
豊かな自然と穏やかな時間が流れる離島。観光や日々の暮らしで通信が欠かせないのはもちろん、イベントなどで多くの人が訪れるときにも、つながる環境を守ることが求められます。都市部とは異なり、設備の搬入や地形、景観への配慮など、離島ならではの課題も少なくありません。
こうした制約の中でどのようにネットワークを支えているのか、日常を支える対策に加え、「MIYAKO ISLAND ROCK FESTIVAL 2025」と「瀬戸内国際芸術祭 2025」で実施した対策について、担当者に話を聞きました。
目次
自然条件・物流制約・景観配慮… 離島特有の課題に合わせたエリア設計
海岸線の形や土地の起伏など、自然が生み出す個性を持つ離島。こうした条件の違いにより、通信設備の整備・維持にはそれぞれ特有の課題が発生します。ソフトバンクは、島ごとの特性を踏まえてエリア設計を行い、安定した通信環境の提供に取り組んでいます。
離島への物資搬入には、旅客船や航空機では運べない大型機材を搬入する際に専用船を手配するなど、船舶が多く使われます。潮の流れによって作業時期が制限されることもあり、基地局の着工まで半年以上待つケースもあるなど、工期や費用面で都市部とは異なる事情があります。

基地局とインターネット側をつなぐ通信バックホールの構築方法も島によってさまざまです。光海底ケーブルを利用できる地域がある一方で、地理的条件から衛星回線を用いる地域もあります。また、沿岸部では塩害により設備劣化が進みやすいため、基地局の耐塩害仕様の設計など、運用面での工夫も欠かせません。
また、離島はすぐに保守対応へ向かうことが難しい場合も多く、停電時に24時間以上稼働できるバッテリーや発電機、衛星伝送設備を備えた基地局を配置することで、災害に強い体制づくりを進めています。
景観への配慮も離島ならではの重要な検討要素です。観光地や住宅地からの見え方を考慮することで基地局の位置選定に制約が生じる場合や、景観保護区域に該当するため設置が認められず、関係者との交渉や設置場所の再検討が必要になるケースもあります。
特別な日でもいつも通りつながるために。大規模イベントでのネットワーク対策
島でも大型イベントが開催されるケースが増えており、臨時のネットワーク対策が必要になる場面があります。沖縄県宮古島や瀬戸内の島々で行われた大規模イベントの対策ポイントをそれぞれ担当者に聞いてみました。
宮古島の海を望む人気フェス「MIYAKO ISLAND ROCK FESTIVAL 2025」
2025年10月18日に開催された「MIYAKO ISLAND ROCK FESTIVAL 2025」は、宮古島の海を望むロケーションで全国からファンが集まる人気音楽イベントです。フェス当日は動画撮影やSNS投稿が増えるため、通信トラフィックが通常より大幅に増加することがあります。
今回のフェスでは、既存基地局の場所を活用し、高速・大容量の5G(Sub6)設備を新たに追加するなど、混雑が予想される会場でも快適な通信を提供できるよう各種対策を実施しました。

お話を聞いた人

礒田 隆(いそだ・たかし)

渡辺 エミール(わたなべ・えみーる)
宮古島でのネットワーク対策には、どんな難しさがありますか?
宮古島の住民は約5万3,000人、加えて、ホテル建設関係者やリゾートバイトなどの短期滞在者も多くいます。年間100万人以上の観光客が訪れるため、生活圏だけでなく、観光スポットや移動ルートなど島内のほぼ全てがネットワーク対策の対象となります。繁華街、リゾートホテル、空港、3km以上の橋、小さな集落、岬の灯台など、多様な環境が存在するため、島全体を捉えた上での対策が求められます。また、宮古島は大型台風の上陸が多く、基地局が倒壊するリスクがあるため、コンクリート柱をより重くするといった耐風性能の強化を図っています。

宮古島ならではの工夫した点を教えてください。
近くに他の島がないため、対岸からの電波カバーができず、海沿いのエリア構築には特に工夫が必要です。加えて、鉄筋コンクリート造の住宅が多く、建物内へ電波が浸透しにくいことから、その点も意識してエリア設計を行っています。また、宮古島は観光地が海沿いに集中している一方、対岸から電波を届けにくい地形です。理想的な場所に基地局を置けないこともあり、既存設備をどう活用するかが鍵になります。
離島は通信環境を整える上でさまざまな制約がありますが、観光地から生活圏まで島全体でつながる状態を実現するために、日々改善を重ねています。つながりやすくなったという声をいただくことも増えてきており、それが励みになっています。
瀬戸内の島々を巡るアートイベント「瀬戸内国際芸術祭 2025」
3年に一度開催される「瀬戸内国際芸術祭 2025」は、瀬戸内海に浮かぶ複数の島々を舞台に行われる大規模アートイベントです。春・夏・秋の3シーズンを通じ、国内外から多くの来場者が訪れます。作品は瀬戸内海の複数の島や展示スポットに点在しているため、巡る際には各展示場所の情報確認やルート確認に地図アプリや公式ガイドを利用することが想定されます。そのため、移動中に位置情報や展示情報を調べる際に安定した通信環境が求められます。
一方で、瀬戸内の島々では大型機材の搬入が船舶頼みで、天候によって日程が左右されるほか、電力供給が限定的な場所もあります。今回の対策では、船のチャーター便を使用して必要な資材を現地に持ち込むなど、島ごとの条件に合わせた設営が必要となりました。

お話を聞いた人

技術推進課
小久保 友裕(こくぼ・ともひろ)

エリア技術課
桑野 太雅(くわの・たいが)
瀬戸内の島々で安定した通信環境を提供するために、どのような対策をしているのでしょうか。
瀬戸内は山が多く、海岸線も複雑に入り組んでいるため、広い範囲を効率的にカバーすることが難しい地域です。そのため、電波の回り込みに優れた「プラチナバンド(900MHz)」を積極的に活用しています。今回の対策でも、既存の基地局にプラチナバンドを追加導入することでエリアの改善を図りました。
対策した男木島、本島、高見島、粟島はいずれも小規模な島ですが、瀬戸内国際芸術祭のように短期間で来場者が集中するイベントもあるため、島ごとに必要なエリアを絞り込んで対策を実施しました。


瀬戸内でのエリア整備ではどのような工夫を行ったのでしょうか。
既存設備の活用を前提に、必要に応じてピンポイントで新たな基地局を設置する方法を採用しました。例えば男木島では、アンテナの種類を変更し、展示エリアに向ける調整をすることで、展示エリアの通信状況を大きく改善できたケースもあります。これまでつながりにくかったエリアでも、今回の対策によって通信品質が向上しています。瀬戸内の自然や芸術を訪れる皆さまに、より快適な通信環境で楽しんでいただければと思います。
ソフトバンクの電波対策に関する記事はこちら
(掲載日:2025年12月19日)
文:ソフトバンクニュース編集部







