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「流通」から「コマース&サービス」へ 進化する流通ビジネス

ソフトバンクBB株式会社 取締役兼コマース&サービス統括 統括担当
溝口 泰雄(みぞぐち やすお)

ソフトバンクはもともとソフトウェアの流通事業からスタート。そのビジネスは現在、ソフトバンクBBのIT流通事業として展開されており、「コマース&サービス」というサービス名称で、新たな事業領域への展開、更なる発展を目指しています。この流通ビジネスの展望について、ソフトバンクBBの取締役としてコマース&サービスを統括する溝口が語りました。

略歴:
セイコーエプソン(株)を経て、93年日本アイ・ビー・エム(株)入社。PC事業などを担当した後、2000年ソフトバンクBB(株)入社。2007年よりソフトバンクBB(株)取締役兼コマース&サービス統括 統括担当。
インタビュアー:
山内 貴久美(やまうち きくみ) ソフトバンク(株)広報室顧問・フリーアナウンサー

「コマース&サービス」への転換で新たな飛躍を

山内:
まず、「コマース&サービス」の事業概要について教えていただけますか。
溝口:
ITメーカー約4,000社から商品を購入し、それを約34,000店の量販店と、全国の商社やシステムインテグレータ、ネットワークインテグレータなど約10,000社に卸しています。扱っている商品は、パソコン、サーバ、プリンタ、ネットワーク機器などのハードウェアと、ビジネスツール、データベースなどのソフトウェアです。ビジネスパートナーである各社様と様々な取り組みを行っており、ハードウェア、ソフトウェア共に、売上高は順調に推移しております。
山内:
ソフトバンクグループにおける流通事業の位置づけはどのようなものとお考えでしょうか?
溝口:
ソフトバンクは創立時からソフトウェアの流通事業を行っていたこともあり、長年にわたって全国の量販店各社様、事務機メーカー・SIer(システム・インテグレーター)様との取引関係を構築してきました。現在のYahoo! BBやソフトバンク携帯の量販店チャネルも、もともとは流通事業が道筋を作ったわけです。このように日本のほとんどの地域にIT関連商材の販売チャネルがあるということは、グループ全体にとって流通事業の存在意義の大きさを示していると思います。また、IT業界の中心的なメーカー様との関係も深く、今後グループのコンテンツ事業を拡大する際にも大いに貢献できると考えています。
山内:
2006年には「コマース&サービス事業」に名称変更されましたね。
溝口:
20数年来携わってきた物販に加えて、テクノロジーを利用しながら、物流に付帯するサービスを販売していこうという目的で名称変更しました。IT商品のディストリビューションを中核に、高度で多様な商品を安定供給することによって市場拡大に貢献すること。その一方で、「ブロードバンド+ソフトウェア」を機軸としたサービスを提供しています。また、提供した商品についての対応窓口を設けるなど、お客様の利便性を追求し、従来の流通事業の枠を超えた「コマース&サービス」事業への転換を図っています。一般の方が思い描く流通事業というイメージからは、かなり変貌しているかもしれませんね。
IT流通、SaaS、法人モバイル事業においてナンバー1を目指す

IT流通、SaaS、法人モバイル事業においてナンバー1を目指す

山内:
「コマース&サービス」が掲げる事業目標は何でしょうか?
溝口:
IT流通事業No.1、SaaS*1事業No.1、法人通信・携帯事業No.1の3つのNo.1を目指しています。
1つ目はIT流通事業No.1。ソフトウェアの分野では既にNo.1*2となっていますが、ハードウェア、ソリューション関連でもNo.1になりたいと思っています。ハードウェアではこの2年間で、IBM インテルサーバの取り扱いが国内でNo.1*2となりました。このように分野を明確に定め、確実にNo.1を獲得していこうと考えています。

また、ソリューション関連では単なる物販だけではなく、技術部隊が自社の保守・サービス契約などを取り扱い、大きく利益に貢献していますし、昨年より組織したマイクロソフト社製品を中心に取り扱うコンサルティング部隊でも、多くの案件を獲得しています。単なるボリュームディストリビューターではなく、バリューディストリビューターとして、よりパートナー様の信頼と要望に応えられる事業を目指しています。

2つ目はSaaS事業No.1。コンシュマー向けのSaaS事業に続いて法人向けのSaaS事業に注力します。回線事業者であるソフトバンクグループの強みと、ソフトウェアの取り扱い国内No.1の実績がありますので、SaaS事業の展開にとっては強力なアドバンテージになると考えています。その事業に参入する第一弾として世界的に有望な「Salesforce.com(以下Salesforce)」の取り扱いと、トレンドマイクロ(株)と共同で開発したセキュリティーの月額課金サービス「TEKI-PAKI(テキパキ)」も開始しました。

Salesforceはグループ内でも既にユーザーが多く、その有効性が実証されています。我々は米セールスフォース・ドットコム社と協力してSFA*3 アプリケーションだけでなく、国内外の有力なSaaSソリューションをいち早く展開しようとしています。また、SaaSは法人向け携帯事業を拡大する上でも、そのソリューションとして提案でき、大きな武器になると思っています。既に携帯電話でSalesforceを利用できるように準備をすすめています。

TEKI-PAKIはSMB*4市場向けのサービスの総称ですが、第一弾として展開しているトレンドマイクロ(株)とのサービスは非常にご好評をいただいています。技術者を置けないような中小企業の方へのASP*5サービスとして、ソフトバンクBBがサービス提供者となり、お求めやすい価格で簡単に導入でき、運用も任せられる手軽な点が特徴です。将来的には資産管理、財務会計、給与計算、グループウェアなど、業種を問わず企業に必要とされるベーシックなメニューを順次展開していく予定です。

3つ目は法人通信・携帯事業No.1です。携帯も「SoftBank X01HT」のような「Windows Mobile」製品が投入され、第三のクライアントとなってきました。これにより今後、我々のパートナー様が、これらをお取り扱いいただく大きな販売機会が創出できると思っています。今回さらに「SoftBank X01HT」の電話やPDA機能の不足点を補い、高い親和性を実現するためのアプリケーションソフトとして「XRoof(エックスルーフ)」を、子会社のBBソフトサービス(株)などが共同で開発しました。今後も「Windows Mobile」搭載端末のスマートフォン市場に対して、携帯電話向けのアプリケーションを積極的に開発していく予定です。SaaSと、ハードウェアである携帯端末をセットで提供し、さらに端末の高い機能性を実現するソフトウェアを展開することによって、新しいビジネス環境をお客様に提供することが可能になりますね。

山内:
お仕事をされる上で、心がけていることを教えてください。
溝口:
私は四半期のスタート時ごとに、みかん箱ならぬ朝礼台にのって(笑)、「コマース&サービス」の社員の前で話をしています。これは社長の孫、副社長の宮内から受け継いだ朝礼です。メールだけでなく、フェイスtoフェイスで部下たちと接することも重要と考えています。「目標を持て、感性を磨け、常に明るく」が私のモットー。「コマース&サービス」の社員は元気です。飛躍にご期待ください。

  • ※1 
    SaaS:(Software as a Service)必要な機能をユーザ毎に選択でき、インターネット経由で提供するサービスとしてのソフトウェア
  • ※2 
    当社調査による
  • ※3 
    SFA:(Sales Force Automation)情報通信技術の利用で、企業内の営業業務を効率的に運用すること
  • ※4 
    SMB:(Small and Medium Business)中小・中堅企業
  • ※5 
    ASP:(Application Service Provider)業務用ソフトウェアをインターネット経由で貸し出すサービス

(掲載日:2007年5月18日)