を提案しています。
ガイドブック作成にあたって開いた説明会の様子
ガイドブックを作成した自治体では、観光客の方々に向けてデジタルスタンプラリーなどのイベントを開催して、エリア内の周遊や飲食店巡りといった形で人の流れを作る取り組みも一緒に行っています。今後もガイドブックはどんどん増えていく予定ですので、ぜひユーザーの皆さんに楽しみにしてほしいですね。
今後の目標や、取り組んでみたいことを教えてください。
まずは今後5年間で30万スポットの動画投稿を目標に掲げているので、日本全国1,741の自治体全てで動画ガイドブックを作り、日本中を網羅した “動画マップ” を作っていきたいです。また、私個人としては、このNewTravelで会社を設立し事業を成長させ、起業家としてどこまでできるかチャレンジしたいですね。
ありがとうございました!
(掲載日:2026年2月9日)
文:ソフトバンクニュース編集部







