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ブロードバンド推進協議会設立

ブロードバンドの普及は、産業革命に匹敵する情報革命。新しい産業の創出などへの期待も高まっている。そんなブロードバンドに関わる新たな産業界の交流の場として、またブロードバンドの問題解決や更なる普及、啓蒙をおこなう機関として、「ブロードバンド推進協議会」が設立された。

その設立総会が開かれたのは7月7日。すでにソフトバンクをはじめ、ソネットなど21社が設立時メンバーとして名を連ね、発起人代表・ソフトバンク孫正義社長による宣言で、協議会が正式に発足した。その後、理事長に選出された孫社長は、次のようにスピーチした。

「先週、韓国から帰りました。大変驚きました。何かというと、国をあげてブロードバンドに取り組んでいる。とはいっても向こうではすでにブロードバンドは当たり前のこと。BBB、つまりビヨンド・ブロードバンドという言葉が使い始められています。

韓国のブロードバンド普及率は70%。世界一のブロードバンド大国です。もう水道や電気と同じような当たり前のインフラになりつつある。そこで話題の中心となっているのは、もうこのブロードバンドをどう活用していくかという1点。だからビヨンド・ブロードバンドというわけです。

実は4年前にも、特別顧問として当時の金大統領にブロードバンドについてのアドバイスをさせていただいたことがありますが、今回は盧武鉉(ノ・ム・ヒョン)大統領と、サムスン電子の社長から大臣になった情報担当相と会談。BBBについてのアドバイスを求められました。現在、韓国の一人当りGDPは約1万ドル。これを数年後に2倍にするため、ブロードバンドを利用した、いわばIT版の所得倍増計画のようなものを用意しているとのことでした。

考えてみれば、盧大統領ご自身も、わずか1年前までは名前も知られていないダークホースでした。ルーズベルトやケネディのように、アメリカではラジオやテレビを利用した大統領がたくさん生まれたように、ネットを利用して活動をおこない、ネチズンたちに押し上げられて選出された大統領と言われています。大統領となった現在も、大臣たちとのやりとりはメール。執務室にブロードバンドの放送局を作り、国民にいつも話しかけたいと言っていた言葉が印象的でした。

韓国だけでなく、アメリカでも、インターネット抜きで選挙は戦えないと言われる時代。日本では未だに、インターネットによる選挙活動は禁止されています。ブロードバンドの普及もしかり。たとえば光ファイバーを過疎地に提供する、しないといった議論に明け暮れているだけでは、時代にどんどん追い越されてしまいます。

世界の情勢は、ブロードバンドというインフラよりも、コンテンツの時代に移っています。韓国も、日本を競争相手として捉えるのと同時に、協力できる相手という認識を強くしています。日本の「e-Japan戦略2」も、いよいよ進展しようとしている今、これらのさまざまな進展を、さらに勢いよく進めて行かなくてはいけないと思います。」

こうして総会が閉幕したあとは、来賓の自民党や民主党の国会議員のスピーチ、つづいて甲南大学経済学部の佐藤治正教授による記念講演会(テーマは)「ブロードバンド時代における通信政策の諸課題」)も開かれた。

(掲載日:2003年7月1日)